転生国主興国記

hinomoto

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本章

竜と龍

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ナインが目を覚ますとアイの膝の上であった。

少し赤くなりながらアイを見てしまう。



「おはよう、膝をありがとうな。」



「おはようございます、マスター。」



物凄い満面の笑みで返されてしまう。

ナインも赤から青に変わる。



「何かあったのか?」



「何もありませんよ、マスター。」



なんだろう、何時ものアイなのに何かが違うのだ。静かに怒っている?そんな印象をうける。



「怒ってるのか?」



おずおずと聞いてしまう。



「何も怒っていませんが、マスター。」



にこりと言ってくれるが、違和感が半端ではない。長を宛がえば、残虐に殺してしまう様な雰囲気だ。



「あれ、長は?」



辺りに長がいない。確か長は・・・・・・あれ?



「さぁ。」



アイも珍しく答えが短く、目線を反らしている。

多分、触れると即死コースだと直感的に感じてしまう。背中に何かしらの冷たいものを感じた。



「そ、そうか。」



多分、魔力を使えば即座に分かるだろうが、してはならない。

たとえ地面から人の指らしきものを見つけても言ってはいけないのだ。

他には・・・・・・・



「あ!ランバルトは?」



「ランバルトですか?お待ち下さい。近くにはいますね。」



「そ、そうか。」



「あら、欠乏症?」



「ん、病気か?」



「幻獣の血ですね。標本?モルモットに変えますか?」



先程からアイの一言は何時もよりも恐ろしいかんじだ。



「ま、少し観るか。」



他に移るかの検証と症状の進行具合の検証ができるのだからありがたい被験者だ。

ヤバい病気にはならないし、なった所で直ぐに治せるから大丈夫だろ。

水竜も不調だけなのか、それとも最悪が起こるのかの実験でもある。

ま、倉庫では殆どの解析は終わってるそうだから安心とか。

兵器としての流用も可能らしい。

いや、兵器は勘弁事案だな。

次に長が居ないがみんなを集めてみた。

集まった一言目が、



「先生ありがとうございます!」



である。

先生とは医師として見られてかも知れないが、先生と言う事が有ることがびっくりだ。

人以上の生き物でも先生はあるのだな。

だが、本音は、言えない。



「元気になって良かった。」



笑顔で答えた。

此処には子供から大人まで集まって居るのだから大丈夫であろう。

それに元気な事は良いことである。

元気過ぎるのは問題だが、数日すれば元に戻るだろう。

でもしかし、龍の姿はデカイ。

その龍に先生と呼ばれるハーフエルフ。

何とも言えない恥ずかしい気分になる。



(次は何処にするかな。)



頭の中でそんな事を考えつつ、水龍達からお礼を受けるしかなかった。



因みに長が復活したのは四日後でした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





ヒレ竜達が戻ってきた。



「どうだ。」



「う、うむ。困った。」



「どうした?」



「何か知らんが、お祭り騒ぎをしとる。」



「「「へっ?」」」



「分からんが、騒いでるぐらいに。」



監視を続けていた仲間は青い顔を覗かせていた。



「嘘つくなや!」



皆が村を見たが、言われた通り元気な水龍達を見ていた。



「う、うそー。」

「言ってた事がほんまじゃー。」

「ヤバいぞ、親父に言わんと。」



「み、皆で報告じゃ。」



「「「そうじゃの。」」」



一致団結したのか分からないが、一目散で逃げ帰ったのだ。

坊っちゃんを見捨ててしまってなのだが、気が付くのは先の話。
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