61 / 123
プロローグ――エンシェントドラゴンは番と××したい
アンフェールとグレンとお風呂 ※
しおりを挟む
離宮――浴場手前、脱衣所。
脱衣所は側仕えが数人出入りしても狭くない程度の広さがある。
アンフェールとグレンは、並んで脱衣している。
若干、離れている。
距離を開けられたのは、『閨を怖がっている弟』という設定があるからだろうか。
アンフェールは全裸になる事に躊躇いは無い。
精霊時代、アンフェールはグレンと全裸で魔力循環をしていたし、慣れたものだ。
パッパッと脱いでスピーディーに全裸になる。
躊躇が無いどころか、これから楽しい事をするんだし鼻歌でも歌いたい位の気分だ。しかし、可愛い弟は鼻歌を歌いながら全裸にならないだろうから歌わない。
アンフェールはグレンを観察すべく、そちらの方にチラリと目をやった。
既に脱ぎ終わったグレンは腰にタオルを巻いていた。
(ん……。そこを隠すのか? ……ああ、そういえばグレンは自分の性器にコンプレックスがあったな。
閨教育に怯えている――という風に見られている私が、大きな性器を見て怖がってはいけないと考えたのか。残念だな。久しぶりにアレを見たかったが)
アンフェールはついジロジロと彼の下半身を見てしまう。タオル越しであっても、僅かに膨らんでいる。その膨らみで想像するのは長年見てきた立派な形だ。
グレンは視線に気づいたらしい。手で膨らみを隠されてしまった。
顔を上げると、グレンと目が合った。彼はこちらを見ていたのか。恥ずかしそうにしている。見すぎたかもしれない。
(……いかん。自重しよう。可愛い弟が兄の性器を見たがったらおかしいからな)
「兄上。よろしくお願いします」
「……っ! あ、ああ。頑張ろう」
アンフェールは何事も無かったかのように、涼しい顔で挨拶した。
頬を染めて照れていたグレンも、弾かれるように言葉を返してくれる。
精霊時代、何度もグレンとはお風呂に入っている。しかし今回はただのお風呂じゃない。閨のお風呂だ。
アンフェールはそれを考えただけで、勃つし、お腹がきゅんと疼くのだ。
「アンフェールは……」
「どうしましたか?」
「アクセサリーを外さないのか?」
アンフェールの胸はドキリと跳ねた。
何も隠さず全裸のアンフェールだがチョーカー、ブレスレッド、アンクレット、指輪とフル装備だ。
これはフェロモン受容体を縛る為の魔道具だ。
全部外したら、アンフェールは番のフェロモンで正気を失ってしまう。グレンを犯してしまう。なので外せない。
「……これは身を護る為の魔道具なのです」
「なるほど。入浴の時は無防備になるからな。それはつけていた方がいい」
グレンは妙に早口で納得していた。
アンフェールはそんなグレンの様子を不思議に思い、コテンと首を傾げた。
――アンフェールは気づかない。
全裸に宝飾品だけを付けた姿はかなり色っぽいのだ。男娼が主人に侍る時はそのような姿でいる事も多い。
グレンは当然そういった知識はないのだが、飾り立てた弟の姿に色気を感じている。
彼が腰に巻いたタオルの膨らみを手で抑えたのは、アンフェールの視線が恥ずかしかったからじゃない。
色気に中てられて勃ち上がった性器を、押さえつけていたのだ。
◇◇◇
離宮――浴場。
浴場はかなり広い。
客人を迎える事もあるし、閨行為に使われることもあるからだ。
アンフェールはバスチェアに腰かけている。
準備はグレン任せだ。
初めての行為に挑む、閨を怖がる弟がテキパキ動いてはいけない。設定に忠実に、ちょこんと置きものになっている。
目の前で跪く姿勢のグレンは、湯桶を使い湯煎でもするように香油の瓶を温めている。
おそらく冷たい香油を塗られて、アンフェールがヒンヤリして驚かないようにだ。
優しい。
なんだか慣れた様子にも感じて、ちょびっとだけムムっとするけれども。
慣れた、とは言ってもグレンは性行為に対して基本消極的だ。
だからこういう知識は精霊時代のアンフェールか、唯一の閨係であるロビン由来なのだ。
グレンの閨係はロビンだとエドワードから教えて貰った。当時、ボロボロに傷ついたグレンの心と体を守るため、ロビンは閨係になったと。
ロビンが閨係になった理由を聞いて納得してしまった。
彼は父性の塊のような男だ。守るべき子供がいたら守ってしまう男だ。
それが例え、彼に向かない閨係としての役割が必要だとしても。
(……ん? しかし、グレンとの閨を覗き見た時は結構ノリノリだったような……?)
グレンを後ろから抱き、快感に追い詰めていた大柄な男。
器用な手技でグレンを絶頂に導いていた、あの――……。
アンフェールは、ぷるぷると首を振った。
父親の夜の顔は忘れよう。
なんかこう、親の閨をちょっとでも想像しちゃうと、わーってなるのだ。精神衛生上よくない。
「アンフェール、緊張しているのか?」
グレンが心配そうにこちらを見ている。
いけない。余計な事を考えてこれからの楽しい時間に水を差すのは止めよう。折角の番とのお風呂なんだから。
アンフェールは彼を安心させるために、可愛い弟の顔で微笑んだ。
「いえ、大丈夫です。兄上にしていただけるのですから」
「アンフェール……」
グレンはなんだか、じーんとしている。兄として嬉しかったのかもしれない。
閨を怖がる弟から、性器の扱いを任せてもいいと思って貰える程、信頼を寄せられている――と。
別にアンフェールは閨が怖い訳じゃないし、番に扱いてもらえるならこれ程ハッピーな事は無いと思っている。
しかしグレンはそんなこと知らない。
でも彼は凄く幸せそうだし、アンフェールも幸せだし。
どっちも幸せなら、それでいいのだ。
グレンは香油の瓶を開けている。ついに始まるらしい。
アンフェールはドキドキしながら脚を開いた。
アンフェールのペニスは既に勃っている。
白く、つるりとした細身のペニスは皮を被っているのでシンプルな形状に見える。
幼体の頃より太さも長さも成長しているのだが、まだまだ幼い形だ。実は精通も訪れていない。
前世の頃と似た姿形をしている割に、ここはあまり似ていない。
グレングレーズ程ではないにしろ、古代竜の性器は王らしく立派だったのに。
「優しくする。だが、怖くなったらちゃんと教えてくれ。我慢してはいけないよ?」
「はい」
そう言って、グレンはアンフェールの性器に香油を垂らし、丁寧に塗ってくれた。
ペニスを包み込むように、男らしい手で優しく握られる。
剣を握る手特有のゴツゴツ感が、自慰の時とは比べ物にならない位刺激的で堪らない。
感覚だけじゃない。見た目だってそうだ。
明るい浴室で、良く見えるのだ。番の手に収まるペニスは発展途上のくせに一丁前に反りかえっている。
その、幼げな興奮が視覚的にとてもいやらしい。
グレンの手が、僅かに動いた。
「あ、あ……ッ」
思わず情けない声が漏れる。上擦った、普段より少し高い声。
その声にグレンがピクリと反応する。
弟になって初めて官能の声を聞かれてしまった。
その事にアンフェールのほっぺはカッと熱くなってしまった。思春期の身体は恥ずかしがりなのだ。
グレンが顔を上げる。目がバチリと合う。
アンフェールは真っ赤になった顔を見られてしまった。グレンの頬も赤い。
なんかこう、居たたまれない空気だ。口端が引き攣る。
「その、これからアンフェールのここを、剥く、のだが」
「はい」
「痛かったら、ちゃんと痛いと……言って欲しい」
「……はい」
グレンはたどたどしく、これからする事を教えてくれた。
どうやら包皮を剥くらしい。
『ヴィシュニア王国と風俗』には、性器の皮が柔らかいうちに剥く習慣をつけるのが望ましいと書かれていた。
衛生的に大事な事だと。
グレンは弟の健康のために真剣に取り組んでくれている。
頬を染めながらも、その表情は真剣そのものだ。
しかしアンフェールは簡単に剥けるようになっている。
毎日のように番を想いながら自慰をしているし、その時は当然、剥いているからだ。
だからアンフェールにとっては、番に剥かれて敏感な部分を見られるという、刺激的なプレイでしかないのだ。
「んッ……ふ、ぅ」
グレンはやわやわと丁寧にマッサージをしてくれる。
上下に、引き下ろすような動きで。
快感としては弱い刺激であるものの、興奮がそれを遥かに超えてくる。
「~~~~ッ、あぁ……」
つるりと皮が剥け、ピンク色の亀頭が、しっかり顔を出してしまった。
そこはぷっくりと膨らんでいて、つやつやしている。
興奮が分かられてしまって恥ずかしい。
いやらしくなった部分を見られている。
そう考えただけで、アンフェールの目は潤むし、呼吸は荒くなってしまった。
「痛くなかった?」
「……はい。大丈夫です」
「良かった」
グレンはホッとしたように微笑んでくれた。
優しげな顔をされると、途端に恥ずかしくなってしまう。アンフェール一人で興奮していたと自覚してしまうからだ。
「でも、恥ずかしいです。見られてしまうのは……」
「……そうか」
アンフェールは目を伏せ、気持ちを素直に口にした。
――しかしグレンから見たその顔は、ひどく煽情的だった。
上気した頬も、震えるまつ毛も、しっとりと濡れた瞳も。
煽られたグレンは当然ぎこちなくなってしまうし、顔も赤らんでしまうし、下半身の血の巡りが良くなってしまう。
「……恥ずかしがる事はない。アンフェールのここはとても愛らしいし……綺麗だ」
「兄上……」
グレンは優しい。
もじもじするアンフェールにちゃんとフォローする言葉を掛けてくれる。
「それに、毎日するのだ。いずれ慣れる」
「毎日……して下さるのですか?」
「ああ。ロビンからそうするようにと」
グレンが顔を上げる。
「私がアンフェールを、綺麗にしてあげよう」
グレンは騎士が姫君に傅くような姿勢で、アンフェールに微笑みかけてくれた。
アンフェールは『手ずからケアをしてくれる』という約束にドキドキしてしまう。
囁く様な低い声もいけない。雄みを感じてゾクゾクしてしまう。
アンフェールはそのドキドキゾクゾクでお尻が疼き、熱い蜜を零してしまうのだ。
(グレンは兄として、真面目に弟の事を考えてくれているのに……。私ときたら欲情するばかりだ)
アンフェールは激しく反省してしまった。
脱衣所は側仕えが数人出入りしても狭くない程度の広さがある。
アンフェールとグレンは、並んで脱衣している。
若干、離れている。
距離を開けられたのは、『閨を怖がっている弟』という設定があるからだろうか。
アンフェールは全裸になる事に躊躇いは無い。
精霊時代、アンフェールはグレンと全裸で魔力循環をしていたし、慣れたものだ。
パッパッと脱いでスピーディーに全裸になる。
躊躇が無いどころか、これから楽しい事をするんだし鼻歌でも歌いたい位の気分だ。しかし、可愛い弟は鼻歌を歌いながら全裸にならないだろうから歌わない。
アンフェールはグレンを観察すべく、そちらの方にチラリと目をやった。
既に脱ぎ終わったグレンは腰にタオルを巻いていた。
(ん……。そこを隠すのか? ……ああ、そういえばグレンは自分の性器にコンプレックスがあったな。
閨教育に怯えている――という風に見られている私が、大きな性器を見て怖がってはいけないと考えたのか。残念だな。久しぶりにアレを見たかったが)
アンフェールはついジロジロと彼の下半身を見てしまう。タオル越しであっても、僅かに膨らんでいる。その膨らみで想像するのは長年見てきた立派な形だ。
グレンは視線に気づいたらしい。手で膨らみを隠されてしまった。
顔を上げると、グレンと目が合った。彼はこちらを見ていたのか。恥ずかしそうにしている。見すぎたかもしれない。
(……いかん。自重しよう。可愛い弟が兄の性器を見たがったらおかしいからな)
「兄上。よろしくお願いします」
「……っ! あ、ああ。頑張ろう」
アンフェールは何事も無かったかのように、涼しい顔で挨拶した。
頬を染めて照れていたグレンも、弾かれるように言葉を返してくれる。
精霊時代、何度もグレンとはお風呂に入っている。しかし今回はただのお風呂じゃない。閨のお風呂だ。
アンフェールはそれを考えただけで、勃つし、お腹がきゅんと疼くのだ。
「アンフェールは……」
「どうしましたか?」
「アクセサリーを外さないのか?」
アンフェールの胸はドキリと跳ねた。
何も隠さず全裸のアンフェールだがチョーカー、ブレスレッド、アンクレット、指輪とフル装備だ。
これはフェロモン受容体を縛る為の魔道具だ。
全部外したら、アンフェールは番のフェロモンで正気を失ってしまう。グレンを犯してしまう。なので外せない。
「……これは身を護る為の魔道具なのです」
「なるほど。入浴の時は無防備になるからな。それはつけていた方がいい」
グレンは妙に早口で納得していた。
アンフェールはそんなグレンの様子を不思議に思い、コテンと首を傾げた。
――アンフェールは気づかない。
全裸に宝飾品だけを付けた姿はかなり色っぽいのだ。男娼が主人に侍る時はそのような姿でいる事も多い。
グレンは当然そういった知識はないのだが、飾り立てた弟の姿に色気を感じている。
彼が腰に巻いたタオルの膨らみを手で抑えたのは、アンフェールの視線が恥ずかしかったからじゃない。
色気に中てられて勃ち上がった性器を、押さえつけていたのだ。
◇◇◇
離宮――浴場。
浴場はかなり広い。
客人を迎える事もあるし、閨行為に使われることもあるからだ。
アンフェールはバスチェアに腰かけている。
準備はグレン任せだ。
初めての行為に挑む、閨を怖がる弟がテキパキ動いてはいけない。設定に忠実に、ちょこんと置きものになっている。
目の前で跪く姿勢のグレンは、湯桶を使い湯煎でもするように香油の瓶を温めている。
おそらく冷たい香油を塗られて、アンフェールがヒンヤリして驚かないようにだ。
優しい。
なんだか慣れた様子にも感じて、ちょびっとだけムムっとするけれども。
慣れた、とは言ってもグレンは性行為に対して基本消極的だ。
だからこういう知識は精霊時代のアンフェールか、唯一の閨係であるロビン由来なのだ。
グレンの閨係はロビンだとエドワードから教えて貰った。当時、ボロボロに傷ついたグレンの心と体を守るため、ロビンは閨係になったと。
ロビンが閨係になった理由を聞いて納得してしまった。
彼は父性の塊のような男だ。守るべき子供がいたら守ってしまう男だ。
それが例え、彼に向かない閨係としての役割が必要だとしても。
(……ん? しかし、グレンとの閨を覗き見た時は結構ノリノリだったような……?)
グレンを後ろから抱き、快感に追い詰めていた大柄な男。
器用な手技でグレンを絶頂に導いていた、あの――……。
アンフェールは、ぷるぷると首を振った。
父親の夜の顔は忘れよう。
なんかこう、親の閨をちょっとでも想像しちゃうと、わーってなるのだ。精神衛生上よくない。
「アンフェール、緊張しているのか?」
グレンが心配そうにこちらを見ている。
いけない。余計な事を考えてこれからの楽しい時間に水を差すのは止めよう。折角の番とのお風呂なんだから。
アンフェールは彼を安心させるために、可愛い弟の顔で微笑んだ。
「いえ、大丈夫です。兄上にしていただけるのですから」
「アンフェール……」
グレンはなんだか、じーんとしている。兄として嬉しかったのかもしれない。
閨を怖がる弟から、性器の扱いを任せてもいいと思って貰える程、信頼を寄せられている――と。
別にアンフェールは閨が怖い訳じゃないし、番に扱いてもらえるならこれ程ハッピーな事は無いと思っている。
しかしグレンはそんなこと知らない。
でも彼は凄く幸せそうだし、アンフェールも幸せだし。
どっちも幸せなら、それでいいのだ。
グレンは香油の瓶を開けている。ついに始まるらしい。
アンフェールはドキドキしながら脚を開いた。
アンフェールのペニスは既に勃っている。
白く、つるりとした細身のペニスは皮を被っているのでシンプルな形状に見える。
幼体の頃より太さも長さも成長しているのだが、まだまだ幼い形だ。実は精通も訪れていない。
前世の頃と似た姿形をしている割に、ここはあまり似ていない。
グレングレーズ程ではないにしろ、古代竜の性器は王らしく立派だったのに。
「優しくする。だが、怖くなったらちゃんと教えてくれ。我慢してはいけないよ?」
「はい」
そう言って、グレンはアンフェールの性器に香油を垂らし、丁寧に塗ってくれた。
ペニスを包み込むように、男らしい手で優しく握られる。
剣を握る手特有のゴツゴツ感が、自慰の時とは比べ物にならない位刺激的で堪らない。
感覚だけじゃない。見た目だってそうだ。
明るい浴室で、良く見えるのだ。番の手に収まるペニスは発展途上のくせに一丁前に反りかえっている。
その、幼げな興奮が視覚的にとてもいやらしい。
グレンの手が、僅かに動いた。
「あ、あ……ッ」
思わず情けない声が漏れる。上擦った、普段より少し高い声。
その声にグレンがピクリと反応する。
弟になって初めて官能の声を聞かれてしまった。
その事にアンフェールのほっぺはカッと熱くなってしまった。思春期の身体は恥ずかしがりなのだ。
グレンが顔を上げる。目がバチリと合う。
アンフェールは真っ赤になった顔を見られてしまった。グレンの頬も赤い。
なんかこう、居たたまれない空気だ。口端が引き攣る。
「その、これからアンフェールのここを、剥く、のだが」
「はい」
「痛かったら、ちゃんと痛いと……言って欲しい」
「……はい」
グレンはたどたどしく、これからする事を教えてくれた。
どうやら包皮を剥くらしい。
『ヴィシュニア王国と風俗』には、性器の皮が柔らかいうちに剥く習慣をつけるのが望ましいと書かれていた。
衛生的に大事な事だと。
グレンは弟の健康のために真剣に取り組んでくれている。
頬を染めながらも、その表情は真剣そのものだ。
しかしアンフェールは簡単に剥けるようになっている。
毎日のように番を想いながら自慰をしているし、その時は当然、剥いているからだ。
だからアンフェールにとっては、番に剥かれて敏感な部分を見られるという、刺激的なプレイでしかないのだ。
「んッ……ふ、ぅ」
グレンはやわやわと丁寧にマッサージをしてくれる。
上下に、引き下ろすような動きで。
快感としては弱い刺激であるものの、興奮がそれを遥かに超えてくる。
「~~~~ッ、あぁ……」
つるりと皮が剥け、ピンク色の亀頭が、しっかり顔を出してしまった。
そこはぷっくりと膨らんでいて、つやつやしている。
興奮が分かられてしまって恥ずかしい。
いやらしくなった部分を見られている。
そう考えただけで、アンフェールの目は潤むし、呼吸は荒くなってしまった。
「痛くなかった?」
「……はい。大丈夫です」
「良かった」
グレンはホッとしたように微笑んでくれた。
優しげな顔をされると、途端に恥ずかしくなってしまう。アンフェール一人で興奮していたと自覚してしまうからだ。
「でも、恥ずかしいです。見られてしまうのは……」
「……そうか」
アンフェールは目を伏せ、気持ちを素直に口にした。
――しかしグレンから見たその顔は、ひどく煽情的だった。
上気した頬も、震えるまつ毛も、しっとりと濡れた瞳も。
煽られたグレンは当然ぎこちなくなってしまうし、顔も赤らんでしまうし、下半身の血の巡りが良くなってしまう。
「……恥ずかしがる事はない。アンフェールのここはとても愛らしいし……綺麗だ」
「兄上……」
グレンは優しい。
もじもじするアンフェールにちゃんとフォローする言葉を掛けてくれる。
「それに、毎日するのだ。いずれ慣れる」
「毎日……して下さるのですか?」
「ああ。ロビンからそうするようにと」
グレンが顔を上げる。
「私がアンフェールを、綺麗にしてあげよう」
グレンは騎士が姫君に傅くような姿勢で、アンフェールに微笑みかけてくれた。
アンフェールは『手ずからケアをしてくれる』という約束にドキドキしてしまう。
囁く様な低い声もいけない。雄みを感じてゾクゾクしてしまう。
アンフェールはそのドキドキゾクゾクでお尻が疼き、熱い蜜を零してしまうのだ。
(グレンは兄として、真面目に弟の事を考えてくれているのに……。私ときたら欲情するばかりだ)
アンフェールは激しく反省してしまった。
32
お気に入りに追加
1,798
あなたにおすすめの小説
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる