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本章
秘密なこともある
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本来なら俺はのんびり馬車に揺られていた、はずだった。
獣国の国境間近で戻っていた。
そこから国境の砦で受ける手続きも大使の免状もあり、スムーズに越えれて獣国の国境にも入れ、砦に来たのだ。
受付で大使の免状を出したが、全員外に出て審査を受けたのよ。
それが不味かった。
手続き、人と名前と人員の確認。
賞罰の確認。荷物の検索。丁寧だったけどね。
言葉遣いや物の触り方、馬車に入るにしても布で靴をカバーして入り、手袋とマスクを着ける程の徹底ぶり。
人数も多く、役割分担もきちんと出来ている。完璧とはいかないが、高水準な検索である。
ギルド証を出して最終チェックをする対策も良い。で、俺の番になる前から、チラチラと見られてた。男も女も見てるのよ。
服装はー、うん。ムリカによって女の子だよ!
フリル系?の服だよ!
髪はポニーテール。
死にたい。男なのにこの仕打ち。死にたい。
はっ!
それで見られてる?男が女の子の服を着てるからか!なるほどー。
ふっ。
あはははははははっ!!!
笑いたくば笑えばいいさ!
道化なら慣れたよ!慣れましたよ!
笑う?
わ、笑ってよ!
おーねーがーいー!
わーらーっーてー!!
と、ナインは心で修羅場を考えていたが、実際には違うのである。
砦の審査をする人を職員と呼ばれる。
門兵は別に居る。
だが、忘れていたのだ。
ナインは巡礼の地の村が神龍の都市と呼ばれている事も知らなければ、ナインが神龍様だとも知れ渡っている事も知らない。
レブルも知名度がある。無いのはアイとムリカ、二号と犬だけ。
レブルを見てもしやとなり、ナインの姿で分かったのが真相であるのだが、ナインは知らない。
逆にナインは身張れはしていないと思っていた。
神龍の宣言もナインは姿を現していないし、関わりももってない。
村でも、人と関わった事がないと自負していた。
だが、獣国の民はほぼナインの存在を知り、理解していた。
何故か。
答えはアイ監修、獣国印の巡礼の書が各家庭に配布されたのだ。
かいつまんで言えば、
一つ、ナインを見ても話し掛けない。
一つ、ナインの行動は温かく見守る。
一つ、ナインは男である。
一つ、ナインは崇められるのは苦手だ。
と、まーナインの事を中心に決まり事が多くある。
例えると、芸能人が町で普段張れてないです。
見た目も違うからが大きいが、普通はTVがなければ無駄に声は掛けないのと同じ状態だと云える。
しかし、一部の声を掛けれる人も居るのだ。
巡礼の地では声をかける事がご法度でも、今はちがうのだ。
結果。
「あのー、失礼ですが、ナイン様ですよね?」
と聞かれる。
「へっ?あ、はい。」
声の方向に振り返る。
此処からは内なる声も聞いて貰いたい。
「きゃー!可愛い!(やっぱりこの子が神龍様よー!初めてのお声を聞いたわー!服装も顔立ちも可愛いー!)」
「は、はぁ。(あー、やっぱ、女の姿だから勘違いしてるよ。)」
「本当に似合ってますよ!(男の子とあったのに、女の子の服の方が似合うー!変な服装で走ってる姿よりもこっちよね!)」
「ど、どうも。(お、お、女だ!俺は女だ!服を着てる間だけ女なんだ!)」
「その服は買ったのですか?(でも、違う服の方が良いかも。他にも服を持ってないのかしら?)」
「え?いや。あっ!ほら、あれです。お、お母様が作ってくれたので。ほほほほっ。(何を聞いてくんねん!あるよ!あっちゃうんだよ!倉庫で作ってるからな既製品は!)」
「そうなんですかー。(きゃー、て事は同じ服が出てるってこと!ヤバい!休暇とらなくちゃ!)」
「・・・・・(おふっ。)」
「そうだ!握手してください。(聞ーちゃたよー、わたしー!)」
「あ、はい。(早く、終わってくーれー。)」
握手をする。それを見ていた職員達が一斉に集まり、
「俺もお願いします!(ふざけるな!俺もー!)」
「わたしも!(あんた一人だけ抜け駆けするなー!)」
「わ、私もお願い!(やったー!神龍様よー!)」
「こ、こら、ダメじゃー、えっ、でしたら私も。(うひょー!この手は洗えんぜ!)」
「あ、はい。(終われー!終わってくれー。)」
全員と握手をして、解放されたのである。
もちろん、砦から離れる時には仕事も放っぽりだして、手を振る職員達と兵士達の姿が、遠く見えなくなるまで続いた。
「つかれたー。」
「あはははっ!ナインちゃんモテモテだったね!」
「モ!違うムリカお姉ちゃん!違うぞ!」
慌てるナイン。
「だって、みんなナインちゃんに手を振ってたもん。」
ムリカの直球に打ちのめされる。
最近は、人に関わると弄られるし、酷い目にあうし、面倒事が増える。
嫌いではないのだが。
それよりも問題がある。
ムリカの誕生日が近い。
どれだけと言われると30日もある。
だから、おじさんとしてはプレゼントも用意もしなくてはいけないし、料理も考えなくてはいけない。ケーキも用意しないとなー。
ん?
レブルの誕生日は毎年してるぞ?
しない方がおかしいじゃん。
レブルは食い物関係しか受け付けないから楽だが、ムリカなー。
初めての誕生日のお祝いだからなー。
ちゃんと考えないとなー。
プレゼントもよく考えて決めないとなー。
14才だから、何が良いのか分かりません!
女の子のプレゼント何て分かるかー!
しかも、人生初のお誕生日会だよ!
う、うん?
前の人生でもしただろって?
・・・・・・・・ない。
そーですよ!俺の人生に無かった事ですよ!
別にイーじゃん。ハシャいでも。
プレゼント?渡した事も、貰った事もないですよ!
前世の誕生日?
一人でケーキとか料理してましたよ。
人に作って、キショい発言貰いましたが、なにか?
旨いと食べてくれる人がいるの最高!
異世界万歳!
異世界万歳!!
と、云うわけだ!
脳内から離れて考え出すナイン。
決して頬の水滴に触れずおこう。
獣国の国境間近で戻っていた。
そこから国境の砦で受ける手続きも大使の免状もあり、スムーズに越えれて獣国の国境にも入れ、砦に来たのだ。
受付で大使の免状を出したが、全員外に出て審査を受けたのよ。
それが不味かった。
手続き、人と名前と人員の確認。
賞罰の確認。荷物の検索。丁寧だったけどね。
言葉遣いや物の触り方、馬車に入るにしても布で靴をカバーして入り、手袋とマスクを着ける程の徹底ぶり。
人数も多く、役割分担もきちんと出来ている。完璧とはいかないが、高水準な検索である。
ギルド証を出して最終チェックをする対策も良い。で、俺の番になる前から、チラチラと見られてた。男も女も見てるのよ。
服装はー、うん。ムリカによって女の子だよ!
フリル系?の服だよ!
髪はポニーテール。
死にたい。男なのにこの仕打ち。死にたい。
はっ!
それで見られてる?男が女の子の服を着てるからか!なるほどー。
ふっ。
あはははははははっ!!!
笑いたくば笑えばいいさ!
道化なら慣れたよ!慣れましたよ!
笑う?
わ、笑ってよ!
おーねーがーいー!
わーらーっーてー!!
と、ナインは心で修羅場を考えていたが、実際には違うのである。
砦の審査をする人を職員と呼ばれる。
門兵は別に居る。
だが、忘れていたのだ。
ナインは巡礼の地の村が神龍の都市と呼ばれている事も知らなければ、ナインが神龍様だとも知れ渡っている事も知らない。
レブルも知名度がある。無いのはアイとムリカ、二号と犬だけ。
レブルを見てもしやとなり、ナインの姿で分かったのが真相であるのだが、ナインは知らない。
逆にナインは身張れはしていないと思っていた。
神龍の宣言もナインは姿を現していないし、関わりももってない。
村でも、人と関わった事がないと自負していた。
だが、獣国の民はほぼナインの存在を知り、理解していた。
何故か。
答えはアイ監修、獣国印の巡礼の書が各家庭に配布されたのだ。
かいつまんで言えば、
一つ、ナインを見ても話し掛けない。
一つ、ナインの行動は温かく見守る。
一つ、ナインは男である。
一つ、ナインは崇められるのは苦手だ。
と、まーナインの事を中心に決まり事が多くある。
例えると、芸能人が町で普段張れてないです。
見た目も違うからが大きいが、普通はTVがなければ無駄に声は掛けないのと同じ状態だと云える。
しかし、一部の声を掛けれる人も居るのだ。
巡礼の地では声をかける事がご法度でも、今はちがうのだ。
結果。
「あのー、失礼ですが、ナイン様ですよね?」
と聞かれる。
「へっ?あ、はい。」
声の方向に振り返る。
此処からは内なる声も聞いて貰いたい。
「きゃー!可愛い!(やっぱりこの子が神龍様よー!初めてのお声を聞いたわー!服装も顔立ちも可愛いー!)」
「は、はぁ。(あー、やっぱ、女の姿だから勘違いしてるよ。)」
「本当に似合ってますよ!(男の子とあったのに、女の子の服の方が似合うー!変な服装で走ってる姿よりもこっちよね!)」
「ど、どうも。(お、お、女だ!俺は女だ!服を着てる間だけ女なんだ!)」
「その服は買ったのですか?(でも、違う服の方が良いかも。他にも服を持ってないのかしら?)」
「え?いや。あっ!ほら、あれです。お、お母様が作ってくれたので。ほほほほっ。(何を聞いてくんねん!あるよ!あっちゃうんだよ!倉庫で作ってるからな既製品は!)」
「そうなんですかー。(きゃー、て事は同じ服が出てるってこと!ヤバい!休暇とらなくちゃ!)」
「・・・・・(おふっ。)」
「そうだ!握手してください。(聞ーちゃたよー、わたしー!)」
「あ、はい。(早く、終わってくーれー。)」
握手をする。それを見ていた職員達が一斉に集まり、
「俺もお願いします!(ふざけるな!俺もー!)」
「わたしも!(あんた一人だけ抜け駆けするなー!)」
「わ、私もお願い!(やったー!神龍様よー!)」
「こ、こら、ダメじゃー、えっ、でしたら私も。(うひょー!この手は洗えんぜ!)」
「あ、はい。(終われー!終わってくれー。)」
全員と握手をして、解放されたのである。
もちろん、砦から離れる時には仕事も放っぽりだして、手を振る職員達と兵士達の姿が、遠く見えなくなるまで続いた。
「つかれたー。」
「あはははっ!ナインちゃんモテモテだったね!」
「モ!違うムリカお姉ちゃん!違うぞ!」
慌てるナイン。
「だって、みんなナインちゃんに手を振ってたもん。」
ムリカの直球に打ちのめされる。
最近は、人に関わると弄られるし、酷い目にあうし、面倒事が増える。
嫌いではないのだが。
それよりも問題がある。
ムリカの誕生日が近い。
どれだけと言われると30日もある。
だから、おじさんとしてはプレゼントも用意もしなくてはいけないし、料理も考えなくてはいけない。ケーキも用意しないとなー。
ん?
レブルの誕生日は毎年してるぞ?
しない方がおかしいじゃん。
レブルは食い物関係しか受け付けないから楽だが、ムリカなー。
初めての誕生日のお祝いだからなー。
ちゃんと考えないとなー。
プレゼントもよく考えて決めないとなー。
14才だから、何が良いのか分かりません!
女の子のプレゼント何て分かるかー!
しかも、人生初のお誕生日会だよ!
う、うん?
前の人生でもしただろって?
・・・・・・・・ない。
そーですよ!俺の人生に無かった事ですよ!
別にイーじゃん。ハシャいでも。
プレゼント?渡した事も、貰った事もないですよ!
前世の誕生日?
一人でケーキとか料理してましたよ。
人に作って、キショい発言貰いましたが、なにか?
旨いと食べてくれる人がいるの最高!
異世界万歳!
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