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本章
ランバルトとラプトプ
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「あ、ナイン様お帰りなさい。」
「ただいまー。」
「「えっ?」」
龍族の村のはずなのだが、誰も人形なのに驚いていた。因みに、陸では水龍だが、海では蒼龍、龍達なら青龍になる。
それよりも、龍達がナインに気軽に話し掛けているが、様付けなには驚いている。
それだけではない、村全員が元気で明るい。
聞いていたのと違う事が起こっていた。
ナインの言った通りなのだが、いつ治ったのか。
誰が治したのか、謎が深まるばかりだ。
ここまで来ても確信が持てない二人だった。
本心を言えば理解はしていた。
だが、認めたく無いのだろう。
ロレンチーニは頭の中で、夢を思っていた。
亡くなったじいさんの“逆らうな”の言葉を。
いつの夢かは分からないが、鮮烈に頭の中を駆け巡っていた。
そして、ナインの手を大きく振りながら呼ぶ声がする。
「おじさーん!」
その声にはぐれないように、また逃げられないように走り出した。
「ロレンチーニ?」
ラプトプは慌ててロレンチーニの後を追い掛けた。やがて、海中では珍しい光景を見ていた。まず、綺麗で色彩がある服を着ていたのだ。海中では、地上の服は着れない。服が重くなり体に引っ付くからだ。なのに、地上のように着ていた。
次に店では、新鮮な野菜類が数多くあったり、書くものが売られていたり、飲み物があるのだ。
飲み物は海中では不必要な物なのに、売られている。それも海に流される事がない。
ラプトプは地上と取引をして知っていたし、実際に飲んで感銘もしていた。
「兄さん。」
それが海中で飲めるか?他に嗅いだことが無い匂いがしていた。食欲をそそる不思議な匂いがする食べ物屋である。
「兄さん。」
怖くなっていたラプトプはロレンチーニに助けを求めていた。何故なら、地上のような生活をする龍ではなく、人間の営みを再現を、いや、完璧にこなしている龍達を恐れていた。
泣きそうな顔でロレンチーニの後を追った。追うしかなかった。
ナインはやがて一つの建物に入って行った。
ロレンチーニ、ラプトプは躊躇いながらも付いていった。
奥からは、
「ただいま。」
のナインの声と、
「お帰りなさい、マスター。」
と、知らない女らしき声と、
「お帰りなさいませ、ナイン様。」
の年老いた声と、
「お帰りなさい、ナイン様」
の聞いた事がある声だった。
そこに居たのはー。
「「ランバルト!」」
「あ、ラプトプ達も来たんだー。」
水竜のままで小さくなったランバルトが居た。
どう見てもペットのようだ。
「ま、ま、座ってよ。」
「ここは主の家ではないぞ?」
「す、すいません、長。」
年老いた男から名乗った。
「すみませんな、お客人。ワシが蒼龍の長でナイン様配下のウンメバイトですじゃ。」
水龍の長の名を聞いて固まる二人。
「龍の長!」
「本当に苦しんで無いのか?!」
「長年の呪いから何故解けた!」
「苦しんでもがき苦しんでるのでは?」
「弟よ、死にそうではないぞ?」
「兄さん、ごめん死んでなかったよ。」
「ちょっとまてぇぇ!何処からそんなデマを聞いたのじゃ!」
「弟から。」
「アルデバラールからの報告。」
「馬鹿父のせいですね。」
「あのボケー!」
ウンメバイトの口調は変わったが、姿を龍には戻れないでいた。
その怒りは止まりそうにない。
「黙っていなさい。」
ウンメバイトは崩れるように倒れた後に、女性がいた。いつ移動したのか何をしたのかは分からない。ただ、何かをしたからウンメバイトが倒れたのは間違いなのだが。
「「・・・・」」
「すみません、ナイン様。馬鹿な父が要らぬ話を広めてまして。」
「アルデバラールはどうやら龍の観察者を出した報告を信じてなかったようですね。その観察者達は・・・・あら。」
「アイさ、ん?」
「前の宴会の犠牲者のようです、マスター。」
「前のは全員回復したよね?」
「はい、この村の者は直ぐに回復しましたが、この村の外に出た者は回復してません。」
「自業自得だね。」
「もう少しすれば回復するでしょう。」
「重ね重ね本当に申し訳御座いません、ナイン様!」
「ま、仕方ないよ。間違いは誰にでもあるから。長が寝たからランバルトが説明ね。」
「分かりました。では説明をします!」
ランバルトはその小さ差でありながら、偉そうだ。イラッ
フヨフヨ浮かびながら説明していた。
と言ってもアイの指示が大きく関わる。
「説明は簡単です。エイ族は獣国との貿易を始める事と、サメ族は家業の廃止と獣国の専用のパイレーツを名乗る事を命じます。」
「「はっ?」」
「何ですか?」
「いや、ランバルト。獣国ってなに?」
「そうれに説明よりも命令でないか?」
「何を言っているのです!簡単に説明したのに!ぼげらっ?!」
アイのハリセンが頭を打ち抜く。パンの音も聞こえない速さである。
「何を言ってるのですか。」
「あ、アイさま?」
「マスター、後はお願いします。私はこの亀をサバキますので。」
アイはランバルトを連れ出していた。
「て!アイさん!」
ナインの表情は何とも云えない。
「あー、もう。予定が変わったわ。話す、か。」
ナインはテーブルの上に座ると二人を見ていた。
「ただいまー。」
「「えっ?」」
龍族の村のはずなのだが、誰も人形なのに驚いていた。因みに、陸では水龍だが、海では蒼龍、龍達なら青龍になる。
それよりも、龍達がナインに気軽に話し掛けているが、様付けなには驚いている。
それだけではない、村全員が元気で明るい。
聞いていたのと違う事が起こっていた。
ナインの言った通りなのだが、いつ治ったのか。
誰が治したのか、謎が深まるばかりだ。
ここまで来ても確信が持てない二人だった。
本心を言えば理解はしていた。
だが、認めたく無いのだろう。
ロレンチーニは頭の中で、夢を思っていた。
亡くなったじいさんの“逆らうな”の言葉を。
いつの夢かは分からないが、鮮烈に頭の中を駆け巡っていた。
そして、ナインの手を大きく振りながら呼ぶ声がする。
「おじさーん!」
その声にはぐれないように、また逃げられないように走り出した。
「ロレンチーニ?」
ラプトプは慌ててロレンチーニの後を追い掛けた。やがて、海中では珍しい光景を見ていた。まず、綺麗で色彩がある服を着ていたのだ。海中では、地上の服は着れない。服が重くなり体に引っ付くからだ。なのに、地上のように着ていた。
次に店では、新鮮な野菜類が数多くあったり、書くものが売られていたり、飲み物があるのだ。
飲み物は海中では不必要な物なのに、売られている。それも海に流される事がない。
ラプトプは地上と取引をして知っていたし、実際に飲んで感銘もしていた。
「兄さん。」
それが海中で飲めるか?他に嗅いだことが無い匂いがしていた。食欲をそそる不思議な匂いがする食べ物屋である。
「兄さん。」
怖くなっていたラプトプはロレンチーニに助けを求めていた。何故なら、地上のような生活をする龍ではなく、人間の営みを再現を、いや、完璧にこなしている龍達を恐れていた。
泣きそうな顔でロレンチーニの後を追った。追うしかなかった。
ナインはやがて一つの建物に入って行った。
ロレンチーニ、ラプトプは躊躇いながらも付いていった。
奥からは、
「ただいま。」
のナインの声と、
「お帰りなさい、マスター。」
と、知らない女らしき声と、
「お帰りなさいませ、ナイン様。」
の年老いた声と、
「お帰りなさい、ナイン様」
の聞いた事がある声だった。
そこに居たのはー。
「「ランバルト!」」
「あ、ラプトプ達も来たんだー。」
水竜のままで小さくなったランバルトが居た。
どう見てもペットのようだ。
「ま、ま、座ってよ。」
「ここは主の家ではないぞ?」
「す、すいません、長。」
年老いた男から名乗った。
「すみませんな、お客人。ワシが蒼龍の長でナイン様配下のウンメバイトですじゃ。」
水龍の長の名を聞いて固まる二人。
「龍の長!」
「本当に苦しんで無いのか?!」
「長年の呪いから何故解けた!」
「苦しんでもがき苦しんでるのでは?」
「弟よ、死にそうではないぞ?」
「兄さん、ごめん死んでなかったよ。」
「ちょっとまてぇぇ!何処からそんなデマを聞いたのじゃ!」
「弟から。」
「アルデバラールからの報告。」
「馬鹿父のせいですね。」
「あのボケー!」
ウンメバイトの口調は変わったが、姿を龍には戻れないでいた。
その怒りは止まりそうにない。
「黙っていなさい。」
ウンメバイトは崩れるように倒れた後に、女性がいた。いつ移動したのか何をしたのかは分からない。ただ、何かをしたからウンメバイトが倒れたのは間違いなのだが。
「「・・・・」」
「すみません、ナイン様。馬鹿な父が要らぬ話を広めてまして。」
「アルデバラールはどうやら龍の観察者を出した報告を信じてなかったようですね。その観察者達は・・・・あら。」
「アイさ、ん?」
「前の宴会の犠牲者のようです、マスター。」
「前のは全員回復したよね?」
「はい、この村の者は直ぐに回復しましたが、この村の外に出た者は回復してません。」
「自業自得だね。」
「もう少しすれば回復するでしょう。」
「重ね重ね本当に申し訳御座いません、ナイン様!」
「ま、仕方ないよ。間違いは誰にでもあるから。長が寝たからランバルトが説明ね。」
「分かりました。では説明をします!」
ランバルトはその小さ差でありながら、偉そうだ。イラッ
フヨフヨ浮かびながら説明していた。
と言ってもアイの指示が大きく関わる。
「説明は簡単です。エイ族は獣国との貿易を始める事と、サメ族は家業の廃止と獣国の専用のパイレーツを名乗る事を命じます。」
「「はっ?」」
「何ですか?」
「いや、ランバルト。獣国ってなに?」
「そうれに説明よりも命令でないか?」
「何を言っているのです!簡単に説明したのに!ぼげらっ?!」
アイのハリセンが頭を打ち抜く。パンの音も聞こえない速さである。
「何を言ってるのですか。」
「あ、アイさま?」
「マスター、後はお願いします。私はこの亀をサバキますので。」
アイはランバルトを連れ出していた。
「て!アイさん!」
ナインの表情は何とも云えない。
「あー、もう。予定が変わったわ。話す、か。」
ナインはテーブルの上に座ると二人を見ていた。
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