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本章
ロレンチーニの苦悩
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「生きてくれ、ロレンチーニ!」
颯爽と海底を歩く姿は良いのだが、実際に仲間に追われてる馬鹿だ。
ただ、他の側近でさえロレンチーニに会うとも思っていないだろう。それほどひた隠ししてきたのだからと自信満々なラプトプ。
だが、毎回も簡単に執務室から抜け出してロレンチーニの会談などはエイ族の側近なら知られているのだ。
ようは逃げた先は張れている。
「ともかく合流だ。」
ラプトプは真面目に考えていた。
そして、それだけ真面目なだけで、気が回らないのである。自分の地位がどれだけ重要なのか忘れていたのだ。
何度も通った道をラプトプは自分の考えだけで歩いていた。
その後ろに誰かが跡を着けているとも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お、じさーん。」
楽しそうに、軽やかに、飛び跳ねるように歩くナインと、
「ぜー、ぜー、ちょ、ちょと待って!ぜー、ぜー」
苦しそうに歩くロレンチーニがいた。
海底の海人は疲れるは襲われなければ大抵は大丈夫だし、疲れることも余り感じることも無いが、ナインと歩き出してから、何故か急激に疲れている。
「なに?また疲れたの。」
「ぜー、ぜー、済まない。ぜー、ぜー」
「分かったよ。少し休みますか。」
自然と笑顔になるロレンチーニ。
「ん、元気ですね。」
「ぜー、ぜー、ち、違うぞ!ぜー、ぜー、疲れている!ぜー、ぜー」
慌てて笑顔を取り消すが、納得してくれないようだ。
「えー、でもさっき「休む」で笑顔になってるし。」
「ぜー、ぜー、それは・・・ぜー、ぜー、ほっ、ほらあれだ!」
「どれ?」
「待て、違うぞ!ぜー、ぜー、疲れているからな!ぜー、ぜー」
疑いの眼差しが痛いのか、必死にアピールをしながら座り込む。
「むー。」
「本当に少し休憩!ぜー、ぜー」
ゆつくりとは言えないが、ナインも座る。
「おじさんはおじさんだねー。」
少しムッとするが自分の姿と息切れなどしてる時点で更に落ち込んだ。
「無計画に人間の子供を囲うのは良いけど、誰もおじさんに逆らう訳でもないとか、人関係をどうするの?」
「ぜー、ぜー、知らない。ぜー、ぜー」
疲れが強くて話半分で、会話をしていたが、ロレンチーニの本心を言っている。いずれ子を産んだり、奴隷の子が増えて島も人口に対応出来なくなるだろう。食料も奪ってはいるが、こう討伐隊がひっきりなしで来られたのでは何も出来ない。魚や地上の果物も限界に近いのは何となく理解はしていたが、現実は受け入れれなかった。
「このまま海賊家業をすれば破綻するのに?」
「ぜー、ぜー、ぜー、ぜー」
この質問には答えられない。答えは出ているからだ。
破綻するのは間違っていないからだ。
サメ族に被害がないのも、海賊する上で重要な事だ。
陸の山賊とかと違い、一族郎党でやっているから結束も強いし、規則も守って来た。
誰かがかけた時点で怨みとなって、襲う集団になり誰も守ってくれない処か即討伐対象にしかならない。今も討伐だが、逃げても追い掛けられない、危うい位置にもなってるのは分かっている。
潮時で家業を変えるにも、引き際が分からないのだ。
青図面いや、知恵袋のラプトプと今後を話すしか残っていない。
「ラプトプとぜー、ぜー」
「んー、話しても無理だよ。」
「そんな事はない。今まで彼の力に我々も助けられてきた。」
「今までなら何とか出来ても、これからは無理だよ。」
「・・・・・彼と話すまでは結論はない。」
ロレンチーニはそれ以降は話をしなかった。
ラプトプとの会話が重要なのだから。
息を整える事に集中しながら、ナインの言葉を聞き流していた。
「捨てられるまで分からないのかー。悲しいね。」
ぐっ。
「うーん、やっぱり地上と取引するなら、海賊の壊滅か主頭の首か。どちらにしても、サメ族の壊滅は逃げなれないかもね。」
ぐさー。
「一族を奴隷にするの?」
ぐはっ。
話を聞けば、至極当たり前の話を並べられて、ロレンチーニの神経がズタボロになる。
ラプトプだけが心の支えなのだから。
「どこまで持つかな?」
きーこーえーなーいー。
私の精神が持ちますように。
この後も歩きながらナインのおしゃべりに付き合う。
話の内容は一つ一つ重要ではあるが、それよりもラプトプに会う事を優先したためだ。
颯爽と海底を歩く姿は良いのだが、実際に仲間に追われてる馬鹿だ。
ただ、他の側近でさえロレンチーニに会うとも思っていないだろう。それほどひた隠ししてきたのだからと自信満々なラプトプ。
だが、毎回も簡単に執務室から抜け出してロレンチーニの会談などはエイ族の側近なら知られているのだ。
ようは逃げた先は張れている。
「ともかく合流だ。」
ラプトプは真面目に考えていた。
そして、それだけ真面目なだけで、気が回らないのである。自分の地位がどれだけ重要なのか忘れていたのだ。
何度も通った道をラプトプは自分の考えだけで歩いていた。
その後ろに誰かが跡を着けているとも知らずに。
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「お、じさーん。」
楽しそうに、軽やかに、飛び跳ねるように歩くナインと、
「ぜー、ぜー、ちょ、ちょと待って!ぜー、ぜー」
苦しそうに歩くロレンチーニがいた。
海底の海人は疲れるは襲われなければ大抵は大丈夫だし、疲れることも余り感じることも無いが、ナインと歩き出してから、何故か急激に疲れている。
「なに?また疲れたの。」
「ぜー、ぜー、済まない。ぜー、ぜー」
「分かったよ。少し休みますか。」
自然と笑顔になるロレンチーニ。
「ん、元気ですね。」
「ぜー、ぜー、ち、違うぞ!ぜー、ぜー、疲れている!ぜー、ぜー」
慌てて笑顔を取り消すが、納得してくれないようだ。
「えー、でもさっき「休む」で笑顔になってるし。」
「ぜー、ぜー、それは・・・ぜー、ぜー、ほっ、ほらあれだ!」
「どれ?」
「待て、違うぞ!ぜー、ぜー、疲れているからな!ぜー、ぜー」
疑いの眼差しが痛いのか、必死にアピールをしながら座り込む。
「むー。」
「本当に少し休憩!ぜー、ぜー」
ゆつくりとは言えないが、ナインも座る。
「おじさんはおじさんだねー。」
少しムッとするが自分の姿と息切れなどしてる時点で更に落ち込んだ。
「無計画に人間の子供を囲うのは良いけど、誰もおじさんに逆らう訳でもないとか、人関係をどうするの?」
「ぜー、ぜー、知らない。ぜー、ぜー」
疲れが強くて話半分で、会話をしていたが、ロレンチーニの本心を言っている。いずれ子を産んだり、奴隷の子が増えて島も人口に対応出来なくなるだろう。食料も奪ってはいるが、こう討伐隊がひっきりなしで来られたのでは何も出来ない。魚や地上の果物も限界に近いのは何となく理解はしていたが、現実は受け入れれなかった。
「このまま海賊家業をすれば破綻するのに?」
「ぜー、ぜー、ぜー、ぜー」
この質問には答えられない。答えは出ているからだ。
破綻するのは間違っていないからだ。
サメ族に被害がないのも、海賊する上で重要な事だ。
陸の山賊とかと違い、一族郎党でやっているから結束も強いし、規則も守って来た。
誰かがかけた時点で怨みとなって、襲う集団になり誰も守ってくれない処か即討伐対象にしかならない。今も討伐だが、逃げても追い掛けられない、危うい位置にもなってるのは分かっている。
潮時で家業を変えるにも、引き際が分からないのだ。
青図面いや、知恵袋のラプトプと今後を話すしか残っていない。
「ラプトプとぜー、ぜー」
「んー、話しても無理だよ。」
「そんな事はない。今まで彼の力に我々も助けられてきた。」
「今までなら何とか出来ても、これからは無理だよ。」
「・・・・・彼と話すまでは結論はない。」
ロレンチーニはそれ以降は話をしなかった。
ラプトプとの会話が重要なのだから。
息を整える事に集中しながら、ナインの言葉を聞き流していた。
「捨てられるまで分からないのかー。悲しいね。」
ぐっ。
「うーん、やっぱり地上と取引するなら、海賊の壊滅か主頭の首か。どちらにしても、サメ族の壊滅は逃げなれないかもね。」
ぐさー。
「一族を奴隷にするの?」
ぐはっ。
話を聞けば、至極当たり前の話を並べられて、ロレンチーニの神経がズタボロになる。
ラプトプだけが心の支えなのだから。
「どこまで持つかな?」
きーこーえーなーいー。
私の精神が持ちますように。
この後も歩きながらナインのおしゃべりに付き合う。
話の内容は一つ一つ重要ではあるが、それよりもラプトプに会う事を優先したためだ。
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