幽霊の恋人

柚木 かつお

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花火大会④(後編)

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少し走った先に、お墓が見えた。

‥まさかここに隠れ…??

「ついた。」

「ここ‥?」

「うん。着いてきて。」

そう言ってレイはスタスタと霊園を歩いて周り、ある墓の前で立ち止まった。

「‥ここもお祭り会場なの?」

「そうだよ」

墓には、あずま家と彫られていた。

…誰の!???

「これ、誰の墓?」

「誰だと思う?」

「…」

だ‥誰の.....???

分かるのかいっ!?レイっ

「正解は、」

レイがそう言いかけた時、近くの草むらがガサッっと鳴った。

「誰だ」

「…」

草は動かない。

「オマエをタオシニキタモノだ」

「‥」

そう言って草むらから出てきたのは、鬼のお面を付けた者だった。

「…サチ!!」

....????

サチ‥が鬼?

すると急に誰かに手を掴まれた。

「‥!!」

叫ぼうとすると、口を塞がれた。

「‥だめ。今はじっとしといて」

サチじゃん!!

じゃあ鬼はだれ‥?

「任せた☆」

「うん」

レイとサチの話声が聞こえたあと、瞼が重くなって‥

…睡魔ぁ!!今大事なところなんだからっ!こらっ!

「あ、君は寝といてね。」

そう言われて、安心して眠ってしまった....





「目、覚めた?麗さん」

「ん?‥!!サチー!」

「はーい」

「あ‥呼んではいないけど…ってか‥ここどこ?」

「会場の入口ー」

「え」

「レイは、もう少しで来るから、僕と帰っとこ。」

「え‥でも…」

「大丈夫!家に着く頃にはレイ、帰ってるから!」

「う‥うん....」

後ろを見ると、提灯の潜りなんて、全く見当たらなかった。

あんなに多かった人混みも、無く。人っ子一人いない。

「ない‥」

「ああ、祭りは‥もう戻れないから…」

サチが意味不明なことを言った。

「あれは、なくなった人たちの祭り。ホントの祭りは明日だよ」

「え‥じゃあ」

「さっきのは、多分レイのための祭り。あいつ‥今日が命日だから‥ね」

「さっき、レイのお墓見たでしょ?」

「え?あれ、レイのだったの!??」

「そーだよ?」

「鬼ごっこも、人間が混じってたから‥麗さん捕まえるために☆」

‥なんかサチ、怖いこと言ってない!?

「早く帰ろ。今鬼に会ったら、僕麗さん置いて逃げるよ?」

「いやーっ!!」

「じゃあ帰ろっかー」

「うん」

レイのことを心配しながら帰ったが、ちゃんとレイはいた。

…しかも私のせんべい食べてた!!!許せん....




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