転生国主興国記

hinomoto

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本章

戦争

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ナインは困っていた。
残り二日で決めないといけないことが、まだ残っていた。
司会と式次第の順番と隠しカメラの設置である。
そう、カメラや動画に関しては既にナインの無限倉庫にはある。
何処まで?と云われれば、爪楊枝からICBMまで揃っている。
本当は飛行機等の交通方法も提案したいが、この世界ではしてはいけない。魔法で代用しすぎて、科学の進歩がない世界に教えてはいけないのだが、ムリカの記念記録なんで仕方ない。
保護された感じだが、俺が実質の保護者なんでねー。
ま、これ位なら良いかなと思うよ。
使い方も俺しか分からんと思うからね。
場所は白の神殿で行うから問題は司会やね。
アイや俺が司会では、出し物のパフォーマンスが落ちるし、フェルトさんでも無理やな。
テスラは出し物参加で無理ポッイし、二号も参加組やしなー。2つも出来るもんオラーン。
はっー。とため息を馬車の中で繰り返す。
皆、心配してくれて声をかけたりしてくれるが、悩みは人員であるのだ、悩みに関係ない犬が心配で来てくれた。
犬の毛をモフルの嫌いじゃないもん。
モフモフ最高ねー。
肉球とか触るのも良いよねー。

「はー、良いよなー。犬には考えること無いし、気楽にペットしてたら可愛がれるしなー。」
モシャモシャとお腹を触る。
気持ちえーのー。

「あるじ様?触り過ぎです!私も撫でて下さい!」
二号が俺の側で主張する。

「駄目です!ご主人様は私を撫でるのが先なんです!貴女方も順番を守りなさい!」
フェルトさんも参戦した。
こうなると決まって、

「あるじ!俺も撫でてくれ!」
とレブルも来るよねー。
ムリカも参戦するな。
うん。
する。
「あるじちゃん!私は撫でてあげるねー!」

うん。
よく分からん。
どうするかねー。
右は犬を撫でて、左で交互にフェルトさん、レブル、二号と撫でる。

「子の癖に親の私より、あるじ様に撫でられる回数が多いなんてー。」

二号の恨み声が聞こえた。
子?誰の?

「二号、子って誰の子?」
髪の毛を撫でるのよりも、モフモフの方が気持ちいい~。
「えっ?その子は私の子ですよ?」

ーえっ?
「えっ?」

犬が、子供?ーーーーーーー。
あっ!
犬の腹を握り絞めて、
「いたぁーーーーー!!」
「ギゥーーン!!」

他はびっくりしていたけどね。
忘れていたよ!
もうひと・・・一匹いたわ!

「ん?名前なんだっけ?」
ギリギリ「キューーン」
「あ、名前はエリオリアームスです。」

ギリギリ「グゥーン」
「・・・・・・よし、ムス!」

握るのを止めて、犬を見る。
泡を吹いてピクピクしていた。
う、うん。やりすぎ?
と、みんなが思った。

「起きなさーい!」
エリオリアームスの頭に蹴りをかます。

「「わーー!!」」
俺とムリカの慌てた声が出る。
「わん!わん!わん!」
元気に吠えるエリオリアームス。
「ほら!あるじ様が用事あるって!」
「わう?」

ピキーン!
閃いた!
司会はこの子で決まりよ!
「やったーー!出来た!」

嬉しく踊る俺は直ぐに犬に転移をかける。
「今日は焼き肉でもするかー!」
「「「「お、おぉーー!!」」」

テンションアップの御一行であった。



ーーーーーーーーーーーーーーー


国境までの行軍は直ぐに張れるだろうが、エルフ貴族連合が砦の兵に話しはついてるのだろう。
一向に反撃も狼煙も上がっていない。
砦を落とすのには、さして時間も掛かるまい。
レイク王国のブリュッセル将軍は思った。
そして幕舎にて優雅に待っていた。

「ギャー!」

砦は阿鼻叫喚であった。
元の上官が慰問に来たので会ったが最後、砦は同族に襲われたのだ。多くは無いが百名の兵士が倒れていく。襲うのは貴族連合の全勢力。

「あはははははは」
「同族に手をかけるのか!」
「あははははははは」

生かす行動を起こさない様に、悪魔の水アテントを服用したのだ。
悪魔の水アテント。麻薬と云えばよいだろう。
悪魔の水とは、よく付けたもので飲むだけで悪魔となる。詳しくは書けないが全ての麻薬の駄目な所を混ぜて摘出した水である。
臭いや味は最悪なので酒と混ぜる。
先勝祝いとして兵士に飲ませたのだ。
血を見た貴族連合の兵に変調を直ぐに見せた。
笑顔で人を切る。刺す。
貴族連合の兵の数は42名。
斬られても切り返す。
最後の最後まで、砦の兵は戦った。
合わせた死者141名。重傷者1名。
貴族連合は貴族と商人だけになった。
それでも15名は残っていた。
全ての死者を燃やした後に門を開き、レイク王国軍を招く。
ブリュッセル将軍以下の兵も、貴族と商人だけに不満はあった。1日掛けても終わらず、二日目の昼に開門したのだ。
しかも、兵士がいない貴族連合の価値は無いものに等しかった。
会話もそこそこに近くの村を襲う、二時間も掛からずエルフの捕虜が出来る。
その後三分隊に別れて進軍となる。
レイク王国の暴走は止まらなかった。
殺し、奪い、犯す。
見つけたエルフに容赦はなかった。
ファフレミア国が知らせを受けて防衛に入るのも後手になった。
軍を動かしたが、17の村と4の町が滅びた。
死者五千八百六十七名。
捕虜千二十八名。
重傷者五百六十三名。
もちろん、重傷者は野ざらしである。
防衛ラインがゴーシュの街に決まり、両軍の配置が完了した。
アニァータの呼び掛けも虚しく、龍の答えもない。
エルクも数日前に消えた守護者の行方も分からない状態で前線にいる。

「エルク王よ。」

一人の男が詰めよって来る。
エルクの胸ぐらを掴むと、泣きながら吠える。

「王よ!なんで守護者は居ないのか!なんで俺の村を守ってくれなかったのか!ーー答えろ!!!」

止めに入る人は誰も居なかった。

「すまん....」

エルクも悲痛であった。
彼もまた、襲われた村に家族が居たからだ。
軍として敗戦状態である。
軍の幹部が泣いた。いや、兵も泣いていた。
しかし、エルクに与えられた時間は少ない。
先ずは目の前の敵が問題であった。
敵軍勢一万五百対防衛が五千八百。
まだ全部が合流していない段階で、負ける状況である。
冒険者や街の男手をかき集めても七千に届く位だ。
次に獣国にも援軍を要請した。5日も生き残れたら何とかはなる。城壁があれば、もっと何とかなる。
しかし、暴挙に出てる敵軍に全力で挑むのは不可能であった。
その次が各村や各街から住人の退去を優先に行い、首都に入れなくてはいけない。
此処の住人も同じように行う為に残せる兵は二千~千五百。稼いでも二日である。
城に立て籠る。
今出来る最上級の事を考えたのだ。
目前の敵に圧されつつも、実行する他にない。
エルクは直ぐに命令を出し、闇夜に紛れて軍を割った。最終決戦は城だと厳命して。
次の日の朝。
敵は増えていた。
もたらされた数は約二万有余名。
まだ、一万は居るそうだ。
負けだけが頭にある。
アニァータすまん。

しかし、昼になっても敵軍は動かなかった。
全軍揃っての攻撃と読んだが後の祭りである。
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