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青年期:クラスメイト編
アウローラの思い
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エルピスがセラと別れて二時間後。
必要なことはあらかた終えて、転移魔法で一度実家に戻り必要なものを収納庫に詰め込んだエルピスは、どうせならばとゆったりと馬車に乗って王国までの道のりを進んでいた。
アルヘオ家の家紋が刻まれた豪勢な馬車は、何時ぞやの時のような窮屈感は無く、麻袋に入れられていないのだからそれも当然ではあるが、随分と快適な旅である。
「ーーそれでなんでアウローラが居るんだよ、向こうに残るんじゃなかったの?」
馬を操りながらエルピスが上体をのけぞらせて後方にいるアウローラに視線を移すと、その相手は呑気に魔法で作り出したアイスを食べながら足をぶらぶらとさせていた。
エルピスの問いに対して急いでアイスを食べ終え手を拭くと、よっこいしょと外見からは思いもよらない言葉を使いながらエルピスの隣に座る。
「うん、残るよ?」
「なるほど……ここ龍の森なんですけど?」
「うん、知ってるよ?」
(あれぇ? 俺がおかしいのか?)
そう思い背後に座るレネスとエラに視線を送るが二人で何か楽しそうに話しており、とてもじゃないがエルピスが途中で割って入れる雰囲気ではない。
ニルはもう少しの間敵が来ないか見張るらしく、その間はニルの代わりにエラがエルピスと旅路を共にするのでエラが何故いるのかはエルピスも把握済みだ。
二人がいつの間に仲良くなったのか少し置いて行かれたような気持ちになりながらも、まぁアウローラ本人が気にしていないのならばそんなものなのかとエルピスは再び手綱を握りしめる。
少しの間ではあるが乗馬経験を得た事で既に乗馬系の技能は習得済みであり、特にすることもないままエルピスがふと空を見上げると小さな鳥が飛んでいるのが見えた。
「ん? いや鳥じゃなくて飛龍か、そう言えば王国もそんな季節だっけ」
「飛龍と鳥を間違える事ってある? サイズ感は別として存在感的なのあるでしょ」
「影に龍が居るから感覚狂ってるのかも。戦闘したばっかだし」
龍からすれば飛龍が気にも留めない程度の相手であるように、龍神であるエルピスからしてみれば目で見ない限りは気配だけで判断することは難しい。
そこまで口にして、そう言えばアウローラは先の戦闘についてなにか思うところが無かったのかという疑問がエルピスの中に浮かぶ。
アウローラは言うまでもなく完全に混じりっけのない人間だ、エルピスからしてみれば人間は既に他の種族だが彼女にとってみれば未だに人は同じ種族の者である。
いままで苛烈な戦地に立ってこなかったアウローラは、人が直接目の前で数百人単位で死ぬ所は見た事が無かったはずだ。
感じるものも多いことだろう。
「そう言えばアウローラ、気分はどう?」
「よくは無いわね。助けられなかった人達、助けられたかもしれない人達、自分に力があればなんて思うけれど、エルピスでも無理だったんだからそれは無理なんじゃ無いかなって。ただ助けられた人達も確かに居るし、これから助けられるかもしれない人達がいるからくよくよ悩んでは居られないわ」
そう言って微笑むアウローラの笑顔に影は無く、どうやら強がっている様ではなさそうだとエルピスは判断する。
彼女だって何も思っていないわけでは無いだろうが、過去を振り返るよりも先を見た方が良いのは現実的だし正しい判断だ。
できれば彼女にはそんな事を考えず、人の死を素直に嘆く事ができるままで居て欲しいと願うが、その状態で居てもらうにはいささか自分の力が足りていないだろう。
確かに先程は敵の攻撃がなんなのか分からない以上、自分達に最大限の防御を貼る必要があったので周りの人命を蔑ろにしたが、もっとエルピスが強ければなんとかなった可能性もある。
第四の神の称号の解放、それが当面の目標になりそうだと考えていると後ろから声がかかった。
「アウローラは良い仕事をしたよ、他の誰にもできない君だけの仕事を。エルピスだってそれを分かっているだろうし誇っても良いと思うんだけれど」
エルピスにではなくアウローラに話しかけたのは、先程までエラと話していたレネスだ。
会話がひと段落ついたのかエラは無言でエルピスの膝の上に座り、そんなエラの姿を眺めながらレネスはアウローラに一番近い所に腰を下ろす。
いつの間にかカジュアルなスエットに着替えており、日本人が作ったのかよく日本で見たようなデザインをしている。
そんな彼女が刀を握り締めていると、そうある事が正しいはずなのに服装も相まって歪さがよく目立つ。
少しハスキーさの入った声音に耳を傾けながら、遠慮がちに主張してくるエラの頭を撫でているとアウローラが自身なさげに言葉を返す。
「誰だって、って事は無いわよ。私は私にできる最善をしたつもりだけれど、それは別に他の誰でも出来ることだし」
「いやいや、あんな中指示をまともに聞いてくれたのは、アウローラが生まれつき〈女帝〉の特殊技能を持っていたからに他ならない。なら今日のあれはアウローラにしか出来ないことだったよ」
「女帝? なにそれ??」
「弟子一号君、説明しちゃっても構わないかい?」
「弟子なのは認めますが、いつから一号になったんですか。これから増える予定でもあるんですか?」
そういえばそんな技能をアウローラが持っていたなと思い出しつつ、エルピスは呆れた様な声音でレネスの問いに対して承諾する。
結局アウローラに隠し事ばかりしているエルピスだが、自身に関しての情報まで規制してしまっては恋人とすらいえなくなってしまうだろう。
「ないけどさ。それじゃあ簡単に説明するねーー」
それからレネスが始めた説明は、かつてエルピスが個人的に女帝の特殊技能について調べた時の情報とほとんど同じで、アウローラはその説明に聞き入っている様だ。
その歴史や使用方法、効果の副産物的なものや使用練習などを繰り返している内に、いつの間にかすっかり辺りは夜になっていた。
エルピスがいま手綱を引いている馬は魔神の権能によって擬似的に生命を模倣した生物であり、言うなれば魔法生物とも言えるそれは、無限に走る事ができる上にエルピスの魔法によって様々な効果を付与できる。
夜道でも何の問題もなく移動できるのだが、一日中馬車に乗るのはなんとも言い難い疲労感があるので、一旦野営地を作り腰を下ろすことにした。
辺りはだだっ広い草原で、空を見上げてみれば巨大な星々の光が無数に煌き、太陽の光とはまた違った眩しさを与えてくれる。
「こんな便利な力があったなんて! それに国級魔法まで使えるなんて最高ね!!!」
「国級魔法は扱い難しいの多いから、使用には気をつけた方がいいよ? 扱い間違えると普通に死ぬしね」
「さすが地力で撃てる奴は風格が違うわね……」
国級魔法はその性質上、完全に個人で打つ様に作られておらず、魔法の演算にかかる脳の負担や消費魔力はどれだけ強かろうと人類者である以上発動は不可能だ。
ちなみに英雄の称号や勇者の称号により、聖人、仙人、降人などの人間種でも上位の種族になれば発動可能になる。
発動条件も魔力だけでなく、人命や補助として薬草や火薬が必要なものなどその用途や種類に応じて様々な代償を支払わなければいけない事が多い。
通常の魔法使いならば超級、天才と呼ばれるものたちでも戦術級が個人で放てる限度なのだが、その壁をアウローラは突破したと言っても差し支えないだろう。
いまのアウローラならば魔法を変な風な使うこともないだろうし、消費魔力もないということであれば魔力欠乏症で倒れる危険性もない。
「前共和国に行った時は結界みたいなの貼ってたけど今回はいらないの?」
「前回は同行者の人達がその……弱かったからさ、念のために設置したけど普通に過ごしてるだけなら襲ってくる野生生物はいないよ」
龍人の血を引く存在であるエルピスを野生生物が襲ってくる事はよほどな事がない限りないが、他のテントに寝ている通常の冒険者を襲う程度ならば起きてもなんらおかしくはない。
だが今回はテントが二つなので何かあったらすぐに助けに行けるし、エルピスと他三人で別れるとしてエルピスと同格が一人、格上が一人いるテントに突撃して行った獣はおそらくテントに触れる前に死ぬことだろう。
「まぁそりゃエルピス達みたいなイレギュラーだらけだったらそうもなるわよね」
「アウローラ、あの時は確かに英雄や勇者しか出番はないと言ったけれど、転生者だってこの世界からしたら十分なイレギュラーなんだよ?」
確かにレネスの言う通りである。
アウローラの事を襲う生物がいるとすれば、それが魔獣でないのならよほど飢えた獣程度だろう。
さすがに魔獣を怯えさせるほどの魔力量は非戦闘時のアウローラには無いが、通常の獣であれば近寄りがたいほどの気配は通常時でもアウローラからも漂っている。
「それじゃあご飯作ろっか、今日はカレーだよ」
「本当に!? 何系カレー!? キーマ?」
「一番最初に出てくるカレーがキーマカレーなのかよ、我が家のカレーは至ってシンプルなアメリカンカレーだよ」
「アメリカンカレー?」
頭に疑問符を浮かべているアウローラを置き去りにし、必要なものを収納庫から取り出したエルピスはフライパンに火を付けていく。
野菜や肉などを適当に切り刻み魔法で多少時間をとばしながら調理を進めていき、目の前で数分で出来上がりそうなカレーに目を回しているアウローラの横で大量に粉を入れていく。
明らかな過剰摂取、見ただけで健康が悪そうになる程調味料を入れるエルピスを見て、アウローラは慌てて止めにかかる。
「ちょ、え!? なにしてるの!?」
「だからアメリカンカレーだってば」
「いやいや、それいろんな所に怒られるわよ!? というかどこから持ってきたのこれ、日本にあったものよね?」
「企業秘密です」
神人であるエルピスには血糖値など関係ない、ただ美味しいものを食べて美味しいと思える生活を送っていれば良いのだ。
ちなみに食べた食べ物の栄養価は全て魔力として還元されるので、カロリーが高ければ高いほど燃費が良くなったりするところがエルピスの体の良い所である。
「臭いは……大丈夫そうね。毒性はあるのかしら、一応毒耐性用の魔法はかけておいた方が良さそうね」
「人が食べられるものしか入れてないんだから死にはしないよ大袈裟だな、いただきます」
「味付けは確かに濃いが中々旨いじゃないか、料理もできたのだな」
「え? これを料理って呼ぶの?」
食材を食べやすく切り、適当に焼き、盛り付けたのだ立派な料理だろう。
アウローラも恐る恐るといった表情で一口食べると、味に納得したのかそのまま食事を進めていく。
塩分が大量に含まれているのでやけに水分を摂取するのが印象には残るが、多少血糖値が上がったところで数日しっかりと運動すれば問題は無いはずだ。
医者ではないのでエルピスは人の体についてなにも知らないが、最悪癌になればいつぞやの様にエルピスの力で直せば良いだけなので問題ない。
「ご馳走様でした。見た目はアレだったけど食べたら美味しかったわね」
「お粗末様です。まぁ次はちゃんとまともな料理作るよ、今日のはちょっと適当に作りすぎたし」
「そうして貰えると助かる。今からなにするの?」
「うーん、もうする事もないし寝よっか、テント立てるわ」
エルピスが軽く手を払えば、地面から大量の木々が空を貫かんばかりの勢いで生えていく。
森霊種のみが使える種族専用の魔法〈木魔法〉なのだが、魔神であるエルピスにそういったしがらみは関係ない。
丁度いい太さと大きさになる様作り出した木を刀で適当に加工し、家を作る知識がなく強度面の不安が残るのでいくつか他の素材や魔法によって補強しながら、感覚と雰囲気だけで作り上げる。
「テントっていうか家だけどねこれ! まぁ驚くことでもないか、もう一軒建てるの?」
「いや、俺はこれ」
驚きというよりは呆れた様な表情のアウローラが投げかけた質問に対し、エルピスは収納庫から合金と龍の翼を取り出し極一般的な小さなテントを片手で作り上げる。
出来上がったそれを無造作に投げ捨てると、エルピスは寝巻きに着替え早々にその中へと入っていこうとする。
「いやいやいや! ダメでしょ!! あんたこれ格差が凄いことになってるわよ!?」
「両方俺が作ったものだからセーフ。大丈夫手は抜いてない」
「そういう問題じゃないでしょうに! というかなんなら私達と一緒に寝たらいいじゃないのよ!?」
「私もそう思うよエル。アウローラはちょっと驚きすぎだけど、私も仕えている身としては主人の方が自分より劣ったところで過ごすのは見過ごせない」
もう寝る寸前なのか、目蓋を半分以上閉じているエルピスの手を掴んでアウローラが必死に止めていると、エラまでもがエルピスを引き留め始める。
そう言われても寝るときに温度と湿度を調整し寝やすい環境を作り上げるので、正直言ってどこで寝ようとも変わらないのだが二人からすれば気になるらしい。
ぼやけた頭でそんな事を考えていると、アウローラとエラが何か言葉を投げかけてくる。
「もう良いわ、私の部屋で寝させる。エラ、構わないかしら?」
「……それはつまりそういう事ですよね? 聞き返すのは失礼ですが」
「……ええ。離れるのは寂しいもの、何か明確な証が欲しいのよ」
エラとアウローラの視線が交差する。
普段はアウローラに対して一歩引いたような態度を取っているエラが強気な質問をしたのは、ほぼ間違いなくエルピスに関係する話だからだろう。
身分の差を普段ならば気にしてあまり口を挟まないエラだが、エルピスの話になるならば二人は同じエルピスの恋人、そこに格差は存在しないし、してはならない。
5秒程だろうか、短い時間ではあったが緊張感が部屋の中に流れていると、ぷつりといきなり緊張の糸が切れる。
「先を越されるのは少し残念ですが、アウローラは人ですからね。譲ってあげます」
「上位種族特有の煽りされた気がする……。まぁ良いや、そういう訳だからエルピス、付いてきなさい」
「……んぅ? んん」
「両手に花とは素晴らしいことだね、じゃあ私はこの部屋で寝ているからごゆっくり」
もう既に睡眠状態に入ったエルピスの耳にはなにも届いていないが、アウローラに引っ張られるがままにエルピスは部屋の中へと入っていく。
木によって作られた8畳ほどの部屋には、これまた木製のベットと窓際に小さな机だけが置かれており、王国の一般的な宿屋と同じような物を手の先にいる青年が数秒で作り上げたのかと思うと、慣れたつもりではあるがアウローラも未だに少し驚いてしまう。
木特有のなんとも言えない暖かく落ちつく香りに酔いしれながらも、エルピスをベットに投げ飛ばしたアウローラは横たわったエルピスの状態に跨りその顔を見下ろす。
「さて、想定していたよりも長かったけどようやくね。眠そうな演技やめて良いわよ」
アウローラの今の年齢は18、日本では丁度成人を迎える年頃でありエルピスよりも一つ上なだけあって、経験は豊富そうに思える。
エルピスの身体にまたがるその姿に普段のゆるそうな雰囲気はなく、日本ならば高校三年生程度の年齢だというのに精神年齢も合わさってか随分と大人の女性のように見えた。
エルピスの反応を待つ間にアウローラは普段は下ろしている髪を軽くかき揚げ前髪をまとめるが、そこまで時間をかけてもエルピスからなんの反応もないので軽く頬を叩いてみる。
「え? 嘘よねさすがに、本当に寝ようとしてる?」
「ぅうん……寝させてぇ……」
「うわこの子本気で寝ようとしてるし、エルピス起きて!私結構勇気出した! もう多分二度と無理な気がするから! 多分今日だけだからこんなに頑張れるの!」
「いけるっ…なんとかなる」
「聞いてないでしょまともにあんた! エラがせっかく譲ってくれたチャンスなのよ!? 私だって気張ってるんだからあんたも多少は反応しなさいよ!」
鬼の形相でエルピスの首元を掴み振り回すアウローラに対して、エルピスはもはや目すら開かずにただ小さい言葉で抵抗するばかりである。
一度眠ろうとしているエルピスを起こすことは現実的ではない。
今日は神の称号を解放した事もあって、龍種などが行う冬眠のような物をエルピスも行って力を定着させる必要があるので、どんな欲求よりも今は睡眠欲がエルピスには優先される。
「もうこうなったら寝てる間にでもっーーキャっ!」
そんなエルピスの状態をなんとなく把握したのか、アウローラは寝ているエルピスの服を脱がそうとズボンに手をかけたところで逆に押し倒される。
もはやアウローラの性に対する執着が鬼気迫る物であるが、前世では二十代前半で彼氏も作らずこの世界に来てしまい、この世界に来てからはエルピスとの交流しかほとんど男性とはとっていないのだ。
その上旅の道中では発散できるような場所もなく、また気配察知系の技能を味方が全員持っているのでおちおち一人ですることもできない。
ようは溜まりまくっていた訳である。
押し倒されたことに驚きはしたもののもう既にアウローラの方の準備は万端で、期待感と焦燥感から少し胸を潤ませ頬を赤らめたままエルピスの次の行動を待つ。
「……ん、ニルの毛ってふっかふかだねぇ」
だがエルピスはそのままアウローラの髪を撫でながら抱き寄せると、次の一言を発する前に静かに眠りについてしまう。
自分と寝ているというのに、違う女性の話をされるというのはなんとも屈辱的ではあるが、そういうところがある男なので仕方ない。
「無視する上に他の子と間違えるって、場合によっては破局よあんた……。分かったわよ、また今度で良いわ。私もちょっと眠たくなってきたし、おやすみエルピス」
永遠に別れるわけでもない、次の機会はまたあるのだ。
自分にそう言い聞かせながら、アウローラはせめてこれくらいはと、軽くエルピスの身体を抱き返して眠りの世界へと誘われるのだった。
必要なことはあらかた終えて、転移魔法で一度実家に戻り必要なものを収納庫に詰め込んだエルピスは、どうせならばとゆったりと馬車に乗って王国までの道のりを進んでいた。
アルヘオ家の家紋が刻まれた豪勢な馬車は、何時ぞやの時のような窮屈感は無く、麻袋に入れられていないのだからそれも当然ではあるが、随分と快適な旅である。
「ーーそれでなんでアウローラが居るんだよ、向こうに残るんじゃなかったの?」
馬を操りながらエルピスが上体をのけぞらせて後方にいるアウローラに視線を移すと、その相手は呑気に魔法で作り出したアイスを食べながら足をぶらぶらとさせていた。
エルピスの問いに対して急いでアイスを食べ終え手を拭くと、よっこいしょと外見からは思いもよらない言葉を使いながらエルピスの隣に座る。
「うん、残るよ?」
「なるほど……ここ龍の森なんですけど?」
「うん、知ってるよ?」
(あれぇ? 俺がおかしいのか?)
そう思い背後に座るレネスとエラに視線を送るが二人で何か楽しそうに話しており、とてもじゃないがエルピスが途中で割って入れる雰囲気ではない。
ニルはもう少しの間敵が来ないか見張るらしく、その間はニルの代わりにエラがエルピスと旅路を共にするのでエラが何故いるのかはエルピスも把握済みだ。
二人がいつの間に仲良くなったのか少し置いて行かれたような気持ちになりながらも、まぁアウローラ本人が気にしていないのならばそんなものなのかとエルピスは再び手綱を握りしめる。
少しの間ではあるが乗馬経験を得た事で既に乗馬系の技能は習得済みであり、特にすることもないままエルピスがふと空を見上げると小さな鳥が飛んでいるのが見えた。
「ん? いや鳥じゃなくて飛龍か、そう言えば王国もそんな季節だっけ」
「飛龍と鳥を間違える事ってある? サイズ感は別として存在感的なのあるでしょ」
「影に龍が居るから感覚狂ってるのかも。戦闘したばっかだし」
龍からすれば飛龍が気にも留めない程度の相手であるように、龍神であるエルピスからしてみれば目で見ない限りは気配だけで判断することは難しい。
そこまで口にして、そう言えばアウローラは先の戦闘についてなにか思うところが無かったのかという疑問がエルピスの中に浮かぶ。
アウローラは言うまでもなく完全に混じりっけのない人間だ、エルピスからしてみれば人間は既に他の種族だが彼女にとってみれば未だに人は同じ種族の者である。
いままで苛烈な戦地に立ってこなかったアウローラは、人が直接目の前で数百人単位で死ぬ所は見た事が無かったはずだ。
感じるものも多いことだろう。
「そう言えばアウローラ、気分はどう?」
「よくは無いわね。助けられなかった人達、助けられたかもしれない人達、自分に力があればなんて思うけれど、エルピスでも無理だったんだからそれは無理なんじゃ無いかなって。ただ助けられた人達も確かに居るし、これから助けられるかもしれない人達がいるからくよくよ悩んでは居られないわ」
そう言って微笑むアウローラの笑顔に影は無く、どうやら強がっている様ではなさそうだとエルピスは判断する。
彼女だって何も思っていないわけでは無いだろうが、過去を振り返るよりも先を見た方が良いのは現実的だし正しい判断だ。
できれば彼女にはそんな事を考えず、人の死を素直に嘆く事ができるままで居て欲しいと願うが、その状態で居てもらうにはいささか自分の力が足りていないだろう。
確かに先程は敵の攻撃がなんなのか分からない以上、自分達に最大限の防御を貼る必要があったので周りの人命を蔑ろにしたが、もっとエルピスが強ければなんとかなった可能性もある。
第四の神の称号の解放、それが当面の目標になりそうだと考えていると後ろから声がかかった。
「アウローラは良い仕事をしたよ、他の誰にもできない君だけの仕事を。エルピスだってそれを分かっているだろうし誇っても良いと思うんだけれど」
エルピスにではなくアウローラに話しかけたのは、先程までエラと話していたレネスだ。
会話がひと段落ついたのかエラは無言でエルピスの膝の上に座り、そんなエラの姿を眺めながらレネスはアウローラに一番近い所に腰を下ろす。
いつの間にかカジュアルなスエットに着替えており、日本人が作ったのかよく日本で見たようなデザインをしている。
そんな彼女が刀を握り締めていると、そうある事が正しいはずなのに服装も相まって歪さがよく目立つ。
少しハスキーさの入った声音に耳を傾けながら、遠慮がちに主張してくるエラの頭を撫でているとアウローラが自身なさげに言葉を返す。
「誰だって、って事は無いわよ。私は私にできる最善をしたつもりだけれど、それは別に他の誰でも出来ることだし」
「いやいや、あんな中指示をまともに聞いてくれたのは、アウローラが生まれつき〈女帝〉の特殊技能を持っていたからに他ならない。なら今日のあれはアウローラにしか出来ないことだったよ」
「女帝? なにそれ??」
「弟子一号君、説明しちゃっても構わないかい?」
「弟子なのは認めますが、いつから一号になったんですか。これから増える予定でもあるんですか?」
そういえばそんな技能をアウローラが持っていたなと思い出しつつ、エルピスは呆れた様な声音でレネスの問いに対して承諾する。
結局アウローラに隠し事ばかりしているエルピスだが、自身に関しての情報まで規制してしまっては恋人とすらいえなくなってしまうだろう。
「ないけどさ。それじゃあ簡単に説明するねーー」
それからレネスが始めた説明は、かつてエルピスが個人的に女帝の特殊技能について調べた時の情報とほとんど同じで、アウローラはその説明に聞き入っている様だ。
その歴史や使用方法、効果の副産物的なものや使用練習などを繰り返している内に、いつの間にかすっかり辺りは夜になっていた。
エルピスがいま手綱を引いている馬は魔神の権能によって擬似的に生命を模倣した生物であり、言うなれば魔法生物とも言えるそれは、無限に走る事ができる上にエルピスの魔法によって様々な効果を付与できる。
夜道でも何の問題もなく移動できるのだが、一日中馬車に乗るのはなんとも言い難い疲労感があるので、一旦野営地を作り腰を下ろすことにした。
辺りはだだっ広い草原で、空を見上げてみれば巨大な星々の光が無数に煌き、太陽の光とはまた違った眩しさを与えてくれる。
「こんな便利な力があったなんて! それに国級魔法まで使えるなんて最高ね!!!」
「国級魔法は扱い難しいの多いから、使用には気をつけた方がいいよ? 扱い間違えると普通に死ぬしね」
「さすが地力で撃てる奴は風格が違うわね……」
国級魔法はその性質上、完全に個人で打つ様に作られておらず、魔法の演算にかかる脳の負担や消費魔力はどれだけ強かろうと人類者である以上発動は不可能だ。
ちなみに英雄の称号や勇者の称号により、聖人、仙人、降人などの人間種でも上位の種族になれば発動可能になる。
発動条件も魔力だけでなく、人命や補助として薬草や火薬が必要なものなどその用途や種類に応じて様々な代償を支払わなければいけない事が多い。
通常の魔法使いならば超級、天才と呼ばれるものたちでも戦術級が個人で放てる限度なのだが、その壁をアウローラは突破したと言っても差し支えないだろう。
いまのアウローラならば魔法を変な風な使うこともないだろうし、消費魔力もないということであれば魔力欠乏症で倒れる危険性もない。
「前共和国に行った時は結界みたいなの貼ってたけど今回はいらないの?」
「前回は同行者の人達がその……弱かったからさ、念のために設置したけど普通に過ごしてるだけなら襲ってくる野生生物はいないよ」
龍人の血を引く存在であるエルピスを野生生物が襲ってくる事はよほどな事がない限りないが、他のテントに寝ている通常の冒険者を襲う程度ならば起きてもなんらおかしくはない。
だが今回はテントが二つなので何かあったらすぐに助けに行けるし、エルピスと他三人で別れるとしてエルピスと同格が一人、格上が一人いるテントに突撃して行った獣はおそらくテントに触れる前に死ぬことだろう。
「まぁそりゃエルピス達みたいなイレギュラーだらけだったらそうもなるわよね」
「アウローラ、あの時は確かに英雄や勇者しか出番はないと言ったけれど、転生者だってこの世界からしたら十分なイレギュラーなんだよ?」
確かにレネスの言う通りである。
アウローラの事を襲う生物がいるとすれば、それが魔獣でないのならよほど飢えた獣程度だろう。
さすがに魔獣を怯えさせるほどの魔力量は非戦闘時のアウローラには無いが、通常の獣であれば近寄りがたいほどの気配は通常時でもアウローラからも漂っている。
「それじゃあご飯作ろっか、今日はカレーだよ」
「本当に!? 何系カレー!? キーマ?」
「一番最初に出てくるカレーがキーマカレーなのかよ、我が家のカレーは至ってシンプルなアメリカンカレーだよ」
「アメリカンカレー?」
頭に疑問符を浮かべているアウローラを置き去りにし、必要なものを収納庫から取り出したエルピスはフライパンに火を付けていく。
野菜や肉などを適当に切り刻み魔法で多少時間をとばしながら調理を進めていき、目の前で数分で出来上がりそうなカレーに目を回しているアウローラの横で大量に粉を入れていく。
明らかな過剰摂取、見ただけで健康が悪そうになる程調味料を入れるエルピスを見て、アウローラは慌てて止めにかかる。
「ちょ、え!? なにしてるの!?」
「だからアメリカンカレーだってば」
「いやいや、それいろんな所に怒られるわよ!? というかどこから持ってきたのこれ、日本にあったものよね?」
「企業秘密です」
神人であるエルピスには血糖値など関係ない、ただ美味しいものを食べて美味しいと思える生活を送っていれば良いのだ。
ちなみに食べた食べ物の栄養価は全て魔力として還元されるので、カロリーが高ければ高いほど燃費が良くなったりするところがエルピスの体の良い所である。
「臭いは……大丈夫そうね。毒性はあるのかしら、一応毒耐性用の魔法はかけておいた方が良さそうね」
「人が食べられるものしか入れてないんだから死にはしないよ大袈裟だな、いただきます」
「味付けは確かに濃いが中々旨いじゃないか、料理もできたのだな」
「え? これを料理って呼ぶの?」
食材を食べやすく切り、適当に焼き、盛り付けたのだ立派な料理だろう。
アウローラも恐る恐るといった表情で一口食べると、味に納得したのかそのまま食事を進めていく。
塩分が大量に含まれているのでやけに水分を摂取するのが印象には残るが、多少血糖値が上がったところで数日しっかりと運動すれば問題は無いはずだ。
医者ではないのでエルピスは人の体についてなにも知らないが、最悪癌になればいつぞやの様にエルピスの力で直せば良いだけなので問題ない。
「ご馳走様でした。見た目はアレだったけど食べたら美味しかったわね」
「お粗末様です。まぁ次はちゃんとまともな料理作るよ、今日のはちょっと適当に作りすぎたし」
「そうして貰えると助かる。今からなにするの?」
「うーん、もうする事もないし寝よっか、テント立てるわ」
エルピスが軽く手を払えば、地面から大量の木々が空を貫かんばかりの勢いで生えていく。
森霊種のみが使える種族専用の魔法〈木魔法〉なのだが、魔神であるエルピスにそういったしがらみは関係ない。
丁度いい太さと大きさになる様作り出した木を刀で適当に加工し、家を作る知識がなく強度面の不安が残るのでいくつか他の素材や魔法によって補強しながら、感覚と雰囲気だけで作り上げる。
「テントっていうか家だけどねこれ! まぁ驚くことでもないか、もう一軒建てるの?」
「いや、俺はこれ」
驚きというよりは呆れた様な表情のアウローラが投げかけた質問に対し、エルピスは収納庫から合金と龍の翼を取り出し極一般的な小さなテントを片手で作り上げる。
出来上がったそれを無造作に投げ捨てると、エルピスは寝巻きに着替え早々にその中へと入っていこうとする。
「いやいやいや! ダメでしょ!! あんたこれ格差が凄いことになってるわよ!?」
「両方俺が作ったものだからセーフ。大丈夫手は抜いてない」
「そういう問題じゃないでしょうに! というかなんなら私達と一緒に寝たらいいじゃないのよ!?」
「私もそう思うよエル。アウローラはちょっと驚きすぎだけど、私も仕えている身としては主人の方が自分より劣ったところで過ごすのは見過ごせない」
もう寝る寸前なのか、目蓋を半分以上閉じているエルピスの手を掴んでアウローラが必死に止めていると、エラまでもがエルピスを引き留め始める。
そう言われても寝るときに温度と湿度を調整し寝やすい環境を作り上げるので、正直言ってどこで寝ようとも変わらないのだが二人からすれば気になるらしい。
ぼやけた頭でそんな事を考えていると、アウローラとエラが何か言葉を投げかけてくる。
「もう良いわ、私の部屋で寝させる。エラ、構わないかしら?」
「……それはつまりそういう事ですよね? 聞き返すのは失礼ですが」
「……ええ。離れるのは寂しいもの、何か明確な証が欲しいのよ」
エラとアウローラの視線が交差する。
普段はアウローラに対して一歩引いたような態度を取っているエラが強気な質問をしたのは、ほぼ間違いなくエルピスに関係する話だからだろう。
身分の差を普段ならば気にしてあまり口を挟まないエラだが、エルピスの話になるならば二人は同じエルピスの恋人、そこに格差は存在しないし、してはならない。
5秒程だろうか、短い時間ではあったが緊張感が部屋の中に流れていると、ぷつりといきなり緊張の糸が切れる。
「先を越されるのは少し残念ですが、アウローラは人ですからね。譲ってあげます」
「上位種族特有の煽りされた気がする……。まぁ良いや、そういう訳だからエルピス、付いてきなさい」
「……んぅ? んん」
「両手に花とは素晴らしいことだね、じゃあ私はこの部屋で寝ているからごゆっくり」
もう既に睡眠状態に入ったエルピスの耳にはなにも届いていないが、アウローラに引っ張られるがままにエルピスは部屋の中へと入っていく。
木によって作られた8畳ほどの部屋には、これまた木製のベットと窓際に小さな机だけが置かれており、王国の一般的な宿屋と同じような物を手の先にいる青年が数秒で作り上げたのかと思うと、慣れたつもりではあるがアウローラも未だに少し驚いてしまう。
木特有のなんとも言えない暖かく落ちつく香りに酔いしれながらも、エルピスをベットに投げ飛ばしたアウローラは横たわったエルピスの状態に跨りその顔を見下ろす。
「さて、想定していたよりも長かったけどようやくね。眠そうな演技やめて良いわよ」
アウローラの今の年齢は18、日本では丁度成人を迎える年頃でありエルピスよりも一つ上なだけあって、経験は豊富そうに思える。
エルピスの身体にまたがるその姿に普段のゆるそうな雰囲気はなく、日本ならば高校三年生程度の年齢だというのに精神年齢も合わさってか随分と大人の女性のように見えた。
エルピスの反応を待つ間にアウローラは普段は下ろしている髪を軽くかき揚げ前髪をまとめるが、そこまで時間をかけてもエルピスからなんの反応もないので軽く頬を叩いてみる。
「え? 嘘よねさすがに、本当に寝ようとしてる?」
「ぅうん……寝させてぇ……」
「うわこの子本気で寝ようとしてるし、エルピス起きて!私結構勇気出した! もう多分二度と無理な気がするから! 多分今日だけだからこんなに頑張れるの!」
「いけるっ…なんとかなる」
「聞いてないでしょまともにあんた! エラがせっかく譲ってくれたチャンスなのよ!? 私だって気張ってるんだからあんたも多少は反応しなさいよ!」
鬼の形相でエルピスの首元を掴み振り回すアウローラに対して、エルピスはもはや目すら開かずにただ小さい言葉で抵抗するばかりである。
一度眠ろうとしているエルピスを起こすことは現実的ではない。
今日は神の称号を解放した事もあって、龍種などが行う冬眠のような物をエルピスも行って力を定着させる必要があるので、どんな欲求よりも今は睡眠欲がエルピスには優先される。
「もうこうなったら寝てる間にでもっーーキャっ!」
そんなエルピスの状態をなんとなく把握したのか、アウローラは寝ているエルピスの服を脱がそうとズボンに手をかけたところで逆に押し倒される。
もはやアウローラの性に対する執着が鬼気迫る物であるが、前世では二十代前半で彼氏も作らずこの世界に来てしまい、この世界に来てからはエルピスとの交流しかほとんど男性とはとっていないのだ。
その上旅の道中では発散できるような場所もなく、また気配察知系の技能を味方が全員持っているのでおちおち一人ですることもできない。
ようは溜まりまくっていた訳である。
押し倒されたことに驚きはしたもののもう既にアウローラの方の準備は万端で、期待感と焦燥感から少し胸を潤ませ頬を赤らめたままエルピスの次の行動を待つ。
「……ん、ニルの毛ってふっかふかだねぇ」
だがエルピスはそのままアウローラの髪を撫でながら抱き寄せると、次の一言を発する前に静かに眠りについてしまう。
自分と寝ているというのに、違う女性の話をされるというのはなんとも屈辱的ではあるが、そういうところがある男なので仕方ない。
「無視する上に他の子と間違えるって、場合によっては破局よあんた……。分かったわよ、また今度で良いわ。私もちょっと眠たくなってきたし、おやすみエルピス」
永遠に別れるわけでもない、次の機会はまたあるのだ。
自分にそう言い聞かせながら、アウローラはせめてこれくらいはと、軽くエルピスの身体を抱き返して眠りの世界へと誘われるのだった。
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