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本章
水龍族の村
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海底を探るのは簡単だが、海底に入るのは難しいとされていた。
現在の魔法でも水の中での呼吸が出来るが精々一時間が限界だ。魔法薬も同様に30分が限界で重ね飲みも可能なのだが、あの凶悪な味に耐えても三回が限界だろう。あれの最大の欠点は味よりも、飲んだ後の口臭だ。ヘドロの臭いに耐えれるなら何とかなるのかもしれない。海底に行く=臭いのが定番である。魔法でも消耗率が高い為に重ね掛けが出来ないのが問題になっていた。
地上の人間には海底に行くのは不可能だ。
で、海人となる者が居る。
大きく分けて五種族、クジラ族、シャチ族、サメ族、イルカ族、マグロ族である。最近はサメ族のエイ族が台頭しているとかで色々あるらしい。
海では15年前までは幻獣様の支配で纏まっていたが、謎の死を迎えてしまい荒れているそうだ。
幻獣様に遣えていた竜種達も支配争いになりかけている。強さでは水龍族も居るのだが、何故か幻獣様の呪いを受けていて弱っているのだ。
台頭しだしたエイ族は南の位置で都市をつくり、地上と交易をしだしたのだ。他の部族と違い知能で発展をしているのである。
尚、サメ族の大半は海賊になり、人も襲うので討伐対象になっている。
東にはクジラ族の村があり、穏和な所もあり、人と上手くコミュニケーションもできていて、物々交換を主体にほどほどな付き合いがある。シャチ族も近くにあるのだが、攻撃性が強く人と争う為にクジラ族と良く喧嘩をする。一対一ならクジラ族だがらシャチ族は群れてしまう。
北はマグロ族、西はイルカ族が平和に暮らしてはいるが、大抵サメ族が襲うので平和ではない。
海なので海洋生物もいるのだが、魔物もいる。
言わずと知れた、クラーケンやサーペント、キラーシリーズなどと、以外と凶悪な海でもある。
此処までが前提となる。
「がびでばがぼば!」
慌てて海面を目指すのは、息が続かないから。
「ぜーぜー。忘れてた。」
魔力を使って海水から酸素を作り空気に変えて循環させる。次いでに水圧も下げすぎないようにしておく。
海底になると水圧が強くなり、圧迫される事を防がないと容易に人は死んでしまう。酸素も酸素だけではいけない。酸素の濃度が高いと長時間では身体に影響が出てしまい、地上の生活が出来なくなる。酸素だけで無く窒素やアルゴンなど他の微細な化合物も必要になる。
海水から酸素は取れる。窒素やアルゴンとかは海底から分解させて取り込めば簡単らしい。
ま、アイさんのお陰ではある。
一人では不可能だからな。
因みに吐く息には二酸化炭素もあるが、大抵いらないので転移させている。地上の空気も必要に応じて取り込んでいる。
「海底にゴー!」
勢い良く海底に向かって降りて、落ちて行く。
薄い幕程度で何とかなるが、圧迫が強いので空気の厚みを増やした。これで海底に足跡がつかなくなった。
泳ぐ事も可能だが、ランバルトが居るので掴まれば早くつける。
のんびりと向かう予定もないし、何よりも呪いを解かないとな。
「アイ、ランバルト。」
即座にランバルトの首に手を掛けると、
「村に行け!」
と命令する。
「はい!・・・・で、どちらの方角でしょう?」
「あ?なにを言ってる!海だから分かるだろ!」
「分かるわけないですよ!何処に居るのかも分からないのに!」
「マスター、彼方の方角に進みましょう。」
と、不毛な言い争いをアイが救う。
無言だが、ランバルトには威圧を掛けておく。
震える体が面白い。
「早く。」
「こ、こ、これでも、早くしてます。」
最後の言葉は小さな声だ。
いじめる?
(マスター!)
おっと、注意された。取り敢えず威圧をしたまま村に向かった。
海底はまだ日が通るので明るい。
綺麗な風景なんだろう。
水草は見てる分には良いが触ると不快になる。
巣潜りは苦手ではある。
今はどうかな?分からないけど。
試す前に、村の前まで来る。
「止まれ。」
まあ、手を離してランバルトから離れる。
言うことを聞かないランバルトは呪いの中に入って行った。
バカだ。
呪いの正体は簡単に血だ。
何故かやった時に出ていた血の塊が此処に落ちている。
呪いよりも血からの汚染から起きた病だな。
血の塊を回収する。他には無いかアイに調べさせる。
有れば即座に回収しておこう。
周辺もクリーンと病原体を殺す抗体を流す。
流布が終われば、安全に村に入る。
村では、水龍達が環境の改善が効いたのか、喜びの顔をしていた。
「済まないが、重傷者は居ないか?」
と、ナインは村の者に尋ねた。
「えっ、え!え!えぇぇぇぇえ!!」
「ちっこいのが居る?」
「人が海で喋っているぞー!」
うん。マトモな回答だ。
「居ないのか?」
それでも負けていられない!
何度か聞いていたら
「お母さんが・・・」
の声を拾う。
「案内してほしい。きっと治してあげるから。」
「こっち!」
流石は水龍。子供でも早い。
彼の存在をマーキングして転移で追い掛ける。
「ここだよ!」
「ありがとう。」
巣に入ると、弱った水龍がいた。
触った時点で弱り具合を把握した。
「注射を打つよ。チクッとするが我慢して。」
即座に取りかかる。
「人間の子?まあ、可愛らしい子。早く陸に戻りなさい。」
意識レベルが低いな。
病を無くす注射の後に点滴の用意をする。
これで好。
「この子を・・・・・・」
話の途中で意識が途切れる。
「お母さん!」
安定した寝息が分かると、
「大丈夫!これでしばらく安静にしたら治るのよ。」
「嘘だ!」
「本当だとも。良く寝顔を見なさい。」
優しく諭してあげる。
まあ、噛み付かれても困りはしないが、相手に傷を負わしてしまうからな。
子龍も母龍の顔を見て安堵する。
「苦しくないのかな?」
「当たり前だ。健やかに寝ているのさ。」
「本当?」
「起きたら元気になっているから、聞いてみな。」
泣きそうな子龍に笑顔で受け答えするナイン。
「ありがとう!」
その言葉を貰えれば良い。
何時の間にか集まっていた水龍達も喜び、ナインを掴まえていや、咥えて次の患者の元に運ばれた。
これで、やっと一部終わったな。
「つぎー!」
現在の魔法でも水の中での呼吸が出来るが精々一時間が限界だ。魔法薬も同様に30分が限界で重ね飲みも可能なのだが、あの凶悪な味に耐えても三回が限界だろう。あれの最大の欠点は味よりも、飲んだ後の口臭だ。ヘドロの臭いに耐えれるなら何とかなるのかもしれない。海底に行く=臭いのが定番である。魔法でも消耗率が高い為に重ね掛けが出来ないのが問題になっていた。
地上の人間には海底に行くのは不可能だ。
で、海人となる者が居る。
大きく分けて五種族、クジラ族、シャチ族、サメ族、イルカ族、マグロ族である。最近はサメ族のエイ族が台頭しているとかで色々あるらしい。
海では15年前までは幻獣様の支配で纏まっていたが、謎の死を迎えてしまい荒れているそうだ。
幻獣様に遣えていた竜種達も支配争いになりかけている。強さでは水龍族も居るのだが、何故か幻獣様の呪いを受けていて弱っているのだ。
台頭しだしたエイ族は南の位置で都市をつくり、地上と交易をしだしたのだ。他の部族と違い知能で発展をしているのである。
尚、サメ族の大半は海賊になり、人も襲うので討伐対象になっている。
東にはクジラ族の村があり、穏和な所もあり、人と上手くコミュニケーションもできていて、物々交換を主体にほどほどな付き合いがある。シャチ族も近くにあるのだが、攻撃性が強く人と争う為にクジラ族と良く喧嘩をする。一対一ならクジラ族だがらシャチ族は群れてしまう。
北はマグロ族、西はイルカ族が平和に暮らしてはいるが、大抵サメ族が襲うので平和ではない。
海なので海洋生物もいるのだが、魔物もいる。
言わずと知れた、クラーケンやサーペント、キラーシリーズなどと、以外と凶悪な海でもある。
此処までが前提となる。
「がびでばがぼば!」
慌てて海面を目指すのは、息が続かないから。
「ぜーぜー。忘れてた。」
魔力を使って海水から酸素を作り空気に変えて循環させる。次いでに水圧も下げすぎないようにしておく。
海底になると水圧が強くなり、圧迫される事を防がないと容易に人は死んでしまう。酸素も酸素だけではいけない。酸素の濃度が高いと長時間では身体に影響が出てしまい、地上の生活が出来なくなる。酸素だけで無く窒素やアルゴンなど他の微細な化合物も必要になる。
海水から酸素は取れる。窒素やアルゴンとかは海底から分解させて取り込めば簡単らしい。
ま、アイさんのお陰ではある。
一人では不可能だからな。
因みに吐く息には二酸化炭素もあるが、大抵いらないので転移させている。地上の空気も必要に応じて取り込んでいる。
「海底にゴー!」
勢い良く海底に向かって降りて、落ちて行く。
薄い幕程度で何とかなるが、圧迫が強いので空気の厚みを増やした。これで海底に足跡がつかなくなった。
泳ぐ事も可能だが、ランバルトが居るので掴まれば早くつける。
のんびりと向かう予定もないし、何よりも呪いを解かないとな。
「アイ、ランバルト。」
即座にランバルトの首に手を掛けると、
「村に行け!」
と命令する。
「はい!・・・・で、どちらの方角でしょう?」
「あ?なにを言ってる!海だから分かるだろ!」
「分かるわけないですよ!何処に居るのかも分からないのに!」
「マスター、彼方の方角に進みましょう。」
と、不毛な言い争いをアイが救う。
無言だが、ランバルトには威圧を掛けておく。
震える体が面白い。
「早く。」
「こ、こ、これでも、早くしてます。」
最後の言葉は小さな声だ。
いじめる?
(マスター!)
おっと、注意された。取り敢えず威圧をしたまま村に向かった。
海底はまだ日が通るので明るい。
綺麗な風景なんだろう。
水草は見てる分には良いが触ると不快になる。
巣潜りは苦手ではある。
今はどうかな?分からないけど。
試す前に、村の前まで来る。
「止まれ。」
まあ、手を離してランバルトから離れる。
言うことを聞かないランバルトは呪いの中に入って行った。
バカだ。
呪いの正体は簡単に血だ。
何故かやった時に出ていた血の塊が此処に落ちている。
呪いよりも血からの汚染から起きた病だな。
血の塊を回収する。他には無いかアイに調べさせる。
有れば即座に回収しておこう。
周辺もクリーンと病原体を殺す抗体を流す。
流布が終われば、安全に村に入る。
村では、水龍達が環境の改善が効いたのか、喜びの顔をしていた。
「済まないが、重傷者は居ないか?」
と、ナインは村の者に尋ねた。
「えっ、え!え!えぇぇぇぇえ!!」
「ちっこいのが居る?」
「人が海で喋っているぞー!」
うん。マトモな回答だ。
「居ないのか?」
それでも負けていられない!
何度か聞いていたら
「お母さんが・・・」
の声を拾う。
「案内してほしい。きっと治してあげるから。」
「こっち!」
流石は水龍。子供でも早い。
彼の存在をマーキングして転移で追い掛ける。
「ここだよ!」
「ありがとう。」
巣に入ると、弱った水龍がいた。
触った時点で弱り具合を把握した。
「注射を打つよ。チクッとするが我慢して。」
即座に取りかかる。
「人間の子?まあ、可愛らしい子。早く陸に戻りなさい。」
意識レベルが低いな。
病を無くす注射の後に点滴の用意をする。
これで好。
「この子を・・・・・・」
話の途中で意識が途切れる。
「お母さん!」
安定した寝息が分かると、
「大丈夫!これでしばらく安静にしたら治るのよ。」
「嘘だ!」
「本当だとも。良く寝顔を見なさい。」
優しく諭してあげる。
まあ、噛み付かれても困りはしないが、相手に傷を負わしてしまうからな。
子龍も母龍の顔を見て安堵する。
「苦しくないのかな?」
「当たり前だ。健やかに寝ているのさ。」
「本当?」
「起きたら元気になっているから、聞いてみな。」
泣きそうな子龍に笑顔で受け答えするナイン。
「ありがとう!」
その言葉を貰えれば良い。
何時の間にか集まっていた水龍達も喜び、ナインを掴まえていや、咥えて次の患者の元に運ばれた。
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