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青年期:魔界編
吸血鬼の城で
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魔界の中でも最も人が訪れたことのある土地。
吸血鬼たちの領土にやってきたエルピスは、そのままの足で王城へと向かうとそこにいる始祖に挨拶をしていた。
「よくぞ我が城に来たな。話は聞いている」
通されたのは謁見の間。
人間の国と同じような様式で作られたこの空間は、おそらく人用に作られたのだろう。
装飾なども吸血種が好む黒い色合いではなく、分かりやすい豪華さを演出するために金色一色に染められている。
玉座に腰を掛けて少し疲れた顔をしながらエルピス達を迎え入れたバーンに対し、エルピスは頭を軽く下げて会釈をすると本題に入っていく。
「そうでしたか、ですが改めて。決戦は明日です、そのお知らせをしに来させていただきました」
「そうか、わざわざこんなところまで伝えにきてくれて感謝する。
お互いに大変だな、だがそれも明日で終わる」
立場としては神と国王だからエルピスが頭を下げる必要性などないのだが、この城の中にいる人間はエルピスが神であることを知らない者が殆どなので王であるバーンが頭を下げているといろいろと面倒ごとを引き起こしかねない。
だからこそ気を使ってエルピスは頭を下げたわけで、それを分かっているバーンはほんの少しだけ気まずそうな顔をする。
宗教観的に吸血種は神を崇め奉る様な種族ではない──というより魔界にそんな種族はいないのだが──とはいえ神に対しての対処を知らないわけではない。
「現状の戦力差は五分五分、ここまで持ち込めただけ随分と良く頑張ったものだと褒めても良いほどだ」
元々の戦力差はエルピス達を抜いたとして3対7といったところか。
これは単純に派閥に属している種族の多さが向こう側の勢力の方が多かったという話であり、戦力差は後からはいってきたエルピス達の陣営がどれだけ詰められるかにかかっているとバーンは考えていた。
しかし戦争が始まるまでに各所で引き込み行為を行ったこともあり、エルピス達の陣営を無視しても戦力差はイーブンといえる状況に持ち込めている。
もちろん交渉した種族全てが戦闘に参加してくれるわけではないが、敵側に戦力として参加されないだけでもいくらか楽になるというものだ。
「どちらの神に着いたのが正解だったのか、答えがようやく出るわけですか」
「信じているぞ我等の神よ」
「担いだ神輿が疫病神の神輿じゃない事を祈っておいてください」
「そうしておくよ。そう言えば俺が出したメイドはどうだった? 上手く使ってくれているか?」
笑みを浮かべながらそういえばと話を切り替えたバーンに対して、エルピスは一瞬なんの事なのか思い出して少し間を置き誰なのか思い出したエルピスは、なるべく角が立たないように言葉を返す。
「伝達役として俺以上に走り回ってもらっていますよ」
「そうか、別に抱いても良かったんだぞ?」
「冗談がお得意ですね」
「そうだろう? はははっ」
冗談ではないのだろう、もしエルピスが欲を出せばその瞬間きっとそれはそうなるのだ。
だが始祖種とエルピスは全員同じ程度の付き合いである必要性がある。
将来的に始祖の誰かと仲良くなることに関して言え損特勘定を考慮しても悪い話ではないが、いまはまだ始祖の誰かと仲良くなりすぎると肩入れしていると思われる可能性もあるので出来るだけ公平性は保っておきたい。
そんなエルピスの考えを見抜いたのだろう、それ以上何かをいう事もなくバーンは話を先に進める。
「まぁこれも何かの縁だ、この戦争が終わってからも末永くよろしくお願いする」
「もちろんです。では少し早いですが私はこれで、フィリルさんのところにも行かなければなりませんので」
「見送らせよう」
戦争が始まる前から終わった時のことを考えるのもおかしな話ではあるが、悲観的になるよりはいくらからマシと言うものだろう。
そうしてバーンの城から見送られたエルピスはその足でフィリルの元へと向かう。
フィリル達粘液種と呼ばれる種族は決まった領地を持たず、この魔界全土で転々と生活している種族である。
そんな種族の長であるフィリルの場所を探すのはエルピスとしても多少時間がかかると思われた作業だったのだが、バーンが出発前に位置を教えてくれたので探す手間が省けたと言うものだ。
草原で陽の光を浴びているフィリルの元へと降り立つと、フィリルもどうやら気がついた様で会釈をする。
「こんにちはエルピスさん」
「こんにちはフィリルさん。お元気ですか?」
「はい。おかげさまで配下のみんなも無事に過ごせています、今日はどう言ったご用件で?」
粘液種であるフィリルに決まった形というものはない。
座布団の様な四角形になりながら陽の光を全身で浴びているフィリルは、おそらく視線だけをこちらに向けながら話を進めていた。
目も口もある様には見えないのでおそらく、としかいえないがそう言ったところは感覚的な話である。
「明日が決戦の日になりそうなのでそのお知らせをしに来ました」
「ついに明日ですか、邪竜復活はもう少し後かと思っていましたが」
「封印の遺跡を発見したので。当初の予定通りフィリルさん達は自分の領土防衛に努めてください。バーンさんともそれで話はついています」
「いえいえエルピスさん、お気になさらず。私は前に出れますよ」
この計画を立案した上で大切なのはどれだけ戦闘に参加する意欲があるのかと言うところ。
その点で言えばフィリルは戦闘に消極的な姿勢を見せていたし、エルピス側についた理由も平和な世界がやってくると見込んでというなんとも曖昧なものだ。
正直フィリルのことを信用できないでいたエルピスは彼女を前線から遠ざけようとそんな提案をし、バーンや他の始祖種からも許諾は得ていたのだが、本人がそれを拒む。
戦闘に参加しない気でいるだろうと思っていたエルピスはそんなフィリルの言葉に驚き、少しだけ理由を探ろうと探りを入れてみる。
「しかし…心配ではないですか? 他の粘液種が」
「確かに配下のみんなの事は心配ですが、私も始祖種として選ばれた身。なればこそ魔界大平の為には力を貸すべきかと」
「そうですか、凄いですね、私には到底真似できなさそうな考えです」
「そうですかね? ヘレディックさんに比べたら私なんて全然」
「ヘレディックさんですか、あの人も不思議な人ですよね」
ヘレディックというとあの英雄の死霊を操ると言う始祖種の事だろう。
フィリルとは違い彼が種族名で呼ばれている理由は、彼が代替わりのすることがない始祖種であるからである。
この世界でも神を除けば最強の称号である英雄、それを持った人物を召喚できるのであればその力は比類なきものなのだろう。
ただ一つ気になることがあるとすれば、死ねばすぐに転生するはずのこの世界でどうして英雄の魂を召喚できるのかと言う点についてだが、それは本人に聞くしか解き明かす方法はなさそうである。
「元は大きな国の王だったらしいですよ。あの人の力は始祖種の中でも飛び抜けています、縁を持つほどに強くなる人ですから」
「英雄を呼びだす能力でしたっけ。確かに心強いですね、どこにいるのか分からないのが難点ですが」
「あの人は領地も持たず臣下も持たない一匹狼ですからね。呼び出したいのなら狼煙をあげるといいですよ」
「狼煙ですか? そんな古風な方法で?」
「はい。始祖種の間で連絡を取るときに来てくれないと困りますからね、魔界にいるならそれで来てくれます」
「ではすみませんが呼んでいただいても?」
領土を持たないのはフィリルも同じこと。
どうやってバーンがフィリルの位置を把握しているのか不思議に思っていたエルピスは、そう言った仕掛けがあったのかと納得する。
それであればバーンがフィリルの位置を把握できていたのはなんらおかしな話ではない。
エルピスが狼煙を上げる様にお願いするとどこからか数本長い植物を取り出したフィリルが無造作にそれを焼くと、水色の煙が空へと上がっていく。
「これで少しの間お待ちください」
狼煙を視認できる場所にいればいいのだが。
そんなエルピスの思いはどうやら杞憂であった様で、数分ほどすると先程まで話の種であった人物ヘレディックが目の前にやってきていた。
相変わらずその素顔は窺い知れず、ローブから覗く四肢には包帯が巻かれておりその実態も定かではない。
その上空中に浮遊しているものだから身長も正確に測ることはできず、元人間であると言う話をされなければ何かもわからないほどである。
「──呼んだか?」
「本当に来た!」
「エルピスさんから明日邪竜との決戦が始まるので備える様にと。ヘレディックさんも合流しておいた方が何かと便利なのでは?」
「そうか。分かった、バーンの所へ顔を出しておこう。失礼する」
一瞬やってきたかと思えば必要な情報だけを手に入れるとすぐに消えて行く。
仲良くなるきっかけを得られるかとも考えていたのだが、馴れ合いをするためにこの状況を作ったわけではないので仕方がないことかとエルピスは諦める。
それよりも伝令が早く終わったことを喜ぶべきなのだろう。
「とりあえずはこれで連絡は完了しましたね」
「随分と早く行ってしまいましたね、挨拶くらいしたかったんですが」
「エルピスさんは確か英雄のお子さんでいらっしゃいましたよね? 彼の方は大の英雄好きなので照れているのですよ」
「そうなんですか」
英雄の死霊を扱うくらいだから英雄に対して何か思うところがあるのだろうと言う予想は立てていたが、それが尊敬の念であるとは少しだけ驚きだ。
一体どんな人物なのか、もし余裕があれば父を巻き込んで話を聞いてみたいところだが、それは戦争が終わってからになるだろう。
「とりあえずは私もバーンの所に行って明日の作戦開始を待つ様にします。それではこの辺で」
「でまた後で」
これで始祖への伝達作業も終わり、魔界でのエルピスの用事は大体終わった。
想定していたよりも早く作業を終わらせることができたエルピスは、その足でそのまま王国の冒険者組合へと向かうのだった。
吸血鬼たちの領土にやってきたエルピスは、そのままの足で王城へと向かうとそこにいる始祖に挨拶をしていた。
「よくぞ我が城に来たな。話は聞いている」
通されたのは謁見の間。
人間の国と同じような様式で作られたこの空間は、おそらく人用に作られたのだろう。
装飾なども吸血種が好む黒い色合いではなく、分かりやすい豪華さを演出するために金色一色に染められている。
玉座に腰を掛けて少し疲れた顔をしながらエルピス達を迎え入れたバーンに対し、エルピスは頭を軽く下げて会釈をすると本題に入っていく。
「そうでしたか、ですが改めて。決戦は明日です、そのお知らせをしに来させていただきました」
「そうか、わざわざこんなところまで伝えにきてくれて感謝する。
お互いに大変だな、だがそれも明日で終わる」
立場としては神と国王だからエルピスが頭を下げる必要性などないのだが、この城の中にいる人間はエルピスが神であることを知らない者が殆どなので王であるバーンが頭を下げているといろいろと面倒ごとを引き起こしかねない。
だからこそ気を使ってエルピスは頭を下げたわけで、それを分かっているバーンはほんの少しだけ気まずそうな顔をする。
宗教観的に吸血種は神を崇め奉る様な種族ではない──というより魔界にそんな種族はいないのだが──とはいえ神に対しての対処を知らないわけではない。
「現状の戦力差は五分五分、ここまで持ち込めただけ随分と良く頑張ったものだと褒めても良いほどだ」
元々の戦力差はエルピス達を抜いたとして3対7といったところか。
これは単純に派閥に属している種族の多さが向こう側の勢力の方が多かったという話であり、戦力差は後からはいってきたエルピス達の陣営がどれだけ詰められるかにかかっているとバーンは考えていた。
しかし戦争が始まるまでに各所で引き込み行為を行ったこともあり、エルピス達の陣営を無視しても戦力差はイーブンといえる状況に持ち込めている。
もちろん交渉した種族全てが戦闘に参加してくれるわけではないが、敵側に戦力として参加されないだけでもいくらか楽になるというものだ。
「どちらの神に着いたのが正解だったのか、答えがようやく出るわけですか」
「信じているぞ我等の神よ」
「担いだ神輿が疫病神の神輿じゃない事を祈っておいてください」
「そうしておくよ。そう言えば俺が出したメイドはどうだった? 上手く使ってくれているか?」
笑みを浮かべながらそういえばと話を切り替えたバーンに対して、エルピスは一瞬なんの事なのか思い出して少し間を置き誰なのか思い出したエルピスは、なるべく角が立たないように言葉を返す。
「伝達役として俺以上に走り回ってもらっていますよ」
「そうか、別に抱いても良かったんだぞ?」
「冗談がお得意ですね」
「そうだろう? はははっ」
冗談ではないのだろう、もしエルピスが欲を出せばその瞬間きっとそれはそうなるのだ。
だが始祖種とエルピスは全員同じ程度の付き合いである必要性がある。
将来的に始祖の誰かと仲良くなることに関して言え損特勘定を考慮しても悪い話ではないが、いまはまだ始祖の誰かと仲良くなりすぎると肩入れしていると思われる可能性もあるので出来るだけ公平性は保っておきたい。
そんなエルピスの考えを見抜いたのだろう、それ以上何かをいう事もなくバーンは話を先に進める。
「まぁこれも何かの縁だ、この戦争が終わってからも末永くよろしくお願いする」
「もちろんです。では少し早いですが私はこれで、フィリルさんのところにも行かなければなりませんので」
「見送らせよう」
戦争が始まる前から終わった時のことを考えるのもおかしな話ではあるが、悲観的になるよりはいくらからマシと言うものだろう。
そうしてバーンの城から見送られたエルピスはその足でフィリルの元へと向かう。
フィリル達粘液種と呼ばれる種族は決まった領地を持たず、この魔界全土で転々と生活している種族である。
そんな種族の長であるフィリルの場所を探すのはエルピスとしても多少時間がかかると思われた作業だったのだが、バーンが出発前に位置を教えてくれたので探す手間が省けたと言うものだ。
草原で陽の光を浴びているフィリルの元へと降り立つと、フィリルもどうやら気がついた様で会釈をする。
「こんにちはエルピスさん」
「こんにちはフィリルさん。お元気ですか?」
「はい。おかげさまで配下のみんなも無事に過ごせています、今日はどう言ったご用件で?」
粘液種であるフィリルに決まった形というものはない。
座布団の様な四角形になりながら陽の光を全身で浴びているフィリルは、おそらく視線だけをこちらに向けながら話を進めていた。
目も口もある様には見えないのでおそらく、としかいえないがそう言ったところは感覚的な話である。
「明日が決戦の日になりそうなのでそのお知らせをしに来ました」
「ついに明日ですか、邪竜復活はもう少し後かと思っていましたが」
「封印の遺跡を発見したので。当初の予定通りフィリルさん達は自分の領土防衛に努めてください。バーンさんともそれで話はついています」
「いえいえエルピスさん、お気になさらず。私は前に出れますよ」
この計画を立案した上で大切なのはどれだけ戦闘に参加する意欲があるのかと言うところ。
その点で言えばフィリルは戦闘に消極的な姿勢を見せていたし、エルピス側についた理由も平和な世界がやってくると見込んでというなんとも曖昧なものだ。
正直フィリルのことを信用できないでいたエルピスは彼女を前線から遠ざけようとそんな提案をし、バーンや他の始祖種からも許諾は得ていたのだが、本人がそれを拒む。
戦闘に参加しない気でいるだろうと思っていたエルピスはそんなフィリルの言葉に驚き、少しだけ理由を探ろうと探りを入れてみる。
「しかし…心配ではないですか? 他の粘液種が」
「確かに配下のみんなの事は心配ですが、私も始祖種として選ばれた身。なればこそ魔界大平の為には力を貸すべきかと」
「そうですか、凄いですね、私には到底真似できなさそうな考えです」
「そうですかね? ヘレディックさんに比べたら私なんて全然」
「ヘレディックさんですか、あの人も不思議な人ですよね」
ヘレディックというとあの英雄の死霊を操ると言う始祖種の事だろう。
フィリルとは違い彼が種族名で呼ばれている理由は、彼が代替わりのすることがない始祖種であるからである。
この世界でも神を除けば最強の称号である英雄、それを持った人物を召喚できるのであればその力は比類なきものなのだろう。
ただ一つ気になることがあるとすれば、死ねばすぐに転生するはずのこの世界でどうして英雄の魂を召喚できるのかと言う点についてだが、それは本人に聞くしか解き明かす方法はなさそうである。
「元は大きな国の王だったらしいですよ。あの人の力は始祖種の中でも飛び抜けています、縁を持つほどに強くなる人ですから」
「英雄を呼びだす能力でしたっけ。確かに心強いですね、どこにいるのか分からないのが難点ですが」
「あの人は領地も持たず臣下も持たない一匹狼ですからね。呼び出したいのなら狼煙をあげるといいですよ」
「狼煙ですか? そんな古風な方法で?」
「はい。始祖種の間で連絡を取るときに来てくれないと困りますからね、魔界にいるならそれで来てくれます」
「ではすみませんが呼んでいただいても?」
領土を持たないのはフィリルも同じこと。
どうやってバーンがフィリルの位置を把握しているのか不思議に思っていたエルピスは、そう言った仕掛けがあったのかと納得する。
それであればバーンがフィリルの位置を把握できていたのはなんらおかしな話ではない。
エルピスが狼煙を上げる様にお願いするとどこからか数本長い植物を取り出したフィリルが無造作にそれを焼くと、水色の煙が空へと上がっていく。
「これで少しの間お待ちください」
狼煙を視認できる場所にいればいいのだが。
そんなエルピスの思いはどうやら杞憂であった様で、数分ほどすると先程まで話の種であった人物ヘレディックが目の前にやってきていた。
相変わらずその素顔は窺い知れず、ローブから覗く四肢には包帯が巻かれておりその実態も定かではない。
その上空中に浮遊しているものだから身長も正確に測ることはできず、元人間であると言う話をされなければ何かもわからないほどである。
「──呼んだか?」
「本当に来た!」
「エルピスさんから明日邪竜との決戦が始まるので備える様にと。ヘレディックさんも合流しておいた方が何かと便利なのでは?」
「そうか。分かった、バーンの所へ顔を出しておこう。失礼する」
一瞬やってきたかと思えば必要な情報だけを手に入れるとすぐに消えて行く。
仲良くなるきっかけを得られるかとも考えていたのだが、馴れ合いをするためにこの状況を作ったわけではないので仕方がないことかとエルピスは諦める。
それよりも伝令が早く終わったことを喜ぶべきなのだろう。
「とりあえずはこれで連絡は完了しましたね」
「随分と早く行ってしまいましたね、挨拶くらいしたかったんですが」
「エルピスさんは確か英雄のお子さんでいらっしゃいましたよね? 彼の方は大の英雄好きなので照れているのですよ」
「そうなんですか」
英雄の死霊を扱うくらいだから英雄に対して何か思うところがあるのだろうと言う予想は立てていたが、それが尊敬の念であるとは少しだけ驚きだ。
一体どんな人物なのか、もし余裕があれば父を巻き込んで話を聞いてみたいところだが、それは戦争が終わってからになるだろう。
「とりあえずは私もバーンの所に行って明日の作戦開始を待つ様にします。それではこの辺で」
「でまた後で」
これで始祖への伝達作業も終わり、魔界でのエルピスの用事は大体終わった。
想定していたよりも早く作業を終わらせることができたエルピスは、その足でそのまま王国の冒険者組合へと向かうのだった。
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