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本章
終わりは突然に。
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ナインはのんびりとしていた。
「にゃんにゃんしたかったな。」
と言いながらアイの胸の上でだけど。
「仕方ありません、成人までまだ百年はありますから。」
アイの辛辣な言葉に、ぐうの音しか出ないよ。
辛い言葉は無いが、真実を語ればダメージも大きい。
「魔族は?」
「配下を使って居ますので、もう一日あれば完了かと。」
「仕事が早いねー。」
「ありがとうございます。」
のほほんとしてても悪くは無いが、生来の根が出てしまうと、アイから起き上がった。
「海は?」
「はい。クジラ族は孤立しました。近い内に奴隷ですね。竜は長を抑えれば問題ありません。」
「少し遅い動きだ。」
「仕方ありません。マスターの要求では一つの国では誰も従いません。幾つもの同じ思想と教育を広めて、もっと国を作らないと駄目ですね。」
「うーん、一気にしたら駄目かな?」
「一気にすれば、やがて反発が起きます。一度付いた反発は反発を産み、それが新しい世の中に悪意となります。慌ててしても理解できない人が後を絶ちません。良いものが良いだけでなく、何で正しいのか、何が正しいのか、人が考える事を知らなくてはなりません。」
「ミスったかな。」
「いえ、マスターは自分の為にしか動いておりません。だから、ミスもありません。」
「そう。」
「マスターは知らずに国を起こして託しております。マスターのしたかった事と違いますが、マスターはいずれその種を芽吹かせましょう。」
「おいおい、アイも何かさせるのかい?」
「マスターは今は生きて人の世界に居ますから、好きなように生きて下さい。私はマスターのサポートをするだけ。それだけです。」
「分かってるよ。ま、面倒は人に任せて俺は好きに生きたい。大層な職業には困ったが、元の世界よりも楽しんでみたい。」
「はい、マスター。」
起き上がり、空に足をつけると、
「海底は龍達に任せよう。魔族退治は俺がやるかな?」
「お供をします、マスター。」
転移をして、一気に魔族の城の王の間に現れる。
「な!」
「なんか暗いよ、アイ。」
「魔族は夜目が強くて光を嫌いますので。」
「へー、光に弱いの?」
一気にナインの顔に悪童の顔が満ちる。
「お前達は!」
ピカー。
ナインを中心に光輝く。一般人でも辛い光だ。
誰も攻撃も何も出来ない。
「アイ、機体を出して魔族の馬鹿を潰すぞ。」
「はい、マスター。」
北の大地は魔族の国も一夜も経たない内に潰された。
捕まった魔族は奴隷の首輪で従属にされて、争いは出来なくなった。魔族の神達はいきり立ったが、ナインとアイに消去されてしまった。
一瞬で十万の軍隊と百万の人民を奴隷にでき、神をも撃てる存在がナインである。
その力は何回か振るわれた。
その後の消息は分からない。
神龍経は界各地で祈られるが、新たな信仰が生まれて消えた。
ナインは国を持たなかった。
ナインと密接にしていた獣国は今はない。魔森も砂漠地帯となり、翠国も教科書に乗っているだけで、なくなっている。
新しい大国が産まれて消えた。
一時の平和も人の欲で壊されて、また平和を求めた。
それでも数百年は学問の進歩や新たな道徳、思想が産まれては消えてもいたが、教育機関は存在している。
何時の世も浮かんで消えてしまうのは何故かは、分からない。
その先の未来では、星が統一されるかもしれない。
星々が在るように、沢山の物語がある。
それは、産まれて消えてしまうものだ。
人が産まれて死ぬように、誰の記憶からも消え去る。
ナインの名前は誰も知らくても、それは生きて人生を苦しんだり楽しんだりしたのだろう。
王も貴族にもならないで、国にも所属しなかった。
ただ冒険者としてCランクに留まっていたので、ギルドにも名前はない。
国も起こさなかったが、その思想、理念は誰かに引きつかれた。
それは、教育だったのか医療だったのかは分からない。
ただ生きた。
それこそが足跡なのだから。
「にゃんにゃんしたかったな。」
と言いながらアイの胸の上でだけど。
「仕方ありません、成人までまだ百年はありますから。」
アイの辛辣な言葉に、ぐうの音しか出ないよ。
辛い言葉は無いが、真実を語ればダメージも大きい。
「魔族は?」
「配下を使って居ますので、もう一日あれば完了かと。」
「仕事が早いねー。」
「ありがとうございます。」
のほほんとしてても悪くは無いが、生来の根が出てしまうと、アイから起き上がった。
「海は?」
「はい。クジラ族は孤立しました。近い内に奴隷ですね。竜は長を抑えれば問題ありません。」
「少し遅い動きだ。」
「仕方ありません。マスターの要求では一つの国では誰も従いません。幾つもの同じ思想と教育を広めて、もっと国を作らないと駄目ですね。」
「うーん、一気にしたら駄目かな?」
「一気にすれば、やがて反発が起きます。一度付いた反発は反発を産み、それが新しい世の中に悪意となります。慌ててしても理解できない人が後を絶ちません。良いものが良いだけでなく、何で正しいのか、何が正しいのか、人が考える事を知らなくてはなりません。」
「ミスったかな。」
「いえ、マスターは自分の為にしか動いておりません。だから、ミスもありません。」
「そう。」
「マスターは知らずに国を起こして託しております。マスターのしたかった事と違いますが、マスターはいずれその種を芽吹かせましょう。」
「おいおい、アイも何かさせるのかい?」
「マスターは今は生きて人の世界に居ますから、好きなように生きて下さい。私はマスターのサポートをするだけ。それだけです。」
「分かってるよ。ま、面倒は人に任せて俺は好きに生きたい。大層な職業には困ったが、元の世界よりも楽しんでみたい。」
「はい、マスター。」
起き上がり、空に足をつけると、
「海底は龍達に任せよう。魔族退治は俺がやるかな?」
「お供をします、マスター。」
転移をして、一気に魔族の城の王の間に現れる。
「な!」
「なんか暗いよ、アイ。」
「魔族は夜目が強くて光を嫌いますので。」
「へー、光に弱いの?」
一気にナインの顔に悪童の顔が満ちる。
「お前達は!」
ピカー。
ナインを中心に光輝く。一般人でも辛い光だ。
誰も攻撃も何も出来ない。
「アイ、機体を出して魔族の馬鹿を潰すぞ。」
「はい、マスター。」
北の大地は魔族の国も一夜も経たない内に潰された。
捕まった魔族は奴隷の首輪で従属にされて、争いは出来なくなった。魔族の神達はいきり立ったが、ナインとアイに消去されてしまった。
一瞬で十万の軍隊と百万の人民を奴隷にでき、神をも撃てる存在がナインである。
その力は何回か振るわれた。
その後の消息は分からない。
神龍経は界各地で祈られるが、新たな信仰が生まれて消えた。
ナインは国を持たなかった。
ナインと密接にしていた獣国は今はない。魔森も砂漠地帯となり、翠国も教科書に乗っているだけで、なくなっている。
新しい大国が産まれて消えた。
一時の平和も人の欲で壊されて、また平和を求めた。
それでも数百年は学問の進歩や新たな道徳、思想が産まれては消えてもいたが、教育機関は存在している。
何時の世も浮かんで消えてしまうのは何故かは、分からない。
その先の未来では、星が統一されるかもしれない。
星々が在るように、沢山の物語がある。
それは、産まれて消えてしまうものだ。
人が産まれて死ぬように、誰の記憶からも消え去る。
ナインの名前は誰も知らくても、それは生きて人生を苦しんだり楽しんだりしたのだろう。
王も貴族にもならないで、国にも所属しなかった。
ただ冒険者としてCランクに留まっていたので、ギルドにも名前はない。
国も起こさなかったが、その思想、理念は誰かに引きつかれた。
それは、教育だったのか医療だったのかは分からない。
ただ生きた。
それこそが足跡なのだから。
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