転生国主興国記

hinomoto

文字の大きさ
上 下
113 / 253
本章

飢えない日

しおりを挟む
戻ってから、起きてくれるまで時間が出来たから、焼き肉の準備をしていたよ。
やっぱり、仲良くなるために食わなきゃ駄目よ。
酒は適度を守らないとか、注意事項があるのは嫌いだ。
旨い物を食べて、腹が満たされたら先に進める。
しかし、獣国とファフレミアとレイクが合わされば、大国になるな。
それに、サンガ連合とタイク帝国の戦争が気になる。
あの子達が気になるよねー。
非戦闘員に酷い目とかはそんなに無いが、被害は出てる。
問題は4部隊に別れて国を攻めているが、一つの部隊の躍進が気になるよね。
ペレ国を攻めてる部隊は他の部隊より人数が少ない。千名だよ。
多分、隊長が強いみたいだね。
そんな事よりも、一気に考えも変えてあげないと!
さぁ!売り子を呼んで来るか!

(アイ、人員は?)

[解。五百名は準備出来ております。]

(うん、アイの機体も何体か廻しといて。)

[肯定。]

「さあ、メイン会場を整えるぞ!」

「「「おおー!」」」

ナインを先頭に焼き肉大会の準備に入る仲間達であった。


ーーーーーーーーーーーー

「ちっ、つまらん。」

「将軍に参入されたらあっと云う間に終わりますよ。それでは隊のレベルが上がりませんからね。それに将軍では人でレベルが上がりませんよ。暇でも後4日は耐えて下さいね。」

「はー、長い。」

「4日後ならレベル抜きで戦っても問題ありませんから。」

ニヤニヤを止めない副官は嫌らしさを更に増して笑っていた。
その先には、城攻めをする自軍がいた。
一人としてダメージがない軍とボロボロになった城と兵達との差は歴然としていた。



ーーーーーーーーーーーー


起き上がった所で不思議な光景を見ていた。
良い匂いが鼻腔の奥を刺激した。
匂いを追って行くと、大きな舞台と出店が出ていた。
舞台では聴いたことが無い音楽が流れていた。
沢山の人が見たことの無い物を奏でていた。
身体に響くのに、落ち着いてくる。
素晴らしい音の重厚は聴いていたいが、匂いに負けてしまう。

「どこだ?この匂いの元は?」

誰かが呟くが、人が多くて分からない。
良く見ると、出店からだった。人の列が多く並んでいた。
退かそうと思ったが、貧乏人も貴族も列に並んでいるのだ。
貴族が並んでいる現実が受け入れられなかった。
周りを見たときに気が付いたことは、自分の周りには乞食しかいなかったのだ。一人の乞食が乞食に命令していた。

「そこの乞食!早々に退くがよい。」

「乞食が何かを言っている!」

「なに!」
「なんだ!」

乞食が貴族の話し方をしていた。
何となく分かったのは、自分も乞食になっているみたいだと。
理解出来た者は列へと消えていったが、理解出来ない者はその場で喧嘩か命令をしていた。
この中で一人の男が特段変わった命令をしていた。

「余の名が聞けないのか!余は王たぞ!余の為にせよ!」

しかし、誰も聞いてはいなかった。
乞食が王を語るとは、まさに裸の王様であった。
人々は無料の出店に向かうなか、音楽が止まると声が聞こえる。

「あー、あー。よし、聞こえているよな。うん。ごほっん。えー、元レイク国民の皆さん、聞いてますか?此方は獣国大使になりました、大使です!戦争は終わった事を実感できましたか。古い時代から新しい時代になりました。既に言いましたが、獣国の属国になります。直ぐにその考えも古くなります。獣国を見てから、自分達の未来を考えて下さい。それでは、お腹が一杯になった人からバスに乗って下さい。3日は時間をもらいます。宜しくー。放送を終わります。」

何を言ってるのか分からなかった。
バスってなに?
それは国民全員が思っていた。
ナインを除いて分からなかったが、音楽を聞いて食べてる出店は最高であった。
乞食の子供は思った。初めて誰もが飢えることが無い日があったとは、今日は奇跡の日なんだと。
その子の目には、自分もそうだが人々が笑っているのを見ていた。
一人の女の子が食べ物を持って走っていた。街の裏側であるゴミ屋街の一角に走っていた。

「おかぁさん!食べ物もらったよー!」

「うっ、ごほっ、ごほっ。よかったね。」

「おかぁさん!食べるよ!」

母親は肌が白く、痩せて細っていた。子供が嬉しそうに抱えていた物に食べる気も無かったので、

「あなたが食べなさい。」

と言った。女の子が食べ出すと懐から人形が落ちた。
人形を拾い子供に返す前に見ようとすると、

「半径一キロ圏内に病人を多数確認。救助モードに移行。救助申請をします。許可の受託を受信。今から救助を開始します。」

「なんだい、これ・・・・・・・」

一気に青い光がゴミ屋街を包んだ。

「終了。病人0を確認。介助モードに移行。介助対象多数の、為、支援を要請。受託を確認。介助を開始します。」

光が通り過ぎた後、ゴミ屋街に不思議な人形が増えて、汚かった場所も今は無くなり、綺麗な場所になっていた。そんな奇跡が起きているのも分からなかった。元気な母親と笑顔の女の子。
そんな奇跡が目の前にあった。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...