転生国主興国記

hinomoto

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本章

さんずのかわ

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「兄さーん!」



「大袈裟だなー。」



ナインはのんびりと近づいて脈をとった。

ロレンチーニの脈は止まっていた。



「もう、仕方ないなー。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「おーい。」



何だろう、懐かしい声が聞こえてくるな?

誰だろうと思いながら、歩いていく。

回りは霞が掛かっているのか白いのだが、真っ直ぐ歩いている感覚がある。

足を出すのだから歩いているのだろう。

声は直ぐに分かる。

親父の声だ。直ぐに手を振りながら答える。



「おーい。」



親父の横にはお袋と妹がいた。懐かしい。



「久しぶりだな。」



「大きくなったわね。」



「凄く強いね。」



それぞれ久しぶりに会う。何年振りだろうか。懐かしい。元気だったのかな?



「ははっ。見ての通りさ。」



「変わらないわね。」



「にーちゃんは変わらないよ?」



なんだか鼻孔の奥が押されてる気がするな。

ん、だれだ?



「少し遅れたわい。」



じいさん!確か十年前に埋めたぞ?



「ほうじゃが、たまには墓にこんか!」



痛い!済まないな、忙しくて。



「ま、色々知っとるからな。」



そうなのか?



「当たり前じゃ!あぁ、それとな。」



なに?



「ナイン様に逆らうな。」



えっ?



「また、先で会うから。」



「そうそう、またね。」



「ばいばーい。」



「元気でな。」



え、えーーー。

足元が開いて落ちていった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





ドオーーーン。



ロレンチーニの胸を叩いて、ロレンチーニとラプトプは天高く舞い上がる。



「げー、げほっ!」



「兄さん!」



「ら、ラプトプ?」



ロレンチーニとラプトプはゆっくりと海底に戻った。



「なんだろう、頭と胸が痛い。」



「仕方ないよ、あの子がしたから。」



ラプトプの指の先には満面笑顔のナインがいた。

ロレンチーニは何かを言われた気がしていた。



「おじさん、ごめんごめん。ちょっと強かったかな。」



真面目に謝るのではなく、軽い。馬鹿にされたようにロレンチーニも感じた。



「ナイン!」



と、言った後に何かが引っ掛かる。馬鹿にされてなお怒れないのだ。



「はー、仕方ないな。」



「にひひひ。仕方ない仕方ない。」



「仕方ないじゃ、ないでしょ!」



ラプトプが怒る。



「何がとかで無くて、君はね!」



「まーまー、弟よ怒るな。ナイン・・・・・・。」



あれ、なんだっけ?

不思議そうにナインを見つめる。



「ロレンチーニ?」



「なんだっけ?」



「おじさんの、弟かな?」



「ん、あぁ、友で弟のラプトプだ。いつも知恵を借りている。」



「ふーん。」



ラプトプは自分の全部を見透かされた気がした。

それは一瞬の事だが、ラプトプは寒空しかった。



「それで、ナインは何か?」



「そうそう、提案だよおじさん。」



「提案?」



「そ、おじさんが捕まる事なく本当の敵をぼこぼこにするかな。」



「はははは、子供だな。」



「そうそう子供だけど、クジラ族を虐めても怒られませんよね?」



「なっ!誰がそんな事を。」



「ナインは誰に聞いた?」



二人は鋭い目付きで聞いていたが、



「えっ、当たりだったの?」



二人の思いをいとも簡単に潰された。



「「はー。」」



「ナインに担がれたよ。」



「頭が良い子だ。」



「ま、聞いてよ。」



毒気が抜けたようにナインを見る。



「先ずは龍の所に行って仲間になる。そうすればその先の事はなんとかなるよ。」



「「龍?」」



二人は顔を見合わせた。



「龍は未だに呪いで苦しんでるのでるぞ?」



「その“呪い”は解けたよ。龍を仲間にすれば竜は敵にもならないよね。」



「「なに、呪いが解けた!」」



「ここから近いから行ってみたら?」



「「う、うむ。」」



二人は苦虫を噛んだ顔をしているが、



「一度、行くか弟よ。」



「そうだな、兄さん。」



「あ!」



「「ん?」」



「ラプトプさんに教えるの忘れてた!」



「なんだい?」



「あれなんだけど、どうしよう。」



罰が悪いように指差す先には、山があった。



「あ・・・・・・」



山はエイ族の積み上げられた姿だったから。
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