238 / 253
本章
ラプトプの悩み
しおりを挟む
エイ族の近くのカフ村に入った。
まともな食事が欲しくなったので飯屋に入った。料理は海中では難しいから、魔法で泡を固定して調味料を使ったものが主流になっている。特に小麦粉を薄く伸ばした生地を焼いたものに魚と野菜を挟んだものが人気ではある。
しかし、焼くために陸に上がりスパイスを調合は無理がある。その為に、獣国が新たな技術と新たな魔法で何とか実現したのだ。
泡を喉に流すまで消えない魔法と、海底でも調理できる器具は高価だが、新たな旨さを知ることになったのだ。
生地やスパイスは獣国からしかない。
他国には無い物が多いが、商いには出来ない。
何でも神様からの許しがいるとか、迷信深い国である。
だが、お陰で酒も飲めるから助かる。
二杯目を飲みだした頃に、
「ラプトプ様では有りませんか!」
の声に振り向くと、嫌な奴が居た。
「ザワシか。なんだ?」
ザワシは席に着かずそのまま話す。
嫌われているのは分かっているから。
「いえ、シャチ族からお早いお戻りで。」
「ん、あぁ。で?」
少し不機嫌に答えるが、次の話に驚く。
「いや、ヒレ族の村からシャチ族の村に行かれて此処でしょう、流石は歴戦の戦士様ですね!」
「ぶっ!」
何を言っているのだ?
「ヒレ族の村に?」
「はい?」
「何の事だが。」
小声で話すザワシ。
「またまた、サメ族の討伐を頼んだのではありませんか。」
「な、なに!?」
「へっ?」
ザワシに掴み掛かる。
「何だって?!」
「何ですか!」
「サメ族の討伐?誰が竜族に頼んだって?!」
「ラ、ラプトプ様では無いですか。」
「ば、馬鹿な!」
「ラプトプ様、ぐるじい・・・・」
手からザワシを離すと、唖然とする。
「何が起こっているのか・・・・」
理解出来ないとも思っていた。
「げっへっ。ラプトプ様がサメ族の討伐依頼をヒレ族以外竜種に頼まれて受託されましたよ。」
ラプトプは震えていた。
「私が依頼を?」
「そう、ヒレ族から聞きましたよ?」
何で、そんな事に?
悩んでていてもどうしようもなく、慌てて村長の自宅へ向かう。
どうなっている?
駆け出すラプトプには、何が起こっているのか分からなかった。
自分で友を売ったのか?何故、竜をシャチではなくサメ族に当てたのか?理解できない、いや、嘘であってほしいと考えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「親分!また邪魔されたようです。」
「今度は何処だ!」
「へぇ、ランドークとベヘランでさぁ。」
「キャンドとレーベルも撤退か。死人は出てないな?」
「それはもちろんでさぁ!」
「よし。しかし、竜が何で動いているのか?」
「分かりませんぜ。」
「考えても分からんな。ラプトプと会わないと。」
ロレンチーニの風体は怖い。親分と呼ばれる事にも馴れたし、怖がられるのも慣れた。
本当は泣きたい。人を傷つけるのは慣れそうにないから、酷い戦いにならないようにお願いしている。
だけど、配下の人も極力被害が少ない方法を見つけたり、試したりしてきた。だけど、体育会系の乗りはついていけない。
「親分、ワシ達はどうします?」
「んー、竜達から逃げる方が良いよね。蓄えあるから船に一時避難しよう。避難先はロンキ島に移動。また何人かは離れてる者に連絡。イワシ族にも口止めかな。」
「へい。分かりました。」
「無理はしないように。」
「親分はエイ族ですから、イワシ族に張れないで下さいよ?」
「う、わ、分かってるよ。それよりも直ぐに取りかかってよ!」
「「へい!」」
強面の顔をしたサメ族は即座に取り掛かったようだ。
サメ族の族長、ロレンチーニ(35才、雄)歴戦の戦士であり海賊の長で最悪最強とも言われているが、実際には違う。
顔は恐ろしいが、心優しく涙脆くて騙され易い面が強い。特に小さい物が好きで深海生物も好きと変わった性質なのだ。
人間の子供等も好きなので、保護した子供はロンキ島に住まわせている。人種側は誘拐としているが、元が奴隷の子供だけを拐っているので実は良い人の部類には成るが、この世界では犯罪だ。
自分の事には怒りもしないが、他人の為なら命も捨てれるロレンチーニ。
鬼のロレンチーニは戦士としての二つ名であるが、本人は気に入っていない。
もちろん厳ついからが原因なのに、他者には理解してもらえないが、ラプトプだけが唯一の理解者であった。
エイ族よりもラプトプからの援助がロレンチーニの心からの頼みであったのだ。
「裏切らないで、ロレンチーニ。」
そう呟いて、ロレンチーニはラプトプを会いに行くのだった。
まともな食事が欲しくなったので飯屋に入った。料理は海中では難しいから、魔法で泡を固定して調味料を使ったものが主流になっている。特に小麦粉を薄く伸ばした生地を焼いたものに魚と野菜を挟んだものが人気ではある。
しかし、焼くために陸に上がりスパイスを調合は無理がある。その為に、獣国が新たな技術と新たな魔法で何とか実現したのだ。
泡を喉に流すまで消えない魔法と、海底でも調理できる器具は高価だが、新たな旨さを知ることになったのだ。
生地やスパイスは獣国からしかない。
他国には無い物が多いが、商いには出来ない。
何でも神様からの許しがいるとか、迷信深い国である。
だが、お陰で酒も飲めるから助かる。
二杯目を飲みだした頃に、
「ラプトプ様では有りませんか!」
の声に振り向くと、嫌な奴が居た。
「ザワシか。なんだ?」
ザワシは席に着かずそのまま話す。
嫌われているのは分かっているから。
「いえ、シャチ族からお早いお戻りで。」
「ん、あぁ。で?」
少し不機嫌に答えるが、次の話に驚く。
「いや、ヒレ族の村からシャチ族の村に行かれて此処でしょう、流石は歴戦の戦士様ですね!」
「ぶっ!」
何を言っているのだ?
「ヒレ族の村に?」
「はい?」
「何の事だが。」
小声で話すザワシ。
「またまた、サメ族の討伐を頼んだのではありませんか。」
「な、なに!?」
「へっ?」
ザワシに掴み掛かる。
「何だって?!」
「何ですか!」
「サメ族の討伐?誰が竜族に頼んだって?!」
「ラ、ラプトプ様では無いですか。」
「ば、馬鹿な!」
「ラプトプ様、ぐるじい・・・・」
手からザワシを離すと、唖然とする。
「何が起こっているのか・・・・」
理解出来ないとも思っていた。
「げっへっ。ラプトプ様がサメ族の討伐依頼をヒレ族以外竜種に頼まれて受託されましたよ。」
ラプトプは震えていた。
「私が依頼を?」
「そう、ヒレ族から聞きましたよ?」
何で、そんな事に?
悩んでていてもどうしようもなく、慌てて村長の自宅へ向かう。
どうなっている?
駆け出すラプトプには、何が起こっているのか分からなかった。
自分で友を売ったのか?何故、竜をシャチではなくサメ族に当てたのか?理解できない、いや、嘘であってほしいと考えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「親分!また邪魔されたようです。」
「今度は何処だ!」
「へぇ、ランドークとベヘランでさぁ。」
「キャンドとレーベルも撤退か。死人は出てないな?」
「それはもちろんでさぁ!」
「よし。しかし、竜が何で動いているのか?」
「分かりませんぜ。」
「考えても分からんな。ラプトプと会わないと。」
ロレンチーニの風体は怖い。親分と呼ばれる事にも馴れたし、怖がられるのも慣れた。
本当は泣きたい。人を傷つけるのは慣れそうにないから、酷い戦いにならないようにお願いしている。
だけど、配下の人も極力被害が少ない方法を見つけたり、試したりしてきた。だけど、体育会系の乗りはついていけない。
「親分、ワシ達はどうします?」
「んー、竜達から逃げる方が良いよね。蓄えあるから船に一時避難しよう。避難先はロンキ島に移動。また何人かは離れてる者に連絡。イワシ族にも口止めかな。」
「へい。分かりました。」
「無理はしないように。」
「親分はエイ族ですから、イワシ族に張れないで下さいよ?」
「う、わ、分かってるよ。それよりも直ぐに取りかかってよ!」
「「へい!」」
強面の顔をしたサメ族は即座に取り掛かったようだ。
サメ族の族長、ロレンチーニ(35才、雄)歴戦の戦士であり海賊の長で最悪最強とも言われているが、実際には違う。
顔は恐ろしいが、心優しく涙脆くて騙され易い面が強い。特に小さい物が好きで深海生物も好きと変わった性質なのだ。
人間の子供等も好きなので、保護した子供はロンキ島に住まわせている。人種側は誘拐としているが、元が奴隷の子供だけを拐っているので実は良い人の部類には成るが、この世界では犯罪だ。
自分の事には怒りもしないが、他人の為なら命も捨てれるロレンチーニ。
鬼のロレンチーニは戦士としての二つ名であるが、本人は気に入っていない。
もちろん厳ついからが原因なのに、他者には理解してもらえないが、ラプトプだけが唯一の理解者であった。
エイ族よりもラプトプからの援助がロレンチーニの心からの頼みであったのだ。
「裏切らないで、ロレンチーニ。」
そう呟いて、ロレンチーニはラプトプを会いに行くのだった。
0
お気に入りに追加
905
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス
優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました
お父さんは村の村長みたいな立場みたい
お母さんは病弱で家から出れないほど
二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます
ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい
そんな欲求に屈してしまいましたすみません
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる