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本章
面倒な事
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「あー、めんどくさい。」
海底に潜るとは、ナインは思ってもみなかった。
息は魔力を使えば容易に出来るとは思っていたが、簡単に出来るとは思っていない。なのに、あっさり出来てしまい面倒な事を引き受けてしまっていた。
それは......遡ると。
ーーーーーーー
ナインは翠国の南東の海岸に週一で通っていた。
理由は海産物の確認と海に入りたいだけなのだ。
実はナインは海が好きで、前世も夏に一人海水浴に良く出掛けたのだ。殆ど誰も行かない場所を探して泳いでいた。
その時の様に、一人で泳げる場所は貴重なのだ。
海産物等も倉庫で作ってはいるが、海の側で食べると味わい深く、何とも言えなくなるのだ。
泳いだ後に、カレーライスや焼きそば等も良い。
たまに薄いカレーも懐かしい。
でも、海と言ったら焼き肉である。
炭火で焼くあの感じが最高なのだ。
自家製のタレに浸けた肉を焼けば、その匂いが辺りに充満する。
「ご、ご主人様!何ですか、この旨そうな匂いは?!」
新しい森の獣神のフェンリルが、森から慌てて出てきた。
「獣よ!こっちに来るな!私の貰う分が減るだろう!」
白龍が慌ててフェンリルの前に立ちはだかる。
いつもの(?)二匹の喧嘩がはじまる。こいつらは俺に怒られるのが分かっていながら目が会うと喧嘩をするのだ。離れても引っ付くデコボココンビになっている。
しかも、1日一回の喧嘩が日課になってしまっていた。
被害が出ない場所なので、何をするのも良いが、俺が居ない場所でやって欲しいよ。
「飯の邪魔するなら、他に行ってくれる?」
「「うるさい!」」
二匹は俺に怒ってきた。
「ほう。」
瞬時に何を感じて二匹は声の主に顔を向けた。
いや、向けても遅いのだが、俺の怒りも殺意と一緒に乗せる。
「「ご、ご主人様・・・・・」」
二匹は抱き合う様に震えていた。
本当に仲が良いのね。
「殺すよ?」
「「ご、ごめんなさい!」」
「ごめんなさい!」
ん?二匹以外の声が聞こえた?あれ?
「誰だ?」
海面が盛り上がり一匹の海竜らしき魔物が現れた。
「経験値?」
「ま、待って下さい!私は元幻獣様が配下ランバルトと言います!」
前ヒレを器用にして敬礼風をしていた。
多分だが、見た目以上に必死なのだろう。
「んで?」
肉の匂いで焼き加減をしてしまうが、肉をひっくり返していく。
当然、獣達は喉をゴクッリと鳴らしている。こいつらは飯に必死なんだろう?特に森の獣神の癖に意地汚いのか?某小説でも、食いしん坊キャラだったが、こいつも同じなのか?
じーーー。
別方角の視線、ランバルトと言った竜の経験値が此方を見ていた。よ、よだれを流すな!
「で、何かようか?」
肉をまたひっくり返す。目線が肉を離さない。
海の生物も肉食なら変わりはないだろうが、腐った臭いでなくても良いのかな?
一枚を箸で摘まみあげて、それを左右に動かすと三匹の首も肉に合わせて動く。
海のを釣る予定が食いしん坊ズまでも釣れたか。
いや!それどころか肉が足らないぞ?!
完璧な焼き加減ではないが、口に入れる。タレの旨味と肉の味が合わさり絶妙な......
「「「ああっー!」」」
三匹の悲しい眼差しが俺に向けられる。
これ、俺の!とは言えない。子供も姿でも言えない程の哀しみを俺に向けるからだ。
[アイさん、へるぷ。]
「はー。段取りするから近くに来な。」
三匹は俺の近くに集まり、肉を頬張る。
アイも焼きに来てくれて、3台で忙しい肉を焼いたのだ。
とにかく食べる。
魔物のクセに食べて、食べて、食べる。
焼きての降参か、食いての降参かの勝負とかす。
「ギ、ギブッス...」
ずずーん。
最後の一匹が肉を頬張ったまま寝そべってしまう。口に残った肉はゆっくりと咀嚼しているから、それで最後なのだろう。
食いしん坊め!
「終わったか。」
「お疲れ様です、マスター。」
既に夕日が海に沈みかけている。
長い1日だった。
イソイソと帰る準備を始める。別にイソイソとする理由もないのだが、癖は抜けないのだろう。
「はぁ!忘れていました!」
口周りにいっぱいにタレを着けたランバルトが起きた。
「あの!ご相談があるのですが・・・・・」
竜種で頭も良い経験値が、お願いしている。狩りたい。
「・・・・なに?」
「あのですね、実は海底で、困った事が起きたのです!」
面倒事を全面に押し出している感じが嫌だな。
「・・・・・・・・」
あえて答えない。答えたらダメな様な気がした。
「何ですか?」
「おいー!」
アイさんが答えたよ!てか、突っ込んだよ!面倒ルートに入ったよ!
「海を納めていた幻獣様が亡くなり、海の納める覇権を六つの種族で争い始めたのです!その為に海が荒れてしまい、戦争に発展しそうなんです!神龍様のお力をお借りしたく参上しました!」
ほら、面倒だ。
ん?
海底に潜るとは、ナインは思ってもみなかった。
息は魔力を使えば容易に出来るとは思っていたが、簡単に出来るとは思っていない。なのに、あっさり出来てしまい面倒な事を引き受けてしまっていた。
それは......遡ると。
ーーーーーーー
ナインは翠国の南東の海岸に週一で通っていた。
理由は海産物の確認と海に入りたいだけなのだ。
実はナインは海が好きで、前世も夏に一人海水浴に良く出掛けたのだ。殆ど誰も行かない場所を探して泳いでいた。
その時の様に、一人で泳げる場所は貴重なのだ。
海産物等も倉庫で作ってはいるが、海の側で食べると味わい深く、何とも言えなくなるのだ。
泳いだ後に、カレーライスや焼きそば等も良い。
たまに薄いカレーも懐かしい。
でも、海と言ったら焼き肉である。
炭火で焼くあの感じが最高なのだ。
自家製のタレに浸けた肉を焼けば、その匂いが辺りに充満する。
「ご、ご主人様!何ですか、この旨そうな匂いは?!」
新しい森の獣神のフェンリルが、森から慌てて出てきた。
「獣よ!こっちに来るな!私の貰う分が減るだろう!」
白龍が慌ててフェンリルの前に立ちはだかる。
いつもの(?)二匹の喧嘩がはじまる。こいつらは俺に怒られるのが分かっていながら目が会うと喧嘩をするのだ。離れても引っ付くデコボココンビになっている。
しかも、1日一回の喧嘩が日課になってしまっていた。
被害が出ない場所なので、何をするのも良いが、俺が居ない場所でやって欲しいよ。
「飯の邪魔するなら、他に行ってくれる?」
「「うるさい!」」
二匹は俺に怒ってきた。
「ほう。」
瞬時に何を感じて二匹は声の主に顔を向けた。
いや、向けても遅いのだが、俺の怒りも殺意と一緒に乗せる。
「「ご、ご主人様・・・・・」」
二匹は抱き合う様に震えていた。
本当に仲が良いのね。
「殺すよ?」
「「ご、ごめんなさい!」」
「ごめんなさい!」
ん?二匹以外の声が聞こえた?あれ?
「誰だ?」
海面が盛り上がり一匹の海竜らしき魔物が現れた。
「経験値?」
「ま、待って下さい!私は元幻獣様が配下ランバルトと言います!」
前ヒレを器用にして敬礼風をしていた。
多分だが、見た目以上に必死なのだろう。
「んで?」
肉の匂いで焼き加減をしてしまうが、肉をひっくり返していく。
当然、獣達は喉をゴクッリと鳴らしている。こいつらは飯に必死なんだろう?特に森の獣神の癖に意地汚いのか?某小説でも、食いしん坊キャラだったが、こいつも同じなのか?
じーーー。
別方角の視線、ランバルトと言った竜の経験値が此方を見ていた。よ、よだれを流すな!
「で、何かようか?」
肉をまたひっくり返す。目線が肉を離さない。
海の生物も肉食なら変わりはないだろうが、腐った臭いでなくても良いのかな?
一枚を箸で摘まみあげて、それを左右に動かすと三匹の首も肉に合わせて動く。
海のを釣る予定が食いしん坊ズまでも釣れたか。
いや!それどころか肉が足らないぞ?!
完璧な焼き加減ではないが、口に入れる。タレの旨味と肉の味が合わさり絶妙な......
「「「ああっー!」」」
三匹の悲しい眼差しが俺に向けられる。
これ、俺の!とは言えない。子供も姿でも言えない程の哀しみを俺に向けるからだ。
[アイさん、へるぷ。]
「はー。段取りするから近くに来な。」
三匹は俺の近くに集まり、肉を頬張る。
アイも焼きに来てくれて、3台で忙しい肉を焼いたのだ。
とにかく食べる。
魔物のクセに食べて、食べて、食べる。
焼きての降参か、食いての降参かの勝負とかす。
「ギ、ギブッス...」
ずずーん。
最後の一匹が肉を頬張ったまま寝そべってしまう。口に残った肉はゆっくりと咀嚼しているから、それで最後なのだろう。
食いしん坊め!
「終わったか。」
「お疲れ様です、マスター。」
既に夕日が海に沈みかけている。
長い1日だった。
イソイソと帰る準備を始める。別にイソイソとする理由もないのだが、癖は抜けないのだろう。
「はぁ!忘れていました!」
口周りにいっぱいにタレを着けたランバルトが起きた。
「あの!ご相談があるのですが・・・・・」
竜種で頭も良い経験値が、お願いしている。狩りたい。
「・・・・なに?」
「あのですね、実は海底で、困った事が起きたのです!」
面倒事を全面に押し出している感じが嫌だな。
「・・・・・・・・」
あえて答えない。答えたらダメな様な気がした。
「何ですか?」
「おいー!」
アイさんが答えたよ!てか、突っ込んだよ!面倒ルートに入ったよ!
「海を納めていた幻獣様が亡くなり、海の納める覇権を六つの種族で争い始めたのです!その為に海が荒れてしまい、戦争に発展しそうなんです!神龍様のお力をお借りしたく参上しました!」
ほら、面倒だ。
ん?
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