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本章
芋羊羹
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ナインはテンザンドの町に居た。
テンザンドは獣国の西に6800キロ離れたテリウス国にある港が有る町になる。国土は縦に800キロ、横400キロと中位の広さになる。南東は海に面しており、漁業に適した国とも言える。
ただ、大型の船はなく、小型の船しか無いため沖に約400キロまでしか出れない。ただしは付くが。ベテランが二人居ての最大距離だ。風と潮の流れと漁もせずに戻れる最大限の距離で、漁を視野にすれば大抵はベテランで百キロ、中堅で70キロとなる。ま、基本は沖に15キロ出れば大抵魚は取れるので無茶はしない。
海の魔物もいるから、それほどに取れないが、新鮮な魚料理を味わうなら、なかなか良い町かもしれない。
村の家は白を基調にしていて、ヨーロッパ方面を連想させてくれる。この分、臭さは慣れが必要だが。
ナインはここに来たのは、海に飽きたからだ。
それと、日中に森に出掛けても変に思われない事が重要でもある。
なんたって、転移を使って家に帰ってお風呂に入ってゴロゴロしたいのが目的なのだ。
多少の金銭を落とすのも、冒険者の勤めでも思っているのだろう。何処に居ても好奇の目にあっているのに、鈍感な部分が出るのは、ナイン故だろう。
さて、ナインは狩りはしない。討伐は出来るのだが、狩りはしてはならない。
最近では、思うだけで動物が近寄ったり、魚が陸に上がるのだから出来ないのだ。もう、仏に近いよ!
悟りなんか悟っていないし、何でも食べるよ。女性も好きだし。
なんかそんな訳で、狩りは出来ません。
本当に『無限倉庫』があって助かったよ。
牛に豚に羊に鳥も各種揃っています。ま、ま、ま、仕方がない。
さて、倉庫は万能である。
万能過ぎて、幸せでもある。
「羊羮か、いや此処は芋羊羮だろうな。」
海が見下ろせる場所に、テーブルと椅子を並べてテーブルクロスを這わす。色は赤。
黒い食器に切り分けた芋羊羮を乗せて、竹串を置く。
茶器も黒で統一して、湯煎してから緑茶を入れる。
一切れの芋羊羮をパクりと食いついた。
「うーん、甘い。甘いねー。」
ナインは笑顔のまま、お茶をずずっと飲む。
「はー。流れる清涼感にお茶の甘さが口に広がるー。」
暑くもない、程好い海風が休憩所を包んでいた。
ナインは椅子にもたれながら、お茶をまた口に含んだ。
「はー、煩わしいな。後はクジラと竜達か。」
「イエス、マスター。」
今まで居なかったアイがそこに居た。
使わないお盆は何に使うのか謎だが。
「北もか?」
アイは頭を縦に振った。
「管理者の指示はないけど?」
「無くても獣国と翠国に被害が来ます。その前には海洋汚染が進んでしまいます。北側の魔族はどうされますか?」
悩みは尽きないね。ホントに。
うーんと、悩んでいたが、
「アイに任すよ。」
そしてお茶を飲み、芋羊羮を口に入れた。
「海も龍の元で国を作るみたいだし、もう手出しは良いか。」
「後始末はお任せ下さい、マスター。」
ナインは笑顔をアイに向けた。
「いつもありがとう、アイ。」
アイは顔を真っ赤にして、
「我がマスターに永遠の誓いを立てます!」
「おいおい、切り離すような事を言うな。アイは永遠処か俺がこの世の終わり迄、付き合う存在なのにさ。誓いも要らないよ、俺の唯一の存在だからね。」
「マスター。」
アイはナインを抱き締めていた。
ナインは咄嗟に金剛のスキルを使用した!
「ありがとうございます、マスター!」
アイは激情に任せて抱き締めていたのだ。
その力はギリギリのさじ加減で、気を緩めたら即死の包容である。
何がアイに起きたのかも、分からないナインであった。
それと、最大限の危険察知は、ナインを救った。
もし、危険察知出来なければ、ナインの頭は粉砕され、一面血の海に浸っていただろう。
ナインが本当に気を付けなければならないのは、身内だと言う事を。
ナインはまだ、気付いてないのであった。
テンザンドは獣国の西に6800キロ離れたテリウス国にある港が有る町になる。国土は縦に800キロ、横400キロと中位の広さになる。南東は海に面しており、漁業に適した国とも言える。
ただ、大型の船はなく、小型の船しか無いため沖に約400キロまでしか出れない。ただしは付くが。ベテランが二人居ての最大距離だ。風と潮の流れと漁もせずに戻れる最大限の距離で、漁を視野にすれば大抵はベテランで百キロ、中堅で70キロとなる。ま、基本は沖に15キロ出れば大抵魚は取れるので無茶はしない。
海の魔物もいるから、それほどに取れないが、新鮮な魚料理を味わうなら、なかなか良い町かもしれない。
村の家は白を基調にしていて、ヨーロッパ方面を連想させてくれる。この分、臭さは慣れが必要だが。
ナインはここに来たのは、海に飽きたからだ。
それと、日中に森に出掛けても変に思われない事が重要でもある。
なんたって、転移を使って家に帰ってお風呂に入ってゴロゴロしたいのが目的なのだ。
多少の金銭を落とすのも、冒険者の勤めでも思っているのだろう。何処に居ても好奇の目にあっているのに、鈍感な部分が出るのは、ナイン故だろう。
さて、ナインは狩りはしない。討伐は出来るのだが、狩りはしてはならない。
最近では、思うだけで動物が近寄ったり、魚が陸に上がるのだから出来ないのだ。もう、仏に近いよ!
悟りなんか悟っていないし、何でも食べるよ。女性も好きだし。
なんかそんな訳で、狩りは出来ません。
本当に『無限倉庫』があって助かったよ。
牛に豚に羊に鳥も各種揃っています。ま、ま、ま、仕方がない。
さて、倉庫は万能である。
万能過ぎて、幸せでもある。
「羊羮か、いや此処は芋羊羮だろうな。」
海が見下ろせる場所に、テーブルと椅子を並べてテーブルクロスを這わす。色は赤。
黒い食器に切り分けた芋羊羮を乗せて、竹串を置く。
茶器も黒で統一して、湯煎してから緑茶を入れる。
一切れの芋羊羮をパクりと食いついた。
「うーん、甘い。甘いねー。」
ナインは笑顔のまま、お茶をずずっと飲む。
「はー。流れる清涼感にお茶の甘さが口に広がるー。」
暑くもない、程好い海風が休憩所を包んでいた。
ナインは椅子にもたれながら、お茶をまた口に含んだ。
「はー、煩わしいな。後はクジラと竜達か。」
「イエス、マスター。」
今まで居なかったアイがそこに居た。
使わないお盆は何に使うのか謎だが。
「北もか?」
アイは頭を縦に振った。
「管理者の指示はないけど?」
「無くても獣国と翠国に被害が来ます。その前には海洋汚染が進んでしまいます。北側の魔族はどうされますか?」
悩みは尽きないね。ホントに。
うーんと、悩んでいたが、
「アイに任すよ。」
そしてお茶を飲み、芋羊羮を口に入れた。
「海も龍の元で国を作るみたいだし、もう手出しは良いか。」
「後始末はお任せ下さい、マスター。」
ナインは笑顔をアイに向けた。
「いつもありがとう、アイ。」
アイは顔を真っ赤にして、
「我がマスターに永遠の誓いを立てます!」
「おいおい、切り離すような事を言うな。アイは永遠処か俺がこの世の終わり迄、付き合う存在なのにさ。誓いも要らないよ、俺の唯一の存在だからね。」
「マスター。」
アイはナインを抱き締めていた。
ナインは咄嗟に金剛のスキルを使用した!
「ありがとうございます、マスター!」
アイは激情に任せて抱き締めていたのだ。
その力はギリギリのさじ加減で、気を緩めたら即死の包容である。
何がアイに起きたのかも、分からないナインであった。
それと、最大限の危険察知は、ナインを救った。
もし、危険察知出来なければ、ナインの頭は粉砕され、一面血の海に浸っていただろう。
ナインが本当に気を付けなければならないのは、身内だと言う事を。
ナインはまだ、気付いてないのであった。
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