上 下
16 / 55

15話 友達の家に行こう

しおりを挟む
「よし、ミミル帰るか」
「そうねーどっか寄る?」
  そんな事を話ながら廊下を歩いていると、調度ヘリックが教室から出てくる所だった。

「ヘリック、いま帰りか?」
「ああ、二人共。今日はどうやら妹が遊びに来るらしくてね、その迎えに」
「はぁー、妹いたのか」
「?うんいるよ、二人共、時間があるなら紹介したいんだけどいいかな?」
「俺は構わんよ、ミミルは?てミミル?」
   隣のミミルを見ると口をパクパクさせながら「姫様が来る?私達を?」とか言ってる大丈夫かコイツ……。

  しょうがないのでミミルをほっぺを手で挟み、グニグニとほぐしてやった。
「うまむにょ……てっ、なにするのよ!」
「お前が逝っちまってたから」
「だ、だって……何でコウタは平気なのよ……」
  全く友達の妹に会う位なんともないだろうに。


「あ!お兄様!」
「やぁ、ミリー久しぶりだね」
  豪華な馬車から降りて来たのは偉く可愛い子だった、もしかしてコイツの家系はイケメンと美少女しかいないのでは?

「お兄様、この方達は?」
「紹介するよ、こちらの女性はミミル・ランドール伯爵、そしてこっちがコウタだ」
「私はミリー・ギルバルド第三王女でございます、ランドール伯爵、コウタさんよろしくお願い致します」
「ミミルで大丈夫ですよ、ミリー王女殿下」
「ふふ、では私もミリーでいいですよミミルさん?」
「ではミリー様で」
「ふふ」
「コウタ?どうかしたのかい?」
「………」

  あれ?第三王女?妹?………まじ?
  やっべ、ヘリックってガチの王族か!どうしよう、今更か?いやでも、うおおおお!どうしよぅぅぅぅ!

「えっと、私がなにか気にさわる事を?」
「!いやいや、とんでもない!」
「どうしたんだい?コウタらしくない」
「あのさ……」
「うん?」
「ヘリックお前、本当に王族だったんだ……」
「………信じてなかった?」
「いやだって!王族がこんな王都から離れた所の学園に来るなんて思わないじゃん!なんかどっかの有名所の貴族なのかな~位にしか思わないじゃん!」
   そう捲し上げるとヘリックは苦笑、ミミルは呆れ、ミリー様と護衛の騎士は呆然、俺は焦っていた。



「落ち着いた?」
「おう、すまん……」
「コウタがヘリック様に普通に接してたのは勘違いしてたからなのね……」
「それは、ほら……もういいじゃん、ね?」
「ぷっ……楽しい人達ですねお兄様」
「うん、僕の大切な友達さ」
「で、ヘリックこの馬車どこに向かってるの?」
「僕の家だよ、ほらあれ」
「ん~……でっか」
「う~ん、やっぱり大きいよね、僕一人にこんな立派なのはいらないって言ったんだけど……」

   ヘリックの家らしい立派な屋敷が見えた、それこそ一瞬領主の屋敷かと思う位の家だ。

「お帰りなさいませ、ヘリック様」
「うん、ありがとう」
  執事とメイドが出迎えてくれた。
  マジの執事とメイドだぁ……魔法以上に感動してるかも………

「あ~……」
「どうかしたかい?」
「この二匹をどうしようかなって」

  バックの中にはメイルとレックスが気持ち良さそうに寝ている、それを見たミリー様が目を輝かせながら言った。

「連れて行っても大丈夫ですよね!お兄様?」
「うん、大丈夫だよ」
「そっか、よかった」

  執事の人がドアを開けてくれるとそこには外観に負けない位の空間があった、イメージとしてはバイオ1の屋敷みたいな内装だ。


「あ、あのコウタさんこの子達触っても?」
「ええ、別にいいですよ」
「ありがとうございます!わー、ふわふわ……」
  幸せそうに二匹と戯れ始めた、二匹も楽しそうだし平気だろう。

「……この紅茶美味いな」
「へぇ~コウタ紅茶の味なんてわかるの?」
「細かい感想は言えないけど美味いか不味いか位はな?」
「よかったよ、これで不味いなんて言われたらどうしようかと思ったよ」
「全然そんな風には見えないけどな……」
   一緒に出されたケーキも美味しかった。

「それにしても、ミリー様は動物が好きなんですね」
  今のミリー様は二匹と一緒にベットで添い寝をしてだらしない顔をしている。

「ふへへ……は!そ、そうですね動物は好きですよ、それとコウタさんお兄様を呼び捨てなんですから私もミリーでいいですよ?」
「お、そうかじゃあミリー宜しくな」
「た、躊躇わないのですね……」
「ヘリックに対して色々やったからな、今更呼び捨て位なんともないさ」
「開き直ったとも言えるわね………」
「おう、みんなも気楽にしていいぞ」
「あんたに敬意を表すところなんて無いけどね」
「なに?少なくてもミミルの胸には敬意を……」
「燃やすぞ」
「すんません」
「二人は随分仲良くなったね」
「まぁな~」
「そんな風に見えます?」
「うん、見えるよ………そうだ、コウタこの後体を動かしたいとは思わないかい?」
「なんだよ、突然……どっちでもいいけど」
「そうか、僕の護衛の騎士と模擬戦なんてどうかなって」
「え?別にいいけど」
「よかったよ、ルーフェス準備をしといて」
「ありがとうございます、ヘリック様、コウタ殿」
「は、はぁ……?」
「コウタ……」
「どうしたミミル」
「あの人が誰だか知ってる?」
「知らん」
「ルーフェス、近衛の副隊長だよ」
「ふぉ?」
「うん……頑張ってねコウタ」
  マジですか………
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。 楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。 初恋も一瞬でさめたわ。 まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。 離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...