転生国主興国記

hinomoto

文字の大きさ
上 下
243 / 253
本章

ランバルトとラプトプ

しおりを挟む
「あ、ナイン様お帰りなさい。」



「ただいまー。」



「「えっ?」」



龍族の村のはずなのだが、誰も人形なのに驚いていた。因みに、陸では水龍だが、海では蒼龍、龍達なら青龍になる。

それよりも、龍達がナインに気軽に話し掛けているが、様付けなには驚いている。

それだけではない、村全員が元気で明るい。

聞いていたのと違う事が起こっていた。

ナインの言った通りなのだが、いつ治ったのか。

誰が治したのか、謎が深まるばかりだ。



ここまで来ても確信が持てない二人だった。

本心を言えば理解はしていた。

だが、認めたく無いのだろう。



ロレンチーニは頭の中で、夢を思っていた。

亡くなったじいさんの“逆らうな”の言葉を。

いつの夢かは分からないが、鮮烈に頭の中を駆け巡っていた。

そして、ナインの手を大きく振りながら呼ぶ声がする。



「おじさーん!」



その声にはぐれないように、また逃げられないように走り出した。



「ロレンチーニ?」



ラプトプは慌ててロレンチーニの後を追い掛けた。やがて、海中では珍しい光景を見ていた。まず、綺麗で色彩がある服を着ていたのだ。海中では、地上の服は着れない。服が重くなり体に引っ付くからだ。なのに、地上のように着ていた。

次に店では、新鮮な野菜類が数多くあったり、書くものが売られていたり、飲み物があるのだ。

飲み物は海中では不必要な物なのに、売られている。それも海に流される事がない。

ラプトプは地上と取引をして知っていたし、実際に飲んで感銘もしていた。



「兄さん。」



それが海中で飲めるか?他に嗅いだことが無い匂いがしていた。食欲をそそる不思議な匂いがする食べ物屋である。



「兄さん。」



怖くなっていたラプトプはロレンチーニに助けを求めていた。何故なら、地上のような生活をする龍ではなく、人間の営みを再現を、いや、完璧にこなしている龍達を恐れていた。

泣きそうな顔でロレンチーニの後を追った。追うしかなかった。



ナインはやがて一つの建物に入って行った。

ロレンチーニ、ラプトプは躊躇いながらも付いていった。

奥からは、



「ただいま。」



のナインの声と、



「お帰りなさい、マスター。」



と、知らない女らしき声と、



「お帰りなさいませ、ナイン様。」



の年老いた声と、



「お帰りなさい、ナイン様」



の聞いた事がある声だった。

そこに居たのはー。



「「ランバルト!」」



「あ、ラプトプ達も来たんだー。」



水竜のままで小さくなったランバルトが居た。

どう見てもペットのようだ。



「ま、ま、座ってよ。」



「ここは主の家ではないぞ?」



「す、すいません、長。」



年老いた男から名乗った。



「すみませんな、お客人。ワシが蒼龍の長でナイン様配下のウンメバイトですじゃ。」



水龍の長の名を聞いて固まる二人。



「龍の長!」



「本当に苦しんで無いのか?!」



「長年の呪いから何故解けた!」



「苦しんでもがき苦しんでるのでは?」



「弟よ、死にそうではないぞ?」



「兄さん、ごめん死んでなかったよ。」



「ちょっとまてぇぇ!何処からそんなデマを聞いたのじゃ!」



「弟から。」



「アルデバラールからの報告。」



「馬鹿父のせいですね。」



「あのボケー!」



ウンメバイトの口調は変わったが、姿を龍には戻れないでいた。

その怒りは止まりそうにない。



「黙っていなさい。」



ウンメバイトは崩れるように倒れた後に、女性がいた。いつ移動したのか何をしたのかは分からない。ただ、何かをしたからウンメバイトが倒れたのは間違いなのだが。



「「・・・・」」



「すみません、ナイン様。馬鹿な父が要らぬ話を広めてまして。」



「アルデバラールはどうやら龍の観察者を出した報告を信じてなかったようですね。その観察者達は・・・・あら。」



「アイさ、ん?」



「前の宴会の犠牲者のようです、マスター。」



「前のは全員回復したよね?」



「はい、この村の者は直ぐに回復しましたが、この村の外に出た者は回復してません。」



「自業自得だね。」



「もう少しすれば回復するでしょう。」



「重ね重ね本当に申し訳御座いません、ナイン様!」



「ま、仕方ないよ。間違いは誰にでもあるから。長が寝たからランバルトが説明ね。」



「分かりました。では説明をします!」



ランバルトはその小さ差でありながら、偉そうだ。イラッ

フヨフヨ浮かびながら説明していた。

と言ってもアイの指示が大きく関わる。



「説明は簡単です。エイ族は獣国との貿易を始める事と、サメ族は家業の廃止と獣国の専用のパイレーツを名乗る事を命じます。」



「「はっ?」」



「何ですか?」



「いや、ランバルト。獣国ってなに?」



「そうれに説明よりも命令でないか?」



「何を言っているのです!簡単に説明したのに!ぼげらっ?!」



アイのハリセンが頭を打ち抜く。パンの音も聞こえない速さである。



「何を言ってるのですか。」



「あ、アイさま?」



「マスター、後はお願いします。私はこの亀をサバキますので。」



アイはランバルトを連れ出していた。



「て!アイさん!」



ナインの表情は何とも云えない。



「あー、もう。予定が変わったわ。話す、か。」



ナインはテーブルの上に座ると二人を見ていた。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

処理中です...