クラス転移で神様に?

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青年期:極東鬼神編(12月更新予定)

鬼はいつも笑わない

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 遍鬼超童子ふきちょうどうじにセラ達が案内されている頃。
エルピス達は都から少し外れたところにあるトコヤミの母の家へとやってきていた。
 それほど大きな家というわけでもないが、家の中に置かれる調度品などの内装は価値を感じさせる物であり生活に困窮しているようには見えない。
 家の中の生活感からしてどうやら一人暮らしをしているようなので、これだけの家を確保できる収入がどこかから入っているのだろう。
 出されたお茶を飲みながらベッタリと母の横にくっ付いているトコヤミに、チラリと視線を送りながらエルピスは改めて挨拶をする。

「まさかトコヤミのお母様がこの街にいらっしゃるとは。自己紹介が遅れました、アルへオ家長男エルピス・アルヘオと申します」  
「……トコヤミから聞き及んでおります。いつもトコヤミとアケナが本当にお世話になっております」
「いえいえ、二人には私も助けていただいております」

初対面の気まずさからか茶を一口含み口が動くのを確認してから言葉を発した穂叢ほむらは、トコヤミだけではなくアケナのことを口にした。
 エルピスが最初に彼女に対して抱いた感想は意外と娘二人を気にするのだな、というものであった。
 全員が全員家族と確執があって出てきたわけではない事も知っているが、それでも故郷を追われたものは大抵家族とも浅からぬ因縁を持つことが多い。
 先ほどの再会を思い出せばトコヤミのことを心配しているのは目に見えたが、アケナのことも心配しているあたり二人ともの事を見限ったようではないと見える。
 もはやここまでくれば他人の家庭事情に首を突っ込むことに遠慮などなく、エルピスはなぜ彼女が近づいてきたのかを見定めていた。

「アケナ元気にしていますか? あの子もこの島に来ているのでしょうか」
「この島の情報を集めるため二手に分かれていますので、もう片方の方に」
「そうですか、あの子もこの島に来ていたのですね」
「――知っていて近づいてきたのではないのですか?」
「いえ、この島で外からの情報を手に入れることはできませんから。私は鬼人の子が珍しく外の人を連れていると聞いた物ですから、まさかと思って見にきたんです。そうしたらこの子が」

 そう言いながら愛おしそうにトコヤミの髪を撫でる母親の言葉には確かに嘘がなかった。
 チラリと視線をニルに送ってみれば察したニルも首を横に振っており、少なくとも現状目の前の人物が何か目的があって近寄ってきたのではないという事の裏は取れたことになる。
 ならば自分がするべきなのは自分に仕えてくれている二人の給仕を産んでくれた人物に対し、主人として感謝の意を持って相手に接する事だろうとエルピスは考える。

「良かったねトコヤミ、久々にお母さんに会えて。俺達は今日宿に泊まるけどここでゆっくりしていったら?」
「エルピス様良いですか!?」
「もちろん。アケナも後で言っておくから二人で久しぶりにお母さんと喋るといいよ、身の回りの用事くらい自分達でも出来るしね。今日案内してもらったからこの島についてはある程度分かったし」

 トコヤミもアケナもしっかりと今日一日で仕事を果たしてくれたとエルピスは思っているし、すでに仕事を終えたのだからこれくらいの褒美はあって然るべきだろう。
 よほど嬉しかったのか年相応に小躍りしそうなトコヤミは、嬉しそうに母親に抱きついていた。

「……アケナは、私についてなんと言っていましたか?」
「特に何も聞いていませんね。ウチは困った人がいたら助けるようにはしていますが、基本的に他人の家庭事情には首を突っ込まないようにしているので」
「でしたら私の方から説明しておいたほうがいいでしょう。……あら。トコヤミ、茶を切らしたから買ってきてもらってもいいかい?」
「分かった、買ってくる。」
「一応何かあった時のためにトコヤミちゃんについて行くよ。アウローラここは任せたよ」

 トコヤミをわざわざ排除すると言うことはよほど聞かせたくない話なのだろう。
 トコヤミとニルが部屋の中から出ていき、気配を感じなくなるまで裏の戸棚からするりと出てきた茶を飲みながら暇を潰していると彼女はゆっくりと話し始める。
 それは彼女達姉妹の過去であり、一度聞けば引き返すことのできないものだった。

「あの子は……アケナは私のことを恨んでいるんです。母としてあの子たちを守れなかった私を、どうしようもないほどに」
「アケナが貴方を? 私はこの島に来る道中の船でアケナとよく喋るようになった程度の仲ですけど、そんな風には見えませんでしたよ。ねぇエルピス」
「アウローラの言う通りそんな何かに対して恨みを持っているようには見えませんでしたね。何かを怖がっているようには見えましたが」

 上陸前からアケナは常に何かを気にかけているようなそぶりを見せていた。
 それこそエルピスが数年前からアケナとの交流が無ければ、裏切り者かもしれないという可能性を考慮に入れながら行動しなければならないほどだ。
 実際問題この島には触れればすぐに爆破しそうな危うい案件がゴロゴロと転がっており、加えてエルピスが破壊神の信徒と戦闘になることをほぼ確実と見込んでいるのだからアケナが警戒するのも無理はないと思えた。
 だがエルピスの認識は実は少しだけずれている。
 アケナは外敵を恐れていたのではなく、トコヤミが傷つくことを恐れていた。
 そしてそれは決して外傷のみに限った話ではない。

「あの子が怖がっているのはトコヤミのことを傷つけてしまうことでしょう。私がトコヤミに真実を告げるのをきっと恐れているんです」
「真実というと?」
「少し長い話になります。いまから400年ほど前のこと──」

 いまから400年程前、世界は大飢饉に襲われていた。
 原因はいくつかあるが一番大きな要因は土精霊の国と森妖種の国が戦争状態に陥った事によって、道具の生産国と苗の生産国の両方がその機能を突如ストップさせてしまったからだ。
 大陸に住まうもの達は戦争への協力や技術交換などによってなんとか互いに支援しあい窮地を脱していたが、ことこの島は外部との交渉に頼らない自治を行っていたため飢饉という国難を逃れる事に成功したのである。
 これを大きなアドバンテージだと見た鬼神は行動を開始、鬼人の領土を広げるため物資を溜め込み自らも山を降りて戦争に打って出るための準備を始めた。
 結果的にこの戦争により鬼神は大陸の広大な土地を確保することに成功し、高額でその土地を原住民たちに売りつけることによって莫大な利益と労働力を確保しこの島にも大量の労働奴隷が誕生した。
 その奴隷の内の一人、それこそがいまのアケナの父であり穂叢ほむらの心を動かした人間である。
 かなり昔のそんなときの話を鮮明に話すことのできる辺り、随分とその時代が彼女にとって素晴らしい時間だったのだろう。
 数年ほどそうして楽しい人生を送っていた穂叢ほむらとその旦那だったが、ある日大きな事件が起きてしまった。
 土地を奪還するために複数の反乱軍が島の中で暴れ始めてしまったのである。
 人間としてこの戦争に加担することを半ば強制されてしまった旦那と共に戦争に参加することを表明した穂叢ほむらだったが、旦那からの説得により既に身ごもっていた穂叢ほむらは戦争に参加しなかった。
 それから一週間を待たずして戦争に参加した者達は軒並み鬼神に殺害され、旦那の死がほぼ確定的になり悲しみに明け暮れた穂叢ほむらだったがそんな彼女の前に現れた鬼神は彼に対して条件を飲めば旦那を助けてやると言い出す。
 その条件とは腹の中にいる子供を降ろし、自分の子供を産むこと。
 そうすれば死にかけの旦那を助けて記憶を消したうえで人の国に戻すという条件を鬼神は提示した。
 圧倒的な上位者である神から条件が提示されている時点で温情も温情、だがしかし旦那を助けるためとはいえ腹の中にいる子供を殺すことも出来かねた穂叢ほむらは腹の中にいる子供を封印し鬼神の条件を飲むことにする。
 ただし条件として確実に人間が死ぬであろう200年後、その時になったらという条件を鬼神と交わした。

「その時に生まれたのがトコヤミです。」

 アケナからしてみればトコヤミは自分を殺そうとし父と母を別れさせた人間の子供だ。
 トコヤミからしても自分の父がそのような行為をしたと知ればどのような思いになるかあの仲の良い姉妹の事を考えれば想像に難くない。
 |遍鬼超童子ふきちょうどうじ《ふきちょうどうじ》が一人娘を探していると言っていたのは鬼神が知っている子供がトコヤミだけだからであり、この島の住人がまるでアケナを知らないような扱いをしているのは島の外で子供を作った鬼人の子供がやってきたと思ったからだ。
 彼らからしてみればアケナもまた島外の人間と同じような物であり、適当な扱いになるのも致し方のない事である。
 アケナが恐れているのはこの事実をトコヤミが知らない事、そして鬼神にこのことを知られる前にこの島を脱することがアケナにとっては最優先事項であった。

「そうなってくると今回鬼神が呼び出してきたのはトコヤミちゃんが目的なのかもしれないわね」
「あの人がトコヤミを?」
「エルピスを呼び出す口実に使った可能性は十分に考えられます。何をしたいのかまでは分かりませんが」
「セラにもこのことを伝えないと――って丁度いいな、ごめんアウローラ。セラから連絡来たからちょっと外す」

 足早に部屋の外へと出ていったエルピスは、自分が標的でないと知って少し焦っているようだ。
 タイミングよくセラからの連絡が来たという事は、向こうも何かがあったのだろう。

「そういえば先程の話を聞いてもアケナがあなたを恨んでいるとは私には思えないのですが……」
「あの子たちが生まれてすぐ、私はあの子達をこの島から外へと逃がしました。あの子たちからすれば私は彼女たちを捨てたように映っているでしょう。そう言われても仕方がないと覚悟はできています」

この世に存在しないと思われているアケナと鬼神の子供としてこの世に生を受けてしまったトコヤミを救う事を考えるのであれば、多少のリスクを承知の上でこの島から外に出すという選択肢は間違っていない。
共についていければそれが一番よかったのだろうが、全員に逃げられたとなっては鬼神の面子をそのまま潰したことになる。
自らを生贄とすることで何とか二人の子供を外に出した穂叢ほむらだったが、記憶もおぼろげな頃の子供時代にそのような仕打ちを受けた子供がどのように思うかは想像に難くない。
なんとか慰めるような言葉を掛けたかったアウローラだったが、慰めの言葉も見つからずただただ押し黙る事しか出来なかった。
そうして微妙な空気が流れていると、トコヤミがどうやら帰ってきたようである。

「――エルピス様が焦りながら外に出ていったですけど、なにかあったです?」
「セラから連絡が来たらしいわよ。どうだったニル、何かいいものはあった?」
「特にこれといって何もなかったよ、穂叢ほむらさん荷物はここで大丈夫かな」
「ありがとうございます。そこで大丈夫です」

 外から返ってきたニルが台所に荷物を置き、アウローラの隣に座ったニルはトコヤミに気が付かれないようにアウローラに対して手を差し出してくる。
 エルピスとたまにおこなっている記憶の交換だろうと理解したアウローラが一瞬だけ手を当てると、先ほどまでのお互いの記憶が交換されアウローラからは先ほどの話が、ニルからは街に出ていた間の記憶が脳に直接入って来る。
 他人の目線から得られた記憶というのは何とも違和感を感じずにはいられないものだが、周りに気が付かれること無くお互いに情報共有できるのだからこれ以上の手はないだろう。
 トコヤミがいる以上先程の話を続けるわけにもいかず、この街の事について軽く話をしているとエルピスがゆっくりとした足取りで帰ってきた。
 セラから何を聞いたのか少し険しい顔をしたエルピスは、机の上に置かれた茶を飲み切り衝撃の一言を口にした。

「いろいろあっていまから鬼神のところに行くことになりました」
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