クラス転移で神様に?

空見 大

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青年期

密偵

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 密偵ーーそれは相手から情報を奪い事前に仲間に知らせる事で、味方の損害を減らし相手の損害を増やす事を目的とした兵科であり、戦闘では無くてはならない重要な人員だ。
 王国にももちろん偵察用の部隊はいくつか存在し、今回も航空写真などで活躍してくれているが地上からの偵察班の進捗は芳しくない。
 今回戦う相手は人間では無く魔物や亜人ーーそれも性獣と呼ばれ忌み嫌われる程の魔物や亜人ーーなので、人間の気配には特に敏感。
 もし軽装で密偵している人物が発見でもされたら、それはもう薄い本みたいな感じになる事間違いない。
 そこで一旦指揮系統を遥希に渡したエルピスは、性別という概念がない自分、圧倒的な力を持ち万が一でも逃げることが可能なニルとセラを連れて被害のあった村周辺を歩いていた。
 夜の帳が下りているため辺りの暗さは前回来た時の比ではないが、エルピスの目は暗闇に対しての耐性があるので視界には何ら問題はない。

「夕方来た時も思ったけど、アルさんの話とは違って野生動物が落ち着いてるな」
「確かにそうね。いくら人卵植インセクト粘触種テンタクルは人間以外の生物に興味が無いとは言え、性濁豚オークは動物が好みだったはずだけれど」
「その件に関してはもう僕の方で調べは付けてあるよ」

 破壊された村の貯蔵されていた物資を食べている小動物などを眺めながらそう呟くと、近くの木の上からひょっこりと現れたニルが尻尾をゆらゆらと揺らしながらそう答えた。
 普段は耳や尻尾を隠しているニルだが、この間聞いた話では索敵範囲を広げるには尻尾や耳を出している方がやりやすいらしい。
 特殊技能ユニークスキルの効果は認識によって大きく変化するのでそれに関係しているのだろうが、こうしてぴょこぴょこと耳や尻尾を動かす姿はなんとも愛くるしいモノである。

「どうやら先日の戦闘以降では性濁豚オークの姿は確認されていない様だね。足跡とかも探ってきたけど性濁豚の足跡は見受けられなかったよ。他の魔物や亜人種もちらほら居たけど一番多いのは人卵植かな」
「ありがとうニル。そうなってくると性濁豚達は一旦体勢を立て直す為に引かせたのかな?」
「これくらいどうって事無いよ、隠密と情報収集は結構得意だからね。そうなってくると大規模攻勢もそのうち来そうな雰囲気ではあるね」

 アルキゴスから得ている情報のみで判断してもいいのであれば、今回の亜人種混合部隊の中核を担っているのは性濁豚達のようである。
 歩兵として十分な行動を行えだけの知性と力を有している性濁豚は、人間が指示を出すのであればその他の魔物に比べれば余程楽なことだろう。
 ニルが可能性を示唆した大規模攻勢はほぼ確実に訪れるであろう未来であり、その事を考えると出来るだけ先に敵の本拠地を潰しておきたい気持ちはある。
 そこまで考えてふとエルピスはもう一つ考えておかなければいけないことがあったと思い出した。

「そう言えばセラ、今回の件って基本的に西側が発端になっているけど、ここら辺ってどんな亜人種が居たっけ?」
「そうね……確か海なら海老種レギオン深海種アクアス、あと海麗種マーメイド。陸は性濁豚オーク緑鬼種ゴブリンが主ね。空は天死種クレーベ天戒種シュヴァン辺りかしら。天戒種だけはもし戦争になるなら警戒する必要があるわね」

 天戒種とは王国が唯一即時壊滅する可能性のある危機である上位種族達であり、王国の領土の遥か上空にある雲の上に住んでいるという話だけはエルピスも聞いていたがどつやら本当だったらしい。
 上位種が今回の戦争に参加してくるとなれば、エルピスも自らの身の危険性を考慮に入れなければいけない程には上位種は危ない種族である。
 それにしてもこの近域だけで7種族とは少々多すぎやしないだろうか。
 そう思ったエルピスは漏らすようにしてそのまま言葉を外に出す。

「ちょっと多過ぎないか。そのうち詳しく知ってるの三つだけなんだけど」
「まぁいろんな種族を取り敢えずで作ったのは、貴方創生神なんだから。我慢するしかないんじゃない?」
「そーだそーだ」
「うっ、それを言われると悪いわけじゃないのに悪い気がしてくるからバツが悪い」

 そう言われると自分に非があるわけでも無いのにぐうの音も出なくなるのは、実際にエルピスも色々な生き物を生み出せるとなったら絶対に同じ事をするという確証があるからだろう。
 聴きたかった事はおおよそ聞けたので、まぁそれ程気にしなくても良いかーーそう思って居たエルピスの頬を不意にニルの尻尾が撫でなんとなくでニル方を見ると、不思議そうな顔をしながら疑問を口にする。

「ところでどうして他の亜人種の事を聞いたんだい?」
「最悪の場合他の種族が参入してくる可能性があるからだよ。性濁豚オークは性欲で動く生き物だから、そこに恐怖心は無い。だから他の種族でも平気で襲い掛かるってのは知ってるよね?」
「もちろん。この二年間姉さんにいろいろと話聞いて、あらかた種族の特徴とかは覚えてるからね」
「さすがだね。それで話を続けると、例えばーー無いとは思うけど海麗種マーメイドをオークが捉えて無理やり苗床とした場合、海麗種マーメイドがそれに対して怒る可能性は、充分高い訳でしょ? 
そうなると性濁豚オーク海麗種マーメイドが全面戦争をする可能性があるんだよ」

 魔法を使って手の上に性濁豚オーク海麗種マーメイドを魔法で再現させながら、エルピスは出来るだけ分かりやすく説明する。
 だがそれによって新たな疑問が生じたのか、ニルは純粋な表情を浮かべながらエルピスに対して疑問を投げかける。

「全面戦争するなら、勝手にさせておけば良いんじゃ無い?」

 至って真面目そうな顔をしながらそう言うのは、種族が故の価値観の差異だろう。
 ニルからすれば他の種族がどうなろうとどうでもよくて、だからこその言葉であるのは理解できる。
 エルピスもぶっちゃけて言えば二つの種族が争う分にはどうでも良いが、世の中層都合よくは物事も運んでくれないのだ。

「それがそうも簡単には行かないんだよ。何故なら人類種ヴェークは海産物を得る時に海麗種マーメイド海老種レギオン達に魚を取る事を許可して貰っている立場で、そんな俺達が性濁豚オーク達を野放しにすればこの先海産物を取らせてもらえなくなる可能性がある。
 だから人に被害が出ない内にということもあるけれどできるだけ早く殲滅しておきたいところだね」

 今の王国は備蓄も充分で民にも不満はそれほど溜まっても居ないし、軍も一切の損害なしでいつでも動ける様になっている。
 もしこれが性濁豚ではなく人ならば急ぐ必要も無いので、数ヶ月程かけてすり潰す様にして攻撃を仕掛ければ良いのだが、敵が性濁豚だとそんな理由で話が変わってくるのだ。

「なるほど、そう言う事だったんだね。そうなると確かに早めに絶滅させておいた方がよさそうだね」
「絶滅は言い過ぎだけどまあそういうことだね。早く倒すに越したことは――っと、どうやら来たみたいだね。セラ、敵影見える?」
「転移魔法ね、位置は見えているわ。数は40、武装も整っているしどうやらやる気のようね」
「とりあえず近くまで寄ろうか」

 〈神域〉の範囲内に入った敵の方角を見ながら、エルピスはセラに状況の確認を行うと足早に性濁豚達のいる方へと進んでいく。
 夜の闇に紛れて行軍することはどこの軍も使用する方法ではあるが、亜人種は夜目が効く者も多いので行軍速度は昼間のそれと変わらないだろう。
 森の奥深く襲撃地点から距離にして数キロの森の中に突如として現れた性濁豚達の近くまで寄っていくと、エルピス達は近くにある木に体を隠して性濁豚達の様子をうかがう。
 闇夜に見ればその影は人そのものであるが、特徴的な緑色の肌に下あごからにょっきりと生えた大きな歯、少し遠くにいるというのに漂ってくるいやな臭いは確実に性濁豚の物である。

「誰だったかしら性濁豚の見た目を作ったのは。全く趣味が悪いわね」
「いや、まぁ分からなくは無いけどさ……そこまでバッスリ言っちゃうと可哀想に見えて来るなぁ」
「確かそういう風に見えるように作られてるんじゃなかったかな。嫌悪感を増すようにして作ったってこの間ローム君が言ってたよ」

 意外なことに情報共有を行っているらしいニルとロームの会話に気になる心を押さえつけて、性濁豚は何か今回の事件において必要な情報を得られないかとよく観察してみる。
 まず最初に目についたのは腕に括りつけられた色付きの布だ。
 赤色や青色、付けていないものなんかもいるが指揮系統を把握する上で必要な情報にはなりそうである。
 次に瞳の色だが性濁豚は見た目ではなく目に母親の遺伝子が現れるとい不思議な特徴があり、じっくりと目を凝らしてみてみれば綺麗な赤色の目がついていた。
 赤色の性濁豚は確か帝国南部だったかそのあたりの性濁豚によくみられる特徴であったはずだ。
 帝国からやってきた刺客が用意したものなのかそれともそれを偽装しようとしているのか、はたまた何も関係ないのか。
 さすがにまだこれくらいしか把握できないが、これくらいでも知れればほんの少しは対策を立てれれるようになるかもしれない。

「hjgaihrihliaknhgkaniphoajopdgeo@g?」
「hsbxnxhakz」
「ffhgzthczrhbc」

 判断した内容をメモに書き記していると、性濁豚達がそんな事を口にする。
 会話の内容を聞くことができたのであればもう少し情報を収集できたのだが、そこまで都合良くは事も運ばない様で、性濁豚オークだけが喋る言語はエルピスにも理解不能だった。
 法則性は有るのだろうが、そもそも今この場でそれを解明するのは不可能に近く、どうしようかと頭を悩ませていると隣にいたセラが口を開く。

「どうやら此処から少し南西の方向に、彼等の本拠地がある様ね。最初の少し疑問系の言葉は人間で言う所の『いまから何処に攻めるのか』というところかしら」
「さすがセラ。南西……そうなると村や街が無いし隠れるのに最適なこの森辺りかな。性濁豚オーク達は何処に行こうとしてるの?」
「ええっーと……少し待って」

 今もまだ喋り続けている性濁豚オーク達の言葉を聞きながら、セラはエルピスが出した地図の上に指を這わせる。
 性濁豚達の間でも情報が混線しているのかのらりくらりと動いていくセラの指は、川を見つけるとそれに沿うようにして下っていきその道中にある村に印をつける。
 既に非難が完了した村しか狙われていないので人的被害はないだろうが、村が破壊されるというのはあまり見過ごすことのできない被害だ。
 それからセラが少し離れたところに一際大きな印を作る。

「威力偵察が目的のようね。川沿いの村の破壊が彼らの目的でここが本拠地の正確な場所よ。数は未だ未知数だけれどそれなりの数はいそうね」
「場所も分かったのは大きいね。取り敢えずは王都に帰って王様に報告する?」
「うーん、つぶせるところがあるなら早めに潰しておきたいところかな」
「なら僕が報告に行って来るから二人で偵察してきたらいいんじゃないかな? 僕も後から追いかけて合流するからさ」
「了解。じゃあそれでいこっか」
「気を付けてね」

 それだけ言うと転移魔法を使用して王都へと飛んで行ったニルを見送り、エルピス達は敵の本拠地があるであろう場所へと向けて移動を開始する。
 距離もそれほど遠くはない、この分では朝焼けが上がるよりは早く終わることができそうだ。
 権能の調子を確認しながら足早に二人の影が夜の森を駆け抜けていくのだった。
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