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初めは皆敵から
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目を覚ますと僕はベッドの上にいた。
辺りを見回すとほこりもない綺麗な部屋。
おかしい。僕は埃まみれの物置部屋にいたはずだ。
昨日の出来事は夢ではなかった?と疑問を持ったまますっと起き上がった。裸足のままベッドから降りた。ボロボロだった服もいつの間にか綺麗な服になっていた。ぺたぺたと音を立てて歩く。足の裏に埃やらゴミやら着いていたのに今はすべすべのまま歩くことができる。
少し高いドアを背伸びをして開ける。
「ゴホッ……んっー……開いた!」
すーっと扉が開く。物置部屋のドアはギーっと言う音がなり、その音がとても嫌で耳を塞いでいた頃を思い出す。
あの頃は両親とも兄とも友達とも仲がよかったなぁーなんて思いながら。
扉を出ると思ったよりこの建物は広かった。
またぺたぺたと音を立て歩きだす。
歩いていると子供の声が聞こえてきた。
楽しそうな子供の声。僕は興味本位で声のする方へと向かった。
その部屋に入る事は不可能なため、小さな窓から覗いて見た。
子供たちが沢山いて、わちゃわちゃと話をしていた。すると急に浮遊感に襲われビクッと固まってしまった。
脇と脇に手を入れ、僕を持ち上げていた。
ひらひらの服を着てメガネをかけた少しソバカスの目立つ女の人だった。
僕をじーっと見つめたあと口を開いた。
「貴方もしかして……。貴方はこっちよ」
と言って、僕の手を繋ぎ少し強い力で引っ張った。早い足取りに着いていけず、ばたばたと忙しなく動いていると、女の人はハッとし、申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさいね。貴方人間の子だったわね。」
と言って歩くスピードを遅くしてくれた。
そこから会話もなく僕と女の人はどこかへ向かった。
「ここよ」
急に立ち止まった女の人にぼふっと顔が当たった。
僕は鼻をさすりながら、女の人が向いてる方を見るといかにもな場所だった。
黒色のドアに巧妙な木彫りがしてあり、左右には門番さんらしき人がいる。
僕のことをじーっと見つめてくる門番さん達に僕は縮こまった。
女の人がコンコンっと扉を叩き、声を上げた。
「魔王様。貴方様が拾われた人間の子供を連れてまいりました。」
「通せ」
ほんの一言だったが、なぜだかほっとした気がした。そしてその声を聞いて昨日の出来事は夢なんかじゃなかったことを再確認させた。木彫りのドアが開き、ぱーっと光が漏れる。中へ1歩ずつ踏み出すと魔王様らしき人の頭が少し見えた。魔王様の前にはたくさんの紙があり、顔は全く見えなかった。
右を見ると眼鏡をかけた少し堅物そうなお兄さんが僕のことをじーっと見ていた……というより少し睨んでいた。
左を見るとソファーに身を任せ、頭の後ろで手を組んでいるチャラそうなお兄さんが口角を上げてこっちを見ていた。黄色の瞳の眼は笑っておらずこっちを見定めていた。
しーんと静まった部屋。
僕は咄嗟に魔王様に向かって思った事をいった。
「魔王様は僕のことを食べる気なの?」
ピシッと空気が固まった。
辺りを見回すとほこりもない綺麗な部屋。
おかしい。僕は埃まみれの物置部屋にいたはずだ。
昨日の出来事は夢ではなかった?と疑問を持ったまますっと起き上がった。裸足のままベッドから降りた。ボロボロだった服もいつの間にか綺麗な服になっていた。ぺたぺたと音を立てて歩く。足の裏に埃やらゴミやら着いていたのに今はすべすべのまま歩くことができる。
少し高いドアを背伸びをして開ける。
「ゴホッ……んっー……開いた!」
すーっと扉が開く。物置部屋のドアはギーっと言う音がなり、その音がとても嫌で耳を塞いでいた頃を思い出す。
あの頃は両親とも兄とも友達とも仲がよかったなぁーなんて思いながら。
扉を出ると思ったよりこの建物は広かった。
またぺたぺたと音を立て歩きだす。
歩いていると子供の声が聞こえてきた。
楽しそうな子供の声。僕は興味本位で声のする方へと向かった。
その部屋に入る事は不可能なため、小さな窓から覗いて見た。
子供たちが沢山いて、わちゃわちゃと話をしていた。すると急に浮遊感に襲われビクッと固まってしまった。
脇と脇に手を入れ、僕を持ち上げていた。
ひらひらの服を着てメガネをかけた少しソバカスの目立つ女の人だった。
僕をじーっと見つめたあと口を開いた。
「貴方もしかして……。貴方はこっちよ」
と言って、僕の手を繋ぎ少し強い力で引っ張った。早い足取りに着いていけず、ばたばたと忙しなく動いていると、女の人はハッとし、申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさいね。貴方人間の子だったわね。」
と言って歩くスピードを遅くしてくれた。
そこから会話もなく僕と女の人はどこかへ向かった。
「ここよ」
急に立ち止まった女の人にぼふっと顔が当たった。
僕は鼻をさすりながら、女の人が向いてる方を見るといかにもな場所だった。
黒色のドアに巧妙な木彫りがしてあり、左右には門番さんらしき人がいる。
僕のことをじーっと見つめてくる門番さん達に僕は縮こまった。
女の人がコンコンっと扉を叩き、声を上げた。
「魔王様。貴方様が拾われた人間の子供を連れてまいりました。」
「通せ」
ほんの一言だったが、なぜだかほっとした気がした。そしてその声を聞いて昨日の出来事は夢なんかじゃなかったことを再確認させた。木彫りのドアが開き、ぱーっと光が漏れる。中へ1歩ずつ踏み出すと魔王様らしき人の頭が少し見えた。魔王様の前にはたくさんの紙があり、顔は全く見えなかった。
右を見ると眼鏡をかけた少し堅物そうなお兄さんが僕のことをじーっと見ていた……というより少し睨んでいた。
左を見るとソファーに身を任せ、頭の後ろで手を組んでいるチャラそうなお兄さんが口角を上げてこっちを見ていた。黄色の瞳の眼は笑っておらずこっちを見定めていた。
しーんと静まった部屋。
僕は咄嗟に魔王様に向かって思った事をいった。
「魔王様は僕のことを食べる気なの?」
ピシッと空気が固まった。
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