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青年期:鍛治国家
服装
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「ーーそんなこんなで次は学園に行くことが決定しました」
上層に上がってみればおそらくは鍛治神がわざわざ用意してくれた空間に、だらだらと寛ぐ仲間達の姿があった。
こういう時は長々と伸ばすと意味もなく話が間延びしてしまうので、エルピスはバッサリと結論を伝える。
「え……まぁとりあえずお疲れ様……なんだか順調にテンプレートを歩んでいるわね、少し飛ばし飛ばしな気もするけれど」
上体を起こしながらそう言ったのは、いつものようにセラ達と遊ぶアウローラだ。
さすがに説明が少なかったので一通りの説明をし、創生神関連の話は省きつつこれからのある程度の予定をアウローラ達に伝えていく。
話自体は数十分ほどで終わり、第一に口を開いたのはニルだ。
「神からの依頼で学園にねぇ、まぁ楽しそうだから僕的にはオッケーだね」
「僕とフェルと姉さんは国籍とか存在しないけどどうするの? アルヘオ家の紋章でもさすがに冒険者の証を持つ僕は別として、完全無国籍な二人は不味くない?」
「その点は大丈夫だ。なんてったって神が相手だからな、話聞くしかない」
神様の言う事には従うのが下種の務めである。
土精霊の神であるところの鍛治神からお願いをされてしまえば、人には断る術などあるはずもない。
もし断りでもすれば神の機嫌を損ねる上に、土精霊達からも反感を買う。
神のわがままに振り回される人物達が可哀想ではあるが、運がなかったと諦めて欲しい。
「軽くヤクザね」
「言うな、俺もぶっちゃけそう思ったけど」
義理や人情で見逃してくれるイメージのあるヤクザとは違い、神に義理人情など存在しない。
その点でいえばマフィアの方がイメージとしては近いだろうか。
道端を歩いていたらいきなり頭部をぶん殴られたようなものだ、改めてではあるが可愛そうなものである。
「それにしても学生生活か、いったい何年ぶりだろ?」
「俺はこの世界来る前は学生だったから17年ぶりかな? とにかくかなり懐かしい」
「私なんてーーぶりよ」
ーーそこはプライドがあるのか。
話の流れ的に言うかと思ったが、すんでで気がついたようでアウローラは無理やりに言葉を濁した。
「なんで隠すんだよそこ」
「わかりなさいよ乙女の気持ちを!」
「そんな事言ってしまえば、私なんて数億年どころの騒ぎじゃないわよ学生なんて」
「天使に学校なんてあるの?」
「俺も気になるな」
お化けは学校がないと言うのに、天使には学校があるのか。
死後の世界でそもそも学校が必要なのかとか、天使とはそもそもどうやって生まれてくるのかとかそう言った疑問はある。
エルピスの質問に対して答えたのは意外にもセラではなくニルであった。
「学校というよりは試験のために勉強するための場所だね、天使の昇格試験は難しいから先輩の天使達の指導を受けないといけないんだよ」
「案外死んでからも面倒なものなのね」
「その点地獄も天国も勉強する事ないからそう言った意味では楽かもね」
地獄も天使もどちらも行きたくはないが、とはいえ少し気になるところではある。
今度そう言ったことも聞いてみるのも面白いかもしれないなと思いつつ、エルピスは近くでゴロゴロしていた灰猫を手で招き寄せる。
それに対して灰猫は最初こそ疑問符を頭に浮かべていたが、何か気が付いたのかゆっくりとエルピスに近づき膝の上に座った。
灰猫が膝の上にいるとなんだか落ち着いてくるので、たまにこうしてエルピスも呼んだりしている。
「まぁその辺は後にして、それで早速向かうのかしら?」
「いや、さすがに鍛治神はああ言ってるけど、いきなり神の娘が転入なんてことになったら無茶がすぎる。一週間から二週間くらいは間を開けないと、その間にアルヘオ家の者に根回しをさせとく」
「私の方からも父さんに連絡だけはしておくわね」
根回しは大切だ。
人相手ならばそれも当然で、円滑な作業を行うためには周囲に自分達の事を認知させておくのは大切なことである。
神もそれほど早くは動かないと思われるし、そうでなくともエルピスは人類生存圏内における有効的な人物の少なさが目立つ。
少しでも多くの知り合いを増やし、こう言ってしまえばなんだが少しでも多くの手駒は増やしておきたいところなのだ。
それが今後必要になるかならないかは別として、打てる手段の可能性を少しでも上げてくれるのならばそれでエルピスからすれば十分である。
「それにしても学生生活か、良い思い出ないわね」
「なんでだ? 友達とか多そうだけど」
「そりゃ多かったわよ? 他の学校の生徒で友達って子もいっぱい居たし。ただねぇ……」
「何か気になることでも?」
「いやさ、案外、いや案外って言うほどの事ではないんだけど、卒業後って連絡取らないものなのよ。仕事忙しいしね、卒業式で泣きあった相手が気付いたら連絡帳から消えてた時は寂しかったわ」
なるほど言われてみれば、そう言う経験もアウローラの年ならばしたのだろう。
エルピスが通っていた学校は中高一貫校となっており、小学校の頃の同級生と離れはしたが、とはいえそんな昔のことは覚えていないし、それに一番仲の良かった委員長は同じく中学校受験をした。
思えば別れという別れは、未だにエルピス自身経験したことはない。
「その点で行くとエルピスはまだ高校卒業してないんだよね?」
「そうなるね。俺最終学歴中卒って事になるのかな?」
「そうなると今回のは飛び級ね、この世界で最高の学校に入れるんだしちゃらよ」
「思えば面接練習もしてたけど意味なくなったんだよな」
隙間時間だと言われてはひたすらにやらされていた面接練習も、今となってはなんの意味もない。
背筋を伸ばし規律を守り自らの長所をアピールするより、この世界なら圧倒的な力を見せつけて自分が利益になることを知らしてた方が早いからだ。
「もしかしたら私もエルピスも転生してなかったら会社で会ってたかも知れないわね」
「アウローラみたいな上司いたら休まる場所なさそうだな」
「な、失礼な! 私は部下の事ちゃんと面倒見れる良い上司だったんだからね!」
「そもそも上司だったの?」
「ん? 言ってなかったかしら。私実はそれなりに偉かったのよ、大学も出てたから出世が早いのもあったけど、なによりうちの会社実力主義だったから」
胸を張りながらそう言うアウローラを見て、確かに上司らしいといえばらしい。
王族達と共に馬車で移動していた時や教会に赴いた時などは、しっかりと大人として動いていたように思える。
エルピス自身が社会にまだ出ていないのでなんともいえないが、確かにアウローラは仕事は出来そうな雰囲気だ。
「どんな会社だったの?」
「IT系よ、その中でも私はみんながやらない仕事いっぱいやってたわ。他部署から来た仕事の山が日に日に増えてくの見ると発狂しそうになったけど」
「スーツ着てパソコン打ってるアウローラ見てみたいなぁ」
この世界にスーツなどの洋服は異世界人が作ったものしかないので、超激レアな上に値が張るしその割にデザインはしょぼいものも多い。
黒髪黒目のアウローラならばスーツもよく似合うと思うのだが、そう言うこともあって実際みようとは思うものの直ぐに実現することは少し難しい。
「いましたらただのコスプレよ……とは言っても学園に行ったら制服に着替えるわけだからそれこそコスプレなんだけど」
「いやぁ僕もさすがに制服は恥ずかしいね、初めて着るし何よりスカートって普段履かないからさ」
「そこら辺は自由だと思うけれど、どうなのかしら。私もスカートはあまり好きじゃないわ」
思えば確かに他のメンバーがスカートを履いているのは見た事がない。
短パンやジーパンのような長いズボンを着用している事がほとんどで、唯一アウローラが式典の際などにのみ着ていた服はスカートだった筈だ。
「このパーティースカート履くの誰もいないわよね、みんなズボンか短パンだし、エラはどうなの? おーい、エラ?」
「……っは! 寝てません、寝てませんよ」
「完全に船漕いでたけどねいま、エラはスカート履かないの?」
「私は履きませんね、戦闘中フリフリされたら邪魔ですし、防御面的にもちょっと……」
お洒落としての度合いが強い分どうしても戦闘には不向きになり、そうなってくるとやはりエラやセラ、ニルなんかの近接攻撃型からすればスカートは邪魔なのだろう。
それにスカートになれば表面積が増える分、服にかける魔力の量が増えてしまうのでセラやニルはまだしもエラからすると魔力効率も悪いだろう。
普段エルピス達は魔力を服に薄くかぶせることで戦闘中に服が崩れるのを防いでおり、それほど多い魔力は消費しないが常時消費型なので気づくとかなり吸われていたりする。
「学園生活か、エルピスと居るとヒマしなくて良いや、フェルはもちろん生徒として参加するでしょ?」
「ええもちろん、悪魔も何人かは人間の学園で働いているらしいですから、エルピスさんのお役に立てそうです」
「もうそろそろ……っん、そうやって肩肘張ってないで落ち着きなよ、エルピスだってグダグダ気にして無いだろうし、というより何があったかすら忘れててもおかしくないね」
「失敗は失敗ですから、何か良いところを見せたいんですよ」
「まぁ気持ちはわかるけどさ、僕だってこのパーティーに貢献できてるかって言われたら疑問だし。とりあえず僕達の間で敬語は無しにしてよ、エルピスだってそのうち無しにしろって言って来るだろうし」
「そうですか? ならお言葉に甘えて。これから改めて、よろしくお願いするよ灰猫」
人の膝の上で人が物を忘れる話をしないでほしいのだが、事実今の今まで忘れてしまっていたので何もエルピスからは言えない。
エルピス的にも気になっていたので、学園についてから徐々にいろいろな口実を使ってフィルをタメ口にするよう強制してみよう。
「なんかあの二人楽しそうね……まぁ良いわ。ちょうど良いしジャンケンで負けた人いまからスカート履いてみましょうか」
「なっ、なんでそうなるんですか。いくらアウローラの頼みとは言え嫌かな」
「私は別に良いわよ、普段履いてないから恥ずかしいけれど、負けなければ良いだけだし」
「僕はエルピスの目の保養になるだろうからどっちに転んでもおっけー!」
「確かに目の保養にはなる」
普段ズボンしか履かないみんなが、スカートを履いたらどんな反応をするのか。
男として気にならないわけがない。
「あんた最近そういうの隠さないようになってきたわね」
「隠したところでだし、それにまだまだこれでも隠してるつもり」
「僕は全部対応できるけどねっ!」
「なんだかやる流れになってきたから、私も断るわけには行かなくなりましたね。寝起きではありますが、はりきっていきますよ」
戦闘や頭脳勝負だとどうしても種族差が生まれてしまうため、何か物事を閉めるときは運による勝負をする事が暗黙のルールとなっているのだ。
今日はどうやらジャンケンで勝敗をつけるようで、アウローラが小学生がよくやっている謎のポーズを取るのを眺めながらエルピスも審判として参加する。
「勝てない勝負に挑むのは賢くないわね。力の差を教えてあげるわ」
「力勝負なら負けるけど、運なら姉さんにだって負けないよ」
「分かってないわねあんた達、経験がモノを言うのよこんなの」
「ーーあ、そうそう。公平性を出す為に手元は俺が魔法で隠します、異論は認めません。はいそこの女神二柱! 動体視力で絶対勝てると思ってたからって悲しそうな顔しないっ! ルールはしっかりと守ってもらうよ」
運による勝負が大前提な以上、少しでも種族差は埋めなければいけない。
運という要素もこの世界では操れるのだが、その点に関しては生まれつきのものなのでエルピスがどうにかすることはできない。
全員の手に認識阻害の魔法をかけ、エルピスは準備を終える。
「最初はぐー!」
「「ジャンケンポン!」」
結果としてアウローラ、ニルがチョキを、エラとセラがパーを出した事で勝負は決した。
随分とまた綺麗に分かれたものだが、なってしまったものは仕方がない。
「結果はエラとセラの負けだね」
「よっっっし!! 言い出しっぺの法則破れたりぃ!」
「あっぶなかった、僕完全にパー出そうと思ってたよ」
「そん……っな、この私が負けた? ありえない、ありえないわ」
「寝起きだから、寝起きだから負けた。まだ夢、まだ寝てる、つまりこれはない試合」
「若干二名現実逃避刊行してるんだけどこれ大丈夫かしら」
「まぁエラはともかく僕達の歳でスカートは結構きついからねぇ、姉さん相当心に来てるみたい」
確かに三十代のアウローラで悲鳴をあげているのだ、何億歳のセラからすると厳しいものなのだろう。
だがエルピスとしては勝負が決まったものに口出しする事は出来ないし、自分が見たいと言ってしまったせいでこの状況になっているのでいまさらなしとはさすがに言えない。
「エルピス、あんたなんか言ってあげなさいよ。そうすれば二人も頑張るんだから」
「急に降ったのお前だろっ、つうかスカートとかどこにあんだよ」
「あんた一着や二着くらい持ってるでしょ男なんだから」
「もってねぇよ! 人をなんだと思ってんだ」
「あんたそれでも男なの? 私はメイド、ナース、バニー、セーラー、軍服、アニコス、ボーイッシュに男の娘コスまで全部部屋にあったわよ」
「それが地球の部屋なのかこの世界の部屋なのか聞ける勇気が俺にはない」
自分が着るつもりなのか他人に着せるつもりなのか、どちらを答えられてもろくな結末が待っていないのが見えるのでエルピスはあえて触れることはしない。
だが話題に出したものが無いとなると少々困ったことになった。
どうしようかと少し頭を悩ませ、どうせ時間は有り余っているのだしとエルピスは一つの提案をする。
「それじゃあ現物もない事だしさ、今からみんなで買いに行ってそれから二人はデートに行こうよ。土精霊の国を見て回りたかったし」
「デートですか……? それならまぁ、エルピスと一緒に何処かへ行けるなら」
「そう言う事なら異論は無いわ。もちろんエラとは日を分けて二人っきりでよ」
「あの二人さらに状況がキツくなった事に気がついてないわね」
「僕らの前で見せるくらいなら良いけど街中歩くんでしょ? 絶対そっちの方が恥ずかしいと思うんだけど、まぁエルピスと行けるなら僕も確かにそっちにするかも」
「あんたは特殊すぎるのよ」
「ーー話は終わったかな?」
ある程度話がまとまった段階で空気を読んでくれていたのか、エルピスが来た扉から同じようにして鍛治神が現れる。
その隣には先ほどまで生首だった仙桜種が五体満足でしっかりと仁王立ちしており、どうやらもう身体の復活の方は終わったらしい。
「終わりました。とりあえず一、二週間くらいは時間をください、学園の方には僕から話を通しておきます」
「そう言う事ならお願いするよ。大臣達には私の方から良い含めておこう」
「ではまた後で、先に宿へ帰りますね」
「ああ、また後で」
鍛治神と軽く挨拶を終え、エルピスは土精霊の街へと向かっていく。
共和国ではいろいろ問題があってごく短い時間しか滞在できず、森霊種の国や連合国も少し見て回った程度。
ようやくまともに外国の文化に触れられるなと思いつつ、エルピスはその場を後にするのだった。
上層に上がってみればおそらくは鍛治神がわざわざ用意してくれた空間に、だらだらと寛ぐ仲間達の姿があった。
こういう時は長々と伸ばすと意味もなく話が間延びしてしまうので、エルピスはバッサリと結論を伝える。
「え……まぁとりあえずお疲れ様……なんだか順調にテンプレートを歩んでいるわね、少し飛ばし飛ばしな気もするけれど」
上体を起こしながらそう言ったのは、いつものようにセラ達と遊ぶアウローラだ。
さすがに説明が少なかったので一通りの説明をし、創生神関連の話は省きつつこれからのある程度の予定をアウローラ達に伝えていく。
話自体は数十分ほどで終わり、第一に口を開いたのはニルだ。
「神からの依頼で学園にねぇ、まぁ楽しそうだから僕的にはオッケーだね」
「僕とフェルと姉さんは国籍とか存在しないけどどうするの? アルヘオ家の紋章でもさすがに冒険者の証を持つ僕は別として、完全無国籍な二人は不味くない?」
「その点は大丈夫だ。なんてったって神が相手だからな、話聞くしかない」
神様の言う事には従うのが下種の務めである。
土精霊の神であるところの鍛治神からお願いをされてしまえば、人には断る術などあるはずもない。
もし断りでもすれば神の機嫌を損ねる上に、土精霊達からも反感を買う。
神のわがままに振り回される人物達が可哀想ではあるが、運がなかったと諦めて欲しい。
「軽くヤクザね」
「言うな、俺もぶっちゃけそう思ったけど」
義理や人情で見逃してくれるイメージのあるヤクザとは違い、神に義理人情など存在しない。
その点でいえばマフィアの方がイメージとしては近いだろうか。
道端を歩いていたらいきなり頭部をぶん殴られたようなものだ、改めてではあるが可愛そうなものである。
「それにしても学生生活か、いったい何年ぶりだろ?」
「俺はこの世界来る前は学生だったから17年ぶりかな? とにかくかなり懐かしい」
「私なんてーーぶりよ」
ーーそこはプライドがあるのか。
話の流れ的に言うかと思ったが、すんでで気がついたようでアウローラは無理やりに言葉を濁した。
「なんで隠すんだよそこ」
「わかりなさいよ乙女の気持ちを!」
「そんな事言ってしまえば、私なんて数億年どころの騒ぎじゃないわよ学生なんて」
「天使に学校なんてあるの?」
「俺も気になるな」
お化けは学校がないと言うのに、天使には学校があるのか。
死後の世界でそもそも学校が必要なのかとか、天使とはそもそもどうやって生まれてくるのかとかそう言った疑問はある。
エルピスの質問に対して答えたのは意外にもセラではなくニルであった。
「学校というよりは試験のために勉強するための場所だね、天使の昇格試験は難しいから先輩の天使達の指導を受けないといけないんだよ」
「案外死んでからも面倒なものなのね」
「その点地獄も天国も勉強する事ないからそう言った意味では楽かもね」
地獄も天使もどちらも行きたくはないが、とはいえ少し気になるところではある。
今度そう言ったことも聞いてみるのも面白いかもしれないなと思いつつ、エルピスは近くでゴロゴロしていた灰猫を手で招き寄せる。
それに対して灰猫は最初こそ疑問符を頭に浮かべていたが、何か気が付いたのかゆっくりとエルピスに近づき膝の上に座った。
灰猫が膝の上にいるとなんだか落ち着いてくるので、たまにこうしてエルピスも呼んだりしている。
「まぁその辺は後にして、それで早速向かうのかしら?」
「いや、さすがに鍛治神はああ言ってるけど、いきなり神の娘が転入なんてことになったら無茶がすぎる。一週間から二週間くらいは間を開けないと、その間にアルヘオ家の者に根回しをさせとく」
「私の方からも父さんに連絡だけはしておくわね」
根回しは大切だ。
人相手ならばそれも当然で、円滑な作業を行うためには周囲に自分達の事を認知させておくのは大切なことである。
神もそれほど早くは動かないと思われるし、そうでなくともエルピスは人類生存圏内における有効的な人物の少なさが目立つ。
少しでも多くの知り合いを増やし、こう言ってしまえばなんだが少しでも多くの手駒は増やしておきたいところなのだ。
それが今後必要になるかならないかは別として、打てる手段の可能性を少しでも上げてくれるのならばそれでエルピスからすれば十分である。
「それにしても学生生活か、良い思い出ないわね」
「なんでだ? 友達とか多そうだけど」
「そりゃ多かったわよ? 他の学校の生徒で友達って子もいっぱい居たし。ただねぇ……」
「何か気になることでも?」
「いやさ、案外、いや案外って言うほどの事ではないんだけど、卒業後って連絡取らないものなのよ。仕事忙しいしね、卒業式で泣きあった相手が気付いたら連絡帳から消えてた時は寂しかったわ」
なるほど言われてみれば、そう言う経験もアウローラの年ならばしたのだろう。
エルピスが通っていた学校は中高一貫校となっており、小学校の頃の同級生と離れはしたが、とはいえそんな昔のことは覚えていないし、それに一番仲の良かった委員長は同じく中学校受験をした。
思えば別れという別れは、未だにエルピス自身経験したことはない。
「その点で行くとエルピスはまだ高校卒業してないんだよね?」
「そうなるね。俺最終学歴中卒って事になるのかな?」
「そうなると今回のは飛び級ね、この世界で最高の学校に入れるんだしちゃらよ」
「思えば面接練習もしてたけど意味なくなったんだよな」
隙間時間だと言われてはひたすらにやらされていた面接練習も、今となってはなんの意味もない。
背筋を伸ばし規律を守り自らの長所をアピールするより、この世界なら圧倒的な力を見せつけて自分が利益になることを知らしてた方が早いからだ。
「もしかしたら私もエルピスも転生してなかったら会社で会ってたかも知れないわね」
「アウローラみたいな上司いたら休まる場所なさそうだな」
「な、失礼な! 私は部下の事ちゃんと面倒見れる良い上司だったんだからね!」
「そもそも上司だったの?」
「ん? 言ってなかったかしら。私実はそれなりに偉かったのよ、大学も出てたから出世が早いのもあったけど、なによりうちの会社実力主義だったから」
胸を張りながらそう言うアウローラを見て、確かに上司らしいといえばらしい。
王族達と共に馬車で移動していた時や教会に赴いた時などは、しっかりと大人として動いていたように思える。
エルピス自身が社会にまだ出ていないのでなんともいえないが、確かにアウローラは仕事は出来そうな雰囲気だ。
「どんな会社だったの?」
「IT系よ、その中でも私はみんながやらない仕事いっぱいやってたわ。他部署から来た仕事の山が日に日に増えてくの見ると発狂しそうになったけど」
「スーツ着てパソコン打ってるアウローラ見てみたいなぁ」
この世界にスーツなどの洋服は異世界人が作ったものしかないので、超激レアな上に値が張るしその割にデザインはしょぼいものも多い。
黒髪黒目のアウローラならばスーツもよく似合うと思うのだが、そう言うこともあって実際みようとは思うものの直ぐに実現することは少し難しい。
「いましたらただのコスプレよ……とは言っても学園に行ったら制服に着替えるわけだからそれこそコスプレなんだけど」
「いやぁ僕もさすがに制服は恥ずかしいね、初めて着るし何よりスカートって普段履かないからさ」
「そこら辺は自由だと思うけれど、どうなのかしら。私もスカートはあまり好きじゃないわ」
思えば確かに他のメンバーがスカートを履いているのは見た事がない。
短パンやジーパンのような長いズボンを着用している事がほとんどで、唯一アウローラが式典の際などにのみ着ていた服はスカートだった筈だ。
「このパーティースカート履くの誰もいないわよね、みんなズボンか短パンだし、エラはどうなの? おーい、エラ?」
「……っは! 寝てません、寝てませんよ」
「完全に船漕いでたけどねいま、エラはスカート履かないの?」
「私は履きませんね、戦闘中フリフリされたら邪魔ですし、防御面的にもちょっと……」
お洒落としての度合いが強い分どうしても戦闘には不向きになり、そうなってくるとやはりエラやセラ、ニルなんかの近接攻撃型からすればスカートは邪魔なのだろう。
それにスカートになれば表面積が増える分、服にかける魔力の量が増えてしまうのでセラやニルはまだしもエラからすると魔力効率も悪いだろう。
普段エルピス達は魔力を服に薄くかぶせることで戦闘中に服が崩れるのを防いでおり、それほど多い魔力は消費しないが常時消費型なので気づくとかなり吸われていたりする。
「学園生活か、エルピスと居るとヒマしなくて良いや、フェルはもちろん生徒として参加するでしょ?」
「ええもちろん、悪魔も何人かは人間の学園で働いているらしいですから、エルピスさんのお役に立てそうです」
「もうそろそろ……っん、そうやって肩肘張ってないで落ち着きなよ、エルピスだってグダグダ気にして無いだろうし、というより何があったかすら忘れててもおかしくないね」
「失敗は失敗ですから、何か良いところを見せたいんですよ」
「まぁ気持ちはわかるけどさ、僕だってこのパーティーに貢献できてるかって言われたら疑問だし。とりあえず僕達の間で敬語は無しにしてよ、エルピスだってそのうち無しにしろって言って来るだろうし」
「そうですか? ならお言葉に甘えて。これから改めて、よろしくお願いするよ灰猫」
人の膝の上で人が物を忘れる話をしないでほしいのだが、事実今の今まで忘れてしまっていたので何もエルピスからは言えない。
エルピス的にも気になっていたので、学園についてから徐々にいろいろな口実を使ってフィルをタメ口にするよう強制してみよう。
「なんかあの二人楽しそうね……まぁ良いわ。ちょうど良いしジャンケンで負けた人いまからスカート履いてみましょうか」
「なっ、なんでそうなるんですか。いくらアウローラの頼みとは言え嫌かな」
「私は別に良いわよ、普段履いてないから恥ずかしいけれど、負けなければ良いだけだし」
「僕はエルピスの目の保養になるだろうからどっちに転んでもおっけー!」
「確かに目の保養にはなる」
普段ズボンしか履かないみんなが、スカートを履いたらどんな反応をするのか。
男として気にならないわけがない。
「あんた最近そういうの隠さないようになってきたわね」
「隠したところでだし、それにまだまだこれでも隠してるつもり」
「僕は全部対応できるけどねっ!」
「なんだかやる流れになってきたから、私も断るわけには行かなくなりましたね。寝起きではありますが、はりきっていきますよ」
戦闘や頭脳勝負だとどうしても種族差が生まれてしまうため、何か物事を閉めるときは運による勝負をする事が暗黙のルールとなっているのだ。
今日はどうやらジャンケンで勝敗をつけるようで、アウローラが小学生がよくやっている謎のポーズを取るのを眺めながらエルピスも審判として参加する。
「勝てない勝負に挑むのは賢くないわね。力の差を教えてあげるわ」
「力勝負なら負けるけど、運なら姉さんにだって負けないよ」
「分かってないわねあんた達、経験がモノを言うのよこんなの」
「ーーあ、そうそう。公平性を出す為に手元は俺が魔法で隠します、異論は認めません。はいそこの女神二柱! 動体視力で絶対勝てると思ってたからって悲しそうな顔しないっ! ルールはしっかりと守ってもらうよ」
運による勝負が大前提な以上、少しでも種族差は埋めなければいけない。
運という要素もこの世界では操れるのだが、その点に関しては生まれつきのものなのでエルピスがどうにかすることはできない。
全員の手に認識阻害の魔法をかけ、エルピスは準備を終える。
「最初はぐー!」
「「ジャンケンポン!」」
結果としてアウローラ、ニルがチョキを、エラとセラがパーを出した事で勝負は決した。
随分とまた綺麗に分かれたものだが、なってしまったものは仕方がない。
「結果はエラとセラの負けだね」
「よっっっし!! 言い出しっぺの法則破れたりぃ!」
「あっぶなかった、僕完全にパー出そうと思ってたよ」
「そん……っな、この私が負けた? ありえない、ありえないわ」
「寝起きだから、寝起きだから負けた。まだ夢、まだ寝てる、つまりこれはない試合」
「若干二名現実逃避刊行してるんだけどこれ大丈夫かしら」
「まぁエラはともかく僕達の歳でスカートは結構きついからねぇ、姉さん相当心に来てるみたい」
確かに三十代のアウローラで悲鳴をあげているのだ、何億歳のセラからすると厳しいものなのだろう。
だがエルピスとしては勝負が決まったものに口出しする事は出来ないし、自分が見たいと言ってしまったせいでこの状況になっているのでいまさらなしとはさすがに言えない。
「エルピス、あんたなんか言ってあげなさいよ。そうすれば二人も頑張るんだから」
「急に降ったのお前だろっ、つうかスカートとかどこにあんだよ」
「あんた一着や二着くらい持ってるでしょ男なんだから」
「もってねぇよ! 人をなんだと思ってんだ」
「あんたそれでも男なの? 私はメイド、ナース、バニー、セーラー、軍服、アニコス、ボーイッシュに男の娘コスまで全部部屋にあったわよ」
「それが地球の部屋なのかこの世界の部屋なのか聞ける勇気が俺にはない」
自分が着るつもりなのか他人に着せるつもりなのか、どちらを答えられてもろくな結末が待っていないのが見えるのでエルピスはあえて触れることはしない。
だが話題に出したものが無いとなると少々困ったことになった。
どうしようかと少し頭を悩ませ、どうせ時間は有り余っているのだしとエルピスは一つの提案をする。
「それじゃあ現物もない事だしさ、今からみんなで買いに行ってそれから二人はデートに行こうよ。土精霊の国を見て回りたかったし」
「デートですか……? それならまぁ、エルピスと一緒に何処かへ行けるなら」
「そう言う事なら異論は無いわ。もちろんエラとは日を分けて二人っきりでよ」
「あの二人さらに状況がキツくなった事に気がついてないわね」
「僕らの前で見せるくらいなら良いけど街中歩くんでしょ? 絶対そっちの方が恥ずかしいと思うんだけど、まぁエルピスと行けるなら僕も確かにそっちにするかも」
「あんたは特殊すぎるのよ」
「ーー話は終わったかな?」
ある程度話がまとまった段階で空気を読んでくれていたのか、エルピスが来た扉から同じようにして鍛治神が現れる。
その隣には先ほどまで生首だった仙桜種が五体満足でしっかりと仁王立ちしており、どうやらもう身体の復活の方は終わったらしい。
「終わりました。とりあえず一、二週間くらいは時間をください、学園の方には僕から話を通しておきます」
「そう言う事ならお願いするよ。大臣達には私の方から良い含めておこう」
「ではまた後で、先に宿へ帰りますね」
「ああ、また後で」
鍛治神と軽く挨拶を終え、エルピスは土精霊の街へと向かっていく。
共和国ではいろいろ問題があってごく短い時間しか滞在できず、森霊種の国や連合国も少し見て回った程度。
ようやくまともに外国の文化に触れられるなと思いつつ、エルピスはその場を後にするのだった。
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これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
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不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
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俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
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僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
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召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
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勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
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そんな中、この五歳児が得たスキルは
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もはや文字ですら無かった
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