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エピローグ――エンシェントドラゴンは番と××する
アンフェールと初夜2 ※
しおりを挟むグレンは下着を解いて脱がしてくれた。寝間着はそのままだ。
「ふふ。こんなに濡らして……」
「だって……きもちいいから」
アンフェールも下着がぐっしょりしているのは分かっていた。感じていた証拠を確保されたように感じて恥ずかしい。
濡らしまくるのはいつもの事だけれど、全裸でしていれば物証は無いのだ。
脚を開けばクチュリと水っぽい音が鳴った。後孔は雄を受け入れる準備が出来ている。なんと言っても行為の開始前から昂っていたから既にトロトロだ。
アンフェールは指でそこを広げるような仕草をしてグレンを誘った。
「ぐれん、つながりたい」
「ここは?」
グレンはアンフェールのピンと上向いたペニスを指でつつく。
「そこも。いじって……」
「分かった。繋がりながら、可愛がろう」
グレンは了解した、と言ったように笑った。
グレンはアンフェールの後孔に指を挿れて状態を見ていた。慣れた今であっても必ず確認はしてくれる。それだけ、グレンのものは大きい。
とはいえ竜種であるアンフェールは問題なく受け入れられる。竜種の孔は長大なペニスを受け入れられるようになっている。
でも未だに最初はキツイ。初めて交わってから二年。グレンのものに合った形になってきているというのに。
やはり、線の細い身体のせいだろうか。
問題無いと判断されたのか、そのまま挿入を試みる姿勢になった。
仰向けのアンフェールが脚を開き、上になるグレンを受け入れる形だ。お互いの顔が見られる体勢だ。
「ふ……あ」
少し圧を掛けられれば、小さな孔は受け入れる様に開いてしまう。グレンの熱い塊が肉の輪を目一杯押し広げ、侵入してくる。
閉じた壁を押し開き、止まる事なく奥へ、奥へ。
苦しいのに、同時に番に征服される幸福感も湧いてくる。
根本まで受け入れれば満たされて、アンフェールはうっとりするのだ。
「苦しくない? アンフェール」
「うん、だいじょうぶ……」
みっしりとした重い感覚。アンフェールは楽になるようお尻の力を抜く。そうすると入口から奥から、疼くような快感が湧いてくる。
何度繋がってもこの最初の充足感は堪らない。はふぅと甘い息を漏らす。
アンフェールは番の顔を見たくて目線を上げた。
グレンは心配そうな顔をしてこちらを見ていた。
「まゆが、よってる」
アンフェールは彼に手を伸ばして頬に触れ、安心させるようスリスリと撫でた。
「毎夜抱いても心配になる。きみは腰が細いから」
「ねもとまで、いれるくせに」
「……魅力的なのが悪い。奥まで入りたくなるんだ」
グレンは困ったような顔をした。
その顔にアンフェールは弱い。可愛くて何でも許してしまう。
アンフェールが許しを与える気持ちのまま微笑みかければ、グレンは心得た、という様に微笑んでくれた。
グレンの手が再びアンフェールのペニスに触れた。彼のものが挿っても、そこは勃ち上がったままだ。
彼は包むようにペニスを握ってくれた。
「可愛い。こんなに硬くして」
「かわいい、って、いうな……」
「ふふ。可愛いよ。気持ち良くなりたいって、たくさん蜜を零して。とても素直だ」
アンフェールのペニスは体型と同じく華奢なまま成長が止まってしまった。確かに色も形も可愛いと言われてしまうのは仕方ない感じだ。白っぽいし、先っぽはピンクだし、全体的にツルリとしている。
グレンの方が圧倒的に竜種らしい性器をしている。
でもグレンはこの可愛いものが好きらしいから、別にいいか、とは思っている。
とはいえ「可愛い」呼ばわりは、男として微妙な気持ちにもなるのだ。
「あ……」
グレンは若干腰を引いてから、手を動かし始めた。
クチクチとした水音が聞こえて、アンフェールは恥ずかしくなってしまう。たくさん蜜を零して、と言われたけれど音だけでもそれが分かる。
いつもより濡れている様で、ペニスから零れた蜜だけで潤滑になる位ヌルヌルしている。
竜種は射精をするから、人間と同様に前立腺がある。グレンはその辺りを性器でグリグリ刺激しながら、アンフェールのペニスを手で扱いてくれる。
内側の刺激と外側の刺激で射精感を煽られるから堪らない。
「~~~~あっ、あ、あ」
ペニスの分かりやすいジンジンとした気持ち良さと、中の甘ったるく重い刺激がアンフェールを翻弄する。
気持ち良くて、上擦った様な声をされるがままに漏らす。
時折刺激に対して、いやいやをするように首を振ってしまう。
別に嫌な訳じゃない。とても善いとしか言いようがないのだが、身体が自然にそう動くのだ。
「やっ、ああ、ぐれん、ぐれん……」
アンフェールは涙を浮かべながら、グレンの名前を呼ぶ。
アンフェールの乱れる様子にグレンも興奮しているようだ。奉仕の最中であっても性器は硬度を失わず、とても大きい。
アンフェールのお腹は以前と変わらず狭いままだ。挿入を受けたままペニスを扱かれると、圧迫されて上手く射精出来ない。
なので、グレンは腰を引いて浅い部分で楽しみながら、ペニスを扱いてくれるようになった。
そうされると、アンフェールはちゃんと射精出来るのだ。
「~~~~あっ! ぐれん、だめ、でちゃう……っ」
せり上がってくる官能に、アンフェールは熱っぽい声で達しそうだと口にする。
伝えればグレンは上手に導いてくれる。
強い刺激で、声で。
滾る陽根で内側から押し上げ、ペニスを搾りあげる様に扱き、そして――。
「出して、アンフェール」
その言葉で、アンフェールは達してしまった。
精が何度もビュービューと噴き上がる。性器は小さくとも精は竜種なので量が多い。なので射精感による快感も長く感じてしまう。
寝間着を着たままなので、そこにすべて飛んでいった。初夜の装いにトロリとした白濁線が引かれていく。
「あ、あ、あ……」
アンフェールは上擦った弱弱しい声を漏らしながら、ふるふると震えた。
(きもちいい……とまらない……たくさん、でて……。ああ、寝間着を汚してしまった……)
薄っすら透け感があるとはいえ、基本的なデザインラインは神聖な感じだった。
純潔を思わせるような真っ白い衣装に、精液が飛び散っている様子は背徳感が強い。
「すごいな」
グレンはぼそっと呟いて、目を細めてこちらを眺めている。
アンフェールと同じく背徳的に感じたのかもしれない。
アンフェールはグレンによいしょと両腕を伸ばした。
「グレン、汚れちゃったから、脱がせて……」
かなり汚れてしまったし、アンフェールは寝間着を脱いでしまいたかった。
ちゃっちゃと脱げばいいのだが、番はこういった世話を好むのだ。なので勝手に脱いだりはしない。
それにアンフェール自身も達したばかりで、グレンに甘えたい気持ちが強かった。伸ばした両腕はしてしてーという、おねだりジェスチャーだ。
そのおねだりに対してグレンは頬を染め、ほうと息を吐いた。
「私の番は本当に愛らしい」
そう言って寝間着を脱がせてくれた。
脱がせてくれるグレンは幸せそうにニコニコしていた。本能で嬉しくなってしまうのだろう。こういう所も交雑種なのに竜種っぽい。
脱がされた寝間着は、ベッド脇に置かれた。
全裸になってふたり、肌と肌をくっつけてギュッと抱き合った。中に入り込んでいる彼の楔は、当然一番奥までアンフェールを貫いている。
外側から、内側から、抱き締められている感じがとても強い。
そのまま、首筋の逆鱗にちゅっと口づけられた。
挨拶するようなキスだ。
優しく唇で触れるだけのものだった。だというのに気持ち良くて堪らない。感じちゃって、お尻の穴がキュッと締まってしまう。締まれば内側にあるグレンの熱を強く感じてしまう。
アンフェールは突き立てられて身動きが取れない状態のまま、もじもじと身体を動かす。
「あ……ぅ、やっ」
「ふふ。おねだりされてるみたい」
グレンは抱き締めていた腕を解いた。身体を起してから、手でアンフェールのお腹に触れる。
「アンフェール、ここに私を受け入れて?」
触れられたのは切換え弁の向こう側。竜種の子宮がある位置だ。
アンフェールは弁を開く事を想像して、ほっぺがポッと熱くなる。照れちゃって、でも嬉しくて。
アンフェールは彼に目を合わせ、素直にコクリと頷いた。
グレンは嬉しそうにニコリと笑って、アンフェールの脚を抱えあげた。
「んっ……」
そしてすぐ、抽送が始まった。
折りたたむように腰を持ち上げられた体勢は深い部分まで性器が届く。突き上げられれば苦しい程だ。
とはいえ彼の性器を長く咥えたままだった分、柔らかく馴染んだ後孔は快感の方が強い。興奮が強い分、最奥に対する刺激も苦しさが悦びに変わっている。
グレンの熱がアンフェールの中を搔き乱し、昂らせる。
「あ、あっ、ああ……」
アンフェールは感じるまま甘い声を漏らした。
入口から奥まで、全てが性感帯になったよう。擦り上げられる度に全身が震えるほどの快感がせり上がってくる。
「アンフェール、いつもより感じている?」
「あ、う……だって」
「喜んでくれているの、すごく嬉しい」
グレンが笑う。
可愛くて、愛しくて。
それだけでアンフェールはふるふると達しそうな程震えてしまう。
(いった、ばかりなのに……わたしは快感によわすぎるな……)
情交の音が少し大人しくなる。
グレンの動きが快感を貪るようなものから、小刻みに奥をノックするような律動に変わる。
このリズムは、この位置は、竜種が受け手側に精の受け入れを求める合図だ。結ばれ、子を成そうという誘いだ。
アンフェールの胸は一際ドキンと高鳴った。
前世もそうされ、アンフェールはグレングリーズの精を受け入れた。
番だと分からずとも、彼が好きだったし受け入れてあげたかった。彼の情熱は愛おしく、精自体も注がれれば気持ち良いものだった。
快感に弱いアンフェールは、されるがままに何度も受け入れたのだ。
子が出来にくい竜種であり、特に子が出来ない古竜種だった。しかも死に近い程老いていた。出来るなんて微塵も思っていなかった。
まさか卵を二個も孕むなんて。
腹に手で触れ、胎に硬い膨らみを感じた時の感情を、瞬間何と表現していいのか分からなかった。
嬉しかったのだ。
そう。嬉しかった。
嬉しい、という言葉では表現しきれないほどの歓喜だ。あの喜びに似合う言葉が分からない。
(種として、子を孕み命の欠片を残せるという歓喜だ。素晴らしい、生の喜びだ……)
アンフェールは今世もグレンと子を成したかった。
ふたり愛し合い、混ざり合い、そうして結ばれた命の欠片を残したい。喜びを、歓喜を彼と分かち合いたい。
(好きだ……大好きだ、グレン。愛する、私の片翼……。何もかも、溶け合ってしまいたい)
アンフェールは彼を求める気持ちのまま弁を開く。
「ぐれん……」
その切り替わりが、グレンにも分かったのだろう。彼は幸せそうな笑みを浮かべてアンフェールの腹を撫でてくれた。
ちゃんと弁を開けたアンフェールを、いい子いい子するように。
「愛している、アンフェール」
愛おしむ、優しい声。
アンフェールの指と指を絡ます様にして、手を握ってくれる。安心させようとする仕草だ。
アンフェールもギュッと握り返す。大丈夫だよ、と伝えるように。
グレンは精を放つ為のリズムで動いている。ギシギシとベッドが鳴る音が小刻みだ。
彼の昂ぶりが限界に近い事は受け入れているアンフェールも分かる。息遣いが、流れる汗が、硬く滾る熱がそれを伝えてくれる。
グレンの快感はアンフェールの快感でもある。
どちらの熱か分からない程絡み合い、混ざり合い、ふたり同時に高みへと駆け上っていく。
「~~~~っ、あぁ! ぐれん、ぐれん……っ!」
全身が生命の歓喜に戦慄く。
アンフェールは胎に――竜種の大切な場所に彼の愛情を受け入れた。
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