異世界ざこぴぃ冒険たん

ざこぴぃ。

文字の大きさ
上 下
28 / 113
神の子と魔法陣

第27話・紋章と五芒星

しおりを挟む

―――中央都市コリータ26日目―――

 僕とアリスとプリンは宝物庫へと向かっていた。暗黒龍……いや、邪神トカゲネビュラの住処から回収した宝物に紋章がないか調べるためだ。

「アリス、紋章ってそもそも何だ?」
「うむ、わしが持っていた神器じゃよ。あらゆる邪気から身を守ってくれる」
「そうなのか。でも邪神って言うくらいだから、紋章持ってたらトカゲは自分の家に帰れないよな?」
「しっしっし!そうじゃな。今回は期待が薄いかもしれぬな」

 僕達は宝物庫を開けた。そこにはたくさんの黄金や武器、金貨が積み上げられている。そして一番見えやすい場所に紋章があった。

「あったぞ!これじゃっ!」
「あるんかーい!」

 邪神は家に入れないじゃないか。アリスは紋章を首にかける。すぅぅぅと薄い光の壁が辺りに広がる。

「うむ。ちょっと力が弱まってはおる様じゃが……うむ、いけそうじゃ。ハルト、この紋章に触れて魔力を送ってくれ」
「こうか?」

僕は他のお宝を見ながら紋章に触れる。

「へぇ、紋章ってやわらかいんだな……おっ、この剣は良さそうだな……後は……」
「えっ!?」
「……ん?やわらかい?」
「ハルト……貴様、乙女の胸を堂々と揉むとはいい度胸じゃな!!」
「え?ちょっと待てよっ!誤解だ!」

ゴゴゴゴゴゴ……!?
ゴツンッ!!

「カハッ……」

手加減のないグーパンが顔面に入る。どんまい、僕。

「ねぇさま!私も触ったことないのに!ハルトだけずるいですわっ!」
「ちょ!やめんか!プリン!あぁれぇー!」

 キャーキャー言う2人をよそに僕は宝物の物色を続ける。

「これとあれとそれと……。アリスさんや、お楽しみの所悪いんだが、この宝物を皆に分配しても良いか」
「それはハルトのもんじゃ。好きにせい。わしは紋章以外に興味はない」
「わかった。ちょっとマリンを呼んで来る」

 そしてマリンと打ち合わせし、後日お宝を皆で分配することにした。

―――中央都市コリータ27日目―――

 国作りは順調に進んでいた。あの砂漠だった場所がすっかり様変わりした。
 今日はギルの部下ジルを中心に、城の南西部外壁内への樹木や農地の区画割りを行う。ジルは元農家の出らしい。
 アリスたちは東側に丘を作り、エルが果物の木を植えることになった。丘には洞窟も作り、洞窟を好む亜人族がいても大丈夫な様にと追加した。
 この外壁内の魔物はすべて狩ってある。そして今後、この国内での狩りや殺しは一切禁止とした。

「主様、おはようございます。今日もいい天気ですなぁ」
「ゲンゴロウさん、おはようございます。今日はお休みですか?」

 竜族の族長ゲンゴロウ。町の噴水前でベンチに腰かけている。

「ゲンゴロウさん。飛龍、いや、リンのおじいさんの行方はわかりましたか?」
「いいえ、あの一件以来どこへ行ってしまったんだか。引き続き探させます。ところでドワーフの集落より昨夜連絡があり、近々こちらへお伺いしたいと言っておりました」
「ほんとですか!助かります!是非!」

 飛龍はプリンが一度見かけている。そして邪神トカゲネビュラに操られてる竜族の中にもいなかった。どこに行ってしまったんだろう。飛龍は引き続き捜索してもらうとして、ドワーフ族との接触が先となった。マリアの像の件もあるし妥当だろう。

「ゲンゴロウさん、明日城に来てもらえますか。また案内役を行かせます」
「わかりました。わしもドワーフの話をまとめておきます」

 ゲンゴロウさんと別れ、町を見て回る。そして僕はガッコウから城下町を眺めていた。
 魔導学校、製錬学校、剣術学校、農業学校も欲しいな。見張り台内を改築してみるか。後はこの国の名物になる物、そして外の国に売れる物も欲しい。

「何をブツブツ言っておるのじゃ?クチャクチャ」

イカをほおばりながらアリスが来た。

「いや、この城を発展させるためのアイデアをね、色々と考えてた」
「うむ。ハルトにはまだ五芒星の話はしてなかったな」
「五芒星?」
「この中央都市を中心に北、東、西、南東、南西、そしてここ中央の6箇所に神の血を持つものを置きこの紋章を使うとじゃな、大結界が張れるのじゃ」
「へぇ、そうなんだ」
「ゼシカを西、東にはエル、南にはリン、中央はメリダの子で良いと思うておる」
「ふぅん、そうなんだ……」
「お主の子の話じゃぞ?」
「へぇ……え?なんつった?」
「わしは!最初から!6人の神の血を引く子を!お主に作らせるのが目・的・じゃ!」
「あぁ、そう言えばそうだったなぁ……」

完全に忘れていた。

「ねぇさま~♪なにしてるの~お茶しましょうよ~♪ルンルン~♪」

あぁ……お花畑が近づいてくる。

「そもそもじゃ!お主はメリダと!その……あの……チュ……チュウをしたではないか!もう子供は産まれるんじゃないのか!えぇ!まだなのか!おいっ!」
「え……?アリス、見てたの……」
「ねぇさまっ!楽しいお話してるのね!ちょっとお耳をいいかしら!」

 何やらゴニョゴニョとアリスの耳元でささやくプリン。急に顔が赤くなっていくアリス。

「そっ!?そんな事をしないと子供は出来ぬのか!チュ、チュウをしたら天から授かると!教典書いてあっ……あわわわ……」

卒倒しそうなアリスをプリンが支える。

「よいしょっと。ねぇさまいくつになってもかわいいのね!さっ!お茶にしましょう!」

 手を引かれ、なぜか僕もお茶会に連れていかれる。たぶんあれだ……メリダとの事を色々と聞かれる。最悪だ……。
 僕は頭のスイッチを現実逃避モードに切り替えた……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...