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本章
気絶しているまに
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「みんな!聞いてくれ!」
エルクは一世一代の演説を始めた。
なお、声には拡張の魔法をアイさんから掛けられており、町全体に響く。
ただし大音量では無く普通に聞こえる程度になる。
「この国は王や王族が無くなり、貴族等の偉い奴等が国を治めようとして争っている。戦争をしようと軍勢を動かして、他の国から攻められてもどうしようも無いのに!みんなはどう考えてる?攻めれて従属か奴隷にされるか、戦うのか。戦っても勝てる状況でもなく、いつ攻められるかも分からないのに、偉い奴等は自分の利権の為に争いをやめない!」
同調の声と諦めの声が聞こえる。
「今、クレープという新しい味を覚えてどうだ?甘くて旨い。物によっては冷たく、味も変わる。甘いのが苦手なら、ガレットを食べてどうだ?俺らはエルフだけで国を治めて何が残る!エルフが偉い訳でもなんでもない!現に乞食や病人、飢えた者もいる!民が貧しくて国が守れるか!民無くして貴族なんかいるのか!俺は貴族なんか要らない!貴族が俺らに何かしたのか!今の王が俺らを守ったのか!誰も何も守らない!」
エルクは回りにを見渡す。
言葉を聞いて納得はして今の不満は分かるが諦めの顔が多かった。
「俺は一つの神託を聞いた!人と仲良くしていけと。俺らは誰とも争いたくは無い!未来を作った初代の様に、新しい未来を作る!」
良く分からないが、熱い事なのはわかる。
「俺の言葉に納得も同調も要らない。俺は神託を聞いた!だから、初代以上に俺が王としてこの国を治める!」
一同はしらけていた。
何を言い出すのかと、馬鹿げた妄想だと。
エルクは天に手をかざして、
「俺は守護者と共に来た!それを証明する!来たれ守護者よ、エルクの名の元に!」
笑いが起こる。ホラ吹きになったと。
馬鹿にしだした時、咆哮が聞こえる。
エルクの頭上にその体を現す。
「我は白龍!テスラクエンタなり!今、エルクの声に従い此処に推参するものである!」
テスラの声は耳の奥に届いている。
誰も声も出せない。恐怖で震え上がった。
「俺は王となる!白龍が俺の敵を滅ぼす!だが、決して人を襲い、奪う訳でもない!仲良くするために王となる!不満や意見は聞く!だが、2つの事を成し遂げ無くてはいけない!」
ゴクリッと喉を鳴らす者が多数いた。
事はホラ吹きのレベルを越えた。
何時なんどき龍が暴れるかと、戦々恐々としていた。
「一つ目は、獣国の属国になる!建国から今までエルフの為に戦った祖に悪いが、獣国の属国になる!それは、守護者よりも強きお方が獣国に現れたのだ!それは神龍様だ!」
どよめきが溢れた。白龍以上に偉大な神であるからだ。
「神龍様より、神託を受けたのだ!民よ!神龍様がいかに偉大かを知るのだ!その為の巡礼も行う!」
聴衆は驚いて声も出ない。
神への巡礼を行うと聞いたからだ。
守護者にも会えなかった人々に熱いものが沸き立つ。
「それと、俺はアニァータと結婚する!」
突然で、何を言ったのか分からなくなった。
「結婚しーまーす!」
エルクは大声で叫び、舞台袖からアニァータが歩いてくる。
そして、アニァータがエルクの側に来ると、エルクがその肩を抱きしめ様としたとき、
バシッ!
と響き渡る音がする。
「な、なにを....」
「エールークー!偉そうにしないと言われてるのに、上から発言しない!訳の分からない理論や、納得が出来ない事を言わない!選ばれて来たのでは無く、私達しか居なかったが正解でしょ!王になる?王にしてもらう立場で間違えない!分かってるの!!」
般若を背負ってエルクに詰め寄る。
叩かれたエルクは尻もちをつき泣きそうな顔だ。
偉そうな態度からシュンと縮こまった態度となる。
「はい。」
「間違わないでエルク。私達はエルフの新しい未来の為に居るの。決めるのは皆で決めるのであって、貴方じゃないのよ。だけど、守る盾のように守る矛のように守護者様を使わしてもらうのよ。新しい国を作る礎として居るの。だから、私はエルクの側に居る。間違わない様に私はエルクと共に礎になるわ。愛しているわ、エルク。」
倒れたエルクの顔に両手を添えると、口づけをする。
「へっ!」
完全に場はアニァータに主権を取られたのである。
それ以上にエルクの心は沸き上がった。
「ご、ごめんアニァータ。俺が間違ってた。情けない男だがそれでもついてきてくれ。愛してるよ、アニァータ。」
エルクからお返しの口づけをする。
それを聞き見ていた聴衆は、一斉に沸き拍手が起こった。
新しい国が出来たとかではない、エルクとアニァータのプロポーズの様な結婚の様な場面に送られたのだ。
何とも情けない場面だが、彼達に相応しい場面であった。
「はっ!?」
なに?なにがあった?
人々が拍手をしている。
何の拍手?
少し暗い?
「なにしてんの、テスラ君?」
龍に戻ったテスラは目線をナインに向け汗を流しながら困っていた。
取り敢えず、目線をエルク達とナインに送るのだが、ナインが居る場所からエルク達は見えなかった。
「はっん?なに?やるっての?」
ナインの声に反応をして、テスラは首を横に高速に振った。
「だから、なに?」
ナインの不毛な言い掛かりが続きテスラは何とか取り繕うなか、エルクが立ち上がり、
「済まない、俺に王位を預けてくれ!」
「私が支えるので、皆様お願いします!」
エルクが頭を下げても拍手は少ないが、アニァータの深々と頭を下げると、一層大きな拍手が起き、応援の声が大合唱になる。
「こ、婚姻を認める事を守護者たる白龍テスラクエンタが祝福する!」
上ずった声だが皆に届く様に宣言した。
民衆の笑顔と拍手が轟いたのだ。
グダグダしたが、新しい未来が開かれた瞬間であった。
この人を除いて。
「なに?なに?終わった?えっ?終わったの?」
エルクは一世一代の演説を始めた。
なお、声には拡張の魔法をアイさんから掛けられており、町全体に響く。
ただし大音量では無く普通に聞こえる程度になる。
「この国は王や王族が無くなり、貴族等の偉い奴等が国を治めようとして争っている。戦争をしようと軍勢を動かして、他の国から攻められてもどうしようも無いのに!みんなはどう考えてる?攻めれて従属か奴隷にされるか、戦うのか。戦っても勝てる状況でもなく、いつ攻められるかも分からないのに、偉い奴等は自分の利権の為に争いをやめない!」
同調の声と諦めの声が聞こえる。
「今、クレープという新しい味を覚えてどうだ?甘くて旨い。物によっては冷たく、味も変わる。甘いのが苦手なら、ガレットを食べてどうだ?俺らはエルフだけで国を治めて何が残る!エルフが偉い訳でもなんでもない!現に乞食や病人、飢えた者もいる!民が貧しくて国が守れるか!民無くして貴族なんかいるのか!俺は貴族なんか要らない!貴族が俺らに何かしたのか!今の王が俺らを守ったのか!誰も何も守らない!」
エルクは回りにを見渡す。
言葉を聞いて納得はして今の不満は分かるが諦めの顔が多かった。
「俺は一つの神託を聞いた!人と仲良くしていけと。俺らは誰とも争いたくは無い!未来を作った初代の様に、新しい未来を作る!」
良く分からないが、熱い事なのはわかる。
「俺の言葉に納得も同調も要らない。俺は神託を聞いた!だから、初代以上に俺が王としてこの国を治める!」
一同はしらけていた。
何を言い出すのかと、馬鹿げた妄想だと。
エルクは天に手をかざして、
「俺は守護者と共に来た!それを証明する!来たれ守護者よ、エルクの名の元に!」
笑いが起こる。ホラ吹きになったと。
馬鹿にしだした時、咆哮が聞こえる。
エルクの頭上にその体を現す。
「我は白龍!テスラクエンタなり!今、エルクの声に従い此処に推参するものである!」
テスラの声は耳の奥に届いている。
誰も声も出せない。恐怖で震え上がった。
「俺は王となる!白龍が俺の敵を滅ぼす!だが、決して人を襲い、奪う訳でもない!仲良くするために王となる!不満や意見は聞く!だが、2つの事を成し遂げ無くてはいけない!」
ゴクリッと喉を鳴らす者が多数いた。
事はホラ吹きのレベルを越えた。
何時なんどき龍が暴れるかと、戦々恐々としていた。
「一つ目は、獣国の属国になる!建国から今までエルフの為に戦った祖に悪いが、獣国の属国になる!それは、守護者よりも強きお方が獣国に現れたのだ!それは神龍様だ!」
どよめきが溢れた。白龍以上に偉大な神であるからだ。
「神龍様より、神託を受けたのだ!民よ!神龍様がいかに偉大かを知るのだ!その為の巡礼も行う!」
聴衆は驚いて声も出ない。
神への巡礼を行うと聞いたからだ。
守護者にも会えなかった人々に熱いものが沸き立つ。
「それと、俺はアニァータと結婚する!」
突然で、何を言ったのか分からなくなった。
「結婚しーまーす!」
エルクは大声で叫び、舞台袖からアニァータが歩いてくる。
そして、アニァータがエルクの側に来ると、エルクがその肩を抱きしめ様としたとき、
バシッ!
と響き渡る音がする。
「な、なにを....」
「エールークー!偉そうにしないと言われてるのに、上から発言しない!訳の分からない理論や、納得が出来ない事を言わない!選ばれて来たのでは無く、私達しか居なかったが正解でしょ!王になる?王にしてもらう立場で間違えない!分かってるの!!」
般若を背負ってエルクに詰め寄る。
叩かれたエルクは尻もちをつき泣きそうな顔だ。
偉そうな態度からシュンと縮こまった態度となる。
「はい。」
「間違わないでエルク。私達はエルフの新しい未来の為に居るの。決めるのは皆で決めるのであって、貴方じゃないのよ。だけど、守る盾のように守る矛のように守護者様を使わしてもらうのよ。新しい国を作る礎として居るの。だから、私はエルクの側に居る。間違わない様に私はエルクと共に礎になるわ。愛しているわ、エルク。」
倒れたエルクの顔に両手を添えると、口づけをする。
「へっ!」
完全に場はアニァータに主権を取られたのである。
それ以上にエルクの心は沸き上がった。
「ご、ごめんアニァータ。俺が間違ってた。情けない男だがそれでもついてきてくれ。愛してるよ、アニァータ。」
エルクからお返しの口づけをする。
それを聞き見ていた聴衆は、一斉に沸き拍手が起こった。
新しい国が出来たとかではない、エルクとアニァータのプロポーズの様な結婚の様な場面に送られたのだ。
何とも情けない場面だが、彼達に相応しい場面であった。
「はっ!?」
なに?なにがあった?
人々が拍手をしている。
何の拍手?
少し暗い?
「なにしてんの、テスラ君?」
龍に戻ったテスラは目線をナインに向け汗を流しながら困っていた。
取り敢えず、目線をエルク達とナインに送るのだが、ナインが居る場所からエルク達は見えなかった。
「はっん?なに?やるっての?」
ナインの声に反応をして、テスラは首を横に高速に振った。
「だから、なに?」
ナインの不毛な言い掛かりが続きテスラは何とか取り繕うなか、エルクが立ち上がり、
「済まない、俺に王位を預けてくれ!」
「私が支えるので、皆様お願いします!」
エルクが頭を下げても拍手は少ないが、アニァータの深々と頭を下げると、一層大きな拍手が起き、応援の声が大合唱になる。
「こ、婚姻を認める事を守護者たる白龍テスラクエンタが祝福する!」
上ずった声だが皆に届く様に宣言した。
民衆の笑顔と拍手が轟いたのだ。
グダグダしたが、新しい未来が開かれた瞬間であった。
この人を除いて。
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