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選ばれし者
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ひゅっという音とキュイッという音が耳をかすめた。
ゆっくりと目を開くとラビーが木に打ち付けられ、少しずつ血が広がっていた。
「ラ、ラビー!」
エスメルは近寄り、ラビーの血を気にせず抱き抱えた。キュッ……キュッという今にも呼吸が途切れそうな音がした。
「ラビー……頼む……頼む」
必死に願った。ラビーの血は特定の人物を毒に侵す事ができ、マウントベアーは叫びながら周りの木にぶつかっていた。
ポロッと何かがラビーの口からでた。それを拾ってみると、親父に貰った身体強化の飴だった。ラビーを木の葉の上に優しく置くと、飴を口の中にポイっと投げて、ガリッと噛んだ。すたっと一瞬にしてその場に居なくなったエスメルは、またすたっとその場に戻ってきていた。ドスーーーン!大きな音を立ててマウントベアーはたおれた。貰った飴には魔王の魔力がつまっている。だからエスメルはマウントベアーを倒すことができたが、魔王の魔力を普通の人間が取り込んでしまった場合死に至るということをエスメルは知らない。
エスメルはすぐにラビーの元へと駆け寄った。今にも死にそうな息をしていたラビーを見て、顔を歪ませた。
「今から俺が急げば親父の元へたどり着ける……?」
しかしその考えをすぐに打消した。
風圧でラビーの身体に負荷がかかってはいけないからだ。
「魔力さえあれば………………」
と涙が滝のように溢れてきた。
ラビーを抱き抱えていると近くからガサガサっと音がした。
今はラビーにしか興味が無いと言わんばかりに殺気を出した。
びくっと後ろにいた奴は震え、どしんっと尻もちをついた。
「いっ!!」
後ろのやつは痛がってるようだがエスメルには関係なかった。
血がエスメルの身体に伝っていく。
生暖かいラビーの身体は徐々に冷えていく。
ぎゅっとラビーを抱きしめていると、トントンっと肩を叩かれる。
「どうしたの……!?!?」
ラビーを見て目を見開いたそいつは、バッと俺からラビーを奪った。
「!?!?おい!!!殺すぞ!!」
今までにないくらいの殺気をそいつに放った。びくっと怯えたそいつは俺をキッと睨みつけた。
「このままだったら死んじゃうよ??それでもいいの!!!!」
と怒鳴って手をラビーにかざした。
エスメルは何をするのか分からず、手をのかそうとしたが、パーーっと光がそいつの手から現れ始めた。エスメルはすぐに距離をとった。
「神聖魔法……」
エスメルは初めて見た。神聖魔法が使えるのは………………魔王を倒すための人類の希望……勇者だけだった。みるみるうちにラビー身体は修復されていく。
スースーっと穏やかな呼吸をするラビーを見てほっとする。すぐにラビーの元へより、ラビーを抱き抱える。
ちらっと横目でそいつを見ると青ざめた顔をしつつ笑顔でこっちを見ていた。
バッと立ち上がった
「……感謝はする……貸ひとつだ。だけど……俺は人間を許すことはできない」
複雑な顔でそいつを見たあと、すっとその場から消えた。
そいつは手を伸ばして何か言いたげだった。
ゆっくりと目を開くとラビーが木に打ち付けられ、少しずつ血が広がっていた。
「ラ、ラビー!」
エスメルは近寄り、ラビーの血を気にせず抱き抱えた。キュッ……キュッという今にも呼吸が途切れそうな音がした。
「ラビー……頼む……頼む」
必死に願った。ラビーの血は特定の人物を毒に侵す事ができ、マウントベアーは叫びながら周りの木にぶつかっていた。
ポロッと何かがラビーの口からでた。それを拾ってみると、親父に貰った身体強化の飴だった。ラビーを木の葉の上に優しく置くと、飴を口の中にポイっと投げて、ガリッと噛んだ。すたっと一瞬にしてその場に居なくなったエスメルは、またすたっとその場に戻ってきていた。ドスーーーン!大きな音を立ててマウントベアーはたおれた。貰った飴には魔王の魔力がつまっている。だからエスメルはマウントベアーを倒すことができたが、魔王の魔力を普通の人間が取り込んでしまった場合死に至るということをエスメルは知らない。
エスメルはすぐにラビーの元へと駆け寄った。今にも死にそうな息をしていたラビーを見て、顔を歪ませた。
「今から俺が急げば親父の元へたどり着ける……?」
しかしその考えをすぐに打消した。
風圧でラビーの身体に負荷がかかってはいけないからだ。
「魔力さえあれば………………」
と涙が滝のように溢れてきた。
ラビーを抱き抱えていると近くからガサガサっと音がした。
今はラビーにしか興味が無いと言わんばかりに殺気を出した。
びくっと後ろにいた奴は震え、どしんっと尻もちをついた。
「いっ!!」
後ろのやつは痛がってるようだがエスメルには関係なかった。
血がエスメルの身体に伝っていく。
生暖かいラビーの身体は徐々に冷えていく。
ぎゅっとラビーを抱きしめていると、トントンっと肩を叩かれる。
「どうしたの……!?!?」
ラビーを見て目を見開いたそいつは、バッと俺からラビーを奪った。
「!?!?おい!!!殺すぞ!!」
今までにないくらいの殺気をそいつに放った。びくっと怯えたそいつは俺をキッと睨みつけた。
「このままだったら死んじゃうよ??それでもいいの!!!!」
と怒鳴って手をラビーにかざした。
エスメルは何をするのか分からず、手をのかそうとしたが、パーーっと光がそいつの手から現れ始めた。エスメルはすぐに距離をとった。
「神聖魔法……」
エスメルは初めて見た。神聖魔法が使えるのは………………魔王を倒すための人類の希望……勇者だけだった。みるみるうちにラビー身体は修復されていく。
スースーっと穏やかな呼吸をするラビーを見てほっとする。すぐにラビーの元へより、ラビーを抱き抱える。
ちらっと横目でそいつを見ると青ざめた顔をしつつ笑顔でこっちを見ていた。
バッと立ち上がった
「……感謝はする……貸ひとつだ。だけど……俺は人間を許すことはできない」
複雑な顔でそいつを見たあと、すっとその場から消えた。
そいつは手を伸ばして何か言いたげだった。
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