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7話
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アイザックとアイリスはこのロベ村でともに育ってきた。
アイザックとアイリスの両親はそれぞれ亡くなっている。
両親は村の外の人間で、二人が赤ん坊のときにロベ村にある森で魔物に襲われた。
二人はそれぞれかごの中で、さらに茂みに隠されていたため、魔物に襲われずにすんだ。
そこを見つけたのは、森に定期的に魔物退治に来ている村長であった。
村長は、独身で子供がいないにも関わず、二人を育てた。
しかし、男一人で育て上げるのは一苦労ではあったので、村全員で育て上げた。
しばらく、子供が生まれてこなかったこともあったので、アイザックもアイリスもみんなに愛されてきた。
なので、二人は幼なじみだけでなく、きょうだいで家族であった。
その生活もしばらくして変わる。
村長が40代半ばになってから、結婚したのである。
相手は二人も世話になった村の女性で、村長の長年の片思い相手であった。
村長と二人が暮らしていた家は広くて、村長と結婚相手と二人が暮らしていくこともできたが、新婚の邪魔をするのは憚れた。
そのため、子どもの頃から秘密基地としていた森の中の山小屋で二人で暮らすことを決めたのだった。
親元から離れたとしても生活は変わらなかった。
森で大人たちと魔物狩りをしたり、農作業を手伝ったり。
そんな日常も一変してしまう出来事があった。
魔物狩りのさなか、アイザックもアイリスも森の中を彷徨ってしまったのだった。
子供のときから遊び場だったはずだったので、初めてのことに戸惑いを隠せない。
しかし、すぐに森の外れに出ることができた。
まだ日中、陽の出ている時間であった。
森の中に戻ればまた暗いが、かろうじて見える太陽を方角の手がかりにしようと考えたのだった。
日暮れる前に森へ戻ろうとする。
「あれ、何だろう?」
アイリスは崖の下で何かきらりと輝いているものが見えた気がした。
崖の下がどうなっているのか分からないので、そーっと慎重に見下ろす。
そこには塚の中に剣が埋まっているのが見えた。
「何でこんなところに剣が」
「これ売ることができたら、お父さんたちに何か贈れるかな」
というアイリスの一言で剣を取ることにした。
塚のある岩盤に慎重に降りることができた。
岩盤は脆くなく、落ち着いて立つことができた。
アイザックが持ち手をつかみ、ぐいぐいと引っ張るが、びくともしない。
「アイちゃん、これすごく固いよ」
「私も手伝うね」
アイリスも一緒に持ち手をつかむ。
ともにぐいぐい動かしていくと、その剣はすぽっと抜けた。
明るい日中ではあったが、剣が光ったようにも見えた。
「何だったんだ、今の?」
「私も分からない」
疑問を感じた二人であったが、夕方になり本格的に遭難してしまう前に村へと戻っていった。
アイザックとアイリスの両親はそれぞれ亡くなっている。
両親は村の外の人間で、二人が赤ん坊のときにロベ村にある森で魔物に襲われた。
二人はそれぞれかごの中で、さらに茂みに隠されていたため、魔物に襲われずにすんだ。
そこを見つけたのは、森に定期的に魔物退治に来ている村長であった。
村長は、独身で子供がいないにも関わず、二人を育てた。
しかし、男一人で育て上げるのは一苦労ではあったので、村全員で育て上げた。
しばらく、子供が生まれてこなかったこともあったので、アイザックもアイリスもみんなに愛されてきた。
なので、二人は幼なじみだけでなく、きょうだいで家族であった。
その生活もしばらくして変わる。
村長が40代半ばになってから、結婚したのである。
相手は二人も世話になった村の女性で、村長の長年の片思い相手であった。
村長と二人が暮らしていた家は広くて、村長と結婚相手と二人が暮らしていくこともできたが、新婚の邪魔をするのは憚れた。
そのため、子どもの頃から秘密基地としていた森の中の山小屋で二人で暮らすことを決めたのだった。
親元から離れたとしても生活は変わらなかった。
森で大人たちと魔物狩りをしたり、農作業を手伝ったり。
そんな日常も一変してしまう出来事があった。
魔物狩りのさなか、アイザックもアイリスも森の中を彷徨ってしまったのだった。
子供のときから遊び場だったはずだったので、初めてのことに戸惑いを隠せない。
しかし、すぐに森の外れに出ることができた。
まだ日中、陽の出ている時間であった。
森の中に戻ればまた暗いが、かろうじて見える太陽を方角の手がかりにしようと考えたのだった。
日暮れる前に森へ戻ろうとする。
「あれ、何だろう?」
アイリスは崖の下で何かきらりと輝いているものが見えた気がした。
崖の下がどうなっているのか分からないので、そーっと慎重に見下ろす。
そこには塚の中に剣が埋まっているのが見えた。
「何でこんなところに剣が」
「これ売ることができたら、お父さんたちに何か贈れるかな」
というアイリスの一言で剣を取ることにした。
塚のある岩盤に慎重に降りることができた。
岩盤は脆くなく、落ち着いて立つことができた。
アイザックが持ち手をつかみ、ぐいぐいと引っ張るが、びくともしない。
「アイちゃん、これすごく固いよ」
「私も手伝うね」
アイリスも一緒に持ち手をつかむ。
ともにぐいぐい動かしていくと、その剣はすぽっと抜けた。
明るい日中ではあったが、剣が光ったようにも見えた。
「何だったんだ、今の?」
「私も分からない」
疑問を感じた二人であったが、夕方になり本格的に遭難してしまう前に村へと戻っていった。
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