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本章
岩
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六万対六万。
同数の戦いではあるが、ライラック王国の全軍十万と諸国連合が二十万の軍が援軍に来る。
追い立てられて逃げてから数ヶ月。やっと獣国から国を取り戻す戦いが出来たのだ。
この初戦になる戦いを落としてはならぬとラハットル侯爵は気合い十分であった。
「ちっ!ランブルト侯は何をしている!体勢が整わない!」
拳を手のひらで受けながら、その逸る気持ちを押さえた。
混乱になっているランブルト侯爵の軍に突っ込む訳にはいかなかった。獣国の師団兵が混乱のランブルト侯爵軍に迫ったからだ。
「弓隊を前に!ここで友軍を助けるぞ!」
「侯!敵も受け入れるつもりですか?」
「馬鹿者!弓の距離に入ったら敵を狙うのよ!」
「味方にも被害が!」
「ふっ。我が軍の益を取ろうぞ。」
弓兵を待機させていたが、突然に敵が現れた。
「な、何だあれは?!」
大きな箱の様な、大きな船の様な物が突っ込ん出来たのだ。
弓兵達は逃げる間もなく引き殺される事になった。だが、それで止まる事無くライラック王国兵達に襲い掛かった。
悠然と構える予定のライラック王国軍も阿鼻叫喚な混乱の渦に落とされてしまった。
これにより、ラハットル侯爵は遁走した。
既に勝敗も着いていた。
獣国側に被害がない状態で、ライラック王国軍は被害しかなかった。
結局、ライラック王国の援軍は間に合わずにラハットル侯爵以下約五百名程が逃げ出した。
ランブルト侯爵、レイモンド伯爵の戦死、以下三万五千七百五十五名の戦死と四万三千八百四十五名の捕虜が出来た。捕虜は武装解除をして奴隷の首輪を付けられている。
捕虜はライラックの町まで護送する為に兵五百名を裂いた。
決して多くないが、奴隷の首輪で安心して町まで安全に送ることが出来た。
奴隷の首輪はナインの作成された犯罪者用の魔道具である。
簡単に自白、暴力等の禁止、自殺、他殺禁止、命令の遵守が付与されているので逃走も出来ない。
レブル達も戦列に戻り、声も掛けないし命令もしないで進軍を開始した。
二日目の朝にライラック王国軍と対峙することになった。
三十万対約六万。
絶望的な数字であるのた、師団兵も躊躇していた。
しかし、『アマゾネスズ』は、
「はぁぁぁぁああ!!」
との、レブルの覇気を吐くと全力で駆け出した。
フェルトと二号もそれに追随した。
ライラック側は三人の女性が突っ込んで来たと思っていた。
「馬鹿め、弓兵構え!!」
数人の弓兵が三人に的を絞り狙う。
半分の距離に近付き、矢を放つ頃にその災いが降り掛かった。
ライラック王国連合の陣営に天から岩が降り注いだのだ。
レブルの、目にはゆっくりと映る。
ライラック王国には目にも入らなかった。
大軍の中心に一直線に落ちると、ライラック王国連合軍はほぼ壊滅状態になった。
地面は溶けてドロドロになり、熱気で生きているものが皆無である。
十キロ四方のみに影響があったのだ。
王達と連合の主な人が消えてしまったのだ。
それだけではない。地面にぶつかった衝撃波が兵達を吹き飛ばしたのだ。
当然、レブル達も後方へ吹き飛んでしまった。
訳が分からない内にライラック王国は滅亡。連合も壊滅的な被害を受けてしまい、獣国に保護してもらうしか無かったのだ。
戦では無く、天災による終結となるが、奇妙な事に変な噂が大陸中に広まったのである。
『天から降ってきた岩に人が乗っていた』と。
にわかには信じられないが、人は笑っていたそうだ。高らかと笑いながら何かを呟いたとか。
それが何だったのかは、世間には謎になっていた。
獣国の師団兵達はレブルとフェルト、二号の救出を優先した。
二千も兵達が居れば片付く事なので、装甲車の一両は町と本国に伝令を、残りは生き残りの捜索と救助に向かった。
『王都が消し飛んだ様だった』は、諸外国に伝わるライラック王国最後の戦の書の最後に書かれる一文だ。
実際には、言葉に表せない程に悲惨で吐く様な風景であった。
生きている者を探すのに手一杯で、被災地には高熱の為に入られないのだ。
生きて焼かれる人を見て、屈強な兵も嘔吐している。
衝撃波だけで亡くなる者もいるので、誰が生きているか分からないのだ。
体と頭がくっついている者だけを救護地に救出した。
生死は後で確認をする事にしたのだ。
『アマゾネスズ』も一旦町に収容されてしまうのだが、レブルとフェルトは理解していた。
あんな事を笑いながら出来る方を見たのだ。
笑いながら岩の上で、その方はレブルに言ったのだ。
『もっと精進しろ』と。
大人の姿だが、ナインに間違いないと確信している。
レブルも確信したのは、
ご主人に一生着いて行く。
であった。
レブルとフェルトの二人の心に深く深く何かを植え付けた事を、ナインは知らなかったが。
同数の戦いではあるが、ライラック王国の全軍十万と諸国連合が二十万の軍が援軍に来る。
追い立てられて逃げてから数ヶ月。やっと獣国から国を取り戻す戦いが出来たのだ。
この初戦になる戦いを落としてはならぬとラハットル侯爵は気合い十分であった。
「ちっ!ランブルト侯は何をしている!体勢が整わない!」
拳を手のひらで受けながら、その逸る気持ちを押さえた。
混乱になっているランブルト侯爵の軍に突っ込む訳にはいかなかった。獣国の師団兵が混乱のランブルト侯爵軍に迫ったからだ。
「弓隊を前に!ここで友軍を助けるぞ!」
「侯!敵も受け入れるつもりですか?」
「馬鹿者!弓の距離に入ったら敵を狙うのよ!」
「味方にも被害が!」
「ふっ。我が軍の益を取ろうぞ。」
弓兵を待機させていたが、突然に敵が現れた。
「な、何だあれは?!」
大きな箱の様な、大きな船の様な物が突っ込ん出来たのだ。
弓兵達は逃げる間もなく引き殺される事になった。だが、それで止まる事無くライラック王国兵達に襲い掛かった。
悠然と構える予定のライラック王国軍も阿鼻叫喚な混乱の渦に落とされてしまった。
これにより、ラハットル侯爵は遁走した。
既に勝敗も着いていた。
獣国側に被害がない状態で、ライラック王国軍は被害しかなかった。
結局、ライラック王国の援軍は間に合わずにラハットル侯爵以下約五百名程が逃げ出した。
ランブルト侯爵、レイモンド伯爵の戦死、以下三万五千七百五十五名の戦死と四万三千八百四十五名の捕虜が出来た。捕虜は武装解除をして奴隷の首輪を付けられている。
捕虜はライラックの町まで護送する為に兵五百名を裂いた。
決して多くないが、奴隷の首輪で安心して町まで安全に送ることが出来た。
奴隷の首輪はナインの作成された犯罪者用の魔道具である。
簡単に自白、暴力等の禁止、自殺、他殺禁止、命令の遵守が付与されているので逃走も出来ない。
レブル達も戦列に戻り、声も掛けないし命令もしないで進軍を開始した。
二日目の朝にライラック王国軍と対峙することになった。
三十万対約六万。
絶望的な数字であるのた、師団兵も躊躇していた。
しかし、『アマゾネスズ』は、
「はぁぁぁぁああ!!」
との、レブルの覇気を吐くと全力で駆け出した。
フェルトと二号もそれに追随した。
ライラック側は三人の女性が突っ込んで来たと思っていた。
「馬鹿め、弓兵構え!!」
数人の弓兵が三人に的を絞り狙う。
半分の距離に近付き、矢を放つ頃にその災いが降り掛かった。
ライラック王国連合の陣営に天から岩が降り注いだのだ。
レブルの、目にはゆっくりと映る。
ライラック王国には目にも入らなかった。
大軍の中心に一直線に落ちると、ライラック王国連合軍はほぼ壊滅状態になった。
地面は溶けてドロドロになり、熱気で生きているものが皆無である。
十キロ四方のみに影響があったのだ。
王達と連合の主な人が消えてしまったのだ。
それだけではない。地面にぶつかった衝撃波が兵達を吹き飛ばしたのだ。
当然、レブル達も後方へ吹き飛んでしまった。
訳が分からない内にライラック王国は滅亡。連合も壊滅的な被害を受けてしまい、獣国に保護してもらうしか無かったのだ。
戦では無く、天災による終結となるが、奇妙な事に変な噂が大陸中に広まったのである。
『天から降ってきた岩に人が乗っていた』と。
にわかには信じられないが、人は笑っていたそうだ。高らかと笑いながら何かを呟いたとか。
それが何だったのかは、世間には謎になっていた。
獣国の師団兵達はレブルとフェルト、二号の救出を優先した。
二千も兵達が居れば片付く事なので、装甲車の一両は町と本国に伝令を、残りは生き残りの捜索と救助に向かった。
『王都が消し飛んだ様だった』は、諸外国に伝わるライラック王国最後の戦の書の最後に書かれる一文だ。
実際には、言葉に表せない程に悲惨で吐く様な風景であった。
生きている者を探すのに手一杯で、被災地には高熱の為に入られないのだ。
生きて焼かれる人を見て、屈強な兵も嘔吐している。
衝撃波だけで亡くなる者もいるので、誰が生きているか分からないのだ。
体と頭がくっついている者だけを救護地に救出した。
生死は後で確認をする事にしたのだ。
『アマゾネスズ』も一旦町に収容されてしまうのだが、レブルとフェルトは理解していた。
あんな事を笑いながら出来る方を見たのだ。
笑いながら岩の上で、その方はレブルに言ったのだ。
『もっと精進しろ』と。
大人の姿だが、ナインに間違いないと確信している。
レブルも確信したのは、
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