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青年期:クラスメイト編
王の名
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エルピスが遥希たちの強化にいそしんでいるころ、民衆に見送られてグロリアスとルークは世界会議の開催場所である帝国領に向かっていた。
帝国領は四大国の中では王国から一番遠く、王族御用達の馬車を使用しても一月以上の時間がかかる。
様々な国の王達が集まる会議に向かっている最中のルークとグロリアスは、体を横にしてだらだらと寛ぎながらたわいもない会話をしていた。
「ルークのお嫁さん見つけられたら良いな」
「エルピスさんにも言われたけれど、本当に良い人いるのかな。出来れば強い人がいいんだけど」
男が二人集まってすることと言えば、決まって猥談か恋愛談だ。
結婚相手を探していたルークは、今回このグロリアスの旅に同行することで自分の嫁になる相手を見つけようとしていたわけだが、ルークも自身で把握している通りかなり恋愛のハードルが高い。
自分より強くあれとは言わないが、自分と同程度の力を持っている相手がルークからすればいいので、余程の実力者でなければその条件を埋めることはできない。
「帝国の騎士に連合国の暗部。共和国の兵団に法国の聖騎士、強い人達は案外探せば居ると思うよ。エルピスさんクラスになってくると厳しいけどさ」
「最高位冒険者は帝国に六名、共和国に二名、連合国に一名、法国に十名程度だったかな。まぁ法国と帝国に関してはちょっと基準が怪しいけど、しかも女性だとそれこそクリムさんくらいしか俺も見たことないなぁ」
「クリムさんに手出したらイロアスさんに殺されるよ?」
「あの人怒ったらマジで怖そう」
「あれはヤバいよ」
かつて一度だけ、グロリアスは本気でイロアスの怒りをその目で見たことがある。
理由はグロリアスの父、ムスクロルがエルピスに対してイロアスがエルピスの事を、異世界人であることを知っているということを、教えてしまったからだ。
あの時グロリアスは王国ではなく帝国領に次期国王としての顔見せに出向いており、これから向かう先でもある皇帝の城の一室にて会議を行っていたところだった。
そんな中突如として転移してきたイロアスは転移直後のほんの一瞬、周囲の状況を確認するまでのほんの一瞬の間だけ、怒りの感情をあらわにしたのだ。
イロアスの怒りの波動が辺り一帯に広がり、もちろんその爆心地の現場にいたグロリアスもその怒りを浴びている。
グロリアスの頭では理解できないようなほんの刹那の時間だったが、体は絶対的な強者が殺意をもって現れたことで、あまりのショックに身体は身体活動を停止し心臓の動きすら止まってしまっていた。
それもグロリアスに限った話ではない、帝都どころか帝国中の生物がそのあまりの気迫に動物だけでなく、魔物までもがおびえていたという。
出来る限りならばもう二度と、あんな場面に出会いたくはないものだ。
「確かに、英雄だもんなぁ。そういえば世界的に見ても英雄って少ないよね、勇者は結構ありふれてるのにさ」
「勇者は勇気あるものに付けられる名前、英雄は不可能を奇跡を紡いで可能にした者に与えられる名前。そりゃ母数も変わってくるよ」
勇者は転生者、転移者、それに戦争で勇猛な働きをした戦士や、国のためにその身を顧みず行動したものなど様々なものに与えられる。
勇者の称号は人類生存圏内で強い説得力を持ち、法律上において勇者の称号が新しく付与された場合に限り、その勇者の称号獲得のトリガーになった行為で違法行為があった場合があろうと、黙認されることになっている。
ならば英雄はと言うと、もはや所持している人物が歴代でもイロアスと片手で数えられる程度しか居ないので、これといって特別な制度がないのが現状だ。
「そういえば気になってたんだけど、うちってなんでヴァンデルグなの? 王国の意味を持つ名前はヴァスィリオ家に持ってかれてるじゃん」
「あー、長いぞその話?」
「良いよ別に。旅もまだまだ長いしね」
「それならまぁ……。そもそもうちが王国という意味を持つヴァスィリオ、ではなく、野山を駆け回るというヴァンデルグの苗字になっているのは建国のところまで遡る」
ーーヘンデリス・ヴァン・デスタルト・ヴァスィリオ、通称冒険王とも呼ばれ、拳一つで国を立ち上げた拳闘士としても有名な人物である。
その剛腕は竜の鱗を貫き、大蛇のとぐろを解きゴーレムの巨腕を粉砕したと言う。
そんな彼にはしかし一つ大きな欠点があった、それは頭が弱かった事だ。
実力に関していえば完璧とも言えるほどの力を持っていた彼だが、国は力だけでは回すことはできない。
国を回すには人員と金銭、そして何よりも圧倒的な知能が必要なのだ。
「初代建国者であるヘンデリスは国家ではなく小さな街を作り上げ、そこで二人の嫁をもらい家を二つに分けた。戦闘に秀でたヴァスィリオ家、智略に秀でたヴァンデルグ家とにね」
「え!? つまりアウローラと俺達って親戚なのか!?」
「すごい昔のことだけどね。だからヴァスィリオ家が軍務にあれ程の権力を有しているのを誰も指摘しないし、時には国王である僕の支配下からすら抜けた力を持つことも許されているんだよ」
本家と分家。
そう言うには少々関係性の複雑さが足りていないが、ようはそう言った認識でも問題はない。
ただ言える事は間違いなくヴァスィリオ家とヴァンデルグ家は元は同じ家であり、その身体に流れている血もまた同様のものである。
ヴァスィリオ家に武闘派が、ヴァンデルグ家に知恵に長けたものが生まれてくるのにはもちろん明確な理由が存在し、それは初代が名前にかけた呪いとも言える制約である。
彼は自らの魔力のほとんどをその生涯で封印することによって、代表として己の武力を未来へと託すことにした。
逆にヴァンデルグ家には母親の優れた知性と初代の魔力に関係する力を付与しており、魔法使い的な戦士がよく現れやすい家を作った。
これがヴァンデルグ王国の秘密であり、貴族の一人であるビルムとムスクロルの仲の良さの理由。
「まあざっくりいうとね。細かい話はこれからだよ、言ったでしょ長いって」
「衝撃がすごすぎて忘れてたわ。まあゆっくり話してよ兄さん」
日が沈み、月が出ればそこは魔物たちの住む世界へと早変わりする。
月の光は人の目には微かにしか見えないが、魔物にとってみれば明る過ぎる昼間よりもよほど目が見えるようになり、その動きもそれに呼応して活発化していく。
今回の旅には宮廷魔術師だけでなく、戦闘経験の豊富な近衛兵の隊長オペラシオンにプロムス、万が一の場合に備えて数人ほど協会の回復術師も同行しているので魔物程度でどうにかなるようなメンツではないが、万が一を考えてしまうと寝付くこともままならなくなるのは仕方のないことだろう。
グロリアスが野営地を歩いていると木に腰かけ楽しそうに喋るオペラシオンとプロムスの姿が見え、グロリアスは足音を殺してその後ろに立つ。
「だーれだ?」
「グロリアス様です、お戯れはよしてくださいよ。足音まで殺して」
「あらら、ばれてたか。さすがは近衛兵、座らせてもらうよ」
わざわざ声まで変えてだましに行ったというのに、即答できるのはやはりさすが近衛兵か。
近くの切り株に腰を下ろしながらそういうと、直ぐにグロリアスの手に紅茶の入ったコップが手渡される。
「ありがと。今回の世界会議は各国の最高戦力がほとんど来るようだけれど、気になっている人物とかいたりする?」
「四大国の最高戦力はもちろん気になっていますけれど、個人的に気になっているのは評議国の最高戦力であり最高位冒険者の一人でもあるライオネット氏ですかね。言葉で戦うかの方の戦闘スタイルは気になるところです」
「私といたしましては連合国の疾風の弓使いが気になりますね。自分で考えた名前なのか、それとも他人につけられた名前なのか、非常に気になります」
「オペさん性格悪いっすね。そんな事ばっか言ってるから針姫なんて変な通り名付けられてるんですよ?」
「あ?」
目の前で陥没するのではないかと思えるほどにへこまされているプロムスのことを眺めながら、グロリアスは今後のことを考える。
王国が出せる戦力の最高峰はアルキゴス並びにマギア、この両名。
しかしアルキゴスには王国の治安維持係として、マギアには宮廷魔術師長ならびに魔法開発局役員の一人としての活動がある。
F式装備を着用した両名は最高位の冒険者に逼迫した実力を持つが、それにしたって運用には莫大なコストがかかるのだ。
他の国も同様に最高戦力は自分達の国の防衛や開発作業に回したいはず、どこの国が割を食うかは会議で決まることだろう。
「ーー真面目な話、自国の為にだって命を捨てられる者は少ないと言うのに、人のために命を捨てられる者が何人いると言うものか。人の未来は思ってるよりも暗いな」
「敵の規模が分からない以上はなんとも。ただエルピスさんは今回通信系魔法の傍受で人の声が聞こえたと言っていた、なら敵には人も含まれるはず。楽な戦争ではないでしょうね」
「王国内部にも敵はいるでしょうね。大臣反乱のおかげでかなりの数の腐敗した貴族は一括処理出来ましたが、その分正義感にあふれていた貴族のうち少しずつ腐り始めた所もあるらしいですし。王にはその辺頑張ってもらいたい所です」
「簡単に言ってくれるねほんと、結構難しいんだよ?」
王国内部も一枚岩というわけではない。
たとえばグロリアス就任の際にはアウローラ誘拐を裏で指揮し、あまつさえ王国の軍事力すら手中に収めようとしていた大臣も存在していた。
一族郎党に加え派閥に所属していた貴族を追放したのがグロリアスの父、ムスクロルの最後の仕事でありその追放によって減った人員を補充したのがグロリアスの最初の仕事で有った。
「信用してますからねグロリアス様」
「もちろん俺もですよ、頑張ってくださいグロリアス様」
「気軽に任せてとは言えないけど……まぁ頑張るよ」
始まらなければ何も分からないのであれば、一先ず初めてしまえばいい。
世の中何が起こるかなど誰にも分からないのだ。
それはきっと神ですらも。
帝国領は四大国の中では王国から一番遠く、王族御用達の馬車を使用しても一月以上の時間がかかる。
様々な国の王達が集まる会議に向かっている最中のルークとグロリアスは、体を横にしてだらだらと寛ぎながらたわいもない会話をしていた。
「ルークのお嫁さん見つけられたら良いな」
「エルピスさんにも言われたけれど、本当に良い人いるのかな。出来れば強い人がいいんだけど」
男が二人集まってすることと言えば、決まって猥談か恋愛談だ。
結婚相手を探していたルークは、今回このグロリアスの旅に同行することで自分の嫁になる相手を見つけようとしていたわけだが、ルークも自身で把握している通りかなり恋愛のハードルが高い。
自分より強くあれとは言わないが、自分と同程度の力を持っている相手がルークからすればいいので、余程の実力者でなければその条件を埋めることはできない。
「帝国の騎士に連合国の暗部。共和国の兵団に法国の聖騎士、強い人達は案外探せば居ると思うよ。エルピスさんクラスになってくると厳しいけどさ」
「最高位冒険者は帝国に六名、共和国に二名、連合国に一名、法国に十名程度だったかな。まぁ法国と帝国に関してはちょっと基準が怪しいけど、しかも女性だとそれこそクリムさんくらいしか俺も見たことないなぁ」
「クリムさんに手出したらイロアスさんに殺されるよ?」
「あの人怒ったらマジで怖そう」
「あれはヤバいよ」
かつて一度だけ、グロリアスは本気でイロアスの怒りをその目で見たことがある。
理由はグロリアスの父、ムスクロルがエルピスに対してイロアスがエルピスの事を、異世界人であることを知っているということを、教えてしまったからだ。
あの時グロリアスは王国ではなく帝国領に次期国王としての顔見せに出向いており、これから向かう先でもある皇帝の城の一室にて会議を行っていたところだった。
そんな中突如として転移してきたイロアスは転移直後のほんの一瞬、周囲の状況を確認するまでのほんの一瞬の間だけ、怒りの感情をあらわにしたのだ。
イロアスの怒りの波動が辺り一帯に広がり、もちろんその爆心地の現場にいたグロリアスもその怒りを浴びている。
グロリアスの頭では理解できないようなほんの刹那の時間だったが、体は絶対的な強者が殺意をもって現れたことで、あまりのショックに身体は身体活動を停止し心臓の動きすら止まってしまっていた。
それもグロリアスに限った話ではない、帝都どころか帝国中の生物がそのあまりの気迫に動物だけでなく、魔物までもがおびえていたという。
出来る限りならばもう二度と、あんな場面に出会いたくはないものだ。
「確かに、英雄だもんなぁ。そういえば世界的に見ても英雄って少ないよね、勇者は結構ありふれてるのにさ」
「勇者は勇気あるものに付けられる名前、英雄は不可能を奇跡を紡いで可能にした者に与えられる名前。そりゃ母数も変わってくるよ」
勇者は転生者、転移者、それに戦争で勇猛な働きをした戦士や、国のためにその身を顧みず行動したものなど様々なものに与えられる。
勇者の称号は人類生存圏内で強い説得力を持ち、法律上において勇者の称号が新しく付与された場合に限り、その勇者の称号獲得のトリガーになった行為で違法行為があった場合があろうと、黙認されることになっている。
ならば英雄はと言うと、もはや所持している人物が歴代でもイロアスと片手で数えられる程度しか居ないので、これといって特別な制度がないのが現状だ。
「そういえば気になってたんだけど、うちってなんでヴァンデルグなの? 王国の意味を持つ名前はヴァスィリオ家に持ってかれてるじゃん」
「あー、長いぞその話?」
「良いよ別に。旅もまだまだ長いしね」
「それならまぁ……。そもそもうちが王国という意味を持つヴァスィリオ、ではなく、野山を駆け回るというヴァンデルグの苗字になっているのは建国のところまで遡る」
ーーヘンデリス・ヴァン・デスタルト・ヴァスィリオ、通称冒険王とも呼ばれ、拳一つで国を立ち上げた拳闘士としても有名な人物である。
その剛腕は竜の鱗を貫き、大蛇のとぐろを解きゴーレムの巨腕を粉砕したと言う。
そんな彼にはしかし一つ大きな欠点があった、それは頭が弱かった事だ。
実力に関していえば完璧とも言えるほどの力を持っていた彼だが、国は力だけでは回すことはできない。
国を回すには人員と金銭、そして何よりも圧倒的な知能が必要なのだ。
「初代建国者であるヘンデリスは国家ではなく小さな街を作り上げ、そこで二人の嫁をもらい家を二つに分けた。戦闘に秀でたヴァスィリオ家、智略に秀でたヴァンデルグ家とにね」
「え!? つまりアウローラと俺達って親戚なのか!?」
「すごい昔のことだけどね。だからヴァスィリオ家が軍務にあれ程の権力を有しているのを誰も指摘しないし、時には国王である僕の支配下からすら抜けた力を持つことも許されているんだよ」
本家と分家。
そう言うには少々関係性の複雑さが足りていないが、ようはそう言った認識でも問題はない。
ただ言える事は間違いなくヴァスィリオ家とヴァンデルグ家は元は同じ家であり、その身体に流れている血もまた同様のものである。
ヴァスィリオ家に武闘派が、ヴァンデルグ家に知恵に長けたものが生まれてくるのにはもちろん明確な理由が存在し、それは初代が名前にかけた呪いとも言える制約である。
彼は自らの魔力のほとんどをその生涯で封印することによって、代表として己の武力を未来へと託すことにした。
逆にヴァンデルグ家には母親の優れた知性と初代の魔力に関係する力を付与しており、魔法使い的な戦士がよく現れやすい家を作った。
これがヴァンデルグ王国の秘密であり、貴族の一人であるビルムとムスクロルの仲の良さの理由。
「まあざっくりいうとね。細かい話はこれからだよ、言ったでしょ長いって」
「衝撃がすごすぎて忘れてたわ。まあゆっくり話してよ兄さん」
日が沈み、月が出ればそこは魔物たちの住む世界へと早変わりする。
月の光は人の目には微かにしか見えないが、魔物にとってみれば明る過ぎる昼間よりもよほど目が見えるようになり、その動きもそれに呼応して活発化していく。
今回の旅には宮廷魔術師だけでなく、戦闘経験の豊富な近衛兵の隊長オペラシオンにプロムス、万が一の場合に備えて数人ほど協会の回復術師も同行しているので魔物程度でどうにかなるようなメンツではないが、万が一を考えてしまうと寝付くこともままならなくなるのは仕方のないことだろう。
グロリアスが野営地を歩いていると木に腰かけ楽しそうに喋るオペラシオンとプロムスの姿が見え、グロリアスは足音を殺してその後ろに立つ。
「だーれだ?」
「グロリアス様です、お戯れはよしてくださいよ。足音まで殺して」
「あらら、ばれてたか。さすがは近衛兵、座らせてもらうよ」
わざわざ声まで変えてだましに行ったというのに、即答できるのはやはりさすが近衛兵か。
近くの切り株に腰を下ろしながらそういうと、直ぐにグロリアスの手に紅茶の入ったコップが手渡される。
「ありがと。今回の世界会議は各国の最高戦力がほとんど来るようだけれど、気になっている人物とかいたりする?」
「四大国の最高戦力はもちろん気になっていますけれど、個人的に気になっているのは評議国の最高戦力であり最高位冒険者の一人でもあるライオネット氏ですかね。言葉で戦うかの方の戦闘スタイルは気になるところです」
「私といたしましては連合国の疾風の弓使いが気になりますね。自分で考えた名前なのか、それとも他人につけられた名前なのか、非常に気になります」
「オペさん性格悪いっすね。そんな事ばっか言ってるから針姫なんて変な通り名付けられてるんですよ?」
「あ?」
目の前で陥没するのではないかと思えるほどにへこまされているプロムスのことを眺めながら、グロリアスは今後のことを考える。
王国が出せる戦力の最高峰はアルキゴス並びにマギア、この両名。
しかしアルキゴスには王国の治安維持係として、マギアには宮廷魔術師長ならびに魔法開発局役員の一人としての活動がある。
F式装備を着用した両名は最高位の冒険者に逼迫した実力を持つが、それにしたって運用には莫大なコストがかかるのだ。
他の国も同様に最高戦力は自分達の国の防衛や開発作業に回したいはず、どこの国が割を食うかは会議で決まることだろう。
「ーー真面目な話、自国の為にだって命を捨てられる者は少ないと言うのに、人のために命を捨てられる者が何人いると言うものか。人の未来は思ってるよりも暗いな」
「敵の規模が分からない以上はなんとも。ただエルピスさんは今回通信系魔法の傍受で人の声が聞こえたと言っていた、なら敵には人も含まれるはず。楽な戦争ではないでしょうね」
「王国内部にも敵はいるでしょうね。大臣反乱のおかげでかなりの数の腐敗した貴族は一括処理出来ましたが、その分正義感にあふれていた貴族のうち少しずつ腐り始めた所もあるらしいですし。王にはその辺頑張ってもらいたい所です」
「簡単に言ってくれるねほんと、結構難しいんだよ?」
王国内部も一枚岩というわけではない。
たとえばグロリアス就任の際にはアウローラ誘拐を裏で指揮し、あまつさえ王国の軍事力すら手中に収めようとしていた大臣も存在していた。
一族郎党に加え派閥に所属していた貴族を追放したのがグロリアスの父、ムスクロルの最後の仕事でありその追放によって減った人員を補充したのがグロリアスの最初の仕事で有った。
「信用してますからねグロリアス様」
「もちろん俺もですよ、頑張ってくださいグロリアス様」
「気軽に任せてとは言えないけど……まぁ頑張るよ」
始まらなければ何も分からないのであれば、一先ず初めてしまえばいい。
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