転生国主興国記

hinomoto

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本章

ギルド本部にきてみれば

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「帰ってきたぞ!」

「帰ってきたわ!」

「やってられるか!!」

運転席はカオスだ。
ビックリしながら衛兵が確認に来る。
知った顔に安堵しながら声をかける。

「あー、証明できる物をくれないかな?」

「ああん!?」

「おおう?」

俺と衛兵さんは今にも言い合いしそうな感じだ。

「待った、待った!何んで熱くならなる!落ち着いて!」

「そうよ!落ち着きましょう!」

あんだ、お前らバカにしやがってーと言う顔でエルクを睨み、衛兵さんもやんのかこのーと言う顔でエルクを見る。俺達、ちょっとシンクロ。

「はぁ、これ。」

ギルド証を渡す俺。

「ありがとよ。」

受け取る衛兵。二人の睨みはエルクに刺さる。

「あ、あれ?なんで?」

と焦るエルクと、

「どうかしたの?」

のほほんとアニァータ。まだ惚れボケ中だ。
くそー。中に入ってる方が楽なんだが、実は中も酷い。絶対に開けてはいけないのだ。
理由は、中ではムリカのお料理が開催されている。
あなた、生きてる覚悟はありますか?
龍種を倒せる兵器でもあるよな。
ある意味最強だな。
中は押して図るべき事なのだ。

「ん、ほう、君たちがS級の方々かー。エルク、凄い人と一緒だなー。」

「そうなんだ!依頼を失敗した所を助けて貰ったのさ!」

「へー、エルクが失敗するなんて珍しくな。」

「いや、ちょっとバウンドウルフの子供を取ってくる依頼を失敗して、助けられたんだよ。」

「本当に、よく助かったよね!」

笑う二人に、唖然としている周り。

「な、何だと!バウンドウルフ!」

驚愕な叫びをあげる衛兵。

「あぁ、大丈夫だよ。エメット。」

「へっ?」

「此方の御一行が追い返してくれたから。」

笑顔のまま、俺の背中を叩く。
子供?と一堂は驚くが、エメットは気がつく。

「そ、そうだな。S級の方々がいたな!そうか!そうなんだ!」

その言葉の後に一堂は笑いだす。
俺は笑うよりも呆れてしまう。
何を慌ててるの?
そんな事とも思わない一同。
安堵しながら日常に戻る。
ギルド証を返してもらい、手を振りエメットと別れる。エルクにギルドまで道案内を頼む。
道交う人は通り過ぎる馬車を見ていた。今で見たこともない綺麗な馬車。大きく、王族の馬車ではないのは直ぐに分かるが、豪華な物と見える。また、引くのに四頭は欲しい大きさなのに、一頭引きなのだ。大きくもない普通の馬が平然と引っ張るのだ。見て唖然とする。
ファフレミアの城下で持ちきりの話題の一つになる。

ファフレミアの冒険者ギルド。ファフレミア国の冒険者ギルドの本部である。
その前に見たことが無い豪華な馬車が停まる。降りるて来るのは前から三名、後ろから二名である。
後は?とは聞かないでおこう!
冒険者ギルドも騒然となる。いつもの二人に他種族の女が二人と子供が入ったのだ。いつもの二人が受付に行く。

「失敗したよー、ラコット。すまん!」

笑顔で言い放つ。

「はぁ!何ですって!エルクさん、どうするんですか!?」

「大丈夫だって。」

「な、何がですか!失敗したんですよ!」

「そう、失敗した。でも、この子に失敗して死ぬより生きて何べんでもやり直すのが良いと言われてね。結婚資金じゃなくて借金になるが、頑張って働いて借金返して、またこいつにプロポーズするさ。」

かっ、格好いいセリフ吐きやがって・・・・・・・

「あんた!・・・・・・二人で返したら早いよ。」

お、お前ら・・・・ムッかつくー!カッペムカつくぅ!!ごっついアマアマやん!あー、ムカつく!!

「おまえ・・・・・」
「あんた・・・・・」

抱き合う二人に周りは感動の涙だ。ムリカも涙を流している。
あっ?俺?はっ。ムカついてますよ。えー、とっても腹が立ちます。はらがたつうぅぅぅ!!

「ううっ。分かりました。違約金は百万デナールとなります。」

「アニァータ、愛してる。」
「私もよ、エルク。」

その言葉に周りの涙は更に流れる。
はいはいはいはい。もういいですか。

「アイ。」

「肯定。」

あー。くっそ甘い事言いやがる!本当に足蹴にして!こう、こう、こう、ほんで、こう!!

「その違約金は此方でお支払をします。」

袋を取り出し、金を払う。

「「「「「えええー!!!」」」」

一斉に驚きの声が上がる。一万デナールでも返すのに大変なのに百万デナールをポンッと出したのである。

「ま、待ってくれ!助けられた上に金まで!」
「そうよ!ダメよそんなの!」

慌てる二人。驚いたままの周囲。

「安心して下さい。マスターからです。」

「「へっ?」」

「俺だよ。」

「「マスター!!?」」

「勘違いするなよ!助けた分と今回の分を上乗せしただけだ。俺の下で返せ。」

「アニァータ!」
「あんた!」

再び抱き合う二人と拍手喝采の周囲である。
感動となったギルドでの出来事だ。

ほんと、なんだこれ!!
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