転生国主興国記

hinomoto

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本章

交渉のじょうけん

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誕生日会は無事に終わったよ。
ムリカの『またお願い!』には成功を確信できたね。
一年あれば出し物の強化も出来るし。
そうすれば、村の文化レベルも上がるよねー。
盛り上がる事があれば、住人の楽しみも増えるよね?
龍達も演奏や芸に目覚めたのか趣味にしてる者が多い。
人と龍の交流場所となりそうだ。
たぶんな...
あっ!
犬はレブルに渡したよ。
どうなるかって?
親の二の舞と言っておこう。
アイさんは帰って来て、事の顛末を教えてもらったよ。
知りたく無いのに...
ま、終わりましたよ、誕生日会は。

エルクとアニァータの眼前には、変わらない姿が広がっていた。
報告を聞く度に、戦争が何なのか分からなくなった。それと捕虜だ。
三万二千五百六名の捕虜の置き場に対処を求められたが、ナインの『あるよ。』の一言で解消する。
場所は守護者の住居で一人一人入れる檻があり、四万人は収容出来る。
洞窟で壁も鉄鋼にしてるから脱出は不可能、空気はダクトで送っている。
電灯はソーラーパネルからの電気もある。
しかも、束縛しているので逃げられない。
逃げるたとしても守護者の前を通らないと行けない。
人権も無視した拷問は続いていたし。
まぁ、弊害があっても仕方がない。
些細な事だとー、うん、思う。
でだ、
現在の国中を見渡しても、戦争の跡はない。
無いのだから悲惨も無い。
理由はアイさんの『やっときました』で解って。
で、捕虜はいるので攻められた生きた証拠もある。 
レイク王国に賠償を含めての使者に立候補しているのだが、戦争が起きたので保留中となる。
タイク帝国による、サンガ連合に侵攻との連絡がきた為だ。
もちろん、エルブレ国からは和睦の申し込みを受けているが、信用が無くなっているので追い返している。
侵攻も一部は早いとの事だが、どうなるのか分からない。
それと、ファフレミア国は獣国の属国になる予定になった。
布告も完了している。
情けないレイク王国の兵士を見た国民は多い。
無惨で笑える姿の戦いを見た国民の意識も変えた。
既に獣国の軍隊が来ているのも大きい。
ナインにより、都市の城外に獣国用の宿舎が出来ていた。
中を確認したファフレミア国の重鎮の落胆した顔が印象に残った。
で、会議をしている。
獣国からは将軍やら三名が出席している。
虎とか狐ぽい獣人の毛は触り心地がいい。
ファフレミア国の重鎮は会議を始めてから余り発言はない。エルクは王だから議長として勤めてはいる。
ともかく、俺は虎と狐の毛が気に入ったのだ。

「侵略の速度も遅いので、交渉に出ても良いか?」

こりこりこり「ご、ゴロゴロゴロ。」

「自由な発言を」

さわさわさわ「くうーん。」

「何かないか?」

「キューン。」「ゴロゴロゴロ。」

冷たい視線が獣国席に突き刺さるが、誰も注意はしない。
エルクにも注意を促してはいるのだが、相手が問題である。
獣国からの使者もアレだし、王も何も言わないので注意も出来ない。
段々と話し合いが、勇者を求む動きになっている。
誰が彼を止めるのか。
ファフレミア国の重鎮の戦いが秘かに行われた。

さわさわさわ「ウフー」こりこりこり「ゴロゴロゴロ」

獣国の武官も武官ではない姿を見て、一人の武官枠の重鎮だ立って声を荒げた。

「そこの子供!獣国の使者に無礼であろう!」

「ん?失礼だったか?」

「もっとお願いします!」
「ゴロゴロゴロ」
「あのー、私も撫でていいんですよ?」

予想外の言葉に次の言葉が出なかった。
武官は崩れる様に座る。
一人が脱落した。
他の挑戦者は一つを知る。
獣国は役にたたない。
文官が続いて発言をする。

「後ろに控えられておられる使者役にお願いする!子供の保護を!」

「「おおー!」」

「あるじを保護?」
「私はマスターのサポートで保護はしてません。」
「ご主人様に保護されている者になにか?」

「「あー。」」

また、崩れる様に座わってしまう。

「エルク、まだ答えでないの」

さわさわさわ「くうーん。」こりこりこり「ゴロゴロゴロ」

エルクは直ぐに立ち上がると、

「はっ!発言が別の方に向かってしまい結論は出ておりません。」

「エルク君。ぼくは少ーし関わった国の為に面倒事の後始末をしたいんだー。」

「はっ!ありがとうございます!しかし、ファフレミアとしてどうするかの議論が出ておりません。」

「うん。獣国は取り敢えずいるとして、議論が無いのはおかしいよね?」

「参考として、ナイン様のお考えを教えて貰えますか!」

「ぼくならねー、レイク王国滅亡か獣国の属国になること。悪徳関係は即座に潰すかな。」

「では、方針が出ませんので、レイク王国の滅亡か獣国の属国で宜しいでしょうか!」

「「いや、ちょっと待って!」」

「なんだ?なんかあるのか。」

「あるではないです!滅亡や属国なんて求める事ではありません。」

「いや、ナイン様の御採決もでたし。」

「子供の意見ですぞ!聞き入れてどうするんですか!?」

「えー、ナイン様、どうします?」

「エルクも王なんだから威厳をもってよー。」

「無理です。即座に獣国の属国になって田舎に引っ込みます。」
「「ぶっ!」」

「じゃ、フェルトさんを使って速く終わらすのが良くない?」

「おお、フェルト様をですか!」
「「いやいやいやいや。」」

「どう?フェルトさん。」

「ご主人様のお気に召すままに。」

「じゃ、決まりですね!」
「「まて!バカ王!」」

おお!全員突っ込み!

「マスター。」

「なに?アイ。」

「フェルトさんの姿を見せれば納得するかと。」

「だってー。」

「分かりました!」

フェルトさんが広い場所に歩いて行き、メキメキと元の姿になった。
青い顔の重鎮達は直ぐにフリーズした。
後を任せてナイン達が出ていく。
エルクもナインが出て、戻らない重鎮達を置いて出ていく。
その先はアニァータであるが。
その後、重鎮達も頭が溶ける思いもあったが事の顛末を思い出し、白くなって帰っていったとさ。
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