転生国主興国記

hinomoto

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キャンプ!

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「ぷあぁぁはぁ!」



なんて眠りだとラプトプは最悪な目覚めをした。

しかも最悪な土地でだ。

交渉が纏まれば気にもしないのだが、今は無理だ。あの風体も雰囲気も違う相手なのだから。



「はぁー。」



顔どころか頭を抱えたい位に今後を嘆いてしまう。



「どうすれば良いか・・・・」



あの低落な雰囲気なら無視しても良いかもしれない。が、実績があるから質が悪い。

デーク以外の誰かが長に浮上するなら同盟を結めばよいかもしれない。もう少し様子を見る方が良いな。



実の所、ラプトプはデークに会いたくない。

強く気高いデークを見ていたし、背景も知ってはいるが、あのブヨブヨで丸く太い物体になったデークとは二度と会いたくないのだ。

過去の英雄の無惨な姿に幻滅をしていた。

滅ぼしても良いかもさえ思っていた。

多少ではなく、シャチの滅亡をも考えていた。



「くそ、ロレンチーニに会わなくては。」



そう言って、旅支度をして宿を引き払い村を出たのだ。

次の村で簡易食べ物を仕入れれば良いだろ。魚がいればそこで捕まえれば良いのだから。

そこには、金持ちのラプトプは居なかった。昔の戦場のラプトプに戻っていたのだから。

颯爽と過ぎ去って行った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「む、ハァハァ無理ぷ!ハァハァ」



デーク以外肥ったシャチ族は走っていた。

肥らせた者がナインなのは分かっていても、一度肥った者はそんな気はない。

肥った現実を受け入れないのが、肥った者だから。まぁ、『肥ったのではない!筋肉がついたのさ!』か『筋肉から脂肪になったかも』程度に思っているからだ。

その考えがある内は痩せる事はできない。

何故なら何時でも痩せれると考えているからだ。

それは絶対に痩せる事がない。

誰でもそうだが、やればできる!はやらないから出来ない。出来るならやっているは言い訳でしかない。誰も最初から上手に出来るはずがない。何でも打ち込めば出来るようになり、その内に上手になり、職人となり工匠になる。ただし、沢山の道の果てに職人となる人や、一つの道から沢山の道を見つける人それは沢山の道のりがあるが、どれもする事やる事が大事なのだ。

だが、肥った者を痩せさせるのは簡単ではない。

それが走る事に繋がるのだが、実はそうではない。痩せる切っ掛けを作る為に走らされるのだ。

アイから激がとぶ。



「はい。一キロは全力で走れるようにー。」



「ハァハァうそ、ハァハァ一キロもはしハァハァれてないハァハァ」



「五百メートルも行けないで疲れてる場合ではないですよー。はい、走って、走って。」



息切れして走れない人が多い。

そして怨みを絶つために行われている事にも気付かない。

長く恐ろしい道を走らせている。

元の姿に戻った時にどうなるか。アイによるブートキャンプが始まったのだった。



「はい、走って。止まるなら覚悟してくださいねー。」



「ハァハァ、もう無理ぷ!ハァハァ、はしえない!ハァハァ」



デークの文句が出るのだが、走っている列の後方から、



「ぎゃー!」



の叫び声と全力疾走するデブの集団が迫ってきた。



「何だハァハァ?」



座っていると、その集団が追い越していく。



「うん、走れるね。ん、デークさんもそろそろ立たないと、」



どすーん。どすーん。



「ハァハァん?ハァハァ」



「潰れますよ。」



笑顔のアイと青ざめたデークの目が合わさる。



どすーん。どすーん。



音の正体を見るべく立ち上がった。

巨大なゴーレムの両手のには大きなハンマーが握られていた。

ゴーレムの目線がデークを捉えると、笑う動作、いや顔が笑顔に動く。



「ひぃ。」



歴戦の戦士の体験を忘れた事が無いが、久々に背筋に冷ややかな感触が来る。

少しずつ足が前に出ていた。



「まっハァハァ、まうハァハァ」



人は恐怖を感じると、正常な事が出来ないし話せない。

そして、強者だから恐怖から逃げる事も早く出来たのだが、体はそうではない。



「ぶひーハァハァ、や、やめハァハァ。」



ゴーレムの手が天に向くと、

どすーん。どすーん。



「ひ、ひぃーハァハァ。」



まだまだ、キャンプは始まったばかりだ!

負ける?なデーク!

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