contract~契約~

東雲皓月

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beginning

一話∮不思議な夢

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 ───時々、おかしな【夢】をみる──


 それは、僕達の現代の世界ではなくて…。

 木や山だけを見たら同じ世界のようで、

 でも確かに違う【モノ】が存在している世界。










『─ああ、愛しい我が君─』










 時々見る夢には、いつも黒い靄がかかった【何か】に話しかけられて…。










『─必ず、お迎えにあがります─』










 男の声のようで少し不気味で不思議な声は、同じ台詞を言ってくる。

 けれど、その後は必ず…。










『貴様には渡さぬ』










 また違う靄のかかった男の声がそれに言うのだ。










『俺の主は一人だけだ』










 会った事もないその声は、何故か僕の心を安心させる。










『─もうすぐ、もうすぐで─』










 最初の声が、そう言葉にした時。

 靄がかかっている筈なのに。

 何故か口元が笑ったのを【見た】気がして…。










 ───そこでいつも目を覚ます───










 けれど、目覚めた僕の記憶には、

 なにも残ってなどいない…。



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