魔王は育ての親、勇者は親友、という変な立ち位置の俺

さかえ

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別視点 煩わしい音

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その日はいつも通り魔王としての仕事した後、ソファで仮眠をとっていた。

「…………ッ」

なんだか頭の奥底からもやもやとした音が出てきた。やがてその音は鮮明になり、咳をするような音に聞こえてきた。

「ゴホッゴホッ」

仮眠をとっていた魔王にとってそれは煩わしかった。とうとうイライラがピークにきた魔王は咳をしているやつを特定し始めた。
魔王という名は伊達ではない。
直ぐに特定することが出来た。
そいつは小さくて握り潰せそうなほどやせ細っていた。
魔族だったならすぐに手を差し伸べただろう。しかしこいつは人間だ。
人間は魔族を忌み嫌い、すぐに殺そうとする悪しき存在。この世界で1番嫌われている種族は?と聞かれた場合、全種族が声を揃え人間っと大声で言うだろう。
それほどに憎まれていた。
では、この小さき人間を見捨てるのは悪しきものと同じ行いなのでは?と思った魔王はいつの間にか手を差しのべていた。

「だずげて」

そう言って倒れた少年を横抱きにして魔王城へと運ぶ。
少年を連れて帰ってきた俺を見て宰相のサウムと側近のテラスは目をまん丸にしていた。
宰相に至っては、また貴方は……と呆れた目で俺を見つめている。
テラスはお腹痛いと言って笑い転げていた。
急にすーっと空気が変わるサウムとテラスは魔王の首筋に剣を突き立てていた。

「人間は悪しきものだ。この意味わかるよな?何度俺たちは裏切られてきた。」

「魔族の子ならまだしも、人間は許せません即刻処罰させていただきます。」

緊迫した空気。ぴりぴりと感じる緊張感。

「僕を……ひとりにしないで」

そう言って、横抱きにしていた少年は涙を流した。魔王はおでこをなでて、おやすみっと呟いた。
傍からみたらまるで親子のようだった。

「この子を……」

魔王の衝撃発言は宰相と側近を凍りつかせた。
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