クラス転移で神様に?

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青年期:魔界編

仙桜種の村

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「あのさ、そろそろいい加減に慣れようよ」

 退屈そうに欠伸をしながらも油断なくレネスの事を監視しているのは、いまだに歳を重ねたままの姿であるニルだ。
 ニルの特別訓練が始まって早い事で一週間、様々な訓練を経てレネスはニルの個人指導を受けるにまで至っていた。
 仙桜種達が居た山の頂上に腰をかけるニルとレネスがいま行っている修行は感情のコントロール訓練。
 方法としてはニルが人間界にいる適当な人間を見繕いその人物の感情をレネスへと移植、その感情がなんなのかを当て更にそれを抑え切るのがレネスに課せられた修行内容だ。

「しかしニル、これは……なんなのだ? 怒りでも憎しみでもないよく分からない感情だ」
「嫉妬だよ。他人の良いところが自分にない事を悔やむ行為さ、上位者からは程遠い感情だが成長には一番大きな要因になる」
「嫉妬、これが嫉妬か」

 感情とは一口に言っても所詮は人間がなんとなくで定義付けたもの、怒りと一口に言ってもその度合いがどれ程なのか、それを判断するのは主観でしかない。
 本当ならば全ての感情を自分自身で判断して欲しいものだが、指標すらなければそれがなんなのかいつまで経っても分からないのは仕方のない事である。
 そうしていくつもの感情を現在進行形で覚えているレネスだが、最初にニルが口にした通りどうやらいまだに感情に慣れていないようなのだ。

「感情の必要性は理解したつもりだ、だがこれでどうやって進化するのだ?」

 ついにはこんな事を口にする始末。
 自分で考えて行動しようとしている点はニルとしても評価できるポイントではある。

「どうやっても何も僕が権能を使って君達にかけられた制限を解除するんだよ、まぁ君たちの身体に負担が大きいから限定的な解除にはなるだろうけど」

 そう言いながらニルはレネスの体を何かを探すようにして触り始めた。
 言葉を信じるのであれば制限を解除する方法を探しているのだろう、自分たちに新たな力の可能性があると知っていまごろ他の桜仙種達も躍起になってその方法を探しているはずだが、この分だと一番乗りは自分になりそうだななどどレネスは思考する。
 桜仙種にとって至上の命令は創造主である創生神の願いをかなえる事、そしてその次に己の新たなる可能性を発掘することにあった。
 それは創生神が作り出した自分にないものを欲しがる探求心と知的欲求、そして隠された嫉妬心から生み出されるものである。
 ここ数千年それらの行動を感情を喪失することで意欲的に行ってこれていなかった桜仙種達だったが、いまやその枷は外されており思うがままに行動していることだろう。
 そんな中で例にもれず知的好奇心を取り戻したレネスは帝国にいるころから自分の体について詳しく調べていた、だがレネスの診断結果はこれ以上何もない。
 当り前だ、桜仙種が考えうる強化は全て施してあるのがレネスの体であり、それは桜仙種最強という名実と共にレネスの確定している事実なのだから。

「制限がかかっているのか? そんな刻印は見当たらなかったが」
「あったま固いね君。創生神が作り出した機能を有効化させるには目が必要なんだよ、別の視点から見る目がね」

 体を触られながら、そんなものはないだろうと問いかけたレネスを一蹴してニルは作業を続ける。
 エルピスが近くにいないと随分と塩対応なものだ、説明の足りないニルに対して目線で説明を要求すると、いやそうな顔をしながらもしぶしぶニルは質問の答えを教えてくれた。

「たとえば命、生命体が活動をする上で思考している状態を命があると仮定して、命がなくなったら思考ができなくなる以外に変化は現れるのだろうか。
 魂の質量としてまことしやかにささやかれた21gは、その点で案外別の視点から見るという点に関して上手くいっている、ただそれを三次元でしか認識できない人では図ることなど不可能な訳だけど」
「──話がよくわからん」
「ようは発想の転換さ、それがそうでないのならこれはそうだといえる。そんな状況をそれがそうでないのならそう見ようとする努力をする、どれだけ簡単に言ってもそれが究極だよ」

 かつて世界をだます詐欺師というのが存在したらしい。
 その人物が世界中のすべての人間を騙すだけの力を持ち、その人物が口にした言葉はそれが事実であるか事実でないかを別として事実であると認識させることができた。
 人は一度信じてしまえばそれが正しいと思い込んでしまう性質を持っている、つまり自分の目で見えているものはそれがそのまま正しいのだという幻想を信じ切ってしまいいるのだ。
 それは一人称でしか世界を見れない全ての生物に共通して持たれている性質でもある、様々な時間軸の出来事を同時に見ることなど不可能出るように、やはりこの世界で生きる程度の生物にはどうしても真実の姿が見えることはない。
 その者達からすればその姿が真実であっても、常世を統べる神すら超越したもの達からしてみればそれは間違った姿である。
 この世界で認識できる桜仙種は今のレネスが限りなく限界に近い、だがそうだとしたならばなぜ彼ら彼女らは桜仙種などと呼ばれているのか。
 山奥にこもり技を磨き永遠を生きるのであれば仙人種でも別に問題はないだろう、だというのに桜仙種と呼ばれるという事はつまり名づけの親は彼女たちがそう呼ばれる何かを残していったのだ。
 無駄を嫌う彼の性格上、それは間違いない。

「仙桜種には固有の力がある、だがそれを引き出すためにはきっと何かが明確に足りていないんだよ」

 何が足りていないのかニルには判断がつかない、だからニルは己の力を使い無理やりレネスにかけられた制限を解除するつもりでいた。
 この世界の生物がおよそ耐えられないであろう程の力を手にするのだ、多少のリスクを承知の上でそれでも創生神が残した子供とも呼べる彼らの力を開放させることをニルは己の義務であると認識している。
 片方は答えを知っているが、もう片方には知るすべもない答えを延々と聞かされていたレネスに助け舟を出したのは、最古の桜仙種であるエモシオンだ。

「ニル様、末の娘を虐めるのそれくらいにしてあげてください。彼女もまた幼き身です」
「分かっているとも、それにこれ以上は仙桜種の古参である君に聞いた方がいいと丁度思っていたんだ。随分と手ひどい傷を負った」
「大丈夫なのか……? エルピスに恨まれたらやだぞ私は」
「外傷なんて死因にならないよ、痛いけどね」

 肩から胸にかけての裂傷がいつの間にかニルの体に痛々しい後をつけているが、ニルがそれをなでるようにして手を這わせただけで傷はいつの間にか消えていく。
 傷跡を名残惜しそうに見つめるのはその傷から確かに創生神の気配を彼女が感じ取ったからだろう、なぜか己の体を切られたというのに上機嫌なニルを見て二人の桜仙種はいぶかしげな顔を見せる。

「まあとりあえずレネスはここにいてよ、僕はエモシオンに用事ができたからさ」
「ああ。別に構わないぞ」
「ではいきましょうか」

 話が早いのはニルとしても助かる。
 五分ほどだろうか、少し歩くとエモシオンからニルに対して唐突に口を開いた。

「──いつから気づいていらしたのですか?」
「会う前からに決まってるじゃないか、君たち如き星の管理者でもない神風情が、僕達を騙せるとでも?」
「いえ、そのような事はけっして」

 ほんの一瞬、桜仙種であるエモシオンですら気のせいかと思えるほどの間に隠された怒気は神としての矜持を傷つけられたからか。
 そこにいたのは確かにニルではない、ニルという名前を付けられる前の創世の獣の姿であった。
 だが己を思い出したニルはすぐに落ち着き払った態度で話を続ける。

「山神の能力はなんだったか…まぁいい。エルピスが初めに君を作ったのなら、君がトリガーの鍵を握っているはずだ。レネスかとも思ったがどうやら違うようだしね」

 ロームやセラがいたあの空間には少なくとも時間などという面倒な概念は存在しない、過去も未来も等しくそれは今である。
 ともすれば桜仙種最新の個体であるレネスがそのカギを渡されていたとしても何もおかしくはないのだが、先ほど受けた傷はニルに対して意地悪な創生神が間違いであるという事を教えるために作っていたものだ。
 愛し合っていたわけではなく、創生神からすれば面白いライバルという認識であったニルにはあのくらいでもなんとかなると思ったのだろう。
 セラから力を借りていなかったら重症になる程のダメージだが、確かにそういった意図は感じられた。
 そんなニルの確信は桜仙種達の覚醒を大幅に早める事になる。

「心当たりのある場所はあります。どうぞこちらへ」
「なんだ、やっぱり何か隠してたのか」
「ニル様には私の可愛い孫の訓練をしてもらってありがたい限りです、利用させてもらったようで悪いですが」
「利用して、利用されて。いいじゃないか生き物らしくて」
「確かに可愛い孫娘の為に何かしてあげたいと言う気持ちも、感情を取り戻したからなのでしょうね」

 おそらく私もそれだと思っていた、そういいたげなエモシオンの言動に苛立ちを覚えるが手を出すことは良くない。
 精一杯不満顔を見せながらニルがそのあとをつけていくと、山の中腹辺りに小さな祠があった。
 先程まで桜仙種の村の中にいたはずなのに気が付けば遥か彼方の山の中腹、ニルでも一瞬自分がどこにいるか分からない程の拘束の転移は彼女の山神の権能だろう。

「それではこちらへ」

 案内された祠の中は神聖な空気に満たされていた。
 空気感が、という話ではなく、悪霊たちがこの場に来れば即座に浄化されてしまうほどに魔法的に神聖化されているのだ。
 その理由はおそらく丁重にまつられている小さな宝箱が原因だろう、子供が使うようなちんけな見た目ではあるがそれに込められた魔力は尋常ではない。
 中を開けてみればニルにしか見えないものが一つ、この世界でこれを見れるのは姉といくつかの神だけだろう。

「鍵があるとすればこれでしょう。私には何も見えませんが、箱の中に何かがある事だけは確かです」
「メモだね、創生神の直筆の。内容確認するから下がってて」
「──? はい、分かりました」

 メモだという事がわかっているのであればそれを見るだけだろう、だというのに後ろに下がらされたエモシオンは最初秘密を隠すためにそうしたのかと考えていた。
 だが次の瞬間その考えは簡単に覆ってしまう。
 エルピスの権能の完全掌握に始まり、姉の権能をギリギリまで酷使、己の権能までもフル回転させ先ほどの傷など比にならないほどの外相をその身に宿しながらニルはただメモを読む。

「──っ!!」
「こんだけやらないと見れないって、本当世界の格差は酷いもんだよねっ!」

 そう叫んでしまうのも無理はないだろう。
 神の力を持っていなければいまごろエモシオンは良くて失神、下手をすれば死んでいた可能性もある。
 それだけニルから漏れ出ている魔力はとてつもないものだし、神の力もどれほどつぎ込んでいるのか検討もつかない。
 ちなみにこの時エルピスは実の両親と会話に熱中していたので、己の力のほとんどが一瞬なくなったことに気が付いていない。

「ふぅ、読めたよ。相変わらず変だよね、わざわざ文字なんて面倒な方法を使うあたり」

 これが神たちが使う文字ならまだどうにかなったかもしれない、神が字を使うことなどほとんどないが下位の世界に意思を伝えるときなどはよく使ったものだ。
 ルーン文字とも呼ばれるそれを思い出しながら、ニルはいまいましげにもはや見えなくなった白紙の紙を見つめる。
 そこに書かれていたのはたった一文字、なのにこれほどニルが苦労したのは創生神が神の言語として無理やり日本語を神格化させた反動がニルに来たからだ。
 わざわざ時代遅れの機材で出来るものを超ハイスペックな機材でしか無理やり再生できないように変化させ使っていたのだ、ニルもそのスペックに合うように己の力を振るわなければ閲覧する権限すら生まれてくれない。

「それで仙桜種が強くなる条件は?」
「ふざけた事に愛だってさ、愛で強くなるなんてまた随分と可愛い種族だね」
「愛ですか…愛……愛ってなんでしょうね?」
「知らないよ、僕が一番それについて考えてるんだから。ただまぁ愛がトリガーになるならそう難しい話じゃないかな、いまのレネスでもなんとかなるかもしれない。元の場所に送ってくれるかい?」
「御意に」

 狂愛を司るニルが愛がわからないというのも変な話だが、答えがないのが愛であると思っているニルとしてはそれ以上の答えなどどれほど考えでも出てこないだろう。
 あまりにも疲労がたまりエモシオンに帰路を頼むと、瞬きよりも早く元の場所に戻る。
 そこには剣を振るうレネスがおり、馬鹿真面目に鍛錬を重ねるレネスにいっそのこと尊敬すら覚え始めていた。

「──それで理由がわかったと」
「ここに居ないってことはいまごろ族長が吹聴しているころさ、君にも今から教えてあげるよ。それにはこれが一番いいだろうね」
「えっと……それは?」
「エルピスを模した人形だよ、デフォルメはしてあるけどね」

 デフォルメしてるといえば確かにデフォルメされているが、ニルの手の中で可愛らしく自己主張しているそれはどう見たって人ではなく龍である。
 これは龍神になったエルピスの姿をまねてニルが作ったものだが、この世界で完全に龍化したエルピスの姿を見たことがあるのは二柱の神と一匹だけだ、この龍の姿を見せるだけでもニルからしてみれば特別を譲るような気持ちなのだ。

「これを私から守り抜いてくれ、勝ったらあげるよ」
「確かによく見たら似ているな……勝利条件は守り抜くだけでいいんだな?」
「ああ、君が負けたらそれを切り裂く」
「壊すのか? わざわざそこまでしなくても──」

 レネスとしてはどうせもらえるのであれば欲しいし、もしもらえなかったとしてもニルの手に返していいと考えている。
 だがニルはそれを拒否する、彼女にとって覚悟とは何かを捨てることで得られるものだ、それが自分の命くらい大事な人形でも覚悟のためならば容赦なく切り裂くことができるのが彼女だ。
 そしてさらにニルは条件を追加する。

「君の覚悟を見せなよ、それは本当のエルピスと同期してある、死にはしないだろうが二日三日寝込むくらいは覚悟したほうがいいよ」
「確かに……可愛い可愛い弟子に師匠が迷惑をかけるわけにはいかないな」

 レネスの目にも確かに呪いの存在は感知できた、邪神に呪いは聞かないが邪神の呪いならば体調不良くらいなら引き起こせるだろう。
 ニルがエルピスに何も許可をとらず迷惑をかける、それはニルがレネスが力を扱いきれると信頼してくれているからだとレネスは判断した。
 ならば両親の名に懸けて失敗などありえない。
 飛び込んでくるニルに対してレネスは己の愛刀を構えなおす。

「──はあっ!」
「甘いよ、もうちょっと練らないと」
「クソ、やはりこの程度ではどうにもならんか。それで! 条件は一体なんだったんだ?」
「愛だよレネス。己の気持ちを認めたんだろう? ならそれに正直になって、限界を超えて力を入れなよ」

 愛で強くなるだと――?
 そう思考を潜らせようとした瞬間ニルの神速の一撃がレネスの頬をなめる、よけられたのは幸運だそれ以外の何物でもない。
 冗談のようなことを口にしたニルに対して思うところはあるが、刹那の時間すらよこしてくれないニルは言葉の意味を理解させる気などさらさらないのだろう。

「──じゃないと本当にエルピスに迷惑がかかるよ?」

 耳元で囁くようにそう口にしたニルは、ついでその光速の拳を間髪入れずレネスの腹部へと打ち込む。
 みしりと嫌な音が聞こえてくるがそれはレネスの刀から聞こえてきたもの、幸いな事に間一髪防御が間に合ったレネスはニルの力を前にして己ができることを再確認した。

「分かった。少しだけ待ってくれ」
「いいよ、それで本気が出せるなら」
「仙桜種に伝わる呼吸法に加えて魔法による肉体強化、後は私の気持ちを全て刀に乗せる!」

 先程から行っていたことを、更に深い深度で行う。
 極めている技を更に更に、もっと力が欲しいと切に願うレネスの心は魔力への指示となって無理やり特殊技能ユニークスキルすら超えうる力を作りだす。
 赤い気配がレネスの周りを覆ったかと思うと、魔力によってそれは徐々に色を変えていき徐々に桜色に変わっていく。
 仙桜種の肉体を最大限強化した上で、恋心によってピンクに染まったオーラを持つ事が仙桜種が本当の意味で仙桜種になれる瞬間である。
 おそらく最初にこれを考えた創生神は相当ラブコメにでもはまっていたのだろう、なんともまぁとんでもない条件をつけたものだ。
 ニルをして脅威と思わせるほどの実力ではあるが、持って一分もいかない程度、時間制限付きになるほどのその実力は猛者の証だ。
 桜仙種の村にあった木と同じく塊のような魔力を吐き出し続けるレネスの周りでは、結晶になった魔力が桜のようにして舞い散っている。

「──どうだい? 仙桜種に慣れた気分は」
「得難い高揚感です。いまなら貴方も倒せる」
「それは頭に乗りすぎだけどね」

 そこからの戦いは互角であった。
 この世の理から完全に逸脱したレネスの力は圧倒的で、だが先ほど瀕死の重傷を負っているとはいえ世界が生まれるよりも前から戦ってきたニルの卓越した戦闘センスの前にはそのこと如くがはじかれている。
 どれだけそうしていたかわからないほどお互いの武器を合わせていたニルとレネスだったが、不意にニルが動きを止めたことで勝負は終わる。

「──終わりだ。一分経った、君の勝ちだよ」
「倒せなかったか、残念だ」
「本気だったの? まだまだ僕には勝てないさ」
「次こそは勝ってみせる」
「好きにしてよ。とりあえずとっととエルピス達と合流するよ、向こうもそろそろ動き始めるみたいだからね」

 ようやく勝負が終わったところであるというのにそそくさとエルピスのところへと向かおうとする当たりニルらしい。
 そんな事をレネスが考えていると、いつの間にかもう一人ニルの横に立っていた。
 その人物を見ていやそうな顔を浮かべるニルは、おそらく彼女と会いたくなかったのだろう。

「なんだ、もう終わって居たのね。せっかくこちらに遊びに来たと言うのに」
「姉さんが来ようとしてたから終わらせたんだよ、姉さん力づくでどうにかしそうだから」
「貴方私をなんだと思っているの?」
「バーサーカー」
「ぶっ飛ばすわよ」
「姉さんいま僕に力ほぼ渡してるんだよ? そんなの聞かないよー」

 そうは言いながらもニルは普段の仕返しをするでもなく、木の棒を使ってだらだらと転移魔法陣を描いていた。
 ニルにとってセラは創生神と同じくらい大切な遊び相手、それが弱っていたとしてそれをからかうことはあっても狙うことなどあるはずがない。
 ニルにとってセラは憧れの存在でもあるのだから。

「こいつの事は後でどうにかするとして、行くわよレネス」
「ああ分かった。待っていてくれ、みんなを呼んでくる」

 エルピスのところへ向かうのならば村に残ってくれたみんなもともに連れていかなければ。
 そう判断したレネスはヘリアたちが止まっているであろう宿泊場所に向かって走り出す。
 自分が手に入れた確かな力と感情、一分一秒すらも無駄にできないほどの思いでレネスは駆けるのだった
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