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僕だけが不幸ではない
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体操座りをしたままぼーっとしていると、ユランが頭をガシガシとかいて、急に立った。
ユランは部屋の中央へ来ると、次は胡座をかいて座った。気まずそうに視線を彷徨わせていたが、決心したのか僕をじーっと見た後口を開いた。
「えと……その……すまんかった。」
僕はまだ怒っていたため、ぷいっと顔を背けた。
「簡単には許してくれねぇよな。ここに来るからには何かしらあるってのによ。人間って聞いたらつい……。1つ昔話をするから聞いてくれ。」
そう言ったユランの声はワントーン下がった気がした。
「俺は前までここから少し離れた奥の魔界でも超ど田舎な場所に住んでたんだ。笑顔でいっぱいの家族と一緒に畑を耕し、動物と戯れたり飼育したり、時々商売したり、まぁそこそこ幸せだった。」
穏やかな目、穏やかな口調で話していたユランだったが、急に声は低くなり、言葉一言一言に重みがあるような声色で話し始めた。
「忘れもしねぇ。あの夜……満月が綺麗な日だった。その日俺は遠出していて帰るのが遅くなっちまった。村に戻った時俺が見たのは……火に燃える村だった。真っ赤だったよこの世であんな赤は二度と見ることはないだろう。俺は急いで家族の元へ駆けつけようとした……でもな家は半壊俺が入れる状態じゃなかった。魔法を使って必死に必死に消火したさ。いつの間にか日も上がっちまってよ。丸焦げになった家の木材を少しずつ退かしていったら…………炭になった弟が居たんだ。その近くには母親と父親も居た。弟を守るようにしてな。」
ユランは上を向いた。
「わりぃ……この話すると止められねぇんだわ。」
ぽたぽたっと涙が落ちる。
僕は問いかけた。
「誰がやったの……?」
話を聞く限りユランの家族が恨まれていた可能性はほぼ低い。そんな中でどうしてユランの家族……いや村が襲われたのか。
「この話には続きがあってな……灰になった家族を見たら力が抜けて涙は止まらねーわで俺はその場に泣き崩れた。それから数時間後だった。声が聞こえたんだ。村の生き残りか?って俺も考えた。」
ユランの顔は憎しみで染まっていた。
「姿を見て俺は怒りが収まらなかった。人間だったんだ。それだけならなんとも思わねーよ。でもなあいつらこう言いやがった。「魔族なんて楽勝だな。金目の物奪って逃げるぞ」ってな。」
「まぁ。そこでごちゃごちゃあって宰相様に拾ってもらってここにいるって訳だ。」
メガネの?っと聞くと、そうだ。と帰ってきた。
「ふーん」
僕は俯いた。やはり人間は私利私欲のために動くクソだな……と。
「んだよ。他になんかねーのかよ。」
「何?なんか言って欲しい?」
「いや。そーじゃねぇけど……」
調子狂う……と呟き頭をガシガシとまたかき始めたユランに僕は口を開いた。
「僕以外にも不幸な人っていたんだね。」
僕はぼそっと呟いた。
この部屋は密室で二人しかいない。当然ユランにも聞こえた。
「おめぇはまだマシな方だろうよ。魔王様に拾ってもらえただけマシだ。」
「もしかしてここにいる子も。君みたいな子ばっかりなの?」
「あぁそうだ。俺より酷いやつもいる。」
あぁだからか、だから年齢関係ないんだなっと1つ謎が解けた。
「なぁ。仲直りってことで友達になろうぜ。お前の話は後でしてくれよ。」
「…………魔族って裏切らないよね?」
満面の笑みでユランは、言った。
「あたりめぇだ!!」
ユランは部屋の中央へ来ると、次は胡座をかいて座った。気まずそうに視線を彷徨わせていたが、決心したのか僕をじーっと見た後口を開いた。
「えと……その……すまんかった。」
僕はまだ怒っていたため、ぷいっと顔を背けた。
「簡単には許してくれねぇよな。ここに来るからには何かしらあるってのによ。人間って聞いたらつい……。1つ昔話をするから聞いてくれ。」
そう言ったユランの声はワントーン下がった気がした。
「俺は前までここから少し離れた奥の魔界でも超ど田舎な場所に住んでたんだ。笑顔でいっぱいの家族と一緒に畑を耕し、動物と戯れたり飼育したり、時々商売したり、まぁそこそこ幸せだった。」
穏やかな目、穏やかな口調で話していたユランだったが、急に声は低くなり、言葉一言一言に重みがあるような声色で話し始めた。
「忘れもしねぇ。あの夜……満月が綺麗な日だった。その日俺は遠出していて帰るのが遅くなっちまった。村に戻った時俺が見たのは……火に燃える村だった。真っ赤だったよこの世であんな赤は二度と見ることはないだろう。俺は急いで家族の元へ駆けつけようとした……でもな家は半壊俺が入れる状態じゃなかった。魔法を使って必死に必死に消火したさ。いつの間にか日も上がっちまってよ。丸焦げになった家の木材を少しずつ退かしていったら…………炭になった弟が居たんだ。その近くには母親と父親も居た。弟を守るようにしてな。」
ユランは上を向いた。
「わりぃ……この話すると止められねぇんだわ。」
ぽたぽたっと涙が落ちる。
僕は問いかけた。
「誰がやったの……?」
話を聞く限りユランの家族が恨まれていた可能性はほぼ低い。そんな中でどうしてユランの家族……いや村が襲われたのか。
「この話には続きがあってな……灰になった家族を見たら力が抜けて涙は止まらねーわで俺はその場に泣き崩れた。それから数時間後だった。声が聞こえたんだ。村の生き残りか?って俺も考えた。」
ユランの顔は憎しみで染まっていた。
「姿を見て俺は怒りが収まらなかった。人間だったんだ。それだけならなんとも思わねーよ。でもなあいつらこう言いやがった。「魔族なんて楽勝だな。金目の物奪って逃げるぞ」ってな。」
「まぁ。そこでごちゃごちゃあって宰相様に拾ってもらってここにいるって訳だ。」
メガネの?っと聞くと、そうだ。と帰ってきた。
「ふーん」
僕は俯いた。やはり人間は私利私欲のために動くクソだな……と。
「んだよ。他になんかねーのかよ。」
「何?なんか言って欲しい?」
「いや。そーじゃねぇけど……」
調子狂う……と呟き頭をガシガシとまたかき始めたユランに僕は口を開いた。
「僕以外にも不幸な人っていたんだね。」
僕はぼそっと呟いた。
この部屋は密室で二人しかいない。当然ユランにも聞こえた。
「おめぇはまだマシな方だろうよ。魔王様に拾ってもらえただけマシだ。」
「もしかしてここにいる子も。君みたいな子ばっかりなの?」
「あぁそうだ。俺より酷いやつもいる。」
あぁだからか、だから年齢関係ないんだなっと1つ謎が解けた。
「なぁ。仲直りってことで友達になろうぜ。お前の話は後でしてくれよ。」
「…………魔族って裏切らないよね?」
満面の笑みでユランは、言った。
「あたりめぇだ!!」
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