転生国主興国記

hinomoto

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女子の言い分

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「あれー?」

「どうしたの、アシュビー。」

鉛筆で頭をかいているアシュビーと呼ばれた雌型はパソコンと書類を見比べている。

「何か一日分が無いのよ。」

「えっ?無くしたの?」

「そんな事無いんだけど、と。」

パソコンを食い入る様に見ているが分からない。

「待ちなさい、私も見てあげるから。」

「助かります、レットー先輩!」

と、喜ぶアシュビーと仕方がないと言う顔のレットーである。

「どれ、ふーん?出来高は上がってるのに一日だけが抜けている?抜けているのはー、って此れはー!」

「此れは!」

期待するアシュビー。
振り返るレットーは怒り一杯でアシュビーの頭を小突く。

「あだ!酷い先輩!」

「酷いじゃないわよ!見てみなさい!」

プリプリ怒るレットーに言われるまま見る。

「あ!」

「あんたねー、あれほど言ってたのにしなかったのね。」

「せ、先輩、怒らないで!」

「何をしてたの?!」

業火の如くのレットーを恐々戦線とした面持ちでアシュビーは思い出していた。
それは必死で思い出していた。

「思い出せない?」

レットーの一言で思い出したようだ。

「思い出しました、思い出しましたって、先輩!」

レットーは何時でも光輪を投げれる体制にいた。

「何を?」

「あ、あの日ですよ!ほら!」

「ん?」

「イルミナ様に企画書を認めてもらった日ですよ!」

「えっ!あれを通したの?」

「はい!」

「あれの構成って...」

「はい!子供の怒りと奉仕の比率です!」

「あんなものを!」

「テーゼさんにも怒られましたが、イルミナ様から怒りの矛先を加えて、再提出しました!」

「あぁ、イルミナ様絡みかー。うん。いいわ。」

レットーは呆れてしまう。
あれ程、関わるなと言っても従わない後輩に飽きていた。

「後は、自分で直しなさいよ。」

「はーい。」

アシュビーはデスクに戻るとパソコンに向かっていた。
鼻唄をならしながら、羽をパタパタさせていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


虐めを軽く考えてはいけない。
不倫のラリ状態と同じように、人の痛みも苦しみも分からない。
人に批判を受けても、注意を受けても虐めは止まらないのだ。
停まるとしたら、最初の虐めを停めて怒った時だけである。
一番恐いのは、人を虐めている所を無視しても、虐めは感染するのだ。無視をして停めない事に繋がる。
暴力をしだしたら、もう無駄である。
最後の最期を迎えるまで止まりはしない。
あの時停めていたらとかは言い訳で、人が酷いめを受けて終わったとしても、虐めは終わらない。
人の心に『虐め』が釣り針となり、深く返しで抜けないのだ。
虐めた人は後に子供や子孫に帰ってくるし、慈悲も無く最悪をもたらす事を知らないのだ。

「今日はあの子生きてたね。」

「回復魔法が有るから死なないよ。」

「あー、あの子が居るだけだ臭いよね?」

「「そうだよねー。」」

教室から笑いながら帰っていく。
既に教室に残って居るのはエイトとパリエッタ嬢と取り巻きの四人であった。
エイトは机を退かして掃除を始めた。
ノロノロと行うエイトに取り巻き達は荒ぶった。
パリエッタ嬢は無視をしていたが、顔は青い。
その内の一人がエイトに向かってナイフを投げつけたのだ。

「あー、当たらないわね。」

「次は私!あっ!動かないでよ!」

「うまーい、私!体に刺さったわよ。」

「次は、肩ー、胸にいっちゃた。」

辛辣にもエイトを心配する事もなく、的当てを楽しんでいる。
子供も大人も関係なく、『虐め』とは認識はしていない。
それは日常として、当たり前の事をする。
人がどうなろうとは思ってもいない。
彼女達は人を助け、人に優しく、人を愛するの精神はあるのだ。
ただ、エイトには通用していないのだが、それが悪い事の認識がずれているのだ。

エイトの体に十数本のナイフが刺さり、血の臭いが鼻についた。
パリエッタ嬢はおもむろに席を立ち、帰っていく。

「「「あぁ、私も帰ります!」」」

と後に続いた。
エイトは後片付けをしだした。
自分の体からナイフを抜き、回復魔法をかける。ナイフをタオルの上に全て乗せて、床の血溜まりを拭き取る。
そして教室の掃除をして、ナイフを磨いて其々の机の上に置いてから帰る。
当然、寮の入口は閉まり入れない。
人に見つからない様にして、眠りについた。

『終わりが近付きなしたね。』
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