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“死“
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不意に高層ビルから飛び降りたらどうなるんだろうと眺めてみたり、首を絞めたらどうなるんだろうと自分の首を絞めてみたりする。
もちろん結果は分かり切っている。
そのさきに待っているのは紛れもない“死“のみだ。
そうとはわかっていながらも今日も私は自分の首を暗い部屋の中で締める。
“死“
この世との別れのことであり、この世の全ての厄介ごとを解決してくれる。
神が与えてくれた最後の砦だ。
そして
人間が最も単調な思考になった時に浮かぶ最も単調な解決方法である。
人はそれに恐れ、悲しみ、時には喜ぶ。
まあ、喜ぶのは非常にレアケース限られるのだが。
これが私の考え方だ。
そしてそれと同時にもう1人の自分が顔を出し、こう言う
『死というものはもっと辛い現実に立ち向かっている人の最終手段でなくてはならない。』
私はそう思うのだ。
昔、何かで倒れて救急車で病院に搬送されたことがある。
その時に私は無意識にこう言っていたらしい。
『誰か私を殺して地獄に連れて行って』
きっと、無意識のうちに私みたいな人は地獄に行って当然と思っていたのだろう。
死後の世界に待っているのはただ暗闇のみなのに
昔、ある人が死んだ。
自殺だった。
その遺体を見たときに私は本当に死んでいるのかと思ってしまった。
白装束を見に纏い、化粧をして横になっている姿はまるで眠っているようだった。
だがしかし、女の勘といえば良いのだろうか。
化粧の下はかなり青く染まっていることを直感で理解した。
その時に思った。
死というものは周りの人が死を認めて初めて死になりうるのだと。
周囲の人たちは何事もないように自分たちの周りを通り過ぎていく。
きっとそこからなのだろう。
死がこの世で最も美しいと思ってしまうようになったのは。
私の人生の目標はただ一つ。
『30歳でこの世を去る』
それまでに後悔の残らないように生きよう。
これはそんな私が自分の中にたくさんある小さな結び目を解く記録。
ある日の昼下がり、ふとお金をたくさん稼ぎたいと思った。
それはきっと自分がこの世にいたいと思っているという証拠なのだろう。
死ぬためにお金はかからない。
強いていえば首吊りのための紐代とか、誰にも見つからずに死ぬための片道分の旅費のみだ。
そして私はその欲望のままに仕事を始めた。
それは男性に体を売る仕事。
その仕事は楽だった。
どんな時でも文句を言わず横になって適度に自我を持ちつつ横になっていればお金を稼ぐことができる。
私はその職場で生きにくさと立ち向かうことになった。
きっかけはある1人のボーイだった。
その人に私はこう言われた。
『これから社会に出たら理不尽なことがいっぱい待っている。その中には今の君のように自我を押し殺して為されるがままにしていればどうにかなることもたくさんある。けれどもそのなかのほんの一部かもしれないが自分の意見を言わなければならないものもある。』
『君にはその時に自分の意見を言えるような人になってほしい。実際今、君は男性にされるがままにしてお金を稼いでいるだろう?』
私はそう言われた時、人生の核心を築かれたような気がした。
その瞬間に自分の幼い時の記憶が顔を出す。
今まで自分を守るために心の奥にしまっていたはるか昔の記憶。
その記憶の中で私は自分に意見を素直に言っていた。
そしてそれと同時にもう一つの記憶も顔を出す。
自分の意見を否定され続けた学校生活。
私はこれまで中学校生活までの記憶がなかったのだ。
15歳までの私はたくさんの人たちに自分のことを否定され続けて生きていたのだ。
その一瞬の走馬灯のようなものに私は恐怖を感じた。
自分がその出来事から目を背け続けていたという事実に夏とは思えないほどの鳥肌がたった。
もちろん結果は分かり切っている。
そのさきに待っているのは紛れもない“死“のみだ。
そうとはわかっていながらも今日も私は自分の首を暗い部屋の中で締める。
“死“
この世との別れのことであり、この世の全ての厄介ごとを解決してくれる。
神が与えてくれた最後の砦だ。
そして
人間が最も単調な思考になった時に浮かぶ最も単調な解決方法である。
人はそれに恐れ、悲しみ、時には喜ぶ。
まあ、喜ぶのは非常にレアケース限られるのだが。
これが私の考え方だ。
そしてそれと同時にもう1人の自分が顔を出し、こう言う
『死というものはもっと辛い現実に立ち向かっている人の最終手段でなくてはならない。』
私はそう思うのだ。
昔、何かで倒れて救急車で病院に搬送されたことがある。
その時に私は無意識にこう言っていたらしい。
『誰か私を殺して地獄に連れて行って』
きっと、無意識のうちに私みたいな人は地獄に行って当然と思っていたのだろう。
死後の世界に待っているのはただ暗闇のみなのに
昔、ある人が死んだ。
自殺だった。
その遺体を見たときに私は本当に死んでいるのかと思ってしまった。
白装束を見に纏い、化粧をして横になっている姿はまるで眠っているようだった。
だがしかし、女の勘といえば良いのだろうか。
化粧の下はかなり青く染まっていることを直感で理解した。
その時に思った。
死というものは周りの人が死を認めて初めて死になりうるのだと。
周囲の人たちは何事もないように自分たちの周りを通り過ぎていく。
きっとそこからなのだろう。
死がこの世で最も美しいと思ってしまうようになったのは。
私の人生の目標はただ一つ。
『30歳でこの世を去る』
それまでに後悔の残らないように生きよう。
これはそんな私が自分の中にたくさんある小さな結び目を解く記録。
ある日の昼下がり、ふとお金をたくさん稼ぎたいと思った。
それはきっと自分がこの世にいたいと思っているという証拠なのだろう。
死ぬためにお金はかからない。
強いていえば首吊りのための紐代とか、誰にも見つからずに死ぬための片道分の旅費のみだ。
そして私はその欲望のままに仕事を始めた。
それは男性に体を売る仕事。
その仕事は楽だった。
どんな時でも文句を言わず横になって適度に自我を持ちつつ横になっていればお金を稼ぐことができる。
私はその職場で生きにくさと立ち向かうことになった。
きっかけはある1人のボーイだった。
その人に私はこう言われた。
『これから社会に出たら理不尽なことがいっぱい待っている。その中には今の君のように自我を押し殺して為されるがままにしていればどうにかなることもたくさんある。けれどもそのなかのほんの一部かもしれないが自分の意見を言わなければならないものもある。』
『君にはその時に自分の意見を言えるような人になってほしい。実際今、君は男性にされるがままにしてお金を稼いでいるだろう?』
私はそう言われた時、人生の核心を築かれたような気がした。
その瞬間に自分の幼い時の記憶が顔を出す。
今まで自分を守るために心の奥にしまっていたはるか昔の記憶。
その記憶の中で私は自分に意見を素直に言っていた。
そしてそれと同時にもう一つの記憶も顔を出す。
自分の意見を否定され続けた学校生活。
私はこれまで中学校生活までの記憶がなかったのだ。
15歳までの私はたくさんの人たちに自分のことを否定され続けて生きていたのだ。
その一瞬の走馬灯のようなものに私は恐怖を感じた。
自分がその出来事から目を背け続けていたという事実に夏とは思えないほどの鳥肌がたった。
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