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幼少期:共和国編 改修中
全力
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そうしてエルピス達がやってきた方向とは逆方向の出入り口から真っ直ぐに進み、馬車に乗って三十分ほど。
退屈によって喉の奥から欠伸が出そうになるのを堪えて、私はエルピスの表情を伺う。
普段ならば彼の表情を注意深くわざわざ見るようなことはなしない。
彼は楽しい時は素直に笑みを浮かべているし、不機嫌な時は技能を使って表情を消しているからだ。
ならなぜ今日はわざわざそうやって技能によって隠された表情を見ようとしているのかといえば、それすらも透過してしまうほどの怒りが彼の立ち居振る舞いの要所から漏れ出ているからだ。
いつもの彼とは違うその様子に心配になりふと手を伸ばそうとすると、手が上がりきる前に大丈夫だよと言われ頭を撫でられる。
撫でられる手の温もりを感じながら、私はこれが彼の長所であり短所でもある事を再確認する。
(また自分で全部解決しようとしてるわね)
驚く程に、呆れるほどに、彼は人というものを信用していない。
過去に何があったのかは聞き及んでいないものの、おそらくは転生前にあった何かが原因なのだろう。
だからこそ灰猫と彼はお互いに無意識下で共通点を見出し、そして独占欲にも似た信頼をお互いに向けているのだ。
「この先の廃坑で止まりますので、そこで降りてください!」
前を走る馬車からそんな声が聞こえ、エルピスは分かりましたとだけ返事をする。
見れば確かに少し先に廃坑の入り口のようなものがあった。
数ヶ月程前に共和国がいままで鉱石を採掘していた坑道を閉鎖したとの情報が出回っていたが、まさかこれがその坑道なのだろうか?
だとすればそれの破壊をついでにエルピスにさせるだけでなく、事情説明もしないとは正直言って非常識にも程がある。
とはいえ彼がそれに対して文句をつけていないのだから、私が文句を言うこともないだろう。
「用があるのは僕だけだと思うから、みんなはここで待ってて」
「分かりました」
「私は行ってもいい? 馬車の中に居ると気が滅入っちゃいそう」
「ーー別にいいけど、多分爆音とか凄いぞ?」
「慣れたわよ」
まさか自分から行くと申し出るとは思っていなかったのか、一瞬エルピスが驚きの表情を見せる。
私としても普段ならば馬車の中で待つだろうが、いまから彼はおそらく本気を見せるだろう。
今回こうして共和国側から力量を試される機会を作られたのだ、私の事で腹を立てている彼ならば誰に逆らったのか分からせるはずだ。
……自分で考えておいてなんだが、いまの私のこの状況。
怒ってくれる彼には悪いが、非常に嬉しい。
すくなからず好意を寄せている相手が、国を相手に自分の為にその力を振るってくれるのだ。
これで喜ばなければ、いつ喜べばいいと言うのか。
話を戻すとその全力が、私からすれば一見しておきたいものなのだ。
他のライバルに勝つためにも、ヴァスィリオ家の者としても、彼の事を一つでも知る必要がある。
「それではエルピス様、こちらの準備は完了いたしましたので、あちらの廃坑入り口に向かってどのような攻撃でもいいので行ってください。いつでもお願いいたします」
事前に用意していたのか計測機のような物まで持ち出しながら、ナハルと名乗った男性はエルピスに指示を出す。
私はその態度に苛立ちを覚えたものの、これから放たれる何かに対する期待感で苛立ちもどこかへと掻き消えていった。
「神級魔法」
ぽつりと、すぐ隣にいる私ですら聞き逃してしまうほどの小さな声でエルピスがそう呟く。
聞いたことのない魔法の位、だが疑問を感じる前に第二段階は始まる。
「魔法陣展開」
エルピスの言葉に反応するようにして地面に六、空に六、合わせて十二の魔法陣が展開される。
その魔法陣の中に含まれた魔力量は、もはや並の魔法使いでは感じる事すらできない。
込められた魔力量が多すぎて、それがどれほどの規模なのか測りかねるのだ。
一つの魔法陣の中に幾重にも魔法陣が重ねられており、一番小さな魔法陣ですら私の全魔力を投入したところで起動できるか危ぶまれるほどだ。
「我が名を持って魔素に命じる」
不意に後ろで計測機のメーターが弾け飛ぶ音がする。
それと同時に空間が歪み、威圧を向けられてすらいない私ですら震えてしまうほどの、言葉にできない本能レベルでの怯えに襲われる。
絶対者が力を行使する時のそれは何度か私も味わった事はあるけれど、その時のどれよりも怖く、冷たく、そして力強い。
「重ねて魔素に我が名を持って命じる」
震える私に気がついたのか、優しく、力強く手が握られる。
それだけで不安感はどこかへと消えていき、期待感が胸を高鳴らせる。
本来ならば魔法発動の起こりは神の名を呼ぶところから始まり、そして様々な詠唱へと繋がっていく。
だと言うのに彼はまだ一度も神の名を呼んでいない。
さらに言えば無詠唱を持つ彼がわざわざ詠唱すると言う事は、特殊技能すらも超える魔法だと言う事だ。
「愚か者に鉄槌を。傲れる愚者に罰を。龍と魔法の神の名の下に抗う者達に神罰を下す」
絶大な魔力が魔法陣へと吸い込まれていき、それに反応するようにして魔法陣から触手のようなものが生えてくる。
地に生えた触手は天にて待つ触手と糸のように絡み合い、そして一本の柱となる。
まるで神話のようにすら思えるほどの神々しさを感じさせながら、この日初めて人類生存圏内で神級魔法が発動される。
「大地を穿て。神罰!」
魔法名と共に視界が白く染まりーーそして耳を塞ぎたくなるほどの轟音と共に大地が消える。
神の力と言われても納得ができる程の絶対的な力。
もはや生物が行使できる力の限界を嘲笑うかのようにして放たれたその魔法は、だがたった一撃目が終わっただけだった。
見れば六つあった柱の内の一つが消えただけ、まだこの魔法は後五回放たれる。
それも先程よりも高い威力で広い範囲を蹂躙する事だろう。
込められた魔力量が雄弁にそれを物語っている。
不意に後ろで何か重たいものが倒れた音が聞こえ見てみれば、先程まで壊れた計測器の前であたふたしていた三人組だった。
鼻水を垂れ流し逃げる為に手をあちこちへと動かしているが、心が完全に恐怖に飲まれしまったが為に、その手には力が篭らず意味もなく手を動かしているだけになっている。
どうやらエルピスによって防壁が形成されていたのか目立った外傷はないものの、目の前の彼の姿に膝を折ってしまうのは仕方のないことだ。
それ程までに、明確な種族として超えられない壁を見せつけられたのだから。
「どうアウローラ? 怖かった?」
「はっきり言って怖いわね、多分手を握ってくれてなかったら後ろの三人と同じように膝を折ってるわよ」
「……そっか」
そう言って悲しげに笑う彼の表情は年相応のそれであり、やはりどれだけ絶大な力を持っていたところで彼自身の本質は変わらないのだろうと思うと、少し笑みが溢れる。
だからエルピスが昔してくれたように、いつもしてくれるように、エルピスの頭を軽く撫でる。
「大丈夫よ。私を誰だと思ってるの? ラノベ大好きアウローラさんよ? こんなのきょうび普通よ普通」
「そっか、普通だよな」
「そうよ。というか私が引くと思ったなら弱い魔法にすれば良かったのに」
「最高位冒険者の証剥奪されちゃったら困るし…あと態度が気に食わなかったからやりました。反省してます」
「あんたほんとそういうとこよ? なんでもかんでもオーバーにやり過ぎだし、いい意味でも悪い意味でも人を信用してなさすぎ」
おそらく彼等ならばアウローラが全力で爆破系魔法を使えば、それだけで力量を認めるだろう。
いや、それだけで、というよりはそこまですれば、か。
エルピスは他人から自分に対する評価に疎い。
それはエラやセラからの好意に気付いていないのもそうだし、もちろん私からの好意に気付いていない点からもよく分かる。
だからこそ他人が考えたここまですれば凄いという判定に引っ張られ、物語の主人公達がするようにやりすぎる。
「もう少し信頼しなさい」
「うん……分かった。ところでなんだけどさ……」
「どうしたの?」
「これどうしよっか」
そう言ってエルピスが指差すのは、未だに天と地を繋ぎ煌々と輝く魔法だ。
信頼しろと言った手前何か考えてはあげたい。
あげたいのだが……。
「いや、それは私に聞かれてもどうしようもないわよ」
「ですよねー」
「吸収とか出来ないの? いまのエルピスなら出来そうだけど」
「吸収? なるほど確かに、試しにやってみるか」
体内の魔力を使ったのか、それとも体外の魔素を使用したのか、詠唱から考えるのであればおそらく後者だろうがいまのエルピスならばなんとなく取り込める気がした。
予測は見事に当たりエルピスは体全体で周囲の魔力を取り込んでいく。
「うわぁ……もう立派なチートじゃない。いままでの苦戦がなんだったのか聞きたいわね」
「いままでの苦戦って俺そんなに苦戦して……たな、しまくりだな何してたんだろ」
「これから先はこんな感じでいくの?」
「まぁ、そうかな。多分あの魔法でもうバレただろうし、俺も一応もう成人だからな。タイミングとしては丁度いい」
私の年齢が16だからいまのエルピスの年齢は15か。
日本ならば中学卒業程度の年齢だが、この世界においては15歳から何事も自分で責任を負える範囲内ならば許可されるようになる。
確かに人生の節目としては丁度いいだろう。
彼が意図的に言葉を濁しているその力の源については、結局いつかどこかで聞くことになるのだろうから深く追求することはしない。
「それじゃ帰ろっか」
「両替もまだだしね」
「そういやそうじゃん。僕達先帰るので、上の人への報告お願いしますね」
帰りは転移魔法を使えばそれほど時間もかからないだろう。
ここから馬車までは対して距離もない。
だからこそ、その一瞬を独占したいがために、アウローラはエルピスの腕に抱きつく。
振りほどかれる様子はない。
短いたった少しの距離をアウローラとエルピスは二人寄り添って歩くのだった。
退屈によって喉の奥から欠伸が出そうになるのを堪えて、私はエルピスの表情を伺う。
普段ならば彼の表情を注意深くわざわざ見るようなことはなしない。
彼は楽しい時は素直に笑みを浮かべているし、不機嫌な時は技能を使って表情を消しているからだ。
ならなぜ今日はわざわざそうやって技能によって隠された表情を見ようとしているのかといえば、それすらも透過してしまうほどの怒りが彼の立ち居振る舞いの要所から漏れ出ているからだ。
いつもの彼とは違うその様子に心配になりふと手を伸ばそうとすると、手が上がりきる前に大丈夫だよと言われ頭を撫でられる。
撫でられる手の温もりを感じながら、私はこれが彼の長所であり短所でもある事を再確認する。
(また自分で全部解決しようとしてるわね)
驚く程に、呆れるほどに、彼は人というものを信用していない。
過去に何があったのかは聞き及んでいないものの、おそらくは転生前にあった何かが原因なのだろう。
だからこそ灰猫と彼はお互いに無意識下で共通点を見出し、そして独占欲にも似た信頼をお互いに向けているのだ。
「この先の廃坑で止まりますので、そこで降りてください!」
前を走る馬車からそんな声が聞こえ、エルピスは分かりましたとだけ返事をする。
見れば確かに少し先に廃坑の入り口のようなものがあった。
数ヶ月程前に共和国がいままで鉱石を採掘していた坑道を閉鎖したとの情報が出回っていたが、まさかこれがその坑道なのだろうか?
だとすればそれの破壊をついでにエルピスにさせるだけでなく、事情説明もしないとは正直言って非常識にも程がある。
とはいえ彼がそれに対して文句をつけていないのだから、私が文句を言うこともないだろう。
「用があるのは僕だけだと思うから、みんなはここで待ってて」
「分かりました」
「私は行ってもいい? 馬車の中に居ると気が滅入っちゃいそう」
「ーー別にいいけど、多分爆音とか凄いぞ?」
「慣れたわよ」
まさか自分から行くと申し出るとは思っていなかったのか、一瞬エルピスが驚きの表情を見せる。
私としても普段ならば馬車の中で待つだろうが、いまから彼はおそらく本気を見せるだろう。
今回こうして共和国側から力量を試される機会を作られたのだ、私の事で腹を立てている彼ならば誰に逆らったのか分からせるはずだ。
……自分で考えておいてなんだが、いまの私のこの状況。
怒ってくれる彼には悪いが、非常に嬉しい。
すくなからず好意を寄せている相手が、国を相手に自分の為にその力を振るってくれるのだ。
これで喜ばなければ、いつ喜べばいいと言うのか。
話を戻すとその全力が、私からすれば一見しておきたいものなのだ。
他のライバルに勝つためにも、ヴァスィリオ家の者としても、彼の事を一つでも知る必要がある。
「それではエルピス様、こちらの準備は完了いたしましたので、あちらの廃坑入り口に向かってどのような攻撃でもいいので行ってください。いつでもお願いいたします」
事前に用意していたのか計測機のような物まで持ち出しながら、ナハルと名乗った男性はエルピスに指示を出す。
私はその態度に苛立ちを覚えたものの、これから放たれる何かに対する期待感で苛立ちもどこかへと掻き消えていった。
「神級魔法」
ぽつりと、すぐ隣にいる私ですら聞き逃してしまうほどの小さな声でエルピスがそう呟く。
聞いたことのない魔法の位、だが疑問を感じる前に第二段階は始まる。
「魔法陣展開」
エルピスの言葉に反応するようにして地面に六、空に六、合わせて十二の魔法陣が展開される。
その魔法陣の中に含まれた魔力量は、もはや並の魔法使いでは感じる事すらできない。
込められた魔力量が多すぎて、それがどれほどの規模なのか測りかねるのだ。
一つの魔法陣の中に幾重にも魔法陣が重ねられており、一番小さな魔法陣ですら私の全魔力を投入したところで起動できるか危ぶまれるほどだ。
「我が名を持って魔素に命じる」
不意に後ろで計測機のメーターが弾け飛ぶ音がする。
それと同時に空間が歪み、威圧を向けられてすらいない私ですら震えてしまうほどの、言葉にできない本能レベルでの怯えに襲われる。
絶対者が力を行使する時のそれは何度か私も味わった事はあるけれど、その時のどれよりも怖く、冷たく、そして力強い。
「重ねて魔素に我が名を持って命じる」
震える私に気がついたのか、優しく、力強く手が握られる。
それだけで不安感はどこかへと消えていき、期待感が胸を高鳴らせる。
本来ならば魔法発動の起こりは神の名を呼ぶところから始まり、そして様々な詠唱へと繋がっていく。
だと言うのに彼はまだ一度も神の名を呼んでいない。
さらに言えば無詠唱を持つ彼がわざわざ詠唱すると言う事は、特殊技能すらも超える魔法だと言う事だ。
「愚か者に鉄槌を。傲れる愚者に罰を。龍と魔法の神の名の下に抗う者達に神罰を下す」
絶大な魔力が魔法陣へと吸い込まれていき、それに反応するようにして魔法陣から触手のようなものが生えてくる。
地に生えた触手は天にて待つ触手と糸のように絡み合い、そして一本の柱となる。
まるで神話のようにすら思えるほどの神々しさを感じさせながら、この日初めて人類生存圏内で神級魔法が発動される。
「大地を穿て。神罰!」
魔法名と共に視界が白く染まりーーそして耳を塞ぎたくなるほどの轟音と共に大地が消える。
神の力と言われても納得ができる程の絶対的な力。
もはや生物が行使できる力の限界を嘲笑うかのようにして放たれたその魔法は、だがたった一撃目が終わっただけだった。
見れば六つあった柱の内の一つが消えただけ、まだこの魔法は後五回放たれる。
それも先程よりも高い威力で広い範囲を蹂躙する事だろう。
込められた魔力量が雄弁にそれを物語っている。
不意に後ろで何か重たいものが倒れた音が聞こえ見てみれば、先程まで壊れた計測器の前であたふたしていた三人組だった。
鼻水を垂れ流し逃げる為に手をあちこちへと動かしているが、心が完全に恐怖に飲まれしまったが為に、その手には力が篭らず意味もなく手を動かしているだけになっている。
どうやらエルピスによって防壁が形成されていたのか目立った外傷はないものの、目の前の彼の姿に膝を折ってしまうのは仕方のないことだ。
それ程までに、明確な種族として超えられない壁を見せつけられたのだから。
「どうアウローラ? 怖かった?」
「はっきり言って怖いわね、多分手を握ってくれてなかったら後ろの三人と同じように膝を折ってるわよ」
「……そっか」
そう言って悲しげに笑う彼の表情は年相応のそれであり、やはりどれだけ絶大な力を持っていたところで彼自身の本質は変わらないのだろうと思うと、少し笑みが溢れる。
だからエルピスが昔してくれたように、いつもしてくれるように、エルピスの頭を軽く撫でる。
「大丈夫よ。私を誰だと思ってるの? ラノベ大好きアウローラさんよ? こんなのきょうび普通よ普通」
「そっか、普通だよな」
「そうよ。というか私が引くと思ったなら弱い魔法にすれば良かったのに」
「最高位冒険者の証剥奪されちゃったら困るし…あと態度が気に食わなかったからやりました。反省してます」
「あんたほんとそういうとこよ? なんでもかんでもオーバーにやり過ぎだし、いい意味でも悪い意味でも人を信用してなさすぎ」
おそらく彼等ならばアウローラが全力で爆破系魔法を使えば、それだけで力量を認めるだろう。
いや、それだけで、というよりはそこまですれば、か。
エルピスは他人から自分に対する評価に疎い。
それはエラやセラからの好意に気付いていないのもそうだし、もちろん私からの好意に気付いていない点からもよく分かる。
だからこそ他人が考えたここまですれば凄いという判定に引っ張られ、物語の主人公達がするようにやりすぎる。
「もう少し信頼しなさい」
「うん……分かった。ところでなんだけどさ……」
「どうしたの?」
「これどうしよっか」
そう言ってエルピスが指差すのは、未だに天と地を繋ぎ煌々と輝く魔法だ。
信頼しろと言った手前何か考えてはあげたい。
あげたいのだが……。
「いや、それは私に聞かれてもどうしようもないわよ」
「ですよねー」
「吸収とか出来ないの? いまのエルピスなら出来そうだけど」
「吸収? なるほど確かに、試しにやってみるか」
体内の魔力を使ったのか、それとも体外の魔素を使用したのか、詠唱から考えるのであればおそらく後者だろうがいまのエルピスならばなんとなく取り込める気がした。
予測は見事に当たりエルピスは体全体で周囲の魔力を取り込んでいく。
「うわぁ……もう立派なチートじゃない。いままでの苦戦がなんだったのか聞きたいわね」
「いままでの苦戦って俺そんなに苦戦して……たな、しまくりだな何してたんだろ」
「これから先はこんな感じでいくの?」
「まぁ、そうかな。多分あの魔法でもうバレただろうし、俺も一応もう成人だからな。タイミングとしては丁度いい」
私の年齢が16だからいまのエルピスの年齢は15か。
日本ならば中学卒業程度の年齢だが、この世界においては15歳から何事も自分で責任を負える範囲内ならば許可されるようになる。
確かに人生の節目としては丁度いいだろう。
彼が意図的に言葉を濁しているその力の源については、結局いつかどこかで聞くことになるのだろうから深く追求することはしない。
「それじゃ帰ろっか」
「両替もまだだしね」
「そういやそうじゃん。僕達先帰るので、上の人への報告お願いしますね」
帰りは転移魔法を使えばそれほど時間もかからないだろう。
ここから馬車までは対して距離もない。
だからこそ、その一瞬を独占したいがために、アウローラはエルピスの腕に抱きつく。
振りほどかれる様子はない。
短いたった少しの距離をアウローラとエルピスは二人寄り添って歩くのだった。
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