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2話

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 「ジーク、どういうつもりだ!」
一度は落ち着いて座っていたスコルも再び立ち上がり、ジークの胸ぐらをつかみかかる。
「スコル、落ち着いて!」
「ジークもだよ!何でそんなこと言うの!」
アイザックはスコルの肩を押さえつけなだめ、ライリーはジークを咎める。
「だーかーらー、今までのこいつの役立たずぶり忘れたのかよ!こいつは足手まといなんだよ!」
「さすがに必要以上にアイを貶めるなら、私も止めるわよ」
今まで黙って、見守っていたガーネットが口を開く。
「なんだよ。全くしゃべらないから、ガーネットは俺の味方だと思ったのに」
「これ以上このパーティーの空気が悪くなるのが嫌だったのよ。もう、手遅れかもしれないけど」
「ごめん!」
アイザックが立ち上がる。
「わ、僕のせいだよね。もう、魔王を倒したのに、まだみんなといたいなんて思ったから。もう勇者の仕事終わったのに。勇者の力が無くなりかけていたのに」
アイザックは酒場を走り去ってしまう。
「主!」
スコルは、アイザックの後を追いかけようとするが、ガーネットは首を振り、裾をつかまれ、止められる。
「ちっ。この空気じゃ、酒がまずくなる。宿の部屋に戻るぜ」
ジークも酒場を出ていってしまった。
「2人とも一度1人でゆっくり考える時間が必要だと思う。きっとジークの考えは変わることはなさそうだけど」
ガーネットは2人が出ていった入口を寂しそうに見つめていた。
「じゃあ、これからの話をしましょうか」
3人だけになったテーブルで、それぞれしっかり目を見て向かい合っている。
「ジークの言い方は悪いけど、アイちゃんが勇者をやめるのは私は賛成なの」
「ガーネット、何で!」
「ジークやアイちゃん自身も言っていったでしょう。戦闘力が下がってきているからよ。数値は変わらないように思えたけど、魔物に敵わなくなっているのは事実」
「だから、俺がサポートすればいいと言っているだろう」
「仲間を大切にするのは私だって、素敵だと思うの。でも、もし間に合わなくて、アイちゃんが命を落としたら?かばうときも、スコルが命を落とすこともあると思う。そんなことになったら、私は耐えられないと思う」
そんなことになったら、とライリーもスコルも頭に浮かんだ。
「主が死ぬことなど考えたくもない」
ぐっと苦しそうな顔になる。
「みんなそれは同じよ。アイちゃんだって、自分をかばって、スコルが亡くなったら、ひどく後悔すると思う。この辺りが潮時なのよ」
アイザックの脱退を納得してしまい、落ち込んで顔を下げる。
「そして、アイちゃんが勇者をやめたら、私もこのパーティーを抜けるつもりよ。アイちゃんがいないなら、ここにいる意味はないもの」
「そうだな。主がいたから、俺もこのパーティーに入ったんだ」
「これでみんなお別れなんだね」
ライリーは寂しげに目を伏せる。
「ジークのアイちゃんに対する態度はもう変わりそうにないからね。親友同士だった彼らがいがみ合うのも見たくないのよ」
この日を境に勇者パーティーは解散した。
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