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ホンモノと複製

ちょっとひとやすみ

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―――異次元空間アリスのお部屋―――

「……ズズズ」
「……ズズズズ」

お茶をすするアリスときりん。

「――あの時のぉ、もしわしが禁忌を犯さなければ、きっとハルトはもうこの世界にいなかったのじゃよ。でも、それはそれで自然の摂理と割り切るべきだったのかもしれんのぉ……」
「いいえ、アリス様は間違ってはいませんよ。私は皆さんと出会えた事を誇りに思いますよ」
「そうかのぉ……うむ。前にも話したがハルトは1人だけではない。ハルト本人も既に複製されておるしな」
「ご主人様以外に複製は何人おられるのですか?」
「少なくとも他に3人はいるはずじゃ」
「3人ですか。別世界にですか?」
「どうじゃろうの。じゃが1人は過去に魔王を名乗り同じ世界線を生きておった。名前は……ナツト・チガ。あれはわしの過ちじゃ。あの時……」

ザァァァ……

THE複製ザコピー!!」
「……雑魚……ぴぃ?はは、アリスはゲームばかりし……て……」
 男の子は一度、交通事故で死にました。だけど、禁忌の法により生き返りました。まわりの人達は、男の子が死んだことに気付きませんでした。複製はあくまで複製です。男の子は記憶を失いました』

ザァァァ……

「……あの時、人間に複製を初めて使用した。未熟ゆえ、4回目でようやく成功したのじゃ」
「残りの失敗した複製体は死んでしまったのでは?」
「肉体はな。しかし魂は生きておった……と思う。かなり後で知ったのじゃがな」
「その魂が別の人に転生した可能性があると言う事ですか?」
「おそらく……な」

天井を仰ぎ、お茶をすする2人。

「1人は先程話したナツト。わしの実の妹、月子の手によってに生かされておった。昔1度だけじゃが会った事がある」
「そうだったんですね。ナツトさんはネプチンのお城でお亡くなりになられてましたね……。お会いできなくて残念です。その妹さんの月子様はどちらに?」
「どこにおるんじゃろうのぉ。数百年、連絡を取っておらぬからのぉ」
「あらあらまぁまぁ。それは心配ですね」

カチャリ……

「……ズズズ」
「……ズズズズ」
「さて、分体を出してハルトの様子を見てくるかの」
「はい、アリス様。いってらっしゃいませ。あっ、片付けしますのでそのままで」

 こうして僕達は新たな試練に立ち向かうのであった。

―――第一部・完―――


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