転生国主興国記

hinomoto

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本章

やっておしまい

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「ほんで、これでもやる?」

「しゃぁーせん!」

テスラクエンタは震えている。
人ではなくて神に勝てるはずがない。
神に楯突くことは死んで当然なのだ。
解っているから謝るしかない。
テスラクエンタは自分の事で一杯であった。

「あんなに優しい子でしたが、数百年会わないだけで変わるとは、私の教育不足でした、ご主人様。」

フェルトはうっすらと涙を浮かべていた。
母親の涙を流しているのも分かる。

「ふー。フェルト待ってな。」

俺はフェルトの肩をポンッと叩くと一歩前に出た。と、同時にテスラクエンタの後ろに精霊達を転移させた。

「チャンスだ。耐えろよ?」

俺はそう言うと、テスラクエンタと精霊達に魔力が走る。

「「「「ぎぇ!ぐぇっ。がばっ!」」」」

精霊達はすぐにのたうち回る。
テスラクエンタと精霊達の体に黒い闇が覆い被さってきた。

テスラクエンタは考えていた。
自分が何故此処に居るか。精霊達との生活を人との生活を。
ーーーーーーーー昔を思い出していたーーーーーーー

僕は初めて森を越えようとしていた。
母からは、龍の姿では怖がれるので人の姿で触れあう事を言われた。人とはどんな事を考えて、どんな思い、悲しみ、裏切りや猜疑心なのかを知りたくて、群れを離れて出てきたのだ。

僕の周りに人が集まり、語り、争った。
平和な時代も争いの時代もある。人が死ぬ。あんなに優しい人、気難しい人、裏切りの人、誰かを守る人、奪う人。色んな人に出会い、別れてゆく。
ああ、人はすぐに亡くなる存在だが、大切何だと思った。
若いエルフの男と出会い話し合った。
長く生きられる彼等は存在も希薄で人から綺麗な人形として奴隷にされる種族だと。国を作り守れる為に立ち上がりたいと言ったいた。
不思議と惹き付けられ、一緒に行動を共にした。

百年過ぎた頃に、最初はエルフだけの村を作り、段々と周りに逃げてきたエルフや興味深く来たエルフ等が集まり、集落から離れたエルフが集ってきた。
村が町に、町が街と村々を作った。
やがて国となった。国に成れば争いが起こった。
人とエルフの戦いが。
人には長いだろうがエルフには短い。私も短い事だった。
だったのに、エルフに加担し過ぎた。
魔森から魔物が出てきたのだ。戦争の中で起きたから戦況も悪くなる。襲ってきた理由が知りたくて前線を一人で離れた。龍になり、魔森に入ってから分かる。私の知らない兄弟により起こったのだ。強者の狩りに怒るのも駄目だが、無駄な狩りもいけない。
若い兄弟に雷を落として長に報告した。甘えたかったが、それ処でもない。直ぐに帰ったが、友は亡くなっていた。友の子が後を継ぎ戦っていた。
私は泣いた。
私は後悔した。
私は呪った。
元の姿のままで、襲っていた人を滅ぼした。前線では一度のブレスだけ。そして、魔法を使って争いに蹴りをつけた。
私は飛び立ち、山に隠った。

そんなに長くない年月が経ち、数名のエルフが我の元に訪れた。
エルフは亡くなった友の名前と子の名前を言い、助けて欲しいとお願いをしてきた。我にも気持ちが残っていたのだろう。喜んで引き受けた。
友の作った街に入り、様変わりに驚いた。城もある。
城に連れられ、子と会った。若い子も、年を取っていた。
震える手でお願いをされた。
嬉しかった。昔を思い出していた。
その後に精霊と会う。この国の守護者だそうだ。
それでも争いは起きた。北から、南から、西から。
幾度となく衝突し、幾度となく退けた。
その代償は死を見すぎた事だった。

今から思えば、あの頃から変わってきた。
エルフも我も。
あんなに騒いでお祭りの様に作った国が、ドロドロと嫌らしい気持ち悪いモノになり、エルフに貴族ができ人と変わらない様子になった。
軍備もあからさまに増えていった。精霊の使役する数と大精霊を増やした。大精霊の使役は我となった。
力が増えると争いも増えた。
この度に我の出動も増えた。
守るが奪うに変わり争った。
我も段々と滅びろと思う様になった。
人もエルフも死んでしまえと。

ある日、我は囚われてしまった。
国に囚われてしまったのだ。
我は怒った、誰が国にを守り領土の拡大に力を奮ったのか。
我は呪った、エルフの滅びを。
呼び方出される日まで、大精霊達と待った。

我は意識だけは現世を見ていた。
新しい村が出来ては滅ぼされた。
争いが起こりつかの間の平和になり、争いが生まれる。
怨みの連鎖に反吐がでた。

そして、また使われた。
その対価として命を要求した。
した事で悩んだが毎年使われて、感覚が麻痺しだのかな。
あー、あれから俺の進んだ人生かわったよな。

テスラクエンタの目から涙が溢れた。
光が彼等を包み、闇が消えていった。
龍や大精霊も無く、ただ泣いている五人。

「アイ、来れるか?」

「肯定。」

俺の後ろに綺麗なメイド服を着た女性が立っていた。

「頼む。フェルト!着いて来い!」

俺は扉を開けて出ていった。フェルトは何も黙って後を着いて来た。
アイは俺の方を向いてお辞儀をした。
アイは直ぐに子供達の拘束を解き、魔物を各群れに転移させた。
子供達には替えの服と飲み物と食べ物をテーブルの上に置いた。
それが終わると、テスラクエンタ達の方に歩き出した。
テスラクエンタ達には死の足音に聞こえた。
僕達を解放してくれる足音に。
泣きながら顔も上げずに待っていた。
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