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青年期:極東鬼神編(12月更新予定)
先手必勝
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トコヤミが行方をくらましたという速報は即座にエルピスの手によって島の各地で工作を行っていた面々へと届けられ、エルピスが確保していた客室に全員が集まっていた。
開口一番口を開いたのはトコヤミと先ほどまで共にいたはずのアケナである。
「エルピス様、妹を探しに行かせてくれませんか?」
落ち着いた声音で冷静を装っているが、アケナがエルピスを見る目つきは主人に向けるそれではない。
もしここでダメだとそう言ったのならば彼女はエルピスたちを置き去りにして足早にこの場所を発つだろう。
彼女からしてみればこの場所で足を止めている時点で少なくともアルへオ家への恩義は果たした形である。
帝国の皇女がそうであったように、法国の聖人がそうであったように、この世界の姉妹というのは硬い絆に結ばれている。
それを無理に引き裂くような真似をするわけもなく、彼女がそうしたいのであればエルピスは彼女を送り出す他なかった。
「分かってる、来てもらったのは護衛を付けたかったからだよ。レネスとセラ、それにエラも悪いけど着いていってあげて。情報共有はセラを通じてするから」
「……感謝しますエルピス様」
深々と頭を下げるアケナには冷静さを感じない。
3人が付いていくのだから万が一もないが、このままトコヤミが行方知らずのままであれば外的要因もなく内部から崩れかねない危うさがアケナからは感じられる。
「無理だけはしないように。みんなも頼んだよ」
「こちらのことは任せてください。エルの方も、無理をしないようにしてくださいね」
「大丈夫だよ」
来て早々飛び出すようにして出て行くアケナとその跡を追う三人。
神の力を行使できる面々が三人も近くにいるのだ、よほどのことがなければ何も問題がないだろう。
去って行く背中を見送りながら部屋に一瞬静かな時間ができると、エルピスは窓辺に腰掛けてこちらを見る大男の方へと視線を移す。
バツの悪そうな顔をしている辺り自分がやらかしたとそう思っているのだろう。
落ち着きなく角を触る大男はエルピスからの視線を受けて腹をくくったような顔をしていた。
「遍鬼超童子、悪いんだけど話を聞いても?」
「──あぁ、分かってる。だがまずは謝らせてくれ、悪かった! 与えられた役目すら満足に果たすことができなかった。あの子供がどこかに行ったことに気が付かなかった」
頭を下げて謝罪する彼の姿からは、本当に申し訳ないと思っているのだろうということが伝わってくる。
鬼の神の後継者として育てられ、プライドだってそれ相応に高いだろう。
敵に狙われたのかどうかもわからない以上トコヤミが勝手にどこかへと行ってしまい、案外探しにいった面々が店でご飯でも食べてゆったりしているトコヤミを見つける可能性だってある。
言い訳をするのであればどれだけだって言い訳はできるのだ。
だからこそ実際にあれほど焦っていながらもアケナは遍鬼超童子を責めるようなことは一言も口にしていなかった。
元から信頼していなかったとしてもあれだけ焦っている状況で遍鬼超童子を見たときに、なぜしっかりと守ってくれていると口をついて言葉を出していてもおかしくない。
膝に手をつき頭を下げて自分の角を相手に向ける、その行為の重さは鬼族のことをあまりよく知らないエルピスではわからないが重大なことであることは分かる。
「まだ、大丈夫ですよ。幸いなことにトコヤミにかけてある障壁は破られてません。五体満足で帰ってくるならあとはアケナとトコヤミに謝罪してもらえばいいですよ。特につかまったりせずに普通に迷子になってる可能性も無くはないですがね」
焦る遍鬼超童子の気持ちをおさめ、エルピスは自分の頭の範疇で想像しうる可能性を列挙する。
他人の気持ちを読むことが苦手なエルピスではトコヤミが何を思って突如として居なくなったのか、精一杯考えはしてみるがその答えに辿り着くことはまずないだろうとエルピス本人も自覚していた。
ならばなぜそんな事を考えるのか、それは答えを持っているだろうニルが未だに口を開かないからだ。
「そういえば穂積さんは誰からトコヤミちゃんが居なくなったことを聞かれたんですか?」
「私は遍鬼超童子様から……。アウローラ様と話した後に心配になって二人の跡を探しにいったのですが、その時にいなくなったと」
「時間で言うと30分くらい前だ。大通りを歩いていた二人を見てたら一瞬人通りが一気に増えて気づいたら、急に神隠しにあったみたいに跡形もなく消えてたんだ」
「そうなってくるといよいよ持って迷子の線は薄い訳だけど……どう思うのニル」
いつまでも声をかけないわけには行かない。
この状況を変えられる可能性を最も有しているのは計画を立てているニルだ。
彼女が今回のことも計画に織り込んでいるのなら良し、そうでないのならそれはそれで対応を考えないといけないだろう。
声をかけたエルピスはふと初めてのことに一瞬驚いて息を呑む。
エルピスに声をかけられたニルがそのことに気がついていないのだ。
目を開けたままただ天井の一点を見つめる彼女は一体どれだけのことを考えているのだろうか。
近づいてほっぺを手に取り両手で軽く引っ張って、ようやくニルの思考は元のところへと戻ってくる。
「ほうひひゃのひゃふぇふひふ」
「ニルが意識どっかにやっちゃうからだろ。どうしたの?」
「ごめんエルピス、考え事してたんだ。トコヤミちゃんが居なくなったのは鬼神の策というよりは皇帝の策だろうね。いままでとやり方が違うから多分いまから一気に来ると思うよ、遍鬼超童子部下を今すぐ一か所に集めて避難させて」
「分かった」
「皇帝が敵か……あの人の事割と好きだったんだけど、残念だね」
帝国の王でありかつて個人で対談したこともある皇帝、その人物が敵に寝返ったという事実に対してエルピスは特に驚く素振りもない。
この島に来るまで何度もその予兆はあったし、加えてこの島にエルピスを招く要因になったのは皇帝経由でやってきた鬼神の招待である。
最初から疑って居たし敵である可能性を考慮に入れて動いていたが、それでもニルの口から直接敵であると言われると心に来るものがあった。
「帝国か……最近エモニちゃん関連でいろいろあってすぐこれだし何かと関わりのある国ね」
「あの国の内政状態なんであんなに上手くいってるのかわからないくらい不安定だから、その分いろんなところにツケが回ってるんじゃないかな」
「帝国を守るために破壊神の側に着いたんだろうけど、随分と思い切ったことをするよね。僕たちを敵に回して――というか僕に喧嘩売ってただで済むと思ってる辺りが最高に気に入らないよ」
珍しく爪を噛みながらそんな事を口にしたニルは、毛を逆立てながら不機嫌さを隠さずにそんな事を口にする。
帝国を守るため、それが皇帝の人類種からの離反理由なのであればそれをエルピスは責める気はない。
実際問題前から離反者は多数出ているし、四大国の王を標的にして相手が狙ってくることも想定の内である。
直接会って喋ったり仲良くするようにしたりと一応気を使っていたエルピスだったが、それでも最終的な決断を下すのは本人でありそれを他人がどうこうできるものではない。
「──いま連絡をとったが犠牲者は出ていないようだ。怪我人はそれなりに出ているが、あと数秒遅ければ何十人も死んでいた。重ねて礼を言う」
「良いんだよ相手のやってくることはもう読めたから。この宿屋の場所って隠蔽してるんだよね?」
「来た時から隠してある。認識疎外で鬼人の旅人が来てるってことになってるし、この場所が割れてる可能性はほとんど0のはずだ」
「さすがエルピス優秀だね。なら早くここから引き払おうか」
「前後の文が入れ違ってるんだけど俺の勘違いで大丈夫?」
「残念だけど勘違いじゃないよ。ほら足音が聞こえてきただろう?」
ニルに言われてエルピスが耳をすましてみれば、確かにドタバタと足音が聞こえてくる。
それはエルピス達を探している者達の物なのだろうが、一回から順番に一部屋ずつ開けていっているようで、エルピス達の居場所が分かっているようではない。
窓の外へと視線を向ければ同じように複数の宿屋が突入されているようで、鬼人達の頑張りぶりは目を見張るものがある。
テキパキと出立の用意を整えながら、ニルは皇帝の打ち出した大雑把に見える一手に辟易としていた。
「見つけられないなら人海戦術で、これって結構有効な手だよね」
「安住の地がどんどん失われてくわね、私達この島救いに来たんじゃなかったのかしら」
「言ってなかったけど俺達解放組は派閥としては弱い。だからまぁぶっちゃけこんなもんだ、不甲斐ないな」
「とっとと逃げましょう。あの人が来たら大変です」
「穂積さん意外と準備いいよね」
各員口と同時に手を動かしながらそうやって離脱の準備を整えた頃には、部屋の外から何やら騒がしい声が聞こえる。
入ってこられても面倒なので障壁をエルピスが展開したのだが、それを必死になって壊そうとしているようだ。
ただの鬼人では一生涯かけても割れないだろう。
「悪いんだけどエルピス、このまま上空に転移してもらっていい? 臨戦態勢で」
「いいけどそう言うこと?」
「そういうこと。アウローラと遍鬼超童子も頼んだよ、穂積さんはエルピスが見ててあげて。攻撃は僕がやるからさ」
「よし! がんばるわよ!!」
アウローラの掛け声を合図として転移魔法を起動すると、身体が上に無理やり引っ張られるような感覚が全員を襲う。
先程までは室内が広がっていたはずの視界には広々とした都の姿が映し出されており、何も問題なく転移が無事に完了した事を全員が実感したその瞬間──
魔力によって作られた線がエルピスの全身を撫でる。
「防御態勢取って!!」
体を撫でたそれは魔力照射と呼ばれるこの世界で一般的な対象への攻撃補正用機能。
一般的に銃があまり実用化されていないこの世界で遠距離感を結んで放たれる一撃は、質量を持った近代的な破壊兵器である。
エルピスが手を振るうといくつかの障壁が展開され、それら全てに大質量の何かが当たり爆散して行く。
身体を震わせるほどの爆音と直撃していれば肌を焼くだろう灼熱の火、明確な攻撃を前にしてエルピスは一才反撃を行わず、相手からの魔力照射を魔神の権能で自分のものにすると照射を受け続けたままにする。
「ありがとうエルピス。すぐに戻ってくるよ」
そう言うが早いがニルはエルピスが用意した障壁の一枚を踏み締めると、エルピスが残した魔力照射を頼りにして敵の方へと突っ込んでいく。
多数の質量兵器を食らってもびくともしなかった障壁がミシミシと嫌な音を立てるのを聞きながら、エルピスが敵から飛んでくる兵器を撃ち落とすこと5秒ほど。
全身を貫くほどあった照準はいまやその先にあった大元の兵器がなくなった事でその機能を停止し、敵の攻撃は完全に防がれたことになる。
視界の端にはすでに戻ってきたニルが久々の実戦ができた事にニコニコとしており、随分と楽しそうである。
「──戻ったよ!」
「さっすがニル。第二波は来ると思う?」
「来ないんじゃないかな。いまのって別に攻撃ってわけじゃなくてあの街から僕らを追い出すのが目的だろうから」
忌々しげにニルが見下した都ではこちらを見上げる民衆の姿があった。
彼らは指を指して何かをエルピス達に向かって叫んでおり、下に降りればいまにも袋叩きにされそうである。
エルピスによって与えられた怒りは鬼神の号令によって怒りに変わり、エルピス達を追い払わんと島の住民たちが敵に回ったのだろう。
ここまで恐怖を使用しながら丁寧に立ち回れたのはエルピス達の正体が知られておらず、そもそもエルピスの存在自体を島の人間たちが知らなかったことと加えて鬼神たちがその居場所すら知らないからであった。
鬼神が何を言ったところで鬼人達がエルピスの事を知らなければその影響は微々たるものだったが、半信半疑の鬼人達を上手く丸め込みエルピスは敵だとささやき実際にエルピス達が反撃するところを分かりやすく見せてエルピス達は出来であるとそう鬼人達に認識させたのだ。
一度共通認識が出来上がれば後は鬼神の権能を使うとこの島にいる鬼神を信奉する鬼人のほとんどは、エルピス達の敵に早変わりというわけである。
エルピス自身にはどうあがいても勝てないと、そう鬼人に認識させることによって鬼人を積ませようとしていたニルの作戦は不発に終わったーーと、そういうにはまだ早計だ。
そもそも何も妨害なくこの作戦が終了することはあり得ないということは考えるまでもない。
ニルにとって重要なのはどれだけエルピスが鬼神と有利に戦えるようになるか、どれだけ犠牲者を出さずにこの島を攻略するかの二手。
敵としてエルピスが認識された以上鬼神自体がエルピスのことを脅威として認識すれば不死身であろうと問題なく処分できるだろう。
エルピスしか決定打を与えられないという関係上鬼神と一対一でエルピスを戦わせることにはなるが、その点についてはニルはエルピスの勝利を疑っていない。
ならニルは何を不安に思っているのか。
(僕の勝利条件はただ勝つこと、対して向こうはそもそも勝つ必要がない。2年後にある破壊神の復活を見据えているのであれば下手にエルピスとことを構えることはリスクでしかないはず……この島から鬼神が逃げていないのは不死性の確保と破壊神の信徒にできる島の人間の確保この二つ。それは分かるが皇帝がわざわざ裏切ったことを明かした理由は? この島にそれほどの価値があるのか? 2年間もの間帝国が他国から責められる可能性をなぜ考慮に入れない?)
鬼神が何を考えているのかを考慮に入れる必要はない。
アレは卑怯で卑劣な存在だが指針がないのだ、ただただ己の欲求に生きるもの、そういった手合いはさんざん相手にして来たが厄介ではある物の脅威足りえない。
もっとも恐ろしいのは守るべきものの為になりふり構わない者達、そういった手合いは突拍子もないようなことをいきなり始めるものである。
例えば最悪の一手は帝国が世界中に反旗を翻し人類生存圏内すべてを戦乱に陥れること、例えば人類が破壊神の信徒であると錯覚させありとあらゆる種族の敵としたり、帝国だって少なくないダメージを受ける選択だがあの皇帝ならば帝国を守るために帝国を半壊させることを許容するだろう。
それはエルピスにはない冷徹さであり、上に立つものとして持つべき資質である。
狂愛の性質を持つニルはそんな皇帝の考えがどうにも理解できない。
愛しているのならば、世界を犠牲に助けたいと思うほどならば、なぜ大切なソレが壊滅的な被害を受ける事を許容できるのか。
「分かんないねぇ人間様の考えることは。ちなみにエルピスはこれから相手がどう動くと思う?」
「俺ならいますぐ人の国で騒ぎを起こすかな。森妖種が来たら面倒だから海上封鎖してこっち側の戦力を二分、海神が来ることも考慮に入れると基本陸地で戦うことになるだろうけど」
「俺ならいま別れたもう一方の方を狙うぜ? 妹を攫われて焦った奴がいる方が狙いやすいだろ」
「アケナの身が危ないと言う事ですか!?」
「そうと決まったわけじゃねぇが、あの怖ェ姉ちゃん一人じゃ守れるか怪しいだろ」
エルピスと遍鬼超童子の提案はどちらも理にかなっている。
相手の基本的な原則は戦力を分散させ各個撃破すること、エルピス達は敵の勢力を鬼神と皇帝以外にまともに把握しておらず急に詰められれば万が一が無いとは言い難い。
だが少なくとも向こう側は大丈夫だと、そう断言できる。
「こっちの方がよっぽど危ないよ、ニルと俺はいるけど取られたらほぼ積みな人物が二人も居るんだ」
「それってもしかしてオレも含まれてるのか?」
「当たり前でしょ。次代の鬼神がこっちについてるかどうか、これって結構おっきい要素だよ。この島を救いたいなら二人とも絶対に失うわけにはいかない」
無意味にこの島を荒らして敵を倒して終わりなのであればやっていることは破壊神の信徒達と何も変わらない。
エルピスがやらなければいけないことは戦争を未然に防ぐこと、それが不可能なのであればなるべく最大数を不幸にさせないように立ち回ることである。
傲慢ではあるがそれをなすだけの力を持っているエルピスは自覚していながらもその傲慢を押し通す。
「合流は下手にリスクを増やすだけ、だから今回はこのままでいこう」
「そうだね、エルピスの言う通りそれでいいよ。敵が次の一手を打つよりも早くこっちから先に攻撃を仕掛けよう」
「攻撃を仕掛けるってどうやって……?」
敵の所在も全体像も不明。
エルピスが頑張れば鬼神の位置くらいならば特定できるかもしれないが、そこに罠が仕掛けられていないと考えるのは無理があるだろう。
この島は鬼神の庭であり鬼神そのものといってもいい場所、相手の方が常に上手に立てるようなこの場所で一体どうすれば相手を上回ることができるというのだろうか。
そんな疑問を浮かべたアウローラの目の前でニルは楽しそうな笑みを見せる。
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりのニルが手を振るうとなんどか見たことのある転移門が現れ、そこから人影が現れた。
いきなり中空に放り出されたそれは人ならば普通するはずの無意識の反射すらせずにただニルが手をつかんで広い上げたことを当然のような顔をして、その大きく無機質な目をぱちぱちとさせながらあっけにとられるアウローラたちに片手でぶら下がっている人物とはとても思えないほど優雅な礼をする。
「初めましての方は初めまして。センテリア帝国第一皇女エモニ・ミクロシア・センテリア。上司に呼ばれてお力を貸しに来ましたわ」
ニルが用意していた鬼札であり、対皇帝特攻の最強の切り札。
相手が数を用意してくるのであればこちらも数を用意する、しかも相手が最も嫌がるであろう相手を。
心の底から楽しそうにしているニルとエモ二を見て、今回はどうやら出番らしい出番もなく終わりそうだなとアウローラはそんなことを考えるのだった。
開口一番口を開いたのはトコヤミと先ほどまで共にいたはずのアケナである。
「エルピス様、妹を探しに行かせてくれませんか?」
落ち着いた声音で冷静を装っているが、アケナがエルピスを見る目つきは主人に向けるそれではない。
もしここでダメだとそう言ったのならば彼女はエルピスたちを置き去りにして足早にこの場所を発つだろう。
彼女からしてみればこの場所で足を止めている時点で少なくともアルへオ家への恩義は果たした形である。
帝国の皇女がそうであったように、法国の聖人がそうであったように、この世界の姉妹というのは硬い絆に結ばれている。
それを無理に引き裂くような真似をするわけもなく、彼女がそうしたいのであればエルピスは彼女を送り出す他なかった。
「分かってる、来てもらったのは護衛を付けたかったからだよ。レネスとセラ、それにエラも悪いけど着いていってあげて。情報共有はセラを通じてするから」
「……感謝しますエルピス様」
深々と頭を下げるアケナには冷静さを感じない。
3人が付いていくのだから万が一もないが、このままトコヤミが行方知らずのままであれば外的要因もなく内部から崩れかねない危うさがアケナからは感じられる。
「無理だけはしないように。みんなも頼んだよ」
「こちらのことは任せてください。エルの方も、無理をしないようにしてくださいね」
「大丈夫だよ」
来て早々飛び出すようにして出て行くアケナとその跡を追う三人。
神の力を行使できる面々が三人も近くにいるのだ、よほどのことがなければ何も問題がないだろう。
去って行く背中を見送りながら部屋に一瞬静かな時間ができると、エルピスは窓辺に腰掛けてこちらを見る大男の方へと視線を移す。
バツの悪そうな顔をしている辺り自分がやらかしたとそう思っているのだろう。
落ち着きなく角を触る大男はエルピスからの視線を受けて腹をくくったような顔をしていた。
「遍鬼超童子、悪いんだけど話を聞いても?」
「──あぁ、分かってる。だがまずは謝らせてくれ、悪かった! 与えられた役目すら満足に果たすことができなかった。あの子供がどこかに行ったことに気が付かなかった」
頭を下げて謝罪する彼の姿からは、本当に申し訳ないと思っているのだろうということが伝わってくる。
鬼の神の後継者として育てられ、プライドだってそれ相応に高いだろう。
敵に狙われたのかどうかもわからない以上トコヤミが勝手にどこかへと行ってしまい、案外探しにいった面々が店でご飯でも食べてゆったりしているトコヤミを見つける可能性だってある。
言い訳をするのであればどれだけだって言い訳はできるのだ。
だからこそ実際にあれほど焦っていながらもアケナは遍鬼超童子を責めるようなことは一言も口にしていなかった。
元から信頼していなかったとしてもあれだけ焦っている状況で遍鬼超童子を見たときに、なぜしっかりと守ってくれていると口をついて言葉を出していてもおかしくない。
膝に手をつき頭を下げて自分の角を相手に向ける、その行為の重さは鬼族のことをあまりよく知らないエルピスではわからないが重大なことであることは分かる。
「まだ、大丈夫ですよ。幸いなことにトコヤミにかけてある障壁は破られてません。五体満足で帰ってくるならあとはアケナとトコヤミに謝罪してもらえばいいですよ。特につかまったりせずに普通に迷子になってる可能性も無くはないですがね」
焦る遍鬼超童子の気持ちをおさめ、エルピスは自分の頭の範疇で想像しうる可能性を列挙する。
他人の気持ちを読むことが苦手なエルピスではトコヤミが何を思って突如として居なくなったのか、精一杯考えはしてみるがその答えに辿り着くことはまずないだろうとエルピス本人も自覚していた。
ならばなぜそんな事を考えるのか、それは答えを持っているだろうニルが未だに口を開かないからだ。
「そういえば穂積さんは誰からトコヤミちゃんが居なくなったことを聞かれたんですか?」
「私は遍鬼超童子様から……。アウローラ様と話した後に心配になって二人の跡を探しにいったのですが、その時にいなくなったと」
「時間で言うと30分くらい前だ。大通りを歩いていた二人を見てたら一瞬人通りが一気に増えて気づいたら、急に神隠しにあったみたいに跡形もなく消えてたんだ」
「そうなってくるといよいよ持って迷子の線は薄い訳だけど……どう思うのニル」
いつまでも声をかけないわけには行かない。
この状況を変えられる可能性を最も有しているのは計画を立てているニルだ。
彼女が今回のことも計画に織り込んでいるのなら良し、そうでないのならそれはそれで対応を考えないといけないだろう。
声をかけたエルピスはふと初めてのことに一瞬驚いて息を呑む。
エルピスに声をかけられたニルがそのことに気がついていないのだ。
目を開けたままただ天井の一点を見つめる彼女は一体どれだけのことを考えているのだろうか。
近づいてほっぺを手に取り両手で軽く引っ張って、ようやくニルの思考は元のところへと戻ってくる。
「ほうひひゃのひゃふぇふひふ」
「ニルが意識どっかにやっちゃうからだろ。どうしたの?」
「ごめんエルピス、考え事してたんだ。トコヤミちゃんが居なくなったのは鬼神の策というよりは皇帝の策だろうね。いままでとやり方が違うから多分いまから一気に来ると思うよ、遍鬼超童子部下を今すぐ一か所に集めて避難させて」
「分かった」
「皇帝が敵か……あの人の事割と好きだったんだけど、残念だね」
帝国の王でありかつて個人で対談したこともある皇帝、その人物が敵に寝返ったという事実に対してエルピスは特に驚く素振りもない。
この島に来るまで何度もその予兆はあったし、加えてこの島にエルピスを招く要因になったのは皇帝経由でやってきた鬼神の招待である。
最初から疑って居たし敵である可能性を考慮に入れて動いていたが、それでもニルの口から直接敵であると言われると心に来るものがあった。
「帝国か……最近エモニちゃん関連でいろいろあってすぐこれだし何かと関わりのある国ね」
「あの国の内政状態なんであんなに上手くいってるのかわからないくらい不安定だから、その分いろんなところにツケが回ってるんじゃないかな」
「帝国を守るために破壊神の側に着いたんだろうけど、随分と思い切ったことをするよね。僕たちを敵に回して――というか僕に喧嘩売ってただで済むと思ってる辺りが最高に気に入らないよ」
珍しく爪を噛みながらそんな事を口にしたニルは、毛を逆立てながら不機嫌さを隠さずにそんな事を口にする。
帝国を守るため、それが皇帝の人類種からの離反理由なのであればそれをエルピスは責める気はない。
実際問題前から離反者は多数出ているし、四大国の王を標的にして相手が狙ってくることも想定の内である。
直接会って喋ったり仲良くするようにしたりと一応気を使っていたエルピスだったが、それでも最終的な決断を下すのは本人でありそれを他人がどうこうできるものではない。
「──いま連絡をとったが犠牲者は出ていないようだ。怪我人はそれなりに出ているが、あと数秒遅ければ何十人も死んでいた。重ねて礼を言う」
「良いんだよ相手のやってくることはもう読めたから。この宿屋の場所って隠蔽してるんだよね?」
「来た時から隠してある。認識疎外で鬼人の旅人が来てるってことになってるし、この場所が割れてる可能性はほとんど0のはずだ」
「さすがエルピス優秀だね。なら早くここから引き払おうか」
「前後の文が入れ違ってるんだけど俺の勘違いで大丈夫?」
「残念だけど勘違いじゃないよ。ほら足音が聞こえてきただろう?」
ニルに言われてエルピスが耳をすましてみれば、確かにドタバタと足音が聞こえてくる。
それはエルピス達を探している者達の物なのだろうが、一回から順番に一部屋ずつ開けていっているようで、エルピス達の居場所が分かっているようではない。
窓の外へと視線を向ければ同じように複数の宿屋が突入されているようで、鬼人達の頑張りぶりは目を見張るものがある。
テキパキと出立の用意を整えながら、ニルは皇帝の打ち出した大雑把に見える一手に辟易としていた。
「見つけられないなら人海戦術で、これって結構有効な手だよね」
「安住の地がどんどん失われてくわね、私達この島救いに来たんじゃなかったのかしら」
「言ってなかったけど俺達解放組は派閥としては弱い。だからまぁぶっちゃけこんなもんだ、不甲斐ないな」
「とっとと逃げましょう。あの人が来たら大変です」
「穂積さん意外と準備いいよね」
各員口と同時に手を動かしながらそうやって離脱の準備を整えた頃には、部屋の外から何やら騒がしい声が聞こえる。
入ってこられても面倒なので障壁をエルピスが展開したのだが、それを必死になって壊そうとしているようだ。
ただの鬼人では一生涯かけても割れないだろう。
「悪いんだけどエルピス、このまま上空に転移してもらっていい? 臨戦態勢で」
「いいけどそう言うこと?」
「そういうこと。アウローラと遍鬼超童子も頼んだよ、穂積さんはエルピスが見ててあげて。攻撃は僕がやるからさ」
「よし! がんばるわよ!!」
アウローラの掛け声を合図として転移魔法を起動すると、身体が上に無理やり引っ張られるような感覚が全員を襲う。
先程までは室内が広がっていたはずの視界には広々とした都の姿が映し出されており、何も問題なく転移が無事に完了した事を全員が実感したその瞬間──
魔力によって作られた線がエルピスの全身を撫でる。
「防御態勢取って!!」
体を撫でたそれは魔力照射と呼ばれるこの世界で一般的な対象への攻撃補正用機能。
一般的に銃があまり実用化されていないこの世界で遠距離感を結んで放たれる一撃は、質量を持った近代的な破壊兵器である。
エルピスが手を振るうといくつかの障壁が展開され、それら全てに大質量の何かが当たり爆散して行く。
身体を震わせるほどの爆音と直撃していれば肌を焼くだろう灼熱の火、明確な攻撃を前にしてエルピスは一才反撃を行わず、相手からの魔力照射を魔神の権能で自分のものにすると照射を受け続けたままにする。
「ありがとうエルピス。すぐに戻ってくるよ」
そう言うが早いがニルはエルピスが用意した障壁の一枚を踏み締めると、エルピスが残した魔力照射を頼りにして敵の方へと突っ込んでいく。
多数の質量兵器を食らってもびくともしなかった障壁がミシミシと嫌な音を立てるのを聞きながら、エルピスが敵から飛んでくる兵器を撃ち落とすこと5秒ほど。
全身を貫くほどあった照準はいまやその先にあった大元の兵器がなくなった事でその機能を停止し、敵の攻撃は完全に防がれたことになる。
視界の端にはすでに戻ってきたニルが久々の実戦ができた事にニコニコとしており、随分と楽しそうである。
「──戻ったよ!」
「さっすがニル。第二波は来ると思う?」
「来ないんじゃないかな。いまのって別に攻撃ってわけじゃなくてあの街から僕らを追い出すのが目的だろうから」
忌々しげにニルが見下した都ではこちらを見上げる民衆の姿があった。
彼らは指を指して何かをエルピス達に向かって叫んでおり、下に降りればいまにも袋叩きにされそうである。
エルピスによって与えられた怒りは鬼神の号令によって怒りに変わり、エルピス達を追い払わんと島の住民たちが敵に回ったのだろう。
ここまで恐怖を使用しながら丁寧に立ち回れたのはエルピス達の正体が知られておらず、そもそもエルピスの存在自体を島の人間たちが知らなかったことと加えて鬼神たちがその居場所すら知らないからであった。
鬼神が何を言ったところで鬼人達がエルピスの事を知らなければその影響は微々たるものだったが、半信半疑の鬼人達を上手く丸め込みエルピスは敵だとささやき実際にエルピス達が反撃するところを分かりやすく見せてエルピス達は出来であるとそう鬼人達に認識させたのだ。
一度共通認識が出来上がれば後は鬼神の権能を使うとこの島にいる鬼神を信奉する鬼人のほとんどは、エルピス達の敵に早変わりというわけである。
エルピス自身にはどうあがいても勝てないと、そう鬼人に認識させることによって鬼人を積ませようとしていたニルの作戦は不発に終わったーーと、そういうにはまだ早計だ。
そもそも何も妨害なくこの作戦が終了することはあり得ないということは考えるまでもない。
ニルにとって重要なのはどれだけエルピスが鬼神と有利に戦えるようになるか、どれだけ犠牲者を出さずにこの島を攻略するかの二手。
敵としてエルピスが認識された以上鬼神自体がエルピスのことを脅威として認識すれば不死身であろうと問題なく処分できるだろう。
エルピスしか決定打を与えられないという関係上鬼神と一対一でエルピスを戦わせることにはなるが、その点についてはニルはエルピスの勝利を疑っていない。
ならニルは何を不安に思っているのか。
(僕の勝利条件はただ勝つこと、対して向こうはそもそも勝つ必要がない。2年後にある破壊神の復活を見据えているのであれば下手にエルピスとことを構えることはリスクでしかないはず……この島から鬼神が逃げていないのは不死性の確保と破壊神の信徒にできる島の人間の確保この二つ。それは分かるが皇帝がわざわざ裏切ったことを明かした理由は? この島にそれほどの価値があるのか? 2年間もの間帝国が他国から責められる可能性をなぜ考慮に入れない?)
鬼神が何を考えているのかを考慮に入れる必要はない。
アレは卑怯で卑劣な存在だが指針がないのだ、ただただ己の欲求に生きるもの、そういった手合いはさんざん相手にして来たが厄介ではある物の脅威足りえない。
もっとも恐ろしいのは守るべきものの為になりふり構わない者達、そういった手合いは突拍子もないようなことをいきなり始めるものである。
例えば最悪の一手は帝国が世界中に反旗を翻し人類生存圏内すべてを戦乱に陥れること、例えば人類が破壊神の信徒であると錯覚させありとあらゆる種族の敵としたり、帝国だって少なくないダメージを受ける選択だがあの皇帝ならば帝国を守るために帝国を半壊させることを許容するだろう。
それはエルピスにはない冷徹さであり、上に立つものとして持つべき資質である。
狂愛の性質を持つニルはそんな皇帝の考えがどうにも理解できない。
愛しているのならば、世界を犠牲に助けたいと思うほどならば、なぜ大切なソレが壊滅的な被害を受ける事を許容できるのか。
「分かんないねぇ人間様の考えることは。ちなみにエルピスはこれから相手がどう動くと思う?」
「俺ならいますぐ人の国で騒ぎを起こすかな。森妖種が来たら面倒だから海上封鎖してこっち側の戦力を二分、海神が来ることも考慮に入れると基本陸地で戦うことになるだろうけど」
「俺ならいま別れたもう一方の方を狙うぜ? 妹を攫われて焦った奴がいる方が狙いやすいだろ」
「アケナの身が危ないと言う事ですか!?」
「そうと決まったわけじゃねぇが、あの怖ェ姉ちゃん一人じゃ守れるか怪しいだろ」
エルピスと遍鬼超童子の提案はどちらも理にかなっている。
相手の基本的な原則は戦力を分散させ各個撃破すること、エルピス達は敵の勢力を鬼神と皇帝以外にまともに把握しておらず急に詰められれば万が一が無いとは言い難い。
だが少なくとも向こう側は大丈夫だと、そう断言できる。
「こっちの方がよっぽど危ないよ、ニルと俺はいるけど取られたらほぼ積みな人物が二人も居るんだ」
「それってもしかしてオレも含まれてるのか?」
「当たり前でしょ。次代の鬼神がこっちについてるかどうか、これって結構おっきい要素だよ。この島を救いたいなら二人とも絶対に失うわけにはいかない」
無意味にこの島を荒らして敵を倒して終わりなのであればやっていることは破壊神の信徒達と何も変わらない。
エルピスがやらなければいけないことは戦争を未然に防ぐこと、それが不可能なのであればなるべく最大数を不幸にさせないように立ち回ることである。
傲慢ではあるがそれをなすだけの力を持っているエルピスは自覚していながらもその傲慢を押し通す。
「合流は下手にリスクを増やすだけ、だから今回はこのままでいこう」
「そうだね、エルピスの言う通りそれでいいよ。敵が次の一手を打つよりも早くこっちから先に攻撃を仕掛けよう」
「攻撃を仕掛けるってどうやって……?」
敵の所在も全体像も不明。
エルピスが頑張れば鬼神の位置くらいならば特定できるかもしれないが、そこに罠が仕掛けられていないと考えるのは無理があるだろう。
この島は鬼神の庭であり鬼神そのものといってもいい場所、相手の方が常に上手に立てるようなこの場所で一体どうすれば相手を上回ることができるというのだろうか。
そんな疑問を浮かべたアウローラの目の前でニルは楽しそうな笑みを見せる。
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりのニルが手を振るうとなんどか見たことのある転移門が現れ、そこから人影が現れた。
いきなり中空に放り出されたそれは人ならば普通するはずの無意識の反射すらせずにただニルが手をつかんで広い上げたことを当然のような顔をして、その大きく無機質な目をぱちぱちとさせながらあっけにとられるアウローラたちに片手でぶら下がっている人物とはとても思えないほど優雅な礼をする。
「初めましての方は初めまして。センテリア帝国第一皇女エモニ・ミクロシア・センテリア。上司に呼ばれてお力を貸しに来ましたわ」
ニルが用意していた鬼札であり、対皇帝特攻の最強の切り札。
相手が数を用意してくるのであればこちらも数を用意する、しかも相手が最も嫌がるであろう相手を。
心の底から楽しそうにしているニルとエモ二を見て、今回はどうやら出番らしい出番もなく終わりそうだなとアウローラはそんなことを考えるのだった。
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