転生国主興国記

hinomoto

文字の大きさ
上 下
210 / 253
本章

引っ越し

しおりを挟む
「ご飯でーす!」

ルミエッタは進んでおにぎりを各家を回って、手渡しをしていた。
笑顔で渡されて引っ越しの段取りをしていた人々は喜び、またルミエッタも清みきった心で、あの屋敷での狭い意識など無くなってはいた。
だが、忘れてはいけない。
その裏で常識はずれの事が起きていた事を。
彼女のスキルを覗かない事を。
そして、彼女は永遠に屋敷の主である事を願っていた。ナインと従属達は。
笑顔を守る為に特殊病院送りが60匹。
まさか天使、悪魔を潰れさせる程の料理を作るとは。
それも、おにぎりで。
米を水で炊いて、塩で握るだけの事なのだが、ルミエッタがそれをやると、殺人級の事が起こるのだ。
水が腐ってる、米が腐る、塩が腐って、手にバイ菌が!は無い。
ナインの近くでそんな事は起こり様も無いのだが、彼女が握ると殺人級になるのだ。
天災なんだろう。
人を絶望に落とすだけでは無いようだ。
しかし、それでは一般の方と食材に申し訳が無い!で、従属を呼んだのだ。
食事はしなくても大丈夫な悪魔と天使も、ナインの料理で楽しみを知ったのだが、その逆が有るとは思わなかっただろう。
その為に血を吐く悪魔と天使がいて、その屍の上にルミエッタの笑顔があるのだ。
名前は分からない従属よ、ありがとう。忘れない、と思う。

「美味しいですよー。」

笑顔で渡すのだが、そこから先は微妙な顔をするので、アイと手分けしてプリンを配る事になる。

「たべてねー!」

ルミエッタには徹夜はキツかったのだろう。夜明け前には寝てしまったので、グリーンシティに戻したよ。これで楽に引っ越しが出来る。

昼頃には各国王を残して転移をした。
殺風景な景色から、緑豊かな土地へと変わったのだ。
突然の事ながら、三つの部族が集まったのだ。
3部族が揃うのは何時の頃だろうか、何か感動をしていた。
シティからの応援の方々が、そんな皆をこれからの住み家に連れて行くのだった。
但し、喜びよりも驚きの方が勝っているからだ。
見たこともない乗り物に触ったこともないフカフカな座る場所に。動物も居ないのに動き、また早く、振動が無い。
取り敢えず、元国民達は生を喜んではいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


鉱山については埋める事になった。
捨てる方向で話が出来たからだ。
皇国に奪われるのが嫌そうだが命には変えられないと言い切ったのにいたく感動したナインは、一つ一つの鉱山を各国王の前で国ごと元のように埋め固め戻してしまったのだ。それも掘り出せない様にしてだ。そして彼等も転移したのた。

その後は三時間後に偵察が、五時間後には軍隊が空っぽの山である事を何度も確認していた。
やがて、

「な、何で何も無いのだ!さ、探せ!とにかく探せ!逃げることなど無いのだ!さ、探せー!」

の号令の基に探しだしたのだ。
ただの山を。
しかし、それで終わるわけでなかった。

「ん?なあ、何か声が聞こえないか?」

「何をさ?人かー」

その次の言葉はない。変わりに翼の音と口が兵に襲ったのだ。

「ま、まさか!ヘーベラルスかぁ!」
「げぼっ!」
「た、沢山!逃げろ!」

山から直角に落ちてくる、ヘーベラルス。黄色い翼竜の事だが、滅多に人を襲うことはないのだが、強襲されたのだ。
理由はナインである。匂いを仕掛けていたのだ。
特定の匂いで欲情させたり、敵襲も匂いで行われるのだ。
では、それを子供のから助けての匂いがでたらどうなるか?
一匹なら自然の摂理となるが、数匹から出されたら怒り狂うだろう。特に子育てを種全体で行うのが、ヘーベラルスなのだから。
それこそヘーベラルスが襲い掛かって来るのだ。
崖を探索してた者は良くて谷底、悪くて襲われるであった。
もちろん、倒せるがランクB級の兵など何十人に一人いれば良いものだ。
しかし、ヘーベラルスはランクAの魔物。倒せる為には一体にたいして兵が六百。弓だけでも3百は要るし平地等の人に有利な場所になる。
対して山で百体程の魔物である。
既に阿鼻叫喚の地獄となる。
ミスリルでも青い翼竜、ターコイラルスが百体、コーミカルには緑色の翼竜ペトライトラルスが百体とあり得ない数が襲っていた。
軍隊としての統率も無くなり、ただ3軍の長を逃がすだけとなり、無駄な血が流れることとなる。
生きて居ることに感謝はあるが、皇国として大敗をしたのだ。
兵も武防具も、乗り物や食事までが無駄になったのだ。

大敗の後に知らせが届いた。
それはグローリバルト家に一通の手紙が届いたのだ。
差出人は行方不明のルミエッタ嬢からだった。
名前にも驚いたが、紙にも驚いてしまう。
上質よりも高級いや、見たことがない質感だ。
中身は自身の安全と砂漠を越えた場所に新緑の土地があり、そこで新しい暮らしをしている事を、そして、信じられない生活を知らせて来たのだ。
安心するよりも、今は砂漠化と人が餓えだしている状況での知らせである。
上に立つだけの貴族にそれを伝えてたのだ。
王に知らせると共に巨体な略奪者が生まれる事となる。
いや、なっていた。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】ある二人の皇女

つくも茄子
ファンタジー
美しき姉妹の皇女がいた。 姉は物静か淑やかな美女、妹は勝気で闊達な美女。 成長した二人は同じ夫・皇太子に嫁ぐ。 最初に嫁いだ姉であったが、皇后になったのは妹。 何故か? それは夫が皇帝に即位する前に姉が亡くなったからである。 皇后には息子が一人いた。 ライバルは亡き姉の忘れ形見の皇子。 不穏な空気が漂う中で謀反が起こる。 我が子に隠された秘密を皇后が知るのは全てが終わった時であった。 他のサイトにも公開中。

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...