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本編
会計様を懲らしめる害虫(転校生)調査③
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僕は、早足で屋上へと向かう。
聞きこみ調査をしたのは結局2人だけだったが、全てをすっぽかして知りたかった結果をぽんっと提供されるなら其方の方がいいに決まっている。
いつもは閉まっているはずの屋上のドアノブに手を置き、回せばガチャリと音がなって扉が開く。
もし、先生が居たならばそれはもう仕方がない。一か八かの賭けだ。
コツコツと足音を鳴らして屋上を回るが、誰の気配もない。
もしかしたら誰かの鍵のかけ忘れという可能性がでてきて僕は肩を落とす。
色々拍子抜けだ。
溜息をつきながら教室に戻ろうとして、ふと空を見上げた。
「.......う、うわぁ!?」
僕はびっくりして尻もちをついてしまった。一人の少年が、普通は登らないような所に登っていて、じーっと僕の方を見ていたからだ。
彼は何も言わずに僕をただただ見つめていた。僕は目をぱちぱちとさせ、声をかける。
「え、っと。君が香坂莉央くん?」
僕が問えば、あぁっと肯定してくれる。
僕は心底安堵して、本題に入る。
「莉央君にお願いがあって来ました。」
「.......お願い?」
少し興味を持ってくれたのか、復唱する。
「はい。.......最近、この学校.....というより生徒会役員の方々がどこかおかしいんです。僕はそれを調べたいと思ってここに来ました。」
お願いします!っと僕がお辞儀をすれば、ふーんっと心底どうでもいいような返事が返ってきた。
「なんで?」
「え?」
「なんで君がそこまですんの?」
なんで。そう問いかけられたが答えは決まっている。
「湊人様を.......湊人様を助けたいから!」
僕が真っ直ぐに莉央君を見つめるが、あまり答えに納得がいってないらしい。
「湊人ってあの湊人だよね?会計の。」
「う、うん。」
「君は会計の恋人なの?」
直球で聞かれ、僕は赤面する。
「い、いやいや!違うよ、違う!」
「え、じゃあ君と会計の関係ってなんなの?」
僕と湊人様の関係.......それはただの先輩と後輩の関係。それ以上を望んでいるのは僕だけだ。
「今.......今はまだ、先輩と後輩の関係かな。」
「ふーん。じゃあゆくゆくは恋人になりたいって事ね。んで、好きな人の為に頑張りたいとかいう健気なやつね。納得した。理由は分かった。なんの情報が欲しいの?」
何故か、彼は勝手に納得してくれたが、これは僕としても好都合。
僕に同情でもなんでもしてくれていいから情報が欲しい。
「副会長.....いや、生徒会役員の方々が転校生に夢中になっているのは何故か教えて欲しい。」
僕がそういえば、むむむっと唸る莉央君。
「転校生を好きになっただけかもだよ?」
たしかに。確かにその線もあるが、やはりおかしい。
「恋は盲目とは言うけれど、あの仕事人な会長までもが仕事を放棄してるのは僕はおかしいと思うから。だから、調べてほしい。」
もう一度お辞儀をすれば、分かったっと返事が返ってきた。
ぱぁっと顔を明るくして上を向けば、にやりと笑っている莉央君と目が合った。
「ただーし!君にはやってもらいたいことがある。」
「や、やってもらいたいこと?」
笑みを深くした莉央君は口を開いた。
「君にはスパイになってもらう。」
聞きこみ調査をしたのは結局2人だけだったが、全てをすっぽかして知りたかった結果をぽんっと提供されるなら其方の方がいいに決まっている。
いつもは閉まっているはずの屋上のドアノブに手を置き、回せばガチャリと音がなって扉が開く。
もし、先生が居たならばそれはもう仕方がない。一か八かの賭けだ。
コツコツと足音を鳴らして屋上を回るが、誰の気配もない。
もしかしたら誰かの鍵のかけ忘れという可能性がでてきて僕は肩を落とす。
色々拍子抜けだ。
溜息をつきながら教室に戻ろうとして、ふと空を見上げた。
「.......う、うわぁ!?」
僕はびっくりして尻もちをついてしまった。一人の少年が、普通は登らないような所に登っていて、じーっと僕の方を見ていたからだ。
彼は何も言わずに僕をただただ見つめていた。僕は目をぱちぱちとさせ、声をかける。
「え、っと。君が香坂莉央くん?」
僕が問えば、あぁっと肯定してくれる。
僕は心底安堵して、本題に入る。
「莉央君にお願いがあって来ました。」
「.......お願い?」
少し興味を持ってくれたのか、復唱する。
「はい。.......最近、この学校.....というより生徒会役員の方々がどこかおかしいんです。僕はそれを調べたいと思ってここに来ました。」
お願いします!っと僕がお辞儀をすれば、ふーんっと心底どうでもいいような返事が返ってきた。
「なんで?」
「え?」
「なんで君がそこまですんの?」
なんで。そう問いかけられたが答えは決まっている。
「湊人様を.......湊人様を助けたいから!」
僕が真っ直ぐに莉央君を見つめるが、あまり答えに納得がいってないらしい。
「湊人ってあの湊人だよね?会計の。」
「う、うん。」
「君は会計の恋人なの?」
直球で聞かれ、僕は赤面する。
「い、いやいや!違うよ、違う!」
「え、じゃあ君と会計の関係ってなんなの?」
僕と湊人様の関係.......それはただの先輩と後輩の関係。それ以上を望んでいるのは僕だけだ。
「今.......今はまだ、先輩と後輩の関係かな。」
「ふーん。じゃあゆくゆくは恋人になりたいって事ね。んで、好きな人の為に頑張りたいとかいう健気なやつね。納得した。理由は分かった。なんの情報が欲しいの?」
何故か、彼は勝手に納得してくれたが、これは僕としても好都合。
僕に同情でもなんでもしてくれていいから情報が欲しい。
「副会長.....いや、生徒会役員の方々が転校生に夢中になっているのは何故か教えて欲しい。」
僕がそういえば、むむむっと唸る莉央君。
「転校生を好きになっただけかもだよ?」
たしかに。確かにその線もあるが、やはりおかしい。
「恋は盲目とは言うけれど、あの仕事人な会長までもが仕事を放棄してるのは僕はおかしいと思うから。だから、調べてほしい。」
もう一度お辞儀をすれば、分かったっと返事が返ってきた。
ぱぁっと顔を明るくして上を向けば、にやりと笑っている莉央君と目が合った。
「ただーし!君にはやってもらいたいことがある。」
「や、やってもらいたいこと?」
笑みを深くした莉央君は口を開いた。
「君にはスパイになってもらう。」
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