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本章
キセキ国
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「た、大変だー!」
旅人の話しをホラ話しにしていた人々は、慌てふためく見張りの男に目を向けた。
「ぐ、軍隊だ!イグミサル皇国が攻めて来たぞ!」
その言葉を聞くと、人々は慌てて国王の所にかけて行った。
見張りの男は旅人に助けられながら、国王の元に急いでいた。
「村長!皇国が攻めて来たって!どうする!」
「戦争?」
「おら、死にたくねぇ。」
「勝てんのか?」
「「「「村長!」」」」
「バカこくでねぇ、芋植えんだからあっちさ行け!」
畑で汗をかきながら、頑張っている。
此が国王なのかと思う程の農家スタイルである。
だが国王の一言は重大で、農業は大地を作る鉱夫と同じぐらいに大事な事業でもある。蔑ろには出来ないのだ。
「仕事しろさ!いねぇ!」
鍬を田んぼに突き刺して畝を作っていく。重要な事は良い畝を作らないと大きい芋は育たない。
「そ、村長!皇国が、皇国が攻めて来ます!」
息も絶え絶えとしながらも大きな声が聞こえた。
「バカか!まだ分かんねぇか!」
声の方に振り向くと、見張りの男と肩を貸す旅人であることを認識する。見張りの男のボロボロの姿に驚いてしまう。
「な、おめぇ!どしたぁ!?」
慌てて駆け寄る村長に、
「攻めて来るだぁ、もの凄い数が来るだ!にげ・・・・」
と、男は力尽きたようだ。
「なして、なして!」
涙を流す村長に旅人は話しかけた。
「国王殿、落ち着いて。」
「落ち着いておけるきゃぁ!なじて、なじで!」
「だから、落ち着いて。この人死んで無いから。」
「うぐぐぅ。へっ?」
涙でグシャグシャになっていたのに、その涙が止まる。
「死んで無いから。ただ、気を失って寝ているだけだから。」
「あっ?へっ。死んで無い?」
良く見ると、男は苦悶した顔で胸が安定して動いていた。
「ばきゃー!アホだにゃー、疲れるだぁ!」
疲れた様に地べたに腰を降ろしてしまう。
「ま、それより、国王。」
「うんにゃ、そげな大層な呼び名でにゃぁで、村長ゆうてちょ。」
「では、村長。イグミサル皇国から一万八千程の兵が出ております。イエーガー侯爵、ブルックリン公爵、アフター公爵の三名が、各約六千の軍に別けて進行中です。」
「なっ!六千!だとしたら。」
「村は即座に潰されましょう。それも3つも。」
「なして!そったらごと!ワシら殺しても、こだな土地しかねえぞ!」
「今、皇国では砂漠化が進んでいます。その僅かな大地を手に入れる侵略を始めたのです。」
「この戦いが始めれば皇国で内乱が起きるでしょう。人が飢えだしていますから。」
「そんなぁ。」
「ここら以外は砂漠になる。その前に侵略を始めたのです。侵略が終われば少ない国力で神国に行く様ですよ、内乱を避ける為に。」
「争っても何も残らんのに。滅びろと。」
再び村長の瞳に水が集まる。
「そこで提案が有ります。」
「なんら!降るだけで終わんやろ!」
「降る?そんな事を提案しませんよ。」
「ほな、なんね?」
「引っ越しをしません?」
「はぁ?」
「引っ越しのご提案をしに来ました、村をいや、この国の引っ越しをしませんか。」
「へっ?」
「後でプランを皆様と決めましょう。其では皆様とお話をしてください。私も準備が有りますから。」
旅人は村長に笑顔を見せると、足早に何処かに消えたのだ。
村長の頭には、何故か真実であると理解していた。今直ぐに動かないと駄目だとも。
「いけん、直ぐに集めな。」
村長は必死に駆け出した。
夜の戸張が降りた頃に、大広場に国民が集まった。
先ずは、村長な王が事の次第を述べて、甦った見張り男が自身が見た行軍の様子を話して、村長が解った情報を伝えた。
其を聞いた国民の賛嘆な言葉と嘆きの言葉が響きわたった。
「鎮まれ!そこで不思議な提案を受けておる!旅人殿お願いする!」
村長の言葉に出てくる、旅人。
「旅人です。村長が普通の言葉を喋るのでビックリしてます。」
嘆いた人が一斉に笑い出す。
「「「「ほんまや!へんな村長じゃー!」」」」
「だまれ!おらだって王様みたいにできっど!馬鹿にするな!」
「「「「へんー!」」」」
笑いで不安が飛んだようだ。
「すみません、旅人のアイと言います。」
フードを取ると美男子が現れて女達が喜んで、男達が拗ねた。
「この体型は晒しで締め付けていますが、女性です。」
この言葉に男達が歓喜の声を上げてしまい、女性と少しギスギスしてしまう。
「私からのご提案は、ここを捨てて引っ越しをしませんか?です。」
「何処に行くんですか?」
「それはお楽しみですが、分からないと行けませんものね。」
好奇心で頷く一同。
「その前に、もう一方をご紹介したいと思います。」
ワクワクする国民は、笑顔で頷いていたが、
「では、ご登場です!」
アイが後ろに手を出すが、誰も出てこない。
痺れを切らした国民は、
「誰もいんが!」
「お、おい。」
怒りと驚きを同時に放つ国民達。
アイの少し上方に人が浮いていた。
人は髪が長くて長い服か、大きい服を着ていて、ゆっくりと地面につく。
子供だが、美人で人の目を惹き付けていたのだ。
「こんにちは、初めましてナインと言います。」
声にうっとりとしている国民達と嬉しそうなアイの顔に別れた。
「さぁ、プレゼンを始めましょう。」
旅人の話しをホラ話しにしていた人々は、慌てふためく見張りの男に目を向けた。
「ぐ、軍隊だ!イグミサル皇国が攻めて来たぞ!」
その言葉を聞くと、人々は慌てて国王の所にかけて行った。
見張りの男は旅人に助けられながら、国王の元に急いでいた。
「村長!皇国が攻めて来たって!どうする!」
「戦争?」
「おら、死にたくねぇ。」
「勝てんのか?」
「「「「村長!」」」」
「バカこくでねぇ、芋植えんだからあっちさ行け!」
畑で汗をかきながら、頑張っている。
此が国王なのかと思う程の農家スタイルである。
だが国王の一言は重大で、農業は大地を作る鉱夫と同じぐらいに大事な事業でもある。蔑ろには出来ないのだ。
「仕事しろさ!いねぇ!」
鍬を田んぼに突き刺して畝を作っていく。重要な事は良い畝を作らないと大きい芋は育たない。
「そ、村長!皇国が、皇国が攻めて来ます!」
息も絶え絶えとしながらも大きな声が聞こえた。
「バカか!まだ分かんねぇか!」
声の方に振り向くと、見張りの男と肩を貸す旅人であることを認識する。見張りの男のボロボロの姿に驚いてしまう。
「な、おめぇ!どしたぁ!?」
慌てて駆け寄る村長に、
「攻めて来るだぁ、もの凄い数が来るだ!にげ・・・・」
と、男は力尽きたようだ。
「なして、なして!」
涙を流す村長に旅人は話しかけた。
「国王殿、落ち着いて。」
「落ち着いておけるきゃぁ!なじて、なじで!」
「だから、落ち着いて。この人死んで無いから。」
「うぐぐぅ。へっ?」
涙でグシャグシャになっていたのに、その涙が止まる。
「死んで無いから。ただ、気を失って寝ているだけだから。」
「あっ?へっ。死んで無い?」
良く見ると、男は苦悶した顔で胸が安定して動いていた。
「ばきゃー!アホだにゃー、疲れるだぁ!」
疲れた様に地べたに腰を降ろしてしまう。
「ま、それより、国王。」
「うんにゃ、そげな大層な呼び名でにゃぁで、村長ゆうてちょ。」
「では、村長。イグミサル皇国から一万八千程の兵が出ております。イエーガー侯爵、ブルックリン公爵、アフター公爵の三名が、各約六千の軍に別けて進行中です。」
「なっ!六千!だとしたら。」
「村は即座に潰されましょう。それも3つも。」
「なして!そったらごと!ワシら殺しても、こだな土地しかねえぞ!」
「今、皇国では砂漠化が進んでいます。その僅かな大地を手に入れる侵略を始めたのです。」
「この戦いが始めれば皇国で内乱が起きるでしょう。人が飢えだしていますから。」
「そんなぁ。」
「ここら以外は砂漠になる。その前に侵略を始めたのです。侵略が終われば少ない国力で神国に行く様ですよ、内乱を避ける為に。」
「争っても何も残らんのに。滅びろと。」
再び村長の瞳に水が集まる。
「そこで提案が有ります。」
「なんら!降るだけで終わんやろ!」
「降る?そんな事を提案しませんよ。」
「ほな、なんね?」
「引っ越しをしません?」
「はぁ?」
「引っ越しのご提案をしに来ました、村をいや、この国の引っ越しをしませんか。」
「へっ?」
「後でプランを皆様と決めましょう。其では皆様とお話をしてください。私も準備が有りますから。」
旅人は村長に笑顔を見せると、足早に何処かに消えたのだ。
村長の頭には、何故か真実であると理解していた。今直ぐに動かないと駄目だとも。
「いけん、直ぐに集めな。」
村長は必死に駆け出した。
夜の戸張が降りた頃に、大広場に国民が集まった。
先ずは、村長な王が事の次第を述べて、甦った見張り男が自身が見た行軍の様子を話して、村長が解った情報を伝えた。
其を聞いた国民の賛嘆な言葉と嘆きの言葉が響きわたった。
「鎮まれ!そこで不思議な提案を受けておる!旅人殿お願いする!」
村長の言葉に出てくる、旅人。
「旅人です。村長が普通の言葉を喋るのでビックリしてます。」
嘆いた人が一斉に笑い出す。
「「「「ほんまや!へんな村長じゃー!」」」」
「だまれ!おらだって王様みたいにできっど!馬鹿にするな!」
「「「「へんー!」」」」
笑いで不安が飛んだようだ。
「すみません、旅人のアイと言います。」
フードを取ると美男子が現れて女達が喜んで、男達が拗ねた。
「この体型は晒しで締め付けていますが、女性です。」
この言葉に男達が歓喜の声を上げてしまい、女性と少しギスギスしてしまう。
「私からのご提案は、ここを捨てて引っ越しをしませんか?です。」
「何処に行くんですか?」
「それはお楽しみですが、分からないと行けませんものね。」
好奇心で頷く一同。
「その前に、もう一方をご紹介したいと思います。」
ワクワクする国民は、笑顔で頷いていたが、
「では、ご登場です!」
アイが後ろに手を出すが、誰も出てこない。
痺れを切らした国民は、
「誰もいんが!」
「お、おい。」
怒りと驚きを同時に放つ国民達。
アイの少し上方に人が浮いていた。
人は髪が長くて長い服か、大きい服を着ていて、ゆっくりと地面につく。
子供だが、美人で人の目を惹き付けていたのだ。
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