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修行
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「大見え切ったはいいけどどう考えたってむりだよ」
そんな風にして弱音を口にしているムートはとぼとぼと家に向かう道を歩いていた。
魔鋼の強度はムートだってどれくらいか知っている、とてもではないがあんな適当に置いてあった鉄の剣でどうにかなるようなものではないのだ。
もしその常識を打ち破る方法が存在するのであれば、それはただただ剣を手にした人物の力量だろう。
自信なさげに肩を落とすムートの横で、にこりと笑みを浮かべながらディアーナは声をかける。
「自信がないなムート。私の指導がそんなに不安か?」
「不安だよ。ディアーナさんの指導があったとして、僕の筋力量じゃとてもじゃないけど魔鉱の塊なんて割れる気もしないし」
「大事なのはイメージさ、切れると思って切れば案外なんとかなるものだよ。それでその荷物は?」
天才特有の感覚論で慰めをかけていたディアーナは、ふとムートの荷物が気になったのか不思議そうな顔をしながら言葉を投げかけた。
ムートは基本的に購入したものを片っ端から自分の鞄に突っ込む癖があるので、ムートが鞄とは別に買い物袋を手に持っているというのはディアーナからしてみれば興味をそそるには十分である。
さきほど工業地帯で何かを見つけたのかふらりとどこかに行っていたムートが袋を持って帰ってきていたので、ディアーナはそれがどの店で買ったのかすら知らない。
「ああ、さっきちょっとついでに買ってきたんだ」
「中身がなんなのかみてもいいかい?」
「いいけど今日の晩御飯しか入ってないよ?」
中を見てみれば確かに中には食材がいくつか入っている、単純に鞄に入れなかったのは臭いが鞄に映るのを嫌がったからだろう。
もう少し何か面白いものが入っているものかと思っていたディアーナとしては拍子抜けではあるが、夜ご飯が良いものになるのであればディアーナとしてもうれしい限りである。
「うん、今日も美味しそうなご飯が食べられそうで重畳だ。良かった良かった」
「まぁ期待しないでまっててよ」
ムートの料理の腕前をもう知っているディアーナとしては、期待しない方が無理があると言うものだ。
何を作ってくれるのだろうかと言うワクワクした気持ちを持ちつつも、だが残念ながら今日から暫くはご飯を食べられなさそうだとも考える。
ムートはこれから魔鉱切るための特訓をしなければならない、料理を作ってもらっている時間も出来ればトレーニングに咲く必要があるだろう。
「それなんだが今日は私が料理を作ろうと思う。いまは時間がとにかく惜しいからな、今月の生活費を稼いだのも親方がああ言うだろうと思ってのことだ」
ディアーナが今日わざわざあの土精霊の元を訪れたのは、彼がその人物の素質を見抜く目があるからだ。
そしてディアーナも同じように彼に魔鉱を破壊する訓練をさせられた。
ディアーナの場合は期間が二日の上にもう少し難しい条件が取り付けられていたが、あの親方が一月だと言うのだからムートは一月でアレを割れるまでに成長できるのだろう。
「じゃあもしかして今日からずっと練習付けですか?」
「いやか?」
「まさか、ワクワクしてきましたよ」
修行漬けの日々はディアーナもよく送ったものだが、修行させる立場に回ると言うのは初めての経験なのでディアーナとしても楽しみである。
家までの道のりをゆっくりと帰りながら、特訓のメニューを考えるのだった。
「ただいま帰りました」
「ただいま。ムートお帰り」
「お帰りなさいディアーナさん。料理を任せていいのなら僕は先にお風呂に入ってきますね」
そんなことを考えていると案外道のりはそう遠くはないもので、気がつけばいつのまにかディアーナ達は家にたどり着いていた。
そそくさと着替えを取り出し下に向かうムートに対して、ディアーナはふと言葉をかける。
「これから汗を流すんだぞ?」
「ディアーナさんの前で汗臭いままなのも嫌なので」
照れ隠しのように笑みを浮かべるあたり本心からの言葉なのだろうが、そんな事を言われると意地悪したくなるのがディアーナの性根。
「現在進行形で君より汗をかいている私にそれを言うか、躾けてやらないといけないな」
「──ぼ、僕はとっとと風呂入ってきます!」
走り去っていくムートの背中を見て微笑みを浮かべつつ、ディアーナは人生で初めて厨房に立った。
(さて、料理だが……料理とは何をすればいいんだ?)
有名な冒険者の孫として、冒険者料理と言われるような料理は作り方を教えてもらっている。
だがそれらは切って、焼いて、食べるだけの料理とは到底呼べないようなものなので、さすがにそれをムートに出すと言うのもどうかと言ったところだ。
出来るならばムートのような料理を、それが無理でももう少し下の、街で食べられる程度の料理は作ってあげたい。
何か使えるものはないかと机の上にムートがおいた荷物の中を確認しながら、ディアーナは何が作れるかと考える。
(今日ムートが買ってきたのは鶏肉か。筋トレをするなら悪くない、ムートもさすがに考えているな)
筋トレをする事前提として買って来たのだろう、栄養価の高い食材が多く入った鞄の中を眺めながらディアーナは厨房の環境を確認する。
(料理に必要な調味料も綺麗に整えられている、これならばまぁ問題なく使えるだろう。常に携帯しているムートとしては珍しく置いていったバックの中身が気になるところだが、焦る事はない。
出会って二日でカバンの中身を探っているところを見られたら信用が損なわれかねないからな)
自制心で鞄の中身を覗くことを諦め、ディアーナは包丁を取り出して何を作るかと考える。
思い出すのは家で食べた様々な料理達、あれらは料理人が考えに考えて差し出していた料理だった。
それを少しでも真似することができれば良い味の料理を出すことだって難しくはない。
(鶏肉ならまぁ焼けばいいだろう。昨日ムートが確か肉に切れ目を入れていたか。魔猪は硬いからな、鳥は切るまでしなくていいだろうから…この鉄串で軽く穴でも開けてやれば味も染み込むだろう)
武装権現を使用して鉄串を取り出したディアーナは、肉を貫通させない程度にいくつか突き刺していく。
それであっているかは分からないがようは感覚である、感覚を信じて行えば自然と上手くいくだろう。
肉をフライパンの上に乗せ、油を敷き野菜を切って肉と共にサッと焼く。
汁物はさすがにもう残り物を飲んでしまうとまずいと思うので、別に汁物と適当な料理もいくつか用意しておく。
(自分で口にしておいてなんだが才能が怖いな、見様見真似なのにそれなりに美味しいものができたぞ。さすがにムートの料理には勝てないが…まぁ満足できる範囲だろう)
味見をしてみればどうだ、意外と味も悪くない。
見た目それなりのものを作れたことに喜びを感じつつ、ディアーナは仕上げに味を整えていく。
「~~♪ ~~~♪」
料理をしていると自然と鼻歌が出て来てしまうのは何故なのだろうか。
鍋をかき回しながら鼻歌を歌っていると、風呂から上がったムートから声がかかる。
「ディアーナさんもその歌しってたんですね。母がよく歌っていました」
「これは無病息災を願う歌だ、良い母君だったのだな」
冒険者として生きていく上で旅の無事を祈る歌を多く知っているが、この歌は旅に出た冒険者が残して来たものを思って安全を願う歌だ。
覚えられるほどにこの歌を聴いていたのなら、ムートの両親はそれだけムートの事を思っていたのだろう。
料理を机の上に並べながらディアーナは既にいなくなったムートの母のことを思う。
「ええ、両親は私の誇りです。それにしてもディアーナさん素晴らしい料理の腕前ですね、僕負けてしまったかもしれません」
「謙遜するな、料理の腕前は圧倒的にムートの方が上だよ。栄養価だけは考えて作った、まぁ食べてみてくれ」
「それじゃあいただきます。はむっ──すごい! 美味しいです!」
にむこりと笑みを浮かべてそう口にしたムートを見ていると、料理を作っただけなのに何かすごい事をしたような気持ちになる。
食べているムートの前に座るがディアーナは食事を手に持っていない。
「そうか。それは良かったよ安心した、私は味見で少しお腹が埋まってしまったのでね、遠慮せずに食べてしまってくれ」
「分かりました!」
味見は結構回数が必要であることがわかったので、これからはある程度回数も制御できるだろうが。今日ばかりはどうしようもなさそうだ。
みるみるうちに減っていく食材の姿を眺めながらムートの食べる姿を眺めていると、気がつけばあっという間に料理がなくなっていた。
「ふぅ、お腹いっぱいです。そろそろ始めますか?」
「そうだな。下に降りるか」
食べてすぐ動くのは体に悪いが、まぁそういう状況もこれから生きていく上で冒険者として過ごすなら多々あると思うので慣れるしかない。
一階へと降りて行き、物などを移動させながらなんとかある程度のスペースを確保すると、ディアーナはムートに木刀を手渡す。
「さて、ムート悪いが一度剣を振ってみてくれないか?」
「ええ良いですよ。少し離れていてくださいね」
木刀が当たる範囲から少し外れ、壁に背中を預けたディアーナはムートの剣を見定めるためその一挙手一投足にも注意を配る。
「──はっ!」
上段から振り下ろされた剣は、流れるように次の攻撃へと派生していく。
演舞とも呼ばれるソレは剣の腕前を見せるために王国などでも御前試合でよく行われる剣の腕の固辞であり、様々な流派の技が存在するこの世界ではその流派の数以上の演舞が存在する。
ムートが行った演舞はどこかで見たことのあるような、それでいて見た覚えもないようなそんな演舞であった。
矛盾する言葉ではあるがその意味はディアーナ自身がよく分かっている、そしてムートもおそらくソレに気付いているだろう。
「うん、上出来だ。よく鍛錬されていていいと思うよ」
「ディアーナさんに褒められるとなんだか照れますね、まだまだなのは分かっているんですが」
「そうでもないさ、いまでも魔鉱石に傷をつけるくらいならできるだろう。ただまぁそうだね、まずは真似事を止めるところからスタートかな」
どこかで見たことがあるようで、それでいて何処でも見たことのない理由はただ単純にムートのソレが他人の劣化した真似事でしかないからだ。
剣の道を開くには剣の全てを知る必要がある、それは常人には果てしなく、だからこそ人々は大衆化された教えを乞うために流派というものを教わりにいく。
他人から教わった技では英雄になれないと判断したムートの判断は間違えてはいないが、だからといって他人の良いところだけを適当に真似しているのでは劣化品の集合体、悪く言ってしまえばゴミが出来上がるばかりである。
「……よく気がつきましたね」
「君が何故補助士をしているのか、その理由くらい分かっているつもりさ。我流の構えを持つ者が多い冒険者達の動きを真似するなら、決まった流派の真似事よりも少しは様になって見えるからね」
冒険者の事をいままでよく観察して来たのだろうと言うことはよく分かった、それでいて足捌きなどは有名な流派に通じるところもいくつか見受けられたので、冒険者の中に流派のものが居たかもしくは流派の者の真似もしたのだろう。
一度見ただけでここまで真似できるのであれば大した才能だ。
「ただあれらは基礎ができていること前提の剣術だ、それに小さな体で大きな体の真似事をしようとしている弊害は隙の大きさに如実に出ている。
岩相手ならば問題ないかもしれないが目指すは最高位なんだろう? ならそれじゃあやっていけないよ」
「真似をやめる…真似を」
「深く考える必要はないよ。やめると言ってもイメージを消せばいいだけさ、同じ行動をするとして銀札や金札のイメージで戦っていれば完璧にコピーできてもそこまでしかいけない。
むしろそれよりも優れた行動を、優れた動きを、イメージしながらひたすらに剣を振るうんだ」
結局は殺し合わなければそれが正解かどうかなど判別がつくはずもない、だがいまディアーナがムートと剣を交えてその自信を完膚なきまでに叩き折ってしまえばそれこそ問題だ。
ならばいまは成功するまでひたすら同じ事を繰り返させる、何事も反復練習だ、出来るまでやればそれはいつか目を瞑っても可能なほどの児戯に変わる。
呼吸のように自然に、それでいて頭を動かすことは忘れずに。
そうすればムートはまだまだ伸びるだろう。
「分かりました。やってみます」
「まぁまず初日は無心で振るってみなよ、そうすれば何か見えてくるかもしれない」
/
「──とは言ったけれどね。早いことでもう六時間経つ、朝日が登るまで振り続けるきかい?」
正直ムートの根性を舐めていたと言っても間違いではないだろう。
帰って来たのが昼過ぎ、風呂に入ってご飯を食べた頃には日が沈みかけていた。
そこから六時間もの間ムートはひたすら剣を振り回していたのだ。
最初の頃と同じような速度で剣を振るう事が出来ているとはお世辞にも言えないが、確かにこの六時間の間ぽつぽつとディアーナがこぼしたヒントだけでムートは驚異的な成長を見せている。
「まだっ、全然っ、何もつかめてませんがっ、何かあと少しで見えそうな気がするんです!」
ディアーナに対して言葉を返している間であっても、ムートはひたすら剣を振るう。
(これは相当な凝り性だな、しかも隠し通していたようだけれどずば抜けてプライドと自尊心が高い。
それが他人に向いていないのはご両親の教育の賜物なのだろうね、自分の肉体への負担よりも技術に対する探究心が優っているが故か)
ディアーナの周りにはこう言った手合いの人物がよくいるのでその特性も理解しているつもりだ、自分の興味が尽きぬものに対して無類の集中力を誇り、満足がいくまでひたすら同じことを繰り返す人物達。
凝り性というのも詰めるところまで詰めれば病気と大差ない、どれだけ他人が止めようともこういった輩が止まることなどないのだ。
「それは結構な事だ。仕方がない、ほら剣をとって」
「わっ、ちょディアーナさん、近いです!」
「いいから。剣を握って目の前の全てを斬れると思い込むんだ、そうすればほんの一瞬だけ私と同じ景色が見える」
汗ばんだムートの体を気にすることなく後ろからその手を握りしめたディアーナは、かつて自分も父にされたのと同じように呼吸を合わせて自分の見ている世界をムートに幻視させる。
魔法の内の一つ、互いの感覚をリンクさせるそれはこう言った練習には最も適していた。
「全てが切れる……切れないものはない」
「そうだ。そのまま集中しろ、落とし込め。全てを感じ取るんだ」
「全てを感じとる…」
「そのままゆっくりと脱力し、一気に振り抜く!」
「はあっ!」
ディアーナの言葉に誘われたムートが徐々に達人が見える世界に足を踏み込んでいき、その限界に達したとディアーナが判断した瞬間に全てを爆発させる。
空を切っているのだがら先程まで何も変わらないはずの一振りであったが、剣を握っていたムートは先程のそれがいままでのとは違うことを肌で感じ取っていた。
「んー、まぁ及第点ってところじゃないかな。それを一人でできるようにならないと魔鉱は厳しいだろう。今日のところはここまでだ、私から先にお風呂に入るよ?」
他に方法はいろいろとあるが、もし剣術のみで魔鉱を斬り伏せたいのであればいまの高みに両足で立ってもらう程度のことはしてもらう必要がある。
「もちろん構いませんよ──ってもうこんな時間!? すいませんディアーナさん。こんな時間まで……」
「いいんだよ、常に考えながら動く人間の姿を見ていると言うのはなかなか面白い体験だった」
「そう言ってもらえると助かります」
時間に気がついて驚いていたムードだったが、ディアーナの反応を見て本当に嫌がってはいなさそうだと判断したのかにっこりと笑みを浮かべ素直に感謝の言葉を口にする。
こういうところが彼がリピーターを作る補助士になれる所以でもある、喋っていて気持ちの良い人物でなければ、どれだけ腕が立とうとも共に仕事なぞする気にもならない。
その点ムートはそう言った才能には恵まれている。
それから少し経って風呂にも入り今日1日でするべきことを終えたディアーナは解けるように布団で寝転んでいた。
「ディアーナさんあがりました」
「…んっ。そうか……いい風呂だったか?」
家主に対して風呂の良し悪しを聞くというのもなんだかおかしな話ではあるが、それに違和感を感じられないほどにいまのディアーナは眠気に負けてしまっている。
「ええ。おかげさまで、もう半分寝てますね」
「この時間まで起きたのは久しぶりだ…少し眠い。早くこいムート」
「僕にはこっちのベットがあるので」
両手を広げてとっとと寝るぞとムートを誘ったディアーナだったが、眠気に襲われほんの少しも開かない瞳の間からなんとか覗いてみればムートが何やら作業をしている。
いまさら同衾することに意義を申し立てる事自体驚きだ、上半身を起こし眠気を振り払うように頭を古い目を開けてみればなにやら面白いことをしているではないか。
「なにをいっ…て……は? なんだそれは」
「ハンモックです。今日ついでに買ってきたんですよ、もちろん二人のお金じゃなくて自分のお金でですよ──って痛い!? 何するんですか!」
「すまん、寝ぼけてハンモックの紐を切ってしまった」
寝ぼけたとは言ったが身長の2倍も近い槍を用いて、どこも傷つけずにハンモックの紐だけを切り落としたディアーナを前にし、落ちた衝撃で傷んだ腰をさすりながらムートは広義の声をあげる。
「随分と連日連夜寝ぼけるものですね! しかもまた引っ張られてるし」
「まぁそう邪険に扱わないでくれ。これでも寂しいんだ」
「……なんでもいいですよもう、僕の計画はおじゃんになったので」
「良かったな。私と寝られて」
ベットにムートを引き寄せて、ディアーナはゆっくりと眠りにつく。
一人より二人の方が落ち着くのは、きっと隣にいるのが相棒だからだろう。
「はいはい、おやすみなさいディアーナさん」
「おやすみムート」
微睡に沈んでいく意識を引き止めることもなく、ムート達は眠りにつく。
修行が本格的に始まるのは明日からである。
そんな風にして弱音を口にしているムートはとぼとぼと家に向かう道を歩いていた。
魔鋼の強度はムートだってどれくらいか知っている、とてもではないがあんな適当に置いてあった鉄の剣でどうにかなるようなものではないのだ。
もしその常識を打ち破る方法が存在するのであれば、それはただただ剣を手にした人物の力量だろう。
自信なさげに肩を落とすムートの横で、にこりと笑みを浮かべながらディアーナは声をかける。
「自信がないなムート。私の指導がそんなに不安か?」
「不安だよ。ディアーナさんの指導があったとして、僕の筋力量じゃとてもじゃないけど魔鉱の塊なんて割れる気もしないし」
「大事なのはイメージさ、切れると思って切れば案外なんとかなるものだよ。それでその荷物は?」
天才特有の感覚論で慰めをかけていたディアーナは、ふとムートの荷物が気になったのか不思議そうな顔をしながら言葉を投げかけた。
ムートは基本的に購入したものを片っ端から自分の鞄に突っ込む癖があるので、ムートが鞄とは別に買い物袋を手に持っているというのはディアーナからしてみれば興味をそそるには十分である。
さきほど工業地帯で何かを見つけたのかふらりとどこかに行っていたムートが袋を持って帰ってきていたので、ディアーナはそれがどの店で買ったのかすら知らない。
「ああ、さっきちょっとついでに買ってきたんだ」
「中身がなんなのかみてもいいかい?」
「いいけど今日の晩御飯しか入ってないよ?」
中を見てみれば確かに中には食材がいくつか入っている、単純に鞄に入れなかったのは臭いが鞄に映るのを嫌がったからだろう。
もう少し何か面白いものが入っているものかと思っていたディアーナとしては拍子抜けではあるが、夜ご飯が良いものになるのであればディアーナとしてもうれしい限りである。
「うん、今日も美味しそうなご飯が食べられそうで重畳だ。良かった良かった」
「まぁ期待しないでまっててよ」
ムートの料理の腕前をもう知っているディアーナとしては、期待しない方が無理があると言うものだ。
何を作ってくれるのだろうかと言うワクワクした気持ちを持ちつつも、だが残念ながら今日から暫くはご飯を食べられなさそうだとも考える。
ムートはこれから魔鉱切るための特訓をしなければならない、料理を作ってもらっている時間も出来ればトレーニングに咲く必要があるだろう。
「それなんだが今日は私が料理を作ろうと思う。いまは時間がとにかく惜しいからな、今月の生活費を稼いだのも親方がああ言うだろうと思ってのことだ」
ディアーナが今日わざわざあの土精霊の元を訪れたのは、彼がその人物の素質を見抜く目があるからだ。
そしてディアーナも同じように彼に魔鉱を破壊する訓練をさせられた。
ディアーナの場合は期間が二日の上にもう少し難しい条件が取り付けられていたが、あの親方が一月だと言うのだからムートは一月でアレを割れるまでに成長できるのだろう。
「じゃあもしかして今日からずっと練習付けですか?」
「いやか?」
「まさか、ワクワクしてきましたよ」
修行漬けの日々はディアーナもよく送ったものだが、修行させる立場に回ると言うのは初めての経験なのでディアーナとしても楽しみである。
家までの道のりをゆっくりと帰りながら、特訓のメニューを考えるのだった。
「ただいま帰りました」
「ただいま。ムートお帰り」
「お帰りなさいディアーナさん。料理を任せていいのなら僕は先にお風呂に入ってきますね」
そんなことを考えていると案外道のりはそう遠くはないもので、気がつけばいつのまにかディアーナ達は家にたどり着いていた。
そそくさと着替えを取り出し下に向かうムートに対して、ディアーナはふと言葉をかける。
「これから汗を流すんだぞ?」
「ディアーナさんの前で汗臭いままなのも嫌なので」
照れ隠しのように笑みを浮かべるあたり本心からの言葉なのだろうが、そんな事を言われると意地悪したくなるのがディアーナの性根。
「現在進行形で君より汗をかいている私にそれを言うか、躾けてやらないといけないな」
「──ぼ、僕はとっとと風呂入ってきます!」
走り去っていくムートの背中を見て微笑みを浮かべつつ、ディアーナは人生で初めて厨房に立った。
(さて、料理だが……料理とは何をすればいいんだ?)
有名な冒険者の孫として、冒険者料理と言われるような料理は作り方を教えてもらっている。
だがそれらは切って、焼いて、食べるだけの料理とは到底呼べないようなものなので、さすがにそれをムートに出すと言うのもどうかと言ったところだ。
出来るならばムートのような料理を、それが無理でももう少し下の、街で食べられる程度の料理は作ってあげたい。
何か使えるものはないかと机の上にムートがおいた荷物の中を確認しながら、ディアーナは何が作れるかと考える。
(今日ムートが買ってきたのは鶏肉か。筋トレをするなら悪くない、ムートもさすがに考えているな)
筋トレをする事前提として買って来たのだろう、栄養価の高い食材が多く入った鞄の中を眺めながらディアーナは厨房の環境を確認する。
(料理に必要な調味料も綺麗に整えられている、これならばまぁ問題なく使えるだろう。常に携帯しているムートとしては珍しく置いていったバックの中身が気になるところだが、焦る事はない。
出会って二日でカバンの中身を探っているところを見られたら信用が損なわれかねないからな)
自制心で鞄の中身を覗くことを諦め、ディアーナは包丁を取り出して何を作るかと考える。
思い出すのは家で食べた様々な料理達、あれらは料理人が考えに考えて差し出していた料理だった。
それを少しでも真似することができれば良い味の料理を出すことだって難しくはない。
(鶏肉ならまぁ焼けばいいだろう。昨日ムートが確か肉に切れ目を入れていたか。魔猪は硬いからな、鳥は切るまでしなくていいだろうから…この鉄串で軽く穴でも開けてやれば味も染み込むだろう)
武装権現を使用して鉄串を取り出したディアーナは、肉を貫通させない程度にいくつか突き刺していく。
それであっているかは分からないがようは感覚である、感覚を信じて行えば自然と上手くいくだろう。
肉をフライパンの上に乗せ、油を敷き野菜を切って肉と共にサッと焼く。
汁物はさすがにもう残り物を飲んでしまうとまずいと思うので、別に汁物と適当な料理もいくつか用意しておく。
(自分で口にしておいてなんだが才能が怖いな、見様見真似なのにそれなりに美味しいものができたぞ。さすがにムートの料理には勝てないが…まぁ満足できる範囲だろう)
味見をしてみればどうだ、意外と味も悪くない。
見た目それなりのものを作れたことに喜びを感じつつ、ディアーナは仕上げに味を整えていく。
「~~♪ ~~~♪」
料理をしていると自然と鼻歌が出て来てしまうのは何故なのだろうか。
鍋をかき回しながら鼻歌を歌っていると、風呂から上がったムートから声がかかる。
「ディアーナさんもその歌しってたんですね。母がよく歌っていました」
「これは無病息災を願う歌だ、良い母君だったのだな」
冒険者として生きていく上で旅の無事を祈る歌を多く知っているが、この歌は旅に出た冒険者が残して来たものを思って安全を願う歌だ。
覚えられるほどにこの歌を聴いていたのなら、ムートの両親はそれだけムートの事を思っていたのだろう。
料理を机の上に並べながらディアーナは既にいなくなったムートの母のことを思う。
「ええ、両親は私の誇りです。それにしてもディアーナさん素晴らしい料理の腕前ですね、僕負けてしまったかもしれません」
「謙遜するな、料理の腕前は圧倒的にムートの方が上だよ。栄養価だけは考えて作った、まぁ食べてみてくれ」
「それじゃあいただきます。はむっ──すごい! 美味しいです!」
にむこりと笑みを浮かべてそう口にしたムートを見ていると、料理を作っただけなのに何かすごい事をしたような気持ちになる。
食べているムートの前に座るがディアーナは食事を手に持っていない。
「そうか。それは良かったよ安心した、私は味見で少しお腹が埋まってしまったのでね、遠慮せずに食べてしまってくれ」
「分かりました!」
味見は結構回数が必要であることがわかったので、これからはある程度回数も制御できるだろうが。今日ばかりはどうしようもなさそうだ。
みるみるうちに減っていく食材の姿を眺めながらムートの食べる姿を眺めていると、気がつけばあっという間に料理がなくなっていた。
「ふぅ、お腹いっぱいです。そろそろ始めますか?」
「そうだな。下に降りるか」
食べてすぐ動くのは体に悪いが、まぁそういう状況もこれから生きていく上で冒険者として過ごすなら多々あると思うので慣れるしかない。
一階へと降りて行き、物などを移動させながらなんとかある程度のスペースを確保すると、ディアーナはムートに木刀を手渡す。
「さて、ムート悪いが一度剣を振ってみてくれないか?」
「ええ良いですよ。少し離れていてくださいね」
木刀が当たる範囲から少し外れ、壁に背中を預けたディアーナはムートの剣を見定めるためその一挙手一投足にも注意を配る。
「──はっ!」
上段から振り下ろされた剣は、流れるように次の攻撃へと派生していく。
演舞とも呼ばれるソレは剣の腕前を見せるために王国などでも御前試合でよく行われる剣の腕の固辞であり、様々な流派の技が存在するこの世界ではその流派の数以上の演舞が存在する。
ムートが行った演舞はどこかで見たことのあるような、それでいて見た覚えもないようなそんな演舞であった。
矛盾する言葉ではあるがその意味はディアーナ自身がよく分かっている、そしてムートもおそらくソレに気付いているだろう。
「うん、上出来だ。よく鍛錬されていていいと思うよ」
「ディアーナさんに褒められるとなんだか照れますね、まだまだなのは分かっているんですが」
「そうでもないさ、いまでも魔鉱石に傷をつけるくらいならできるだろう。ただまぁそうだね、まずは真似事を止めるところからスタートかな」
どこかで見たことがあるようで、それでいて何処でも見たことのない理由はただ単純にムートのソレが他人の劣化した真似事でしかないからだ。
剣の道を開くには剣の全てを知る必要がある、それは常人には果てしなく、だからこそ人々は大衆化された教えを乞うために流派というものを教わりにいく。
他人から教わった技では英雄になれないと判断したムートの判断は間違えてはいないが、だからといって他人の良いところだけを適当に真似しているのでは劣化品の集合体、悪く言ってしまえばゴミが出来上がるばかりである。
「……よく気がつきましたね」
「君が何故補助士をしているのか、その理由くらい分かっているつもりさ。我流の構えを持つ者が多い冒険者達の動きを真似するなら、決まった流派の真似事よりも少しは様になって見えるからね」
冒険者の事をいままでよく観察して来たのだろうと言うことはよく分かった、それでいて足捌きなどは有名な流派に通じるところもいくつか見受けられたので、冒険者の中に流派のものが居たかもしくは流派の者の真似もしたのだろう。
一度見ただけでここまで真似できるのであれば大した才能だ。
「ただあれらは基礎ができていること前提の剣術だ、それに小さな体で大きな体の真似事をしようとしている弊害は隙の大きさに如実に出ている。
岩相手ならば問題ないかもしれないが目指すは最高位なんだろう? ならそれじゃあやっていけないよ」
「真似をやめる…真似を」
「深く考える必要はないよ。やめると言ってもイメージを消せばいいだけさ、同じ行動をするとして銀札や金札のイメージで戦っていれば完璧にコピーできてもそこまでしかいけない。
むしろそれよりも優れた行動を、優れた動きを、イメージしながらひたすらに剣を振るうんだ」
結局は殺し合わなければそれが正解かどうかなど判別がつくはずもない、だがいまディアーナがムートと剣を交えてその自信を完膚なきまでに叩き折ってしまえばそれこそ問題だ。
ならばいまは成功するまでひたすら同じ事を繰り返させる、何事も反復練習だ、出来るまでやればそれはいつか目を瞑っても可能なほどの児戯に変わる。
呼吸のように自然に、それでいて頭を動かすことは忘れずに。
そうすればムートはまだまだ伸びるだろう。
「分かりました。やってみます」
「まぁまず初日は無心で振るってみなよ、そうすれば何か見えてくるかもしれない」
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「──とは言ったけれどね。早いことでもう六時間経つ、朝日が登るまで振り続けるきかい?」
正直ムートの根性を舐めていたと言っても間違いではないだろう。
帰って来たのが昼過ぎ、風呂に入ってご飯を食べた頃には日が沈みかけていた。
そこから六時間もの間ムートはひたすら剣を振り回していたのだ。
最初の頃と同じような速度で剣を振るう事が出来ているとはお世辞にも言えないが、確かにこの六時間の間ぽつぽつとディアーナがこぼしたヒントだけでムートは驚異的な成長を見せている。
「まだっ、全然っ、何もつかめてませんがっ、何かあと少しで見えそうな気がするんです!」
ディアーナに対して言葉を返している間であっても、ムートはひたすら剣を振るう。
(これは相当な凝り性だな、しかも隠し通していたようだけれどずば抜けてプライドと自尊心が高い。
それが他人に向いていないのはご両親の教育の賜物なのだろうね、自分の肉体への負担よりも技術に対する探究心が優っているが故か)
ディアーナの周りにはこう言った手合いの人物がよくいるのでその特性も理解しているつもりだ、自分の興味が尽きぬものに対して無類の集中力を誇り、満足がいくまでひたすら同じことを繰り返す人物達。
凝り性というのも詰めるところまで詰めれば病気と大差ない、どれだけ他人が止めようともこういった輩が止まることなどないのだ。
「それは結構な事だ。仕方がない、ほら剣をとって」
「わっ、ちょディアーナさん、近いです!」
「いいから。剣を握って目の前の全てを斬れると思い込むんだ、そうすればほんの一瞬だけ私と同じ景色が見える」
汗ばんだムートの体を気にすることなく後ろからその手を握りしめたディアーナは、かつて自分も父にされたのと同じように呼吸を合わせて自分の見ている世界をムートに幻視させる。
魔法の内の一つ、互いの感覚をリンクさせるそれはこう言った練習には最も適していた。
「全てが切れる……切れないものはない」
「そうだ。そのまま集中しろ、落とし込め。全てを感じ取るんだ」
「全てを感じとる…」
「そのままゆっくりと脱力し、一気に振り抜く!」
「はあっ!」
ディアーナの言葉に誘われたムートが徐々に達人が見える世界に足を踏み込んでいき、その限界に達したとディアーナが判断した瞬間に全てを爆発させる。
空を切っているのだがら先程まで何も変わらないはずの一振りであったが、剣を握っていたムートは先程のそれがいままでのとは違うことを肌で感じ取っていた。
「んー、まぁ及第点ってところじゃないかな。それを一人でできるようにならないと魔鉱は厳しいだろう。今日のところはここまでだ、私から先にお風呂に入るよ?」
他に方法はいろいろとあるが、もし剣術のみで魔鉱を斬り伏せたいのであればいまの高みに両足で立ってもらう程度のことはしてもらう必要がある。
「もちろん構いませんよ──ってもうこんな時間!? すいませんディアーナさん。こんな時間まで……」
「いいんだよ、常に考えながら動く人間の姿を見ていると言うのはなかなか面白い体験だった」
「そう言ってもらえると助かります」
時間に気がついて驚いていたムードだったが、ディアーナの反応を見て本当に嫌がってはいなさそうだと判断したのかにっこりと笑みを浮かべ素直に感謝の言葉を口にする。
こういうところが彼がリピーターを作る補助士になれる所以でもある、喋っていて気持ちの良い人物でなければ、どれだけ腕が立とうとも共に仕事なぞする気にもならない。
その点ムートはそう言った才能には恵まれている。
それから少し経って風呂にも入り今日1日でするべきことを終えたディアーナは解けるように布団で寝転んでいた。
「ディアーナさんあがりました」
「…んっ。そうか……いい風呂だったか?」
家主に対して風呂の良し悪しを聞くというのもなんだかおかしな話ではあるが、それに違和感を感じられないほどにいまのディアーナは眠気に負けてしまっている。
「ええ。おかげさまで、もう半分寝てますね」
「この時間まで起きたのは久しぶりだ…少し眠い。早くこいムート」
「僕にはこっちのベットがあるので」
両手を広げてとっとと寝るぞとムートを誘ったディアーナだったが、眠気に襲われほんの少しも開かない瞳の間からなんとか覗いてみればムートが何やら作業をしている。
いまさら同衾することに意義を申し立てる事自体驚きだ、上半身を起こし眠気を振り払うように頭を古い目を開けてみればなにやら面白いことをしているではないか。
「なにをいっ…て……は? なんだそれは」
「ハンモックです。今日ついでに買ってきたんですよ、もちろん二人のお金じゃなくて自分のお金でですよ──って痛い!? 何するんですか!」
「すまん、寝ぼけてハンモックの紐を切ってしまった」
寝ぼけたとは言ったが身長の2倍も近い槍を用いて、どこも傷つけずにハンモックの紐だけを切り落としたディアーナを前にし、落ちた衝撃で傷んだ腰をさすりながらムートは広義の声をあげる。
「随分と連日連夜寝ぼけるものですね! しかもまた引っ張られてるし」
「まぁそう邪険に扱わないでくれ。これでも寂しいんだ」
「……なんでもいいですよもう、僕の計画はおじゃんになったので」
「良かったな。私と寝られて」
ベットにムートを引き寄せて、ディアーナはゆっくりと眠りにつく。
一人より二人の方が落ち着くのは、きっと隣にいるのが相棒だからだろう。
「はいはい、おやすみなさいディアーナさん」
「おやすみムート」
微睡に沈んでいく意識を引き止めることもなく、ムート達は眠りにつく。
修行が本格的に始まるのは明日からである。
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