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本章
エイトという少年
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砂漠を警戒していた兵は飽き飽きしていた。
毎日同じ風景を見ているし、軍隊の影も形も見たことがない。その為に飽きてしまい垂れてしまう。
その日も昼前に砂漠を見て昼飯を食べる予定だったので、気だるく見て、びっくりしてしまう。
人が倒れているからだ。
慌てて上官に知らせる。
「申告!人が倒れています!」
「なに!」
「砂漠方面に人が倒れているそうです!」
この時は幸運が重なったのだ。
いつもの意地悪な上官ではなく、人に優しい上官が昼の間、交代していたのだ。
「なんと、騎兵を出して救助に向かえ!」
「はっ!」
迅速に命令は遂行された。
砂漠では何が起こるか分からないが、何も起こらず救助が出来た。
戦闘も起こらず、無事に帰還する。
「救助班を!息があります!」
「こちらへ!」
タスキの様に医師に子供が渡される。
「女の子はどうだ!」
「心拍はある!よし!薬を!」
「飲ませる事ができません!」
「貸せ!」
薬ヒールポーションを含むと口移しで、体内に流し込んだ。
「どうだ!飲んだぞ!」
「良し!息が安定したな。この子を診察室に移動させるぞ!」
子供を抱き抱えて診察室に向かって行った。
残った隊員は自身の事を称えていた。
砦の兵は救った隊員を誉めた。
「良くやったな!しかし、街道を離れていたのに襲われなかったな!」
「はははは!日頃の行いだな!」
「だな!」
「しかし、あの子は何故街道を離れた場所に倒れたのだろう?」
「ま、助かったのだから、良いのではないか。」
「そ、そうだな!」
「でも、良く魔物が出なかったよ。」
「・・・・・・・」
話が止まってしまうほどに考えてしまうようだ。
「おーい、上官から褒美出るってよ。直ぐに取りに行けー。」
「「「はっ!」」」
直ぐに、兵達が其々の部所に戻って行った。
診察室では、男性禁制にて治療が行われていた。
身体の診察と治療する為、汲まなく調べる必要があった。
「まぁ!」
女医からの報告で男の子であることが分かった。
顔も姿も女性なのだが、性器で判別がついたのだ。
ただ、この時に関わった女医と看護婦2名は事あるごとに、この少年を手厚く看護という名の可愛がりを見せた。
トイレは遠慮されたが、着替えや食事、ご飯をかまうのは当たり前で、三人が代わる代わるついていた。
それと少年を助けた騎兵隊の人に、事ある毎に、
「まぁ、お、男で間違いないの?」
と聞かれたのは嫌であったが、基本は優しいので許している。
3日後には元気になり、上官の所に出向いたのである。
「デムスター兵長さん、いますか?」
扉越しだが、可愛らしい声がきこえる。
「入りたまえ。」
自分で入室の許可を出したが、いまだに信じられない位に可愛い少年が入ってくる。
兵長も男だで年も35才で子供も二人いるのに、胸の高鳴りは止まらなかった。
「失礼します。」
入ってくる少年を見ながら、悔やむ思いに駆られる自分を抑えて、
「元気になったようだね、エイトさん。」
と、ニコニコしているのだが、
「あの、年下なので呼び捨てか君を付けて頂けるとありがたいのですが。」
そう言うと、デムスター兵長は顔を赤くして、
「い、いや、うん。そ、そうだな。え、エイト君。」
「はい。」
間髪入れず返事が帰ってくるが、声は女性であり返事した顔にドキューと心をやられてしまう。
デムスター兵長は机にうつ伏してしまう。
「どうされました、デムスター兵長さん?」
「ご、ご心配なく!」
赤い顔や火照りはどうしようもないが、動悸を納める事に集中した。既に汗が湧き出てしまいどうする事も出来ない。
「そうですか。では改めて、この度は倒れていた所を助けて頂き、ありがとうございます。」
丁寧にお辞儀をしてお礼を述べる。
デムスター兵長の心は更に高鳴ってしまう。
「いや、礼など!そんな対した事もしてませんし、とにかく、どうか!どうか!」
何故か不自然な状態で立ち上がり喋る。
「あのー、デムスター兵長さん?」
「な、なんですかな。」
「何で頭を上げて、私を見てくれないのですか?」
「・・・・・・・・」
急に黙るデムスター兵長は口を真一文字につぐんでいた。
恥ずかしさ爆発状態であり、心の葛藤が凄かっただろう。
「えっと、お邪魔でしたね。すみません、下がります。」
失礼しましたと出ていくエイトと、やっと顔を挙げるデムスター兵長。
「ぷはっー!」
汗を流し、一気に疲れたのか椅子に雪崩れ込んでしまう。
「無理だったー。無理無理無理無理無理、普通に扱うこと出来ないよー。」
恐ろしく唸ってしまう。
扉が再びノックされて開いた。
「兵長!どうなされました?!」
入った兵士は兵長の姿に驚いてしまう。
「いや、ほらエイトさんが来たのだよ。」
その言葉にほっとする兵士。
「ご苦労様でしたね、兵長。」
「ありがとう。妻も子供も居るが、こんなに緊張してしまう事はないわ。」
汗に気がつきタオルで拭き取るが、汗は止まらない。
「兵長でも、無理でしたか。」
「無理。どうにも出来ない。エイトさんにお礼を頂いたから汗も動悸も止まらないよ。はははは。」
と、笑顔で返したが、兵士の雰囲気が変わる。
労をねぎらう顔から無表情に、穏和な雰囲気から殺気を纏う。
「デムスター兵長。」
「な、なにかなー。」
「お話しだけでなく、お礼ですか?」
「う、うん。」
「お礼を言われたのですか?」
「ま、まて!違うぞ!」
「はははは、お礼を貰ったんですか!そうですか!ロリコンは殺しましょう!」
「お、お前だって、話し掛けられただけで、鼻血を出してたくせに!」
「はははは!貴方を捕まえたら私の容疑も晴れるでしょう!」
「何を!返り討ちだ!」
男二人のつまらない戦いが起こってしまう。
兵長は知らない。
この兵はエイト親衛隊No.10であることを。
「羨ましい!」
「知らんわ!ボケが!」
争いが起きていた。
毎日同じ風景を見ているし、軍隊の影も形も見たことがない。その為に飽きてしまい垂れてしまう。
その日も昼前に砂漠を見て昼飯を食べる予定だったので、気だるく見て、びっくりしてしまう。
人が倒れているからだ。
慌てて上官に知らせる。
「申告!人が倒れています!」
「なに!」
「砂漠方面に人が倒れているそうです!」
この時は幸運が重なったのだ。
いつもの意地悪な上官ではなく、人に優しい上官が昼の間、交代していたのだ。
「なんと、騎兵を出して救助に向かえ!」
「はっ!」
迅速に命令は遂行された。
砂漠では何が起こるか分からないが、何も起こらず救助が出来た。
戦闘も起こらず、無事に帰還する。
「救助班を!息があります!」
「こちらへ!」
タスキの様に医師に子供が渡される。
「女の子はどうだ!」
「心拍はある!よし!薬を!」
「飲ませる事ができません!」
「貸せ!」
薬ヒールポーションを含むと口移しで、体内に流し込んだ。
「どうだ!飲んだぞ!」
「良し!息が安定したな。この子を診察室に移動させるぞ!」
子供を抱き抱えて診察室に向かって行った。
残った隊員は自身の事を称えていた。
砦の兵は救った隊員を誉めた。
「良くやったな!しかし、街道を離れていたのに襲われなかったな!」
「はははは!日頃の行いだな!」
「だな!」
「しかし、あの子は何故街道を離れた場所に倒れたのだろう?」
「ま、助かったのだから、良いのではないか。」
「そ、そうだな!」
「でも、良く魔物が出なかったよ。」
「・・・・・・・」
話が止まってしまうほどに考えてしまうようだ。
「おーい、上官から褒美出るってよ。直ぐに取りに行けー。」
「「「はっ!」」」
直ぐに、兵達が其々の部所に戻って行った。
診察室では、男性禁制にて治療が行われていた。
身体の診察と治療する為、汲まなく調べる必要があった。
「まぁ!」
女医からの報告で男の子であることが分かった。
顔も姿も女性なのだが、性器で判別がついたのだ。
ただ、この時に関わった女医と看護婦2名は事あるごとに、この少年を手厚く看護という名の可愛がりを見せた。
トイレは遠慮されたが、着替えや食事、ご飯をかまうのは当たり前で、三人が代わる代わるついていた。
それと少年を助けた騎兵隊の人に、事ある毎に、
「まぁ、お、男で間違いないの?」
と聞かれたのは嫌であったが、基本は優しいので許している。
3日後には元気になり、上官の所に出向いたのである。
「デムスター兵長さん、いますか?」
扉越しだが、可愛らしい声がきこえる。
「入りたまえ。」
自分で入室の許可を出したが、いまだに信じられない位に可愛い少年が入ってくる。
兵長も男だで年も35才で子供も二人いるのに、胸の高鳴りは止まらなかった。
「失礼します。」
入ってくる少年を見ながら、悔やむ思いに駆られる自分を抑えて、
「元気になったようだね、エイトさん。」
と、ニコニコしているのだが、
「あの、年下なので呼び捨てか君を付けて頂けるとありがたいのですが。」
そう言うと、デムスター兵長は顔を赤くして、
「い、いや、うん。そ、そうだな。え、エイト君。」
「はい。」
間髪入れず返事が帰ってくるが、声は女性であり返事した顔にドキューと心をやられてしまう。
デムスター兵長は机にうつ伏してしまう。
「どうされました、デムスター兵長さん?」
「ご、ご心配なく!」
赤い顔や火照りはどうしようもないが、動悸を納める事に集中した。既に汗が湧き出てしまいどうする事も出来ない。
「そうですか。では改めて、この度は倒れていた所を助けて頂き、ありがとうございます。」
丁寧にお辞儀をしてお礼を述べる。
デムスター兵長の心は更に高鳴ってしまう。
「いや、礼など!そんな対した事もしてませんし、とにかく、どうか!どうか!」
何故か不自然な状態で立ち上がり喋る。
「あのー、デムスター兵長さん?」
「な、なんですかな。」
「何で頭を上げて、私を見てくれないのですか?」
「・・・・・・・・」
急に黙るデムスター兵長は口を真一文字につぐんでいた。
恥ずかしさ爆発状態であり、心の葛藤が凄かっただろう。
「えっと、お邪魔でしたね。すみません、下がります。」
失礼しましたと出ていくエイトと、やっと顔を挙げるデムスター兵長。
「ぷはっー!」
汗を流し、一気に疲れたのか椅子に雪崩れ込んでしまう。
「無理だったー。無理無理無理無理無理、普通に扱うこと出来ないよー。」
恐ろしく唸ってしまう。
扉が再びノックされて開いた。
「兵長!どうなされました?!」
入った兵士は兵長の姿に驚いてしまう。
「いや、ほらエイトさんが来たのだよ。」
その言葉にほっとする兵士。
「ご苦労様でしたね、兵長。」
「ありがとう。妻も子供も居るが、こんなに緊張してしまう事はないわ。」
汗に気がつきタオルで拭き取るが、汗は止まらない。
「兵長でも、無理でしたか。」
「無理。どうにも出来ない。エイトさんにお礼を頂いたから汗も動悸も止まらないよ。はははは。」
と、笑顔で返したが、兵士の雰囲気が変わる。
労をねぎらう顔から無表情に、穏和な雰囲気から殺気を纏う。
「デムスター兵長。」
「な、なにかなー。」
「お話しだけでなく、お礼ですか?」
「う、うん。」
「お礼を言われたのですか?」
「ま、まて!違うぞ!」
「はははは、お礼を貰ったんですか!そうですか!ロリコンは殺しましょう!」
「お、お前だって、話し掛けられただけで、鼻血を出してたくせに!」
「はははは!貴方を捕まえたら私の容疑も晴れるでしょう!」
「何を!返り討ちだ!」
男二人のつまらない戦いが起こってしまう。
兵長は知らない。
この兵はエイト親衛隊No.10であることを。
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争いが起きていた。
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