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青年期:法国
戦後処理:前
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邪龍とエルピスの戦闘によって荒廃した大地を歩き回っていたのはニル。
破壊神の信徒との戦闘を得策ではないと判断したニルはまた今度殺せばいいやと一旦思考のよそに置いて置き、音を置き去りにするほどの速度でとある人物を探し回っていた。
先程までは別の大陸にいてもその存在を感知できるほどの力を奮っていたエルピスは、いまとなってはその全てを使い果たしたのか命の鼓動すら感じられないほどに気配が薄まってしまっている。
「これは……エルピス死んじゃったかな?」
「エルピス!? 生きてるのエルピス!」
冗談半分でニルが口にした言葉に対してほんの少しの可能性に神経を過敏に反応させたセラが、辺り一体の瓦礫をチリに変えながらエルピスの捜索を始め出す。
普段ならばどのような戦闘であろうともエルピスが死なないと断言できる。
なにせセラやニル、レネスなどのこの世界の中でも規格外の戦闘経験を持つ者達を相手に普段から訓練しているからだ。
あれほどの鍛錬と神から与えられた力を持ってセラやニルが知らないところで死ぬことなどありえない。
だが敵が邪竜ともなれば話は別で、信頼しているからこそニルはエルピス一人に任せたがあの敵はニルやセラでも勝てるかどうか怪しいほどの難敵であった。
明らかに世界の外から、元はニルたちがいた領域から創り出されたこの世界にとっての遺物。
転移者や転生者などとは比較にならないほどの悪意に満ちた存在こそあの邪龍である。
暴れ回る姉に対して、これ以上破壊行動を続けられその余波でエルピスが傷つく可能性を考慮したニルが口を開く。
「こういってしまうとあれだけど姉さん、僕たちがこの世界にいる時点でエルピスが生きていることは確定しているようなものだよ」
方法がなんであれこの世界でのニルやセラの扱いはエルピスに召喚された召喚物、術者が死ねば諸共消え果てる運命なのだ。
このことにニルが気づけていなければ、いまのセラなどとは比較にならないほどの酷い粗ぶりようを見せていただろう。
ニルの言葉に対して一瞬ポカンとした顔をしたセラは、山ほどはあろう大岩を適当なところに投げ捨てるとようやく落ち着いたらしい。
「確かに。なぜそんな簡単なことに気が付かなかったのかしら」
「だからって急に冷静になりすぎだよ姉さん、重傷になってる可能性は十二分にあるんだから──お父様?」
あまりの姉の温度差に対して疑問を呈したニルだが、そんなことを言っていても仕方がないと探しはじめようとしたその時。
ニルの目に映ったのは普段の姿からは想像つかないほどにアタフタとしながら、自分の力を使うことも忘れてふらふらとするイロアスの姿であった。
彼の力を用いればエルピスの探査は目で探さずとも他の方法がいくらでもある。
もちろんそれは先ほどまでのセラやニルにも言える事だが、わざわざ視力に頼って物を探してしまっているあたり相当に困惑しているのだろう。
「え、エルピス? どこだエルピス」
「イロアス、私はあっちを探すからあなたは向こうを探してきて」
「落ち着け俺! 落ち着け、エルピス~頼むから死ぬなよ~」
気がつけば横から入ってきたのはエルピスの母親であるクリム。
両者通常通りとは言えない精神状態であるが、自らの子供が死にかけているのだから当たり前の反応であると言えるだろう。
見れば二人ともかなりの傷を負っていた。
死に直面するような重症こそなんとか回復したようだが、それでも骨折や出血が見ているだけで危険なほどだとわかるのに二人はそんな事を気にしないで探し続けている。
「落ち着いてください、お二人とも重症なんですから。ひとまずここで休んで」
「この程度なんでもないわ。それよりも早くエルピスを助けにいかないと」
「ならせめて回復魔法だけでも……」
イロアスの方はまだなんとでもなる。
いくつか身体に外傷が見受けられるものの、それらは死に至るような傷ではない。
実力差こそあれば傷を比較的に抑えて戦闘行為を行うことができる、それが魔法戦闘における利点だが逆を言えばクリムはどれだけ頑張っても傷を負うことになる。
しかもクリムの戦闘はセラも回復魔法をかけて援護していたからこそわかる。
自分の事など省みずに戦闘を行なっていたあの姿は、戦場によくいる命を軽視する人間のそれだ。
本人にその気がないのかそれとも生来の物なのか、龍人であることを考えると生来のものなのだろう。
渋々と回復魔法を受けていたクリムだったが、ふと驚いたように顔を上げる。
「──いまエルピスの声が聞こえたわ。こっちの方」
「こっちの方って何もないけど……一体どこに行ったんだ? おーいエルピス? いるなら返事しろー」
よく見てみれば自分達がいるのは巨大なクレーターの中心部。
この世界の理から外れたエネルギーの魔力を大量に浴びた事で変質した鉱石などは、もはやこの世界の物質のどれとも類似しない性質を持ち合わせている。
そんな中で歩いていると急に地面から腕が飛び出てくるではないか。
「うわ、腕だけ出てきた。生きてるのか本当に」
「ぷはっ、生きてるよ! 父さん悪いんだけど両腕だけ出せるようにできる?」
なんとか頭だけを地面から出したエルピスが腕をぷらぷらと振るうと、イロアスがその腕を引っ張りながら言葉を返す。
「よく生きてたな、あまりにも酷い状況だからてっきり死んだものかと」
「天災級魔法を使ったから生まれてこの方一番体の調子は悪いけど、何とか生きてるよ。
セラ悪いんだけど回復魔法貰ってもいい? へそから下がハンバーグみたいになっちゃってるから」
「なるべく動かないで、完璧に直すから」
魔神の権能によって魔法は本来ならば自分に牙を向くことがない。
いくらこの世の理に則さない天災魔法とはいえエルピス本人も三重に重ねて放ったときに自分の体がどうなるか、ある程度の目測はつけて放ったつもりである。
まさか内臓まで無くなってしまうとは思ってもいなかったが、死にはしなかったのだからありがたがっておくしかないだろう。
通常の負傷であれば自分の手で治すこともできただろうが、天才魔法による怪我はエルピスにはどうしようもない。
「さすがにあれだけの激戦を一人だと厳しそうだな、英雄には成れたか?」
「うーん……ないね、探したけどない」
自分の称号を下から全て探してみるが、どこにも英雄という称号は刻まれていない。
確かに創生神が口にしていた英雄の取得条件である邪竜の討伐、その偉業をこなしたにもかかわらず英雄の称号が獲得できなかった理由は一体なんなのだろうか。
「一人で戦うって言い出した時は驚いたけど、貴女が生きていて良かったわ」
「母さん達も無事でよかったよ。とりあえずは各地の状況を確認しないとね。ええっと……この魔法かな?」
一旦は英雄について考えることを放棄し、状況を確認するため頭の中を軽く探ると魔神の権能が必要な魔法を教えてくれる。
初めて使う魔法ではあるが、エルピスが使いたいと念じるだけで魔法名すら必要なく魔法はなんなく発動された。
「でたでた、これで見えるかな」
エルピスが魔法を用いて連絡を取ろうとしたのは自らの妹、フィアである。
ノイズが入り見にくかった画面が少しずつ見やすくなっていくと、神妙な面持ちで椅子に座っているフィアが映し出された。
周りには数人の召使いたちが控えており、なにやら元気づけるような言葉をかけている。
フィアはエルピス達に気が付くと椅子から飛び出してエルピス達の方へと駆け寄ってくる。
「お兄様! それにお父さんとお母さんも!! 無事に終わったの!?」
「終わったよ。そっちは大丈夫?」
「アルさんが守ってくれたから大丈夫!」
いつのまにか愛称で呼ばれるようになっていたアルキゴスは、そんなフィアの言葉に苦笑いを浮かべていた。
「アルキゴス、毎回うちの子供を任せてしまって悪いな。お前のおかげで安心して戦う事ができたよ」
「全体の指揮よりもお前のところの子供の世話の方がよっぽど疲れるよ。それで倒せたのか?」
「邪竜ならエルピスが一人でやった」
「一人でか!? さすがにお前らの子供か。それでその本人は?」
誇らしげに語ったイロアスに対してアルキゴスの反応は人類史上二度目の快挙を成し遂げたにしては淡白だが、エルピスならばそれくらいこなせるだろうという信頼あってのものでもある。
だが当の本人であるエルピスは地面に埋まってしまっているため気が付かれていないようだ。
「埋まってますけど居ますよー」
「とりあえずはおめでとう。身体は大丈夫か?」
「胸から下がぐちゃぐちゃですが生きてますよ」
「お兄様大丈夫ですか!? 痛くはありませんか?」
「大丈夫だよ、敵の攻撃でこうなったわけじゃないしほとんど自爆みたいなもんだから」
邪竜の攻撃でこうなっていたのであれば今ごろ集中治療でもされている事だろう。
自分の魔法の効果で瀕死の重体にはなったものの、回復を阻害するような効果は付与せずに放った魔法なので回復に時間こそかかれどいきなり死にかけるようなことはない。
心配そうにエルピスの方を眺めるフィアだったが、エルピスの口から大丈夫だと言う言葉が発せられると少しは安心したようだ。
「まぁ無事なら良かったよ。魔界自体に出た被害もたかが知れてるしな。
もちろん死人がいないってわけじゃないが大陸一つ分の戦争だって事を考えれば奇跡的な数だと言ってもいい」
大きな戦場はいまエルピス達が戦っていた場所とエラ達が戦っている場所の二箇所だが、それ以外の場所でも小競り合いが起きている。
一応は規律によって支配されていた魔界もいまとなっては無法状態であり、この機を待っていたとばかりに殺したい相手を殺しに行っているものもいるのだ。
この戦争の間に対抗勢力を潰せば成り上がれると種族間同士で戦っていたものもいるだろうし、魔界の外からこの機に乗じて一山当てようと来たものだっているだろう。
だが死者の数はアルキゴスが把握している限りそれほど多くもない。
レネスが相手取った敵だって殺されているものは少ない、大体の死亡理由はエルピスと邪竜の戦闘による流れ弾で死んでしまった者達だけだ。
「すごいよお兄ちゃん! お父さんとお母さんも! 絵本の中の英雄みたい!」
「ありがとうフィア。いまは情けない格好だからまた後で倒した時の話するね」
「本当に!? ほんとのほんと?」
「うん。ほんとのほんと。アルさん悪いですけど引き続きお願いしていいですか? 他にも色々とやらなきゃいけないことがあるので」
出来ることであればいますぐに妹の元へ向かって自慢したいエルピスであったが、これだけの戦闘をしたとなれば事後処理にどれだけの時間がかかるか想像に難くない。
なるべく早く終わらせるつもりではあるものの、複雑に絡み合う魔界の情勢を一つずつ解いていく必要があるのでこの分では法国に行くのも当分先の話になりそうだ。
その間のフィアの警護をアルキゴスにお願いすると、渋々と言ったふうに彼もそれを受け入れる。
「もちろん構わんが…無理はするなよ?」
「しませんよ、それに父さんと母さんも居ますしもう無理もさせてもらえそうにないです」
「それならまぁ良かったよ。お疲れ様」
最後に労いの言葉を受け取りエルピスは通信を切る。
それと同時に身体に尋常ではないほどの倦怠感が現れ、なんとか体を動かして眠らないように気をつけながらエルピスが回復魔法をセラから受けているとクリムが口を開いた。
「随分とアルと仲良くなれていたのね。なんだかお母さん感動しちゃったわ」
「アルさんとは長い付き合いだからちょっとしんみりしちゃったかな」
「あいつは何かと文句は言うがいい奴だからな、エルピスを預けて正解だったと思ってるよ」
「たまにポンコツなのが傷だけど」
両親の目線から見てアルキゴスがどう映っていたのだろうか。
昔エルピスがエラに聞いた話では自分の事をすべてアルに任せると言っていたらしい。
自分たちの子供を任せるに値する相手、それが両親からのアルキゴスに対しての評価であり、両親が軽口をたたく少ない相手であることを考えると信頼関係は疑いようがないだろう。
「それ母さんがいう?」
「ひどいじゃないエルピス。そういえばエラちゃん達の方は?」
「いま繋ぐので少々お待ちを……」
一回魔法を使用しただけで目に見えて疲労したエルピスを庇ってかニルが魔法陣を起動させると、エルピスが先程使用した魔法と同じような画面が目の前に現れる。
通信がつながった先は先ほどとは別の場所、エラ達のいるであろう戦場である。
「よし、これで大丈夫かな。エラ聞こえる?」
「その声はニル? どこから?」
だが先ほどと同じような魔法を使ったのにも関わらず、声こそ聞こえるものの映像は見えそうにもない。
魔法が発動できている以上は問題と考えられるのは術者の力量かそれ以外の何か、ニルの実力を考えるのであれば後者であると考えた方が常識的である。
そうしてニルはその理由がなんであるかを一瞬考えて、最も考えられる可能性の高い能力について指摘する。
「あれっ、映像が安定しないな……いまそっちで権能使ってる?」
「え、ええ使って居るけれど」
「悪いんだけど解除できるかな、この魔法権能持ちの人がいると弾かれるんだよね。簡単な魔法だから」
魔法というのは基本的に利便性が高いが、それゆえに対処法を持っている相手にはどうやっても効果を適用することができないという不便さもある。
今回の場合は丁度それと同じ状況なのでニルが権能の使用を止めるようにお願いしているわけだが、エラはそんなニルの言葉に対して少々気まずそうにしながら言葉を返す。
「ごめん…それはちょっとできないの。悪いんだけどニルだけこっちにこれる? もし戦闘が終わってるならイロアス様かクリム様のどちらかもついて来ていただけるとありがたいんだけど」
ニルを指名して呼び出したエラの声は、どこか焦っているようにも聞こえる。
怪我人でも出たのだろうか、始祖種を相手にしていたのだから怪我人の数というのは相当に多そうなものではあるが……。
しかしいまのエルピスは権能はおろか特殊技能はては技能までも使用できないため、エラ達の状況がどのようなものであるか判別できない。
「アレだったらもう少し待ってくれたら俺もいけるよー」
「その声はエル? 怪我は大丈夫?」
「死にはしないから大丈夫だよ。まだ回復に時間はかかりそうだけど」
「怪我人を無理させられないよ、師匠命令だそこにいなさい」
エラとエルピスの会話の間に入ってきたのはエラ達の方に向かっていたレネスである。
彼女が居るのであればエラ達に危害が及んでいる可能性というのは殆ど無いに等しいだろう。
そう考えたエルピスはレネスの言葉を素直に受け入れ、見えてはいないとわかっているが頭を立てに振るった。
「師匠も無事合流できたんだね。良かったよ」
「……それじゃあエルピス、俺が先に行ってくるからお前は後からちゃんと体を治してくるんだぞ。クリム、悪いがエルピスの事は任せた」
「ええ、任せて。セラちゃん、後どれくらいで治りそう?」
「そうですね…思っていたより時間がかかりそうです。一時間くらいは」
理の外の力とは言えセラにとっては見たことのあるレベルの力、それを直すのに一時間もかかるものなのかと思わずにはいられなかったが、エルピスがそのことを口出ししてよさそうな雰囲気ではない。
何処かしら疎外感を感じずにはいられないエルピスだが、そんな中でなぜか奇妙な違和感を口に出すことができなかった。
「一時間か……分かった。イロアス、それまでに向こうの方ちゃんとやってきておいてね」
「分かってる。悪いけどニルちゃん転移魔法を使ってくれるか? 何から何まで頼んで悪いが」
「いえいえ、お任せください」
転移魔法で去っていく父に対して何か声をかけることもできただろうに、それに対して言葉をかけることもできないままにエルピスは喉につっかえた異物感を飲み込むのであった。
破壊神の信徒との戦闘を得策ではないと判断したニルはまた今度殺せばいいやと一旦思考のよそに置いて置き、音を置き去りにするほどの速度でとある人物を探し回っていた。
先程までは別の大陸にいてもその存在を感知できるほどの力を奮っていたエルピスは、いまとなってはその全てを使い果たしたのか命の鼓動すら感じられないほどに気配が薄まってしまっている。
「これは……エルピス死んじゃったかな?」
「エルピス!? 生きてるのエルピス!」
冗談半分でニルが口にした言葉に対してほんの少しの可能性に神経を過敏に反応させたセラが、辺り一体の瓦礫をチリに変えながらエルピスの捜索を始め出す。
普段ならばどのような戦闘であろうともエルピスが死なないと断言できる。
なにせセラやニル、レネスなどのこの世界の中でも規格外の戦闘経験を持つ者達を相手に普段から訓練しているからだ。
あれほどの鍛錬と神から与えられた力を持ってセラやニルが知らないところで死ぬことなどありえない。
だが敵が邪竜ともなれば話は別で、信頼しているからこそニルはエルピス一人に任せたがあの敵はニルやセラでも勝てるかどうか怪しいほどの難敵であった。
明らかに世界の外から、元はニルたちがいた領域から創り出されたこの世界にとっての遺物。
転移者や転生者などとは比較にならないほどの悪意に満ちた存在こそあの邪龍である。
暴れ回る姉に対して、これ以上破壊行動を続けられその余波でエルピスが傷つく可能性を考慮したニルが口を開く。
「こういってしまうとあれだけど姉さん、僕たちがこの世界にいる時点でエルピスが生きていることは確定しているようなものだよ」
方法がなんであれこの世界でのニルやセラの扱いはエルピスに召喚された召喚物、術者が死ねば諸共消え果てる運命なのだ。
このことにニルが気づけていなければ、いまのセラなどとは比較にならないほどの酷い粗ぶりようを見せていただろう。
ニルの言葉に対して一瞬ポカンとした顔をしたセラは、山ほどはあろう大岩を適当なところに投げ捨てるとようやく落ち着いたらしい。
「確かに。なぜそんな簡単なことに気が付かなかったのかしら」
「だからって急に冷静になりすぎだよ姉さん、重傷になってる可能性は十二分にあるんだから──お父様?」
あまりの姉の温度差に対して疑問を呈したニルだが、そんなことを言っていても仕方がないと探しはじめようとしたその時。
ニルの目に映ったのは普段の姿からは想像つかないほどにアタフタとしながら、自分の力を使うことも忘れてふらふらとするイロアスの姿であった。
彼の力を用いればエルピスの探査は目で探さずとも他の方法がいくらでもある。
もちろんそれは先ほどまでのセラやニルにも言える事だが、わざわざ視力に頼って物を探してしまっているあたり相当に困惑しているのだろう。
「え、エルピス? どこだエルピス」
「イロアス、私はあっちを探すからあなたは向こうを探してきて」
「落ち着け俺! 落ち着け、エルピス~頼むから死ぬなよ~」
気がつけば横から入ってきたのはエルピスの母親であるクリム。
両者通常通りとは言えない精神状態であるが、自らの子供が死にかけているのだから当たり前の反応であると言えるだろう。
見れば二人ともかなりの傷を負っていた。
死に直面するような重症こそなんとか回復したようだが、それでも骨折や出血が見ているだけで危険なほどだとわかるのに二人はそんな事を気にしないで探し続けている。
「落ち着いてください、お二人とも重症なんですから。ひとまずここで休んで」
「この程度なんでもないわ。それよりも早くエルピスを助けにいかないと」
「ならせめて回復魔法だけでも……」
イロアスの方はまだなんとでもなる。
いくつか身体に外傷が見受けられるものの、それらは死に至るような傷ではない。
実力差こそあれば傷を比較的に抑えて戦闘行為を行うことができる、それが魔法戦闘における利点だが逆を言えばクリムはどれだけ頑張っても傷を負うことになる。
しかもクリムの戦闘はセラも回復魔法をかけて援護していたからこそわかる。
自分の事など省みずに戦闘を行なっていたあの姿は、戦場によくいる命を軽視する人間のそれだ。
本人にその気がないのかそれとも生来の物なのか、龍人であることを考えると生来のものなのだろう。
渋々と回復魔法を受けていたクリムだったが、ふと驚いたように顔を上げる。
「──いまエルピスの声が聞こえたわ。こっちの方」
「こっちの方って何もないけど……一体どこに行ったんだ? おーいエルピス? いるなら返事しろー」
よく見てみれば自分達がいるのは巨大なクレーターの中心部。
この世界の理から外れたエネルギーの魔力を大量に浴びた事で変質した鉱石などは、もはやこの世界の物質のどれとも類似しない性質を持ち合わせている。
そんな中で歩いていると急に地面から腕が飛び出てくるではないか。
「うわ、腕だけ出てきた。生きてるのか本当に」
「ぷはっ、生きてるよ! 父さん悪いんだけど両腕だけ出せるようにできる?」
なんとか頭だけを地面から出したエルピスが腕をぷらぷらと振るうと、イロアスがその腕を引っ張りながら言葉を返す。
「よく生きてたな、あまりにも酷い状況だからてっきり死んだものかと」
「天災級魔法を使ったから生まれてこの方一番体の調子は悪いけど、何とか生きてるよ。
セラ悪いんだけど回復魔法貰ってもいい? へそから下がハンバーグみたいになっちゃってるから」
「なるべく動かないで、完璧に直すから」
魔神の権能によって魔法は本来ならば自分に牙を向くことがない。
いくらこの世の理に則さない天災魔法とはいえエルピス本人も三重に重ねて放ったときに自分の体がどうなるか、ある程度の目測はつけて放ったつもりである。
まさか内臓まで無くなってしまうとは思ってもいなかったが、死にはしなかったのだからありがたがっておくしかないだろう。
通常の負傷であれば自分の手で治すこともできただろうが、天才魔法による怪我はエルピスにはどうしようもない。
「さすがにあれだけの激戦を一人だと厳しそうだな、英雄には成れたか?」
「うーん……ないね、探したけどない」
自分の称号を下から全て探してみるが、どこにも英雄という称号は刻まれていない。
確かに創生神が口にしていた英雄の取得条件である邪竜の討伐、その偉業をこなしたにもかかわらず英雄の称号が獲得できなかった理由は一体なんなのだろうか。
「一人で戦うって言い出した時は驚いたけど、貴女が生きていて良かったわ」
「母さん達も無事でよかったよ。とりあえずは各地の状況を確認しないとね。ええっと……この魔法かな?」
一旦は英雄について考えることを放棄し、状況を確認するため頭の中を軽く探ると魔神の権能が必要な魔法を教えてくれる。
初めて使う魔法ではあるが、エルピスが使いたいと念じるだけで魔法名すら必要なく魔法はなんなく発動された。
「でたでた、これで見えるかな」
エルピスが魔法を用いて連絡を取ろうとしたのは自らの妹、フィアである。
ノイズが入り見にくかった画面が少しずつ見やすくなっていくと、神妙な面持ちで椅子に座っているフィアが映し出された。
周りには数人の召使いたちが控えており、なにやら元気づけるような言葉をかけている。
フィアはエルピス達に気が付くと椅子から飛び出してエルピス達の方へと駆け寄ってくる。
「お兄様! それにお父さんとお母さんも!! 無事に終わったの!?」
「終わったよ。そっちは大丈夫?」
「アルさんが守ってくれたから大丈夫!」
いつのまにか愛称で呼ばれるようになっていたアルキゴスは、そんなフィアの言葉に苦笑いを浮かべていた。
「アルキゴス、毎回うちの子供を任せてしまって悪いな。お前のおかげで安心して戦う事ができたよ」
「全体の指揮よりもお前のところの子供の世話の方がよっぽど疲れるよ。それで倒せたのか?」
「邪竜ならエルピスが一人でやった」
「一人でか!? さすがにお前らの子供か。それでその本人は?」
誇らしげに語ったイロアスに対してアルキゴスの反応は人類史上二度目の快挙を成し遂げたにしては淡白だが、エルピスならばそれくらいこなせるだろうという信頼あってのものでもある。
だが当の本人であるエルピスは地面に埋まってしまっているため気が付かれていないようだ。
「埋まってますけど居ますよー」
「とりあえずはおめでとう。身体は大丈夫か?」
「胸から下がぐちゃぐちゃですが生きてますよ」
「お兄様大丈夫ですか!? 痛くはありませんか?」
「大丈夫だよ、敵の攻撃でこうなったわけじゃないしほとんど自爆みたいなもんだから」
邪竜の攻撃でこうなっていたのであれば今ごろ集中治療でもされている事だろう。
自分の魔法の効果で瀕死の重体にはなったものの、回復を阻害するような効果は付与せずに放った魔法なので回復に時間こそかかれどいきなり死にかけるようなことはない。
心配そうにエルピスの方を眺めるフィアだったが、エルピスの口から大丈夫だと言う言葉が発せられると少しは安心したようだ。
「まぁ無事なら良かったよ。魔界自体に出た被害もたかが知れてるしな。
もちろん死人がいないってわけじゃないが大陸一つ分の戦争だって事を考えれば奇跡的な数だと言ってもいい」
大きな戦場はいまエルピス達が戦っていた場所とエラ達が戦っている場所の二箇所だが、それ以外の場所でも小競り合いが起きている。
一応は規律によって支配されていた魔界もいまとなっては無法状態であり、この機を待っていたとばかりに殺したい相手を殺しに行っているものもいるのだ。
この戦争の間に対抗勢力を潰せば成り上がれると種族間同士で戦っていたものもいるだろうし、魔界の外からこの機に乗じて一山当てようと来たものだっているだろう。
だが死者の数はアルキゴスが把握している限りそれほど多くもない。
レネスが相手取った敵だって殺されているものは少ない、大体の死亡理由はエルピスと邪竜の戦闘による流れ弾で死んでしまった者達だけだ。
「すごいよお兄ちゃん! お父さんとお母さんも! 絵本の中の英雄みたい!」
「ありがとうフィア。いまは情けない格好だからまた後で倒した時の話するね」
「本当に!? ほんとのほんと?」
「うん。ほんとのほんと。アルさん悪いですけど引き続きお願いしていいですか? 他にも色々とやらなきゃいけないことがあるので」
出来ることであればいますぐに妹の元へ向かって自慢したいエルピスであったが、これだけの戦闘をしたとなれば事後処理にどれだけの時間がかかるか想像に難くない。
なるべく早く終わらせるつもりではあるものの、複雑に絡み合う魔界の情勢を一つずつ解いていく必要があるのでこの分では法国に行くのも当分先の話になりそうだ。
その間のフィアの警護をアルキゴスにお願いすると、渋々と言ったふうに彼もそれを受け入れる。
「もちろん構わんが…無理はするなよ?」
「しませんよ、それに父さんと母さんも居ますしもう無理もさせてもらえそうにないです」
「それならまぁ良かったよ。お疲れ様」
最後に労いの言葉を受け取りエルピスは通信を切る。
それと同時に身体に尋常ではないほどの倦怠感が現れ、なんとか体を動かして眠らないように気をつけながらエルピスが回復魔法をセラから受けているとクリムが口を開いた。
「随分とアルと仲良くなれていたのね。なんだかお母さん感動しちゃったわ」
「アルさんとは長い付き合いだからちょっとしんみりしちゃったかな」
「あいつは何かと文句は言うがいい奴だからな、エルピスを預けて正解だったと思ってるよ」
「たまにポンコツなのが傷だけど」
両親の目線から見てアルキゴスがどう映っていたのだろうか。
昔エルピスがエラに聞いた話では自分の事をすべてアルに任せると言っていたらしい。
自分たちの子供を任せるに値する相手、それが両親からのアルキゴスに対しての評価であり、両親が軽口をたたく少ない相手であることを考えると信頼関係は疑いようがないだろう。
「それ母さんがいう?」
「ひどいじゃないエルピス。そういえばエラちゃん達の方は?」
「いま繋ぐので少々お待ちを……」
一回魔法を使用しただけで目に見えて疲労したエルピスを庇ってかニルが魔法陣を起動させると、エルピスが先程使用した魔法と同じような画面が目の前に現れる。
通信がつながった先は先ほどとは別の場所、エラ達のいるであろう戦場である。
「よし、これで大丈夫かな。エラ聞こえる?」
「その声はニル? どこから?」
だが先ほどと同じような魔法を使ったのにも関わらず、声こそ聞こえるものの映像は見えそうにもない。
魔法が発動できている以上は問題と考えられるのは術者の力量かそれ以外の何か、ニルの実力を考えるのであれば後者であると考えた方が常識的である。
そうしてニルはその理由がなんであるかを一瞬考えて、最も考えられる可能性の高い能力について指摘する。
「あれっ、映像が安定しないな……いまそっちで権能使ってる?」
「え、ええ使って居るけれど」
「悪いんだけど解除できるかな、この魔法権能持ちの人がいると弾かれるんだよね。簡単な魔法だから」
魔法というのは基本的に利便性が高いが、それゆえに対処法を持っている相手にはどうやっても効果を適用することができないという不便さもある。
今回の場合は丁度それと同じ状況なのでニルが権能の使用を止めるようにお願いしているわけだが、エラはそんなニルの言葉に対して少々気まずそうにしながら言葉を返す。
「ごめん…それはちょっとできないの。悪いんだけどニルだけこっちにこれる? もし戦闘が終わってるならイロアス様かクリム様のどちらかもついて来ていただけるとありがたいんだけど」
ニルを指名して呼び出したエラの声は、どこか焦っているようにも聞こえる。
怪我人でも出たのだろうか、始祖種を相手にしていたのだから怪我人の数というのは相当に多そうなものではあるが……。
しかしいまのエルピスは権能はおろか特殊技能はては技能までも使用できないため、エラ達の状況がどのようなものであるか判別できない。
「アレだったらもう少し待ってくれたら俺もいけるよー」
「その声はエル? 怪我は大丈夫?」
「死にはしないから大丈夫だよ。まだ回復に時間はかかりそうだけど」
「怪我人を無理させられないよ、師匠命令だそこにいなさい」
エラとエルピスの会話の間に入ってきたのはエラ達の方に向かっていたレネスである。
彼女が居るのであればエラ達に危害が及んでいる可能性というのは殆ど無いに等しいだろう。
そう考えたエルピスはレネスの言葉を素直に受け入れ、見えてはいないとわかっているが頭を立てに振るった。
「師匠も無事合流できたんだね。良かったよ」
「……それじゃあエルピス、俺が先に行ってくるからお前は後からちゃんと体を治してくるんだぞ。クリム、悪いがエルピスの事は任せた」
「ええ、任せて。セラちゃん、後どれくらいで治りそう?」
「そうですね…思っていたより時間がかかりそうです。一時間くらいは」
理の外の力とは言えセラにとっては見たことのあるレベルの力、それを直すのに一時間もかかるものなのかと思わずにはいられなかったが、エルピスがそのことを口出ししてよさそうな雰囲気ではない。
何処かしら疎外感を感じずにはいられないエルピスだが、そんな中でなぜか奇妙な違和感を口に出すことができなかった。
「一時間か……分かった。イロアス、それまでに向こうの方ちゃんとやってきておいてね」
「分かってる。悪いけどニルちゃん転移魔法を使ってくれるか? 何から何まで頼んで悪いが」
「いえいえ、お任せください」
転移魔法で去っていく父に対して何か声をかけることもできただろうに、それに対して言葉をかけることもできないままにエルピスは喉につっかえた異物感を飲み込むのであった。
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創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。

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*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
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