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自己嫌悪
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「落ち着いた?」
「……あぁ。」
やっと酔いが治まってきて、アンリの心配そうな顔がほっと緩やかになったのが分かった。
「なぁ、、。俺をどこに連れていってくれるの?」
エスメルはもういっその事、この状況を楽しもうとアンリに問いかける。しかし、エスメルの反応が予想外だったのかきょとりとした顔を見せたアンリはすぐに、あぁっと微笑む。
「そーだねぇ!今お昼だし、お腹すいたでしょ?ご飯食べに行く?」
そうアンリが言ったタイミングで、エスメルのお腹もぐぅ~~~っとなった。
「ふふっ!エル、お腹すいてたの?」
エスメルは、顔を真っ赤にして逸らしたが、耳も真っ赤になっていた為、恥ずかしがっているのはアンリにすぐにバレた。
「何食べたい?お魚?お野菜?それともお肉?」
「…………べたい。」
「え?」
「アンのオススメ…食べたい。」
エスメルはゆっくりとアンリの方に顔を向けると驚いた顔をしたアンリと目が合った。
「う、うんうん!教える教える!おすすめ教える!」
満面の笑みでこくこくっと頷くアンリが面白くてエスメルは、くすっと笑った。
「……っ!じ、じゃあ行こ!!」
「あっ!お、おい!」
エスメルの手を強引に掴んで引っ張るアンリに少し険しげな表情をエスメルは向けるが、当の本人であるアンリは満面の笑みだった。
「笑ってくれたァ!」
っと呟いて。
エスメルは目の前に広がった肉料理を見ながら少し考え事をしていた。
街を見る限り、人間の国はエスメルがいた時よりも穏やかになったのかもしれない……と。じゃあもう憎む必要もないのでは……なんて、甘い事を考えていた。
「おいしー?」
「あぁ。すごく。」
キラキラと笑うアンリが眩しくてエスメルはバっと下を向いた。
「ねぇねぇ、エスメルは何処に住んでるの?」
俺の肩がビクッと跳ねた。
もしこの場で俺は魔族の……それも魔王の息子としてやっているなどと言ったら、アンリは泣き叫び、罵声を俺に浴びせ、俺は周りの大人達に殺されるかと思うと……。俺は怖くなって唇が震えた。
「あ、えと、その。あ、そこの…。近くにある小さなむ、村!そこに…すんで…る。」
どんどん声が小さくなった。
それと同時にエスメルは俺は魔族と言いながら、胸を張って目の前にいるアンリに言えない自分に自己嫌悪をした。
俺の顔色が悪くなったのに気づいたのかアンリは慌てて言葉を発した。
「な、なんかごめんね!その!エルってすごく強いから…何処にすんでるのか聞きたくって!!」
雰囲気は最悪だった。
エスメルが立て直せばすぐに治るもののエスメルは自分が言えなかった事にショックを受けて、ぼーっとしていた。
「そ、そうだ!僕の話と同時に僕のオススメのお花畑!特別に連れてったげる!!おいで!」
おばさん!お代はここにー!っと叫び、またエスメルの手を引いて進み始めた。
エスメルはその手をぼーっと見つめた。
「……あぁ。」
やっと酔いが治まってきて、アンリの心配そうな顔がほっと緩やかになったのが分かった。
「なぁ、、。俺をどこに連れていってくれるの?」
エスメルはもういっその事、この状況を楽しもうとアンリに問いかける。しかし、エスメルの反応が予想外だったのかきょとりとした顔を見せたアンリはすぐに、あぁっと微笑む。
「そーだねぇ!今お昼だし、お腹すいたでしょ?ご飯食べに行く?」
そうアンリが言ったタイミングで、エスメルのお腹もぐぅ~~~っとなった。
「ふふっ!エル、お腹すいてたの?」
エスメルは、顔を真っ赤にして逸らしたが、耳も真っ赤になっていた為、恥ずかしがっているのはアンリにすぐにバレた。
「何食べたい?お魚?お野菜?それともお肉?」
「…………べたい。」
「え?」
「アンのオススメ…食べたい。」
エスメルはゆっくりとアンリの方に顔を向けると驚いた顔をしたアンリと目が合った。
「う、うんうん!教える教える!おすすめ教える!」
満面の笑みでこくこくっと頷くアンリが面白くてエスメルは、くすっと笑った。
「……っ!じ、じゃあ行こ!!」
「あっ!お、おい!」
エスメルの手を強引に掴んで引っ張るアンリに少し険しげな表情をエスメルは向けるが、当の本人であるアンリは満面の笑みだった。
「笑ってくれたァ!」
っと呟いて。
エスメルは目の前に広がった肉料理を見ながら少し考え事をしていた。
街を見る限り、人間の国はエスメルがいた時よりも穏やかになったのかもしれない……と。じゃあもう憎む必要もないのでは……なんて、甘い事を考えていた。
「おいしー?」
「あぁ。すごく。」
キラキラと笑うアンリが眩しくてエスメルはバっと下を向いた。
「ねぇねぇ、エスメルは何処に住んでるの?」
俺の肩がビクッと跳ねた。
もしこの場で俺は魔族の……それも魔王の息子としてやっているなどと言ったら、アンリは泣き叫び、罵声を俺に浴びせ、俺は周りの大人達に殺されるかと思うと……。俺は怖くなって唇が震えた。
「あ、えと、その。あ、そこの…。近くにある小さなむ、村!そこに…すんで…る。」
どんどん声が小さくなった。
それと同時にエスメルは俺は魔族と言いながら、胸を張って目の前にいるアンリに言えない自分に自己嫌悪をした。
俺の顔色が悪くなったのに気づいたのかアンリは慌てて言葉を発した。
「な、なんかごめんね!その!エルってすごく強いから…何処にすんでるのか聞きたくって!!」
雰囲気は最悪だった。
エスメルが立て直せばすぐに治るもののエスメルは自分が言えなかった事にショックを受けて、ぼーっとしていた。
「そ、そうだ!僕の話と同時に僕のオススメのお花畑!特別に連れてったげる!!おいで!」
おばさん!お代はここにー!っと叫び、またエスメルの手を引いて進み始めた。
エスメルはその手をぼーっと見つめた。
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