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序章
食事と準備
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ーーコンコンと扉が叩かれる音が下の階から聞こえてきて、菜月は眠りから目覚める。
いま菜月が寝ていた十二回層は、扉を使っての転移でも十一回層で止まるようになっているので、誰かが訪ねてきた場合は下の階層に先に着くような作りになっている。
おそらくメビウスがなん等かの理由で呼びにきたのだろうとは思うが、二度寝をして直ぐに動く気は起きず、同じく二度寝しているフィリスの体を軽く突く。
「やだぞ我は。主人が行けばいいじゃないか、自分でこんな面倒な作りにしたんだから」
「防犯面も考えつつ個室を確保しようとしたら、これくらいしかなかったんだから仕方ないだろ。これでも結構頑張った方だぞ」
「これで頑張った方? 冗談キツイぞ。チャイムの一つでもつけて扉の側に電話でもおいとけば、わざわざいかなくて済んだだろうに」
「その手があったか、、お前頭いいな」
「なんで自分が何かする時に限って、しょうもない失敗をするんだ主人は。他人の事をしているときはミスをしないのに」
「他の人の時は失敗したら大変だけど、自分のミスは自分が辛いだけだからね。そういうのもあるかも」
「ーー菜月様、失礼いたします。お食事の準備ができましたので、一回の食堂へ集まってください」
「うーい」
フィリスと菜月がお互いに下に行かせようと言葉を交わしていると、メビウスがいつのまにか上まで来ていた。
足音も立たせず、ハシゴを登った音も聞こえなかったので、おそらくジャンプしてこの場所まで来たのだろうが、そう考えるとかなりの身体能力だ。
戦闘用ではなくとも、それなりのステータスは持っているらしい。
呼び出すのにここまで来られてしまうとさすがに無視する事はできないので、素直に返事して着替えを始める。
「ーーーえっと、なんでまだ居るの?」
「主人に同行するのが私の仕事ですので」
菜月の純粋な疑問に対して、メビウスは首を傾げながらさも当然と言わんばかりにそう言った。
確かに貴族の人達は身の回りの世話もさせていたし、それが当然なのかもしれないが一平民である菜月からすれば、部屋の中に人がいるのは少々気になる。
「それは別にいいんだけど、着替え中は見られるの嫌だから離れててくれない?」
「なるほど、そういう事でしたら私は先に行かせていただきます」
狩衣は本来脱ぐのに結構面倒な着物なのだが、アメイジアではボタン一つで着脱できるように作成されているので着替えるのはかなり楽だ。
ストレージからいくつかある服装のうちなるべく楽そうなものを選択し、それにボタン一つで着替えて一階層へと向かう。
一階層へと繋がった扉を押し開き地図上に表記された食堂の方へと向かっていくと、仲間たちの楽しそうな声が奥から聞こえてくる。
「昨日夜寝ていた時にちっこい龍が部屋の外にいて驚いたよ。高いところを飛ぶのもいいがやっぱり俺は地面の中が一番だな」
「そう言って土の中に潜んでばかりいるから、ファンから土竜だなんだの言われるのだぞ。それにしても龍か…戦ってみたいな」
「誰彼構わず勝負挑むのやめなよーーあ、おっはよーギルマス! 二日目の朝だね! どう? 何か今日したい事とかある?」
一番最初に菜月を見つけこちらに言葉を投げかけてきたのは、扉に対して顔を向けていたアルライドだ。
どうやら菜月が一番遅れてここにきていたようで、ギルドメンバーとレイネス達はすでに到着していた。
全員昨日までと違う服装をしているが、概ねテーマ自体は変わっていないようだ。
バロンは今まで通り炭鉱夫の様な見た目をしており、アルライドはかなり楽そうな服を着ている。
雷蔵は甚平、霊主だけは昨日よりも更に厚着をしており、確か唐衣と呼ばれるものだっただろうか。
あの服の一枚一枚に信じられないほどの防御系魔法とエンチャントが付与されており、どんな外敵からでも身を守る程の防御性能を誇っているといつか彼女が言っていたのを思い出す。
その分攻撃に対する補正は0に近いらしいので、使い勝手はそれほどよくないらしいが。
「現地人との交流を測りたくはありますね。とはいえ人類種と交流するか、そもそもそれ以外が存在するのかも分からないのでまだ決めてはいませんが」
「龍種なんてどうだ? これだけ空を飛び回っているんだ、小さい龍もどきも昨日やってきたし、龍もそろそろやってきてもおかしくはないだろう」
「人間の国の上につけてみるとか? 反応を見れば向こうがこれだけの超級重量物を浮かすだけの力を持つかもわかるし、それに相手の出方次第では好戦的なのかとかも分かると思うんだけど」
「もしそれで相手が本物の強者だった場合、ギルドホームが危ないからそれはダメでしょ」
「なら数人単位でグループを作って、街に潜入してみるとか…どう?」
「ハーちゃんその服で行くのは無理だから、行くとしたら着替えてから行こうね?」
「…ん? なんで? これカッコいい…!」
そう言って背中に大きく書かれた文字を周りに見せるハーミルンを見て、菜月含め他のギルドメンバーは苦笑いを浮かべる。
彼女の着ているTシャツの背中には大きく神エイムと筆字で書かれており、正直言って服は楽なものならなんでもいいと思っている菜月でも、あれは着たくはないと思えるほどだ。
「ええっと、、なら街に潜入する所から計画練っていきますか。とりあえず昨日してなかったからレイネス達ちゃんと全員自己紹介お願いね」
「分かりましたーーでは私から。私の名前はレイネス・トマス・ムーン、コピー元は菜月殿です。一応は戦闘用NPCの指揮役として立ち回らせてもらっています。戦闘方法などは菜月殿と全て同じと考えていただければ、それでよろしいかと」
「次は私ですね。私の名は如月鶯。雷蔵殿のコピーとして作成されました。私は性別が変わっているので、人格形成段階において差異が発生し、雷蔵殿とはかなり違う人格に育ちました。戦闘系能力は雷蔵殿と同じですが、雷蔵殿の剣技を幾分か犠牲にし補助魔法を使用可能になっています」
「私はライム・スピル・ズベリ! アルライドさんのコピーで、人格形成段階においては、双子をコンセプトとして育てられました! 自分でパズルを解く攻撃方法よりも、他人がパズルを解いた際の特殊攻撃能力を自身の力として扱う方が得意です!」
「次は私ですね。私の名前はエマ・ベイカー、コピー元はハーミルンさんです。能力構成なども含めおおよそはハーミルンさんと同じです」
「えっと、僕は霊主さんの性格から形成されたAI。名をアートと言います。えっと…アニメとか漫画とかはよく分かりませんが、絵を描くのは好きです!」
「アートさんそれ言わない方が…僕はバロンさんのコピーとして産み落とされたマティーニ・リシュブールと申します。皆様どうぞお見知り置きを」
レイネスの説明は無しとして、鶯の見た目は少々若めで和風姿の女の子と言った感じだ。
気が強そうな様には見えないが、真は通っていそうな空気を持っている。
次にライムは双子をコンセプトとして作られたと言うだけあって、アルライドに雰囲気がよく似ている。
身長も同じ程度だし、うっすらと金色の髪色をしているアルライドに対して、彼女は銀色がかった髪をしているが、身体的な特徴もかなり近いのかもしれない。
これから会話を重ねていくうちに、アルライドとは本当の双子の様になるのだろう。
エマは口下手なハーミルンとは違い、割とハキハキと喋れているのでそう言った部分はコピーされなかった様だ。
霊主のコピーであるアートの見た目はかなり中性的で、少年のようにも少女の様にも見える。
変装などさせてみれば、かなりの確率で男を騙せそうだなと思っていると、自身のコピーがオタク趣味を理解できなかったことがよっぽど堪えたのか、視界の端で霊主が沈んでいた。
(ご愁傷様です)
最後にバロンのコピーとして生み出されたマティーニだが、五十代近いバロンの見た目に対してマティーニは二十代前半くらいの様に見え、雰囲気も相まって親子の様に見えなくもない。
こうしてみればそれぞれに何かしら大元となった人物の面影があり、コピーだからそれが当たり前なのはわかっているが、肉体を捨て血の繋がった家族というものを捨てた菜月からすれば、血の繋がりよりも深い繋がりで繋がるNPCには感慨深いものがある。
「皆様、双方共に紹介は終わった様ですので今から食事にいたします。席に着きお待ちくださいませ」
「「はーい」」
「早速あそこの二人は仲良いわね。私のコピーなんてオタク趣味すら理解してくれなかったのに!」
「えっと、あの、すいません…」
「贅沢言わない。それにそのうち慣れるから大丈夫だし、そんな事で責めるの良くない…」
「それは本当にそうなんだけどごめんねなんだけど! っていうかその自信はどこからくるものなの!?」
「私はもう慣れたから…ね、エマ」
「ええ。もちろんです」
「…納得いかないよ。もうこうなったら染めるしか」
彼女達がコピーとの関係性について話している間にも、菜月達の前になメイド達によって作られた料理が所狭しと並べられていく。
昨日の夕方にメイド長から一部アイテムに関する使用権限を要求されたのは、料理の為だとは分かっていたが、それにしてもこれほど大量の料理が出てくるとは予想もしていなかった。
ギルドの中で短期間の内に食料が必要なのは人間種である菜月だけなのだが、戦闘などカロリーを多く消費する様なことをすれば他のメンバー達も同じくらいの頻度で食事が必要になる。
昨日丸一日何も食べていないので、朝とはいえ目の前に並べられたこの食事の量は妥当というところだろう。
「それじゃあいただきます」
「いただきまーす。それでどうするのギルマス? 最終判断はおまかせだけど」
「ハーミルンさんの言っていた案を原案として、僕なりに考えてみました。今から僕等が下に降りるのもアリですが、ここは師団のメンバーを半分ほど割いて周辺地域その他諸々を探ってきてもらおうかと」
敵の戦力がどれほどか判明していない現段階では、菜月達はこの場を動かない方が賢明だと判断したからだ。
ギルドホームが落とされてしまえば菜月達は所持している物資の多くを失ってしまうし、一番の問題としては復活地点の消失だ。
アメイジア内では一部条件をクリアした場合に限り蘇生する事が可能で、そのうち最も簡単な蘇生条件がギルドホームでの復活であり、そのギルドホームをなくしてしまえば最悪蘇生ができなくなる。
なんとしてもこの場所を落とされるわけにはいかないのだ。
「なるほどね、確かに昨日戦った感じからしてかなり強そうだったし、あれなら多少無茶させても問題ないか」
「レイネス達近衛兵は、もし師団のメンバーが戦闘になって危なそうになったら急行できる様に、しっかりと準備しておいてね」
「了解致しました」
「メビウスは下に降りるメンバーの組み分けをお願い。なるべく犠牲者を出さない様に小隊規模で動く様にしておいて」
「即時取り掛かります」
会話をしている間にいつのまにか目の前にあった大量の食物は消えていき、からの皿が菜月達の前に並んでいく。
メイド達が空いた皿を持って行くのを眺めながら、菜月は手持ちにある武具類を一覧として出し、レイネスの服装を見つつスクロールする。
「えっと、どうしました? 菜月さん」
「菜月で構わないよ、君の装備どうしようかと思ってね」
「えっ、菜月呼びでいいの? もーそう言うことなら早く言ってよ菜月ー! 僕もライムの装備決めてあげないとねー」
「アルライドさんに菜月って呼ばれるの新鮮で良いですね。実はこれ僕の本名なんですよね、今初めて言いますけど」
「ーーーーどゆこと、っていうか、、え!?」
「普通に考えて…名前的にそのままなのは分かりやすい」
「違うよハーちゃん、あれは名前がそのままなのに驚いたんじゃなくて、多少不機嫌になられること覚悟で名前呼びしたら、意外と喜ばれたから思考が追いつかない哀れなショタだよ」
「ショタ言うな! 軽い流れで呼んじゃったけど、本当に菜月って呼んでいいの? 嫌じゃない?」
「ええ。むしろ嬉しいですよ? アルライドさん」
食後の紅茶を飲みながら純粋な笑みを浮かべる菜月に対して、アルライドの表情は喜びと本当に呼んでいいのかと言う疑問が入り混じった微妙な表情を浮かべていた。
彼等が知り合って長い年月が経つが、菜月は基本的に誰と喋る時も敬語を使うようにしているので、アルライドも菜月に合わせて口調を軽くはしていたものの線を一本引くようにしていたのだが、その線を彼自身が超えてきてくれたのだ。
アルライドからすればこれほど嬉しい事は無い。
「ならこれからギルド内で敬語とかもうなしでいい感じ?」
「別にいいと思うよ? 俺も堅苦しいのはそこまでだからな、誠意を持って相手するのは大事なことだが」
「じゃあさん付けとかもなくそっか。にしても、なんでなっちゃんいきなり良いって言い出したの?」
「だって前まではもしかしたらギルド脱退されるかも…って恐怖感がありましたから」
仲間達のことを疑っているわけではない。
だが人間の感情とは移ろい行くもので、数日前まで仲の良かったものだろうと少しのきっかけで急に豹変することがある。
それを知っているからこそ菜月は他人を恐怖し、仲のいい者達が自分から離れていくことを極端に怖がっている。
「菜月殿はいちいち気にし過ぎだ。その程度で切れる縁ならば、その程度だったと言う事だ機にするほどのことじゃない」
「そうやって雷蔵さんみたいに割り切れるほど、僕まだ人間として成熟してないんですよ」
「菜月が楽しそうで僕も嬉しいよ。気持ちはわかるからね」
「レイネスその爽やか騎士感出すのやめろ、騎士様装備にするぞ」
「そうされてもいまと大差ないのだがね」
(え、誰もなっちゃんの闇に触れないの? こっちの世界来たから逃げられないから積極的にしだすとか闇だよ? いいのこれ? あれ、私がおかしいの?)
一人だけ菜月の闇に気づき青ざめている霊主を除き、他のギルドメンバー達は敬語という枷が取り払われた事がかなり良かったようで、先程までよりもどこかさらに仲良くなれたような気がする。
「じゃあレイネス立って、もう決まったから」
レイネスの装備変更権限は菜月が持っているので、持っているアイテムから必要だろうと思う物をレイネスに与えていく。
人間種は身につけることができる装備の数が全種族中最大という特徴があり、上手く特化構成を組めば亜人種の特化構成すらも上回る火力を手に入れることができる。
頭、胴、腕、腰、足、腕につける装飾×2足につける装飾×2指輪が10本にネックレスで合計19個の装飾をつけることができる。
上から聖骸布シリーズ、ドラウプニル×2創生神のミサンガ×2対属性用効果のある指輪が五つ、転移用指輪が一つ、残り四つは基礎属性の魔法が込められた指輪だ。
武器レアリティは神越兵装、神話兵装、伝説兵装、民話兵装、一般兵装、の五段階なのだが、聖骸布シリーズは神話兵装なのでかなり上位に位置する装備だ。
神越兵装には及ばないが、それでも高レアリティアイテムにふさわしいだけの仕事はしてくれる。
「これは聖骸布ですか、、もっといいのあるでしょうに。貴方が普段着用してる神堕ろしの狩衣とか貸してくださいよ」
「あれアメイジアサーバー内で百人しか持ってない、超激レアアイテムだぞ。そんなホイホイ貸せるか、俺もこの装備でこれから過ごすつもりだしな」
安全面を考えるのならば例えギルドホームにいようとも狩衣を着ていた方がいいのだろうが、未知の能力などで装備を取られた時のことを考えると、あんまり着用したくない。
聖骸布ももちろん取られればかなりの痛手ではあるが、これ以下の装備を身につけた場合強敵と出会ったときまともに戦う事が困難になるので妥協するしかないだろう。
「ギルマス何気に運いいよねー。狩衣以外にも雷蔵さんにあげたあの刀とか、僕にくれたアレとかサーバーにいくつあるのか分からないレアアイテムだしね。確か雷蔵さんが世界大会優勝賞品でもらったあれと同じくらい強いんでしょあの刀…っと、はいこれで終わり!」
「ありがとうアルライド! どう? 似合ってる?」
「うん、似合ってるよライム。秘蔵にしてたドレスがこんなところで役に立って良かった」
「あーちゃんどこでそのドレス手に入れたの? ピンクのフリフリした可愛いやつなんて、ちゃんとしたお店じゃないと手に入らないよね?」
「バロンに渡されたんだよ、お前なら似合うから~って」
「俺がかぁ!? 嘘だろ?」
「良い声で叫ぶな、本当だよこの前呑んだくれてた時に渡されたの、未だに忘れてないからね。ネットニュースにもなったし…」
珍しく少し怒っているアルライドだが、確かにいまライムが着ている服装を見れば、怒るのも仕方がないように思えた。
全体的には紺色で装飾も少なく派手さは無いのだが、なにぶん一番凄いのはスカートのフリフリ具合だ。
ライムを見て菜月が一番最初に頭の中に浮かんだ言葉が魔法少女だった、と言えばその服装のすごさがわかるだろうか。
この服装をアルライドがしていたと思えば、なるほどネットニュースになるのも無理はない。
「主人、部隊の編成が完了しました。いつでも出発可能です」
「なら門を出てすぐの所に待機させておいて」
「どうして待機させておくの? 出発するだけならすぐでしょ?」
「顔合わせとかしたいし、装備も渡したいしね」
「そう言う事なら俺の装備で余っているやつも渡したいし、俺もついて行こうかな」
「ならいっそのことみんなで行こうか。ご馳走様でした! ほら行こ行こ!」
アルライドに手を引っ張られながら、菜月は外へ向けて駆け出していく。
数千人の前での演説など人生初めての事で、少し緊張しながらも菜月は門の方へと向かうのだった。
いま菜月が寝ていた十二回層は、扉を使っての転移でも十一回層で止まるようになっているので、誰かが訪ねてきた場合は下の階層に先に着くような作りになっている。
おそらくメビウスがなん等かの理由で呼びにきたのだろうとは思うが、二度寝をして直ぐに動く気は起きず、同じく二度寝しているフィリスの体を軽く突く。
「やだぞ我は。主人が行けばいいじゃないか、自分でこんな面倒な作りにしたんだから」
「防犯面も考えつつ個室を確保しようとしたら、これくらいしかなかったんだから仕方ないだろ。これでも結構頑張った方だぞ」
「これで頑張った方? 冗談キツイぞ。チャイムの一つでもつけて扉の側に電話でもおいとけば、わざわざいかなくて済んだだろうに」
「その手があったか、、お前頭いいな」
「なんで自分が何かする時に限って、しょうもない失敗をするんだ主人は。他人の事をしているときはミスをしないのに」
「他の人の時は失敗したら大変だけど、自分のミスは自分が辛いだけだからね。そういうのもあるかも」
「ーー菜月様、失礼いたします。お食事の準備ができましたので、一回の食堂へ集まってください」
「うーい」
フィリスと菜月がお互いに下に行かせようと言葉を交わしていると、メビウスがいつのまにか上まで来ていた。
足音も立たせず、ハシゴを登った音も聞こえなかったので、おそらくジャンプしてこの場所まで来たのだろうが、そう考えるとかなりの身体能力だ。
戦闘用ではなくとも、それなりのステータスは持っているらしい。
呼び出すのにここまで来られてしまうとさすがに無視する事はできないので、素直に返事して着替えを始める。
「ーーーえっと、なんでまだ居るの?」
「主人に同行するのが私の仕事ですので」
菜月の純粋な疑問に対して、メビウスは首を傾げながらさも当然と言わんばかりにそう言った。
確かに貴族の人達は身の回りの世話もさせていたし、それが当然なのかもしれないが一平民である菜月からすれば、部屋の中に人がいるのは少々気になる。
「それは別にいいんだけど、着替え中は見られるの嫌だから離れててくれない?」
「なるほど、そういう事でしたら私は先に行かせていただきます」
狩衣は本来脱ぐのに結構面倒な着物なのだが、アメイジアではボタン一つで着脱できるように作成されているので着替えるのはかなり楽だ。
ストレージからいくつかある服装のうちなるべく楽そうなものを選択し、それにボタン一つで着替えて一階層へと向かう。
一階層へと繋がった扉を押し開き地図上に表記された食堂の方へと向かっていくと、仲間たちの楽しそうな声が奥から聞こえてくる。
「昨日夜寝ていた時にちっこい龍が部屋の外にいて驚いたよ。高いところを飛ぶのもいいがやっぱり俺は地面の中が一番だな」
「そう言って土の中に潜んでばかりいるから、ファンから土竜だなんだの言われるのだぞ。それにしても龍か…戦ってみたいな」
「誰彼構わず勝負挑むのやめなよーーあ、おっはよーギルマス! 二日目の朝だね! どう? 何か今日したい事とかある?」
一番最初に菜月を見つけこちらに言葉を投げかけてきたのは、扉に対して顔を向けていたアルライドだ。
どうやら菜月が一番遅れてここにきていたようで、ギルドメンバーとレイネス達はすでに到着していた。
全員昨日までと違う服装をしているが、概ねテーマ自体は変わっていないようだ。
バロンは今まで通り炭鉱夫の様な見た目をしており、アルライドはかなり楽そうな服を着ている。
雷蔵は甚平、霊主だけは昨日よりも更に厚着をしており、確か唐衣と呼ばれるものだっただろうか。
あの服の一枚一枚に信じられないほどの防御系魔法とエンチャントが付与されており、どんな外敵からでも身を守る程の防御性能を誇っているといつか彼女が言っていたのを思い出す。
その分攻撃に対する補正は0に近いらしいので、使い勝手はそれほどよくないらしいが。
「現地人との交流を測りたくはありますね。とはいえ人類種と交流するか、そもそもそれ以外が存在するのかも分からないのでまだ決めてはいませんが」
「龍種なんてどうだ? これだけ空を飛び回っているんだ、小さい龍もどきも昨日やってきたし、龍もそろそろやってきてもおかしくはないだろう」
「人間の国の上につけてみるとか? 反応を見れば向こうがこれだけの超級重量物を浮かすだけの力を持つかもわかるし、それに相手の出方次第では好戦的なのかとかも分かると思うんだけど」
「もしそれで相手が本物の強者だった場合、ギルドホームが危ないからそれはダメでしょ」
「なら数人単位でグループを作って、街に潜入してみるとか…どう?」
「ハーちゃんその服で行くのは無理だから、行くとしたら着替えてから行こうね?」
「…ん? なんで? これカッコいい…!」
そう言って背中に大きく書かれた文字を周りに見せるハーミルンを見て、菜月含め他のギルドメンバーは苦笑いを浮かべる。
彼女の着ているTシャツの背中には大きく神エイムと筆字で書かれており、正直言って服は楽なものならなんでもいいと思っている菜月でも、あれは着たくはないと思えるほどだ。
「ええっと、、なら街に潜入する所から計画練っていきますか。とりあえず昨日してなかったからレイネス達ちゃんと全員自己紹介お願いね」
「分かりましたーーでは私から。私の名前はレイネス・トマス・ムーン、コピー元は菜月殿です。一応は戦闘用NPCの指揮役として立ち回らせてもらっています。戦闘方法などは菜月殿と全て同じと考えていただければ、それでよろしいかと」
「次は私ですね。私の名は如月鶯。雷蔵殿のコピーとして作成されました。私は性別が変わっているので、人格形成段階において差異が発生し、雷蔵殿とはかなり違う人格に育ちました。戦闘系能力は雷蔵殿と同じですが、雷蔵殿の剣技を幾分か犠牲にし補助魔法を使用可能になっています」
「私はライム・スピル・ズベリ! アルライドさんのコピーで、人格形成段階においては、双子をコンセプトとして育てられました! 自分でパズルを解く攻撃方法よりも、他人がパズルを解いた際の特殊攻撃能力を自身の力として扱う方が得意です!」
「次は私ですね。私の名前はエマ・ベイカー、コピー元はハーミルンさんです。能力構成なども含めおおよそはハーミルンさんと同じです」
「えっと、僕は霊主さんの性格から形成されたAI。名をアートと言います。えっと…アニメとか漫画とかはよく分かりませんが、絵を描くのは好きです!」
「アートさんそれ言わない方が…僕はバロンさんのコピーとして産み落とされたマティーニ・リシュブールと申します。皆様どうぞお見知り置きを」
レイネスの説明は無しとして、鶯の見た目は少々若めで和風姿の女の子と言った感じだ。
気が強そうな様には見えないが、真は通っていそうな空気を持っている。
次にライムは双子をコンセプトとして作られたと言うだけあって、アルライドに雰囲気がよく似ている。
身長も同じ程度だし、うっすらと金色の髪色をしているアルライドに対して、彼女は銀色がかった髪をしているが、身体的な特徴もかなり近いのかもしれない。
これから会話を重ねていくうちに、アルライドとは本当の双子の様になるのだろう。
エマは口下手なハーミルンとは違い、割とハキハキと喋れているのでそう言った部分はコピーされなかった様だ。
霊主のコピーであるアートの見た目はかなり中性的で、少年のようにも少女の様にも見える。
変装などさせてみれば、かなりの確率で男を騙せそうだなと思っていると、自身のコピーがオタク趣味を理解できなかったことがよっぽど堪えたのか、視界の端で霊主が沈んでいた。
(ご愁傷様です)
最後にバロンのコピーとして生み出されたマティーニだが、五十代近いバロンの見た目に対してマティーニは二十代前半くらいの様に見え、雰囲気も相まって親子の様に見えなくもない。
こうしてみればそれぞれに何かしら大元となった人物の面影があり、コピーだからそれが当たり前なのはわかっているが、肉体を捨て血の繋がった家族というものを捨てた菜月からすれば、血の繋がりよりも深い繋がりで繋がるNPCには感慨深いものがある。
「皆様、双方共に紹介は終わった様ですので今から食事にいたします。席に着きお待ちくださいませ」
「「はーい」」
「早速あそこの二人は仲良いわね。私のコピーなんてオタク趣味すら理解してくれなかったのに!」
「えっと、あの、すいません…」
「贅沢言わない。それにそのうち慣れるから大丈夫だし、そんな事で責めるの良くない…」
「それは本当にそうなんだけどごめんねなんだけど! っていうかその自信はどこからくるものなの!?」
「私はもう慣れたから…ね、エマ」
「ええ。もちろんです」
「…納得いかないよ。もうこうなったら染めるしか」
彼女達がコピーとの関係性について話している間にも、菜月達の前になメイド達によって作られた料理が所狭しと並べられていく。
昨日の夕方にメイド長から一部アイテムに関する使用権限を要求されたのは、料理の為だとは分かっていたが、それにしてもこれほど大量の料理が出てくるとは予想もしていなかった。
ギルドの中で短期間の内に食料が必要なのは人間種である菜月だけなのだが、戦闘などカロリーを多く消費する様なことをすれば他のメンバー達も同じくらいの頻度で食事が必要になる。
昨日丸一日何も食べていないので、朝とはいえ目の前に並べられたこの食事の量は妥当というところだろう。
「それじゃあいただきます」
「いただきまーす。それでどうするのギルマス? 最終判断はおまかせだけど」
「ハーミルンさんの言っていた案を原案として、僕なりに考えてみました。今から僕等が下に降りるのもアリですが、ここは師団のメンバーを半分ほど割いて周辺地域その他諸々を探ってきてもらおうかと」
敵の戦力がどれほどか判明していない現段階では、菜月達はこの場を動かない方が賢明だと判断したからだ。
ギルドホームが落とされてしまえば菜月達は所持している物資の多くを失ってしまうし、一番の問題としては復活地点の消失だ。
アメイジア内では一部条件をクリアした場合に限り蘇生する事が可能で、そのうち最も簡単な蘇生条件がギルドホームでの復活であり、そのギルドホームをなくしてしまえば最悪蘇生ができなくなる。
なんとしてもこの場所を落とされるわけにはいかないのだ。
「なるほどね、確かに昨日戦った感じからしてかなり強そうだったし、あれなら多少無茶させても問題ないか」
「レイネス達近衛兵は、もし師団のメンバーが戦闘になって危なそうになったら急行できる様に、しっかりと準備しておいてね」
「了解致しました」
「メビウスは下に降りるメンバーの組み分けをお願い。なるべく犠牲者を出さない様に小隊規模で動く様にしておいて」
「即時取り掛かります」
会話をしている間にいつのまにか目の前にあった大量の食物は消えていき、からの皿が菜月達の前に並んでいく。
メイド達が空いた皿を持って行くのを眺めながら、菜月は手持ちにある武具類を一覧として出し、レイネスの服装を見つつスクロールする。
「えっと、どうしました? 菜月さん」
「菜月で構わないよ、君の装備どうしようかと思ってね」
「えっ、菜月呼びでいいの? もーそう言うことなら早く言ってよ菜月ー! 僕もライムの装備決めてあげないとねー」
「アルライドさんに菜月って呼ばれるの新鮮で良いですね。実はこれ僕の本名なんですよね、今初めて言いますけど」
「ーーーーどゆこと、っていうか、、え!?」
「普通に考えて…名前的にそのままなのは分かりやすい」
「違うよハーちゃん、あれは名前がそのままなのに驚いたんじゃなくて、多少不機嫌になられること覚悟で名前呼びしたら、意外と喜ばれたから思考が追いつかない哀れなショタだよ」
「ショタ言うな! 軽い流れで呼んじゃったけど、本当に菜月って呼んでいいの? 嫌じゃない?」
「ええ。むしろ嬉しいですよ? アルライドさん」
食後の紅茶を飲みながら純粋な笑みを浮かべる菜月に対して、アルライドの表情は喜びと本当に呼んでいいのかと言う疑問が入り混じった微妙な表情を浮かべていた。
彼等が知り合って長い年月が経つが、菜月は基本的に誰と喋る時も敬語を使うようにしているので、アルライドも菜月に合わせて口調を軽くはしていたものの線を一本引くようにしていたのだが、その線を彼自身が超えてきてくれたのだ。
アルライドからすればこれほど嬉しい事は無い。
「ならこれからギルド内で敬語とかもうなしでいい感じ?」
「別にいいと思うよ? 俺も堅苦しいのはそこまでだからな、誠意を持って相手するのは大事なことだが」
「じゃあさん付けとかもなくそっか。にしても、なんでなっちゃんいきなり良いって言い出したの?」
「だって前まではもしかしたらギルド脱退されるかも…って恐怖感がありましたから」
仲間達のことを疑っているわけではない。
だが人間の感情とは移ろい行くもので、数日前まで仲の良かったものだろうと少しのきっかけで急に豹変することがある。
それを知っているからこそ菜月は他人を恐怖し、仲のいい者達が自分から離れていくことを極端に怖がっている。
「菜月殿はいちいち気にし過ぎだ。その程度で切れる縁ならば、その程度だったと言う事だ機にするほどのことじゃない」
「そうやって雷蔵さんみたいに割り切れるほど、僕まだ人間として成熟してないんですよ」
「菜月が楽しそうで僕も嬉しいよ。気持ちはわかるからね」
「レイネスその爽やか騎士感出すのやめろ、騎士様装備にするぞ」
「そうされてもいまと大差ないのだがね」
(え、誰もなっちゃんの闇に触れないの? こっちの世界来たから逃げられないから積極的にしだすとか闇だよ? いいのこれ? あれ、私がおかしいの?)
一人だけ菜月の闇に気づき青ざめている霊主を除き、他のギルドメンバー達は敬語という枷が取り払われた事がかなり良かったようで、先程までよりもどこかさらに仲良くなれたような気がする。
「じゃあレイネス立って、もう決まったから」
レイネスの装備変更権限は菜月が持っているので、持っているアイテムから必要だろうと思う物をレイネスに与えていく。
人間種は身につけることができる装備の数が全種族中最大という特徴があり、上手く特化構成を組めば亜人種の特化構成すらも上回る火力を手に入れることができる。
頭、胴、腕、腰、足、腕につける装飾×2足につける装飾×2指輪が10本にネックレスで合計19個の装飾をつけることができる。
上から聖骸布シリーズ、ドラウプニル×2創生神のミサンガ×2対属性用効果のある指輪が五つ、転移用指輪が一つ、残り四つは基礎属性の魔法が込められた指輪だ。
武器レアリティは神越兵装、神話兵装、伝説兵装、民話兵装、一般兵装、の五段階なのだが、聖骸布シリーズは神話兵装なのでかなり上位に位置する装備だ。
神越兵装には及ばないが、それでも高レアリティアイテムにふさわしいだけの仕事はしてくれる。
「これは聖骸布ですか、、もっといいのあるでしょうに。貴方が普段着用してる神堕ろしの狩衣とか貸してくださいよ」
「あれアメイジアサーバー内で百人しか持ってない、超激レアアイテムだぞ。そんなホイホイ貸せるか、俺もこの装備でこれから過ごすつもりだしな」
安全面を考えるのならば例えギルドホームにいようとも狩衣を着ていた方がいいのだろうが、未知の能力などで装備を取られた時のことを考えると、あんまり着用したくない。
聖骸布ももちろん取られればかなりの痛手ではあるが、これ以下の装備を身につけた場合強敵と出会ったときまともに戦う事が困難になるので妥協するしかないだろう。
「ギルマス何気に運いいよねー。狩衣以外にも雷蔵さんにあげたあの刀とか、僕にくれたアレとかサーバーにいくつあるのか分からないレアアイテムだしね。確か雷蔵さんが世界大会優勝賞品でもらったあれと同じくらい強いんでしょあの刀…っと、はいこれで終わり!」
「ありがとうアルライド! どう? 似合ってる?」
「うん、似合ってるよライム。秘蔵にしてたドレスがこんなところで役に立って良かった」
「あーちゃんどこでそのドレス手に入れたの? ピンクのフリフリした可愛いやつなんて、ちゃんとしたお店じゃないと手に入らないよね?」
「バロンに渡されたんだよ、お前なら似合うから~って」
「俺がかぁ!? 嘘だろ?」
「良い声で叫ぶな、本当だよこの前呑んだくれてた時に渡されたの、未だに忘れてないからね。ネットニュースにもなったし…」
珍しく少し怒っているアルライドだが、確かにいまライムが着ている服装を見れば、怒るのも仕方がないように思えた。
全体的には紺色で装飾も少なく派手さは無いのだが、なにぶん一番凄いのはスカートのフリフリ具合だ。
ライムを見て菜月が一番最初に頭の中に浮かんだ言葉が魔法少女だった、と言えばその服装のすごさがわかるだろうか。
この服装をアルライドがしていたと思えば、なるほどネットニュースになるのも無理はない。
「主人、部隊の編成が完了しました。いつでも出発可能です」
「なら門を出てすぐの所に待機させておいて」
「どうして待機させておくの? 出発するだけならすぐでしょ?」
「顔合わせとかしたいし、装備も渡したいしね」
「そう言う事なら俺の装備で余っているやつも渡したいし、俺もついて行こうかな」
「ならいっそのことみんなで行こうか。ご馳走様でした! ほら行こ行こ!」
アルライドに手を引っ張られながら、菜月は外へ向けて駆け出していく。
数千人の前での演説など人生初めての事で、少し緊張しながらも菜月は門の方へと向かうのだった。
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